山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

06年 北陸・中四国晩秋の旅(第22日)

2008-12-06 03:04:37 | くるま旅くらしの話

第22日 <12月04日()

道の駅:なかがわ→(R55)→道の駅:日和佐(徳島県美波町)→薬王寺参詣→(R55)→道の駅:宍喰温泉(徳島県海陽町)→道の駅:日和佐→(R11R28・大鳴門橋を渡り淡路島へ)→道の駅:あわじ(兵庫県淡路市)→道の駅:東浦ターミナルパーク(兵庫県淡路市)(泊)   <256km

昨夜のYさんご夫妻との再会の興奮が朝まで持ち越された所為なのか、今日は天気も上々のようだ。風は少し強いけど青空が広がって、残り少なくなった今回の旅の終わりを祝ってくれているような気がした。

今日は前回の四国の旅では通らなかった徳島県南部の海岸線を少しドライブして見たいと思っている。本当は室戸辺りまで行きたのだが、そろそろ帰途につかなければならないので、宍喰の道の駅まで行って、そこにある温泉に入ってから引き返し、淡路島まで渡って泊るという行程を考えている。

那賀川町(今は阿南市)の道の駅から更に南の方に行くのは十何年かぶりだ。つまりは自転車で八十八箇所を巡った時以来である。40分ほど走って日和佐に到着。日和佐にも道の駅があって、何と足湯まで作られていた。直ぐ近くに22番札所の医王山薬王寺がある。巡礼の人たちにはこの足湯は何よりのご接待となるだろうと思った。われわれの方は車で来ているので、足湯を使うのは遠慮した。

車を置いて、薬王寺に参詣する。このお寺も名刹である。吉川英治先生の伝奇小説「鳴門秘帖」の舞台になった所だとか、何やら神秘的な歴史の重さを感じさせられるお寺である。四国に勤務していた30数年前、子供たちを乗せて初日の出を見ようと室戸辺りを目指したのだが、大晦日なので道が混むのではないかと思い、かなり余裕をみて早めに高松を出発したにも拘らず、この薬王寺参詣の車の渋滞が延々と続くのに巻き込まれて、遂に日の出を見ることができなかったのを思い出す。薬王寺には大阪や和歌山からフェリーで来る初詣の車が多いということを知らなかったのは迂闊だった。そのようなことを思い出しながら、しばし境内を散策する。薬王寺の多宝塔は少し派手に見えるが、決して軽薄ではなく重々しい貫禄を持って聳(そび)えていた。

   

四国八十八ヶ所第23番札所、薬王寺の多宝塔。艶やかさの中にも重みがあり、他の古い建物と調和している。

薬王寺の参詣を終えて車に戻り出発。40分ほどで道の駅「宍喰温泉」に到着。途中のR55から見る太平洋の海岸は美しくコバルト色に輝いていた。

      

日和佐近郊の海岸の風景。この辺の太平洋は、コバルトブルーに輝いていて、その昔の海の輝きを思い起こさせてくれる。

日和佐はウミガメの産卵で有名だが、この宍喰辺りまでの海岸線は、多くのウミガメたちのふるさとになっているに違いない。宍喰町も合併して、今は海陽町となっていた。そういえば日和佐も美波町となっていたっけ。夫々海に因んだ名称で悪くは無いなとは思うが、昔がなくなるようで寂しい気がする。道の駅の建物の玄関横に、この町出身のプロゴルファー尾崎将司のモニュメントが作られていた。そういえば彼はここで育ったのだった。このような素晴らしいふるさとを持つ彼は幸せ者だと思う。彼のふるさとは都市化に侵食されることは無く、いつまでも残り続けるに違いない。

駅舎の一部にある入浴施設が宍喰温泉らしい。さっそく入ることにする。料金は400円也。これは又素朴な造りで驚いた。小さな湯船一つで泡が出ているだけの簡単な設備である。正直言って、このレベルで道の駅の名称に温泉を使うのは如何かなと思った。ま、世の中にはこのようなケースもあるのだろう。少しがっかりしたが、外の景色は青い海が輝いていて不満の文句は何も無い。湯から上がって、海の見える駐車場で昼食にする。何しろ昨夜Yさんご夫妻と食べようと作ったおでんが殆ど手付かずで残っている。これからは昼夜兼行でおでんに向わなければならない。その第2回目(今朝もおでんをつついた)である。食べ物には滅多に飽きないというのが拓の習性なので、邦子どのは助かっているはずだ。

一休みの後、来た道を戻って淡路島に向って出発。愈々本格的な帰路に就くことになる。今日は本当によく晴れていて、絶好のドライブ日和である。再度日和佐で小休止して、その後はノンストップで徳島市街を抜け、鳴門へ。淡路島へは高速道ではなく一般道を使って小鳴門橋を渡り、大鳴門橋だけ専用自動車道を使う。そうしないと島へは渡れないので仕方がない。出来る限り自動車専用道は使わないというのが今回の旅の基本的な考え方である。

大鳴門橋を渡る頃は日暮れ近くなってしまった。淡路島には二つの道の駅があるが、今夜は明石海峡大橋の袂(たもと)にある道の駅「あわじ」まで行って泊ろうと思っている。洲本を過ぎる頃は完全に日は暮れて暗くなり、海岸線を走る頃には空に満月近い月が雲間を縫って輝いていた。神戸の方の灯りなのか、都会の照明の集合体らしいものが遠く煌(きら)めいていた。

   

   明石海峡を照らす月。向うに見えるのは神戸の街明かり。

目的の道の駅に着いたのは19時少し前だった。外に出てみるとかなりの強風だ。車が倒れることは無いとしてもこの調子で一晩中吹かれたら、邦子どのは大騒ぎをしてとても寝られたものではないだろう。どうやらこの巨大なコンクリートの建造物のこの辺りは、風が吹きぬける場所になっているようだ。空き地が出来たからといって、まあとんでもない所に道の駅を造ったものだ。確かに景色はいいのだが、やはり生活に使う場所ではないのだろう。昼と夜では大違いの場所なのだなと思った。これではどうしようもないので、来た道を戻ってもう一つの道の駅「東浦ターミナルパーク」へ移動する。

10分ほどで到着。近くだったので、このような時には助かる。この道の駅の駐車場はかなり広いのだが、フェリーの発着所やバスのターミナル、それに近くに高速道のICなどがあって、駐車する車が混んでいることが多い。それで泊るのを敬遠したのだが、この時間になるとその心配は全くなくなっていた。風当りも先ほどのように強くはなく、先ずは安心である。三度目のおでんで一杯やって、今日のドライブは終了。青い海が印象に残るいい日だった。

コメント
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