江戸時代、和算といわれた数学が発達し、庶民や武士も難問に挑戦していました。数学の問題の解答方法が見つかるとそれを額にして神社などに奉納しました。これを算額といいます。例えば、三重県の神社で見つかった算額には下のような図が描かれています。大、中、小 8個の円と外接円です。設問は、「外接円と大円の半径の比率を求めよ」です。
江戸時代の1844年に清水忠治という人が解を発見し、それを川島神明神社に算額として奉納しました。
2021年11月、NHKの「歴史探偵」という番組で、この算額が紹介されました。番組の中では、京都大学の理系の学生8人がこの問題に挑戦しましたが、制限時間、2時間以内に解いた学生はいませんでした。不肖も挑戦しました。ようやく、最近になって求解に成功しました。恥ずかしながら、放送のあった2021年11月から14ヶ月も経過していました。我ながら諦めることなく、よくぞ粘ったと思いました。
求めたい比率、kに対して √k=Xとおいて
解は下の3次方程式の根の一つです。
Xに0.64を代入すると、上の3次方程式の根になっています。
外接円と大円の半径の比率は、0.41ですが、これは図面に物差しを当てて
測定してもわかります。一方、0.64を二乗すると確かに0.41になります。
なお、3次方程式の根は、通常3個あります。インタ-ネット上の計算サイトを利用して3次方程式の根を求めましたら、0.64と-1と-0.39の3個を求めることができました。負の数値は無意味ですから、0.64が唯一の解答となります。
結果論ですが、-1が根の一つである事を利用すると、3次方程式は(X+1)で因数分解できるので、3次方程式は、下記となります。
2次方程式の部分を解くとテレビ画像図面中の江戸時代の解(9+√17)/32
が得られました。
比率k, 外接円の半径をR, 大、中、小の円の半径をそれぞれ、X,Y,Zとしますと未知数は5個になります。一方、図面の中から直角三角形を4個見つけ出し、ピタゴラスの定理を適用すると合計5本の方程式がそろいます。勿論、この中にX/R=kという式もあります。
計算途中に Y/R=(1-k)/2 Z/R=k/(2√k-k+1) 等の式が現れます。
これらの方程式から未知数を消去してkのみの方程式を導くと、上記の3次方程式が得られました。江戸時代の地方人がこれと同じような事を実行したのは立派であり、江戸時代の数学(和算)が高度な事に驚きました。(参考:下 写真、テレビの画像)
小川束 「和算」 中央公論新社
江戸時代の1844年に清水忠治という人が解を発見し、それを川島神明神社に算額として奉納しました。
2021年11月、NHKの「歴史探偵」という番組で、この算額が紹介されました。番組の中では、京都大学の理系の学生8人がこの問題に挑戦しましたが、制限時間、2時間以内に解いた学生はいませんでした。不肖も挑戦しました。ようやく、最近になって求解に成功しました。恥ずかしながら、放送のあった2021年11月から14ヶ月も経過していました。我ながら諦めることなく、よくぞ粘ったと思いました。
求めたい比率、kに対して √k=Xとおいて
解は下の3次方程式の根の一つです。
Xに0.64を代入すると、上の3次方程式の根になっています。
外接円と大円の半径の比率は、0.41ですが、これは図面に物差しを当てて
測定してもわかります。一方、0.64を二乗すると確かに0.41になります。
なお、3次方程式の根は、通常3個あります。インタ-ネット上の計算サイトを利用して3次方程式の根を求めましたら、0.64と-1と-0.39の3個を求めることができました。負の数値は無意味ですから、0.64が唯一の解答となります。
結果論ですが、-1が根の一つである事を利用すると、3次方程式は(X+1)で因数分解できるので、3次方程式は、下記となります。
2次方程式の部分を解くとテレビ画像図面中の江戸時代の解(9+√17)/32
が得られました。
比率k, 外接円の半径をR, 大、中、小の円の半径をそれぞれ、X,Y,Zとしますと未知数は5個になります。一方、図面の中から直角三角形を4個見つけ出し、ピタゴラスの定理を適用すると合計5本の方程式がそろいます。勿論、この中にX/R=kという式もあります。
計算途中に Y/R=(1-k)/2 Z/R=k/(2√k-k+1) 等の式が現れます。
これらの方程式から未知数を消去してkのみの方程式を導くと、上記の3次方程式が得られました。江戸時代の地方人がこれと同じような事を実行したのは立派であり、江戸時代の数学(和算)が高度な事に驚きました。(参考:下 写真、テレビの画像)
小川束 「和算」 中央公論新社