yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

後夜仏法僧鳥を聞く 空海

2013-09-11 04:39:37 | 文学
空海(774~835)弘法大師ともいわれた平安時代初期の高僧です。讃岐国に生まれ、遣唐使に従って唐に渡り、そこで修行しました。帰朝の後、真言宗を開き、高野山金剛峯寺を創建しました。

空海の漢詩、七言絶句を紹介します。

  後夜(ごや)聞仏法僧鳥

閑林獨坐草堂暁
三寶之聲聞一鳥
一鳥有聲人有心
聲心雲水倶了了

後夜仏法僧鳥ヲ聞ク

閑林獨坐ス草堂ノ暁
三寶之聲一鳥ニ聞ク
一鳥聲有リ人心有リ
聲心(せいしん)雲水倶(とも)ニ了々

「訳」

高野山中のひっそりと静まる草堂の夜明け、ひとり坐して無我寂静の境地に入っていると、どこからともなく、仏法僧と鳴く「このはずく」の声が聞こえる。鳥は何の考えもなく、ただ仏法僧と呼ぶのであろうが、いま三宝の名をこの一鳥の声のうちに聞いて、思わず心に感じ悟るものがあった。鳥声と人心とが、さらに山中の雲と水流とまったく一つに融け合い、ここに仏道の真理がはっきりと看取されたのである。

この詩は、大師が鳥の声を聞いて仏教の根本義である煩悩即菩提の真理、三毒即三徳の大乗の妙理を悟達されたときのものとされています。空海の文才は若年の頃に著した「三教指帰」からも窺えますが、詩はあくまでも学者・高僧としてのものであって、詩人のものではないとも評されます。空海の和歌では次の作品が「新勅撰和歌集」にとられられています。

   法性の室戸といへどわがすめば有為の浪風よせぬ日ぞなき

     吟剣詩舞振興会 「吟剣詩舞道漢詩集 絶句編」
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