山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

小さな旅:滝桜を見に行く(1)

2010-04-28 07:46:30 | くるま旅くらしの話

〔九州・山陰他エリアの旅でこぼこ日記の掲載を少し先に延ばして、小さな旅の続きとして、25~27日にかけて福島県は三春の滝桜を見がてら、知人宅を訪問して来ました時のことを書くことにします。〕

我が家の馬骨桜が初めて花をつけたという話を前記しましたが、この花を見ながら、どうしても滝桜に会いに行きたい気持ちが高まって、それを決行しました。実は家内の術後の経過のこともあり、旅車での泊りがけでの旅は、しばらく我慢することにしていたのですが、その後の経過も順調で、短期間の旅なら却ってリハビリにもなるだろうと、本人もその気になってくれていましたので、花を見れば余計に元気が出るだろうと考えたのでした。

滝桜行を思いついたのは、我が家の初めての桜の花を見ながら22日のことでした。今年は寒暖の入れ替わりが激しく、5月が近づいているのに、なかなか気候は安定しません。その所為もあって桜の開花から葉桜までの期間も随分と変則的なものとなっているようです。概ね、観桜には有利となっているようで、いくら天候不順でも、せめて一つくらいは我々に恵みを与えてくれるということなのでしょう。

と言うわけで、滝桜も開花の宣言を聞いてからいつもよりは長い期間咲き続けてくれているようです。何しろ咲き始めた途端に雪化粧を強いられたというのですから、人間だけではなく、千年余の時を経て千年余回の春を迎えている滝桜本体にとっても、ちょっとした驚きだったのではないかと思います。ご老体(否、滝桜に限ってはそれは失礼な言い方かも知れません)には、厳しい春の巡り会わせとなっていなければ良いがと、ちょっぴり老体が何かを感ずるようになった馬骨にも気になるところです。

行くと決めたら直ぐにでも飛んで行きたいというのが、私の性向なのですが、家内の体調のことを考えると、なるべく短い時間で行ける方がベターであろうと、いつもならあまり利用しない高速道を使うことにしました。また、天気予報では週末が良い天気に恵まれるということですが、恐らく猛烈な混雑と渋滞が予想されますので、それらが少し解消されるであろう日曜日に行くことに決めました。その日は磐越道の船引・三春IC近くにある阿武隈高原SAに泊って、翌早朝5時頃に行けば駐車場も大丈夫だろうという計算です。滝桜の見物には、いつもそのような方法を取っていますので、今回もそうすることにしました。

午後2時半過ぎ出発。東京方面への常磐道は少し混んでいる感じがしましたが、反対方向は極めて空いていて、左のレーンを独り占めしながらの走行が続きました。スピードは出すなという家内の要請で、90kmを限度としての運転でした。走っている車が少ないので、せかされることも無く、いい天気の中に広がる新緑の香りを目で味わいながらの走りでした。流れは順調です。

磐越道に入る少し手前では、何と昔オート三輪車と呼んでいたトラック仕様のクラシックカー(?)に追い越されてびっくりするというハプニングも経験しました。立ち寄った湯の岳PAで、その車の方と会うことが出来、直ぐ傍にマークⅡの初代のクーペ風の車やスカイラインの初期のバンタイプの車も止っていて、訊けば皆さんどこかで同好の方の集まりがあっての帰りだとか、道理で忘れていた車が走って訳です。これらの話の殆どは、勿論家内中心に取り交わされた結果であります。

   

今では懐かしいオート三輪車。展示してあるのは時々見かけることがあるけど、現役で走っているのは珍しい。軽く追い越されたのには、本当にびっくりした。

いわきJCTから磐越道に入りました。ここからは上り坂が続いて、次第に標高が上がってゆきます。それは周囲の景色が少しずつ変わって、今まで見られた新緑が少なくなり出したことで分ります。阿武隈高原SAが近くなった頃には、道の周りの景色は殆ど冬といっていいほどのもので、ようやく雑木たちの芽吹きの準備が始まろうという感じでした。

実は先ほどから阿武隈高原SAで今夜泊るのは止めにして、思い切って滝桜の傍の駐車場まで入ってしまって、そこに泊まることにしよう、もしダメなときには近くにある三春の里農業公園というのに行こうか、などと思案していたのですが、家内に話すと賛同を得ましたので、たちまち予定を変更して、船引三春ICまで行きそこから出て滝桜方面に向かったのでした。

結果的にはこれが大成功で、何とその夜はライトアップが実行された今年最後の夜だったのです。駐車場が夜になっているのにものすごい混みようで、これほどに滝桜の人気は凄まじいものだったのかと驚いてのですが、その実は急に決まった昨夜と今夜のライトアップされた桜を観ようという人たちで溢れていたのでした。車を止められるのかと心配しましたが、奥のダム湖近くにはまだ余裕があり、その心配は不要でした。

車を止めてしまえば、もうこっちのものです。旅車はモーターホームでもあり、宿付ですから、寝るのも食事もトイレも自在で、何の心配も要りません。一般的にはキャンピングカーと呼ばれていますが、これは悪い・無駄なイメージの呼び方だと思います。この業界では、モーターホームという呼び方を公式のものとすべきではないかと私は思っています。キャンプに使っても一向に差支えありませんが、アウトドア専用のようなイメージよりも旅の動く宿というイメージの方が、世の中の納得性が高いように思うからです。ま、そのようなことは滝桜見物とは係わりのないことです。

お茶を一杯飲んだあと、早速黄昏の滝桜を見に出かけました。ライトアップは19時から21時までです。19時少し前の空は快晴で、あと数日で望月(=満月)を迎えようとする膨らんだ月が、輝きを増していました。大変な人ごみの中を縫って、観桜料300円也を払って滝桜に近付きます。何度も見ている滝桜ですが、この観る少し前の緊張感には何ともいえないものがあります。そしてご対面!!。感動の一瞬です。実に、実に、今年も堂々たる咲きっぷりでした。大勢の人たちの感嘆のため息が、滝桜を包む小さな窪地を膨らましています。いやあ、素晴らしい。何度来ても、何度見ても素晴らしい。いよ~つ!、滝桜日本一!です。

私も何本かの全国の桜の名木と呼ばれるものを見ていますが、それぞれに味わいがあり、皆日本一に相応しいと思っていますが、その中でも声を挙げて日本一!と呼びたいのがこの滝桜です。樹勢、風格、花の優しさ、バランス、等々様々な観桜の評価基準があるのだと思いますが、それらのどれ一つとってもこの滝桜には欠けるものが少ないように思うのです。

私たちが初めて滝桜を訪ねたのは、花の時期ではなく花が終ってしばらく経った葉桜の時期でした。その時この桜の大樹は、つやつやと輝く濃緑の葉を体一杯に繁らせて私たちを迎えてくれました。それはこの樹の強烈な生命力を、胸を張って表現しているように見えました。その姿に息を呑むほど感動したのを思い出します。そして、その後の花を咲かせている優しさ。生命力の最高の表現が花を咲かせることにあるのだということを、そしてこの樹のその花の素晴らしさ。

そのような思い出をなぞりながら、暮れてゆく空の下の滝桜の周りをゆっくりと巡りながら、カメラのシャッターを何度も押しました。ライトアップがその真価を発揮するのはもっと遅くなってからだと考え、一先ず車に戻って夕食にしました。ご飯を炊いて食事が出来るのも旅車ならでのありがたさです。

   

黄昏時の滝桜。ライトアップが開始された直後辺りの時刻だったけど、まだ空の光も少し残っており、明るい光とは少し違った風情がある。

20時近く、再び観桜へ。夜桜を見る機会は何度かありましたが、滝桜のそれはもちろん初めてのことです。相変わらずの人混みで、今年最後のチャンスを逃さないようにと押しかける善男善女のパワーは、いやはや大変なものです。そして暗闇に浮かぶ滝桜の姿は、いやあ、大勢の人びとを魅了する千両役者を遙かに凌ぐものでした。薄紅色の巨大な雪洞が丘の窪地に灯っているという、真に幻想的な世界がそこにありました。カメラの方は三脚無しで撮るのはやっぱり無理で、安いデジカメでは撮った写真は全て正体不明のぼんやりとした灯りとなってしまい、滝桜には申しわけない次第です。

   

ライトアップ後の幻想の滝桜。三脚無しの撮影のため、はっきりしないのが残念だが、逆に雪洞のようでそれなりの味わいもある。(負け惜しみ)

とにかく感動のしっ放しで、もう一度桜の周りを廻って、十二分に今年の願いを満たして、車に戻ったのでした

(今日はここまでで、明日に続きます)

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