yoshのブログ

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ノアの箱舟には工学の叡智がつまっていた

2013-06-19 05:53:12 | 文化
ご承知の通り、「旧約聖書、創世記」には「ノアの箱舟」の話が以下のように書いてあります。

神はノアに言われた。「わたしは、すべての人を絶やそうと決心した。彼らは地を暴虐で満たしたから、わたしは彼らを地とともに滅ぼそう。あなたは、いとすぎの木で箱舟を造り、箱舟の中にへやを設け、アスファルトでそのうちそとを塗りなさい。その造り方は次の通りである。すなわち箱舟の長さは三百キュビト、幅は五十キュビト、高さは三十キュビトとし、箱舟に屋根を造り、上へ一キュビトにそれを仕上げ、また箱舟の戸口をその横に設けて、一階と二階と三階のある箱舟を造りなさい。」(以下略)

大阪府立大学の学長、奧野武俊教授(船舶工学専攻)は、箱舟を工学的に以下のように評価しています。

箱舟の寸法は長さ135m、幅22.5m、深さ13.5mで、三菱重工業が建造した「アルゼンチナ丸」の大きさ、長さ145mの三層甲板船と大きさも構造も似ている。船を設計する時は、長さ(L)と幅(B)、幅と深さ(D)のなどの比が重要である。ノアの箱舟はL/B=6、B/D=1.5~2であるが、最近の造船技術を駆使して造っている大型タンカーは、L/B=5~6、B/D=1.5~2である。造船技術の知識を全く持っていなかったと思われるノアに神が命じられて造った船は、現代の船と比較して、その形状が少しも変わっていないと言えるのである。また、インカ帝国の建造物や仁徳天皇陵などが、かなり進んだ土木技術を使って造られたという話を聞くと工学者として厳粛な気持ちになる。我々が今、手にしている先端的な科学・工学技術の多くは、最近になってから発明・発見された新しい物質や知識によって実現したものであるが、実は昔から変わっていなかったり、同じであったりすることが多い。現代の最先端を走り続ける学問や技術に携わる者は、いつも現実を見つめて謙虚さを失ってはならないと思うのである。
 奧野武俊 「電気学会誌」2013 Vol.133 No.5
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