山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

孫台風との野反湖行(その2)

2008-08-28 05:32:56 | くるま旅くらしの話

翌日は快晴となりました。絶好のキャンプ日和です。6時前に目覚めて外を見ると、昨日までの雲が嘘のように吹き飛んで、真っ青の青空が広がっていました。孫たちはまだ少し眠そうでしたが、それでも外に出ると高原の澄んだ空気の爽やかさに触れて、まさに目が醒めたようでした。洗顔を済ませ、朝食のパンを食べた後は、混み合っている道の駅のトイレを避けて、先ずは六合村の道の駅に行くことにしました。こちらの方のトイレの方が落ち着いて使用できると考えたからです。

草津温泉は標高1,000mくらいの所にあり道の駅もそれくらいの高さにあります。六合村の道の駅はそれよりも少し低い位置にありますので、そこまでの道はずっと下り坂となります。連なる山並みを見下ろしながらの早朝のドライブは、なかなかのものでした。昨日の雨で道はまだ濡れている箇所がありましたが、随所にある緑のトンネルを抜けながら、孫たちはどのような感想を抱きながらこの朝を楽しんでいるのかなと思いました。20分ほどで六合の道の駅に到着。ここで用を足し、キャンプ場への準備を整えて出発です。

キャンプ場の受付は9時過ぎと聞いていましたが、少し早めに行って高原を散策することにしました。六合の道の駅から野反湖までは15km足らずですが、長い登り道が続きます。尻焼温泉までは小さな集落もありますが、そこから先は人家の全く無い山道です。運転は倅に任せての道行きなので、こちら(=自分)は孫と一緒に専ら窓外の景観を楽しみながらの時間でした。アクセルを踏み込んでもなかなか速度の出ない車に、倅は少し驚いたようでした。40分ほどで野反湖の入口の富士見峠に到着。一挙に景観が拡がって、美しい湖が眼下に姿を現しました。

孫たちもその大きな景観に声を上げたようです。湖は1,500mもの高さにあり、周辺の山はちょっと見には大して高くも無い丘のように見えるのですが、実際は2,000mを越える高山なのです。真っ先に目に入ったのはマツムシ草の花でした。

   

   マツムシ草と花アブ。富士見峠の辺りにはこの花がたくさん咲き乱れていた。

マツムシ草は高原を代表する秋の花ですが、ここでそれを見るとは意外でした。孫たちに説明をしましたが、あまり興味関心はなさそうで、直ぐに忘れてしまう感じでした。その他にもかなりの数の野草たちが迎えてくれて嬉しい限りでした。少し高い所にあるコマクサの花畑に孫たちを連れてゆくことにしました。もう花の時期は終わっているので、せめて草の様子だけでも見せようと登っていったのですが、何とまだ花を咲かせている株が2~3個あって、孫たちも大喜びでした。少し高い場所から見る野反湖の景観は又格別のものでした。

9時少し過ぎ野反湖のキャンプ場の入口に到着。キャンプ場での駐車泊はダメというので、入口にある売店の駐車場に泊まろうと考えていたので、先ずはそこの駐車場に車を停めて様子を見ていると、売店の方から人が走って来て何やら倅に話しているようなので、出てみると、何と、キャンピングカーはここには留まってはいけないということでした。キャンプ場の経営とこの売店の経営は別々であり、当方としてはキャンピングカーがここには留まることは禁止しているという話なのです。その理由は会社の方針で決まっているというだけの繰り返しであり、真に一方的な話でありました。呆れ返って物も言えない感じであります。先日、この店で買い物をしたことを深く悔いました。とにかくここに居るのは不快なので、我々はキャンプ場へ来たのであって、ここに泊まりに来たのではないことを告げ、キャンプ場の受付へ向いました。

キャンプ場での駐車場泊はダメとは聞いていましたので、改めてその理由を聞きましたら、この地は国立公園の特別エリアになっており、キャンプ場は大自然の中でキャンプを体験して貰うために六合村が運営しているとのことでした。確かにテントも張らずに何台ものキャンピングカーが駐車場泊をしていたら、それは国立公園の中では異様な景色となるのかもしれません。ここにある貴重な大自然を汚し破壊することにつながるという危惧を抱かれるのかも知れないなと、一応納得をしました。先ほどの駐車場のオッサンの言い方とは随分違うなと思いました。しかし、心の底では、ここにあるロッジは何なのだろうかと疑問を感じました。テントに寝るに限るという条件なら解るとしても、ロッジならばキャンピングカーと大して変わらないのではないかと思うのです。キャンピングカーというものがどのようなものなのかということがまだまだ解って頂けない実態がここにもあるなと思いました。

デイキャンプをして今日は早めに山を降りて六合の道の駅に泊まることにしようと決めました。しかし、デイキャンプは15時頃までには撤収して欲しいということでしたので、もう少し時間に余裕が欲しいと考え、1泊分のテントの設営料を支払って、受付を済ませました。勿論ここに泊まるつもりはありません。

駐車場からキャンプ場までは歩いて15分も掛かるのです。荷物運搬のためのリヤカーを借りて、それにテントや椅子、それにバーベキューの材料や用具などを積み込んで、設営場所まで運ぶのには大汗を掻きました。途中に清水の流れている箇所や野草(ヤマハハコ、アザミ、ヤマヒヨドリなど)の咲き乱れている箇所などがあり、リヤカーはなかなか前に進まない状況でした。孫たちも懸命に後押しをしていましたが、果たしてどれほどの力が助けになったのかは定かではありません。

ようやく現地について、テントの設営開始です。テントは食事のテーブルと用材を置くためのものを持参した他、焚き火のグリルをカバーできるタープを用意しました。子どもたちは珍しいので、あれこれとこまめに手伝ってくれました。支柱を立てるのを支えたり、ペグを打つのを手伝ったりと、大童(おおわらわ)でした。ようやくテントの設営が終わり、さて、焚き火をしようかと思ったら、なんと焚き火のグリルセットを車の倉庫に忘れてきてしまっているではありませんか。いやはや、倅に持って来るのを頼んで、ジサマはしばらく休憩です。孫たちは倅と一緒に車までの往復を楽しんだようです。

その後は、ジサマは焚き火の火熾(おこ)しと炭熾しに取り組み、孫たちは父親と一緒にバーベキュー用の具材の準備です。野菜類などを結構上手に切り揃えてくれました。一段落する頃、又々箸を持ってくるのを忘れたのに気づいて、ジサマは走ってそれを取りに行きました。往復20分ほどの急行は結構キツイものでした。ようやくバーベキューを開始した時は、11時半にもなってしまっていました。

バーベキューに用意したものは、野菜が中心で、家の畑で採れたナス、ピーマン、辛くない唐辛子、タマネギ、ジャガイモ、そして買い入れたのはトウモロコシ、カボチャ、肉とソーセージでした。孫たちが切った野菜類は、適当な大きさに出来上がっていて、焼くには好都合でした。ジサマは殆ど焼き役で、合間にビールを飲み、つまみに出来上がったものを少し口に入れるといった按配でした。孫たちは普段は食が細いという親の話でしたが、この時はいつもと違った旺盛な食欲を見せて、肉も野菜も美味しいオイシイとたくさん食べたようです。ジサマは満足です。

食事の後は、しばし休憩。本来ならば少し昼寝でもしたいところですが、何しろ良い天気で日差しがきつく、テントの中は暑くてとても寝るどころではありません。夏休みの宿題の研究に野反湖の花を取り上げるなどと言っていた上の子も宿題のことは忘れたようで、妹と遊ぶことに熱中していました。本来ですとここでジサマがしゃしゃり出て得意(?)の野草の説明に孫を引き出すのでしょうが、本人がその気にならない限りは、このジサマはそのような蛮行に及ぶ気はないのです。多分このような判断は、今の時代には適切とは言えないかも知れません。

お腹の調子も一段落しかけた頃、急に白砂山や八間山の方に黒雲が湧き出しました。それまでも入道雲らしきものは幾つか見えたのですが、雨を降らせるようなものではなく、大丈夫だと思っていたのですが、この黒雲はどうやらそうは行かない感じで、もしかすると驟雨が襲ってくるかも知れないと思いました。どうするかしばし迷ったのですが、雨に濡れた後の撤収では大変なので、とにかくメインイベントのバーベキューも済んだので、テントを撤収しようということにし、その作業に取り掛かりました。倅がリヤカーを取りに行く間、テントを畳むのはジサマの役目となりました。孫たちにも手伝って貰って、リヤカーに荷物を積み終えたころには、ポツリポツリと雨の粒が落ちてきました。どうやら予感は的中したようでした。大急ぎで車に戻り、荷物を運び終わった頃に雨は路面を濡らすほどとなりました。間一髪セーフでした。しかしそその後大雨にはならず、ざっと降って収まったのは幸運でした。運転手は二人ともアルコールが入っているので、直ぐに出発するわけには行きません。しばらく皆で昼寝をすることにしました。それから2時間ほどよく眠って、目覚めると爽やかな風の吹く天気となっていました。秋の気配が感ぜられました。マツムシ草が咲くのは、この地がやはりそういう季節になっているのだなと改めて感じた次第です。

今夜ここに、このまま泊まっても、何の迷惑を掛けることも無いのになと思いながら、17時少し前キャンプ場に別れを告げました。六合の道の駅までの道中は、ゆっくりと走って周辺の景色や野草などを見ながらの結構楽しい時間でした。17時半、道の駅到着。今夜はここが宿地です。昨日休みだった温泉も開いており、温泉に入りたいという孫たちの要望に応えて、先ずは入浴です。ここの温泉は施設としてはあまり子ども向きとは言えず、どちらかといえばお年寄りの保養施設の感があり、ジサマだらけの風呂に入れるのは如何なものかと心配だったのですが、孫たちはあまりそのようなことには拘(こだわ)らずに入っていたので、ホッとはしましたが、今回以降の入浴は考えものだなと思いました。

温泉から出て、汗が収まる間に調理役のジサマは、そうめんを茹でることにしました。お昼が重かったので、夕食はそうめんあたりで軽く流そうとしたのですが、これが結構好評だったので、作り手としては安堵した次第です。草津の道の駅と違って、六合村の道の駅は泊まりの車は自分たちの他は2台だけでした。温泉の営業時間が終わるまでは車の出入りがありますが、それを過ぎると静かな夜となります。空に星が煌めいていて、孫たちも感動しながらそれを眺めていたようでした。昨日の一夜でなれたのか、今日の日中の疲れが出たのか、寝付くまでに時間は殆ど掛からないようでした。

翌日はもう帰りの日程です。朝方は雨の降る気配はありませんが、雲の多い天気で、夏という感じが少ない涼しさです。朝食のあと、車をバックに記念写真を撮りました。来年もまた来るかい?という問に対して孫たちは前向きの姿勢を示していました。何としても来たいと言わないところが、今回のキャンプの課題なのかなと思いましたが、今回の感想を聞くと、バーベキューが一番気に入ったようです。焚き火で肉や野菜を焼いて食べるというような経験はあまりなかったらしく、それに自分たちが野菜を切ったりしたので、参画感が大きかったようです。次回は一つ歳をとって賢くなってくれることを期待して、ジサマは調理の指示役になって、孫たちに作って欲しいものだなと思いました。

   

 ジサマと一緒の記念写真。六合村の道の駅にて。バサマが同行できなかったのが残念。

8時過ぎ六合村の道の駅を出発して帰途に着きました。途中三つほどの道の駅に立ち寄りながら、我が家に着いたのは、14時半でした。この間孫たちは殆ど眠りの中にいたようです。孫台風は、我が家の中ではその威力を大いに発揮しますが、車で旅に出ると存外おとなしくて、台風からは程遠い白夜の雰囲気もあるなと思いました。たった3日間の小さなキャンプの旅でしたが、いつもとは違った時間を楽しむことができ満足でした。

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1 コメント

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ありがとうございました (次男坊)
2008-08-28 09:28:27
先週は、楽しい夏の思い出をありがとうございました。
誰よりも満足していたのは僕かな?(笑)

また機会をつくって、キャンプを楽しみましょうね。

では。
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