『天声人語2019秋』より
五輪とテレワーク
いまから37年前のアンケートである。テレビ電話やファクシミリの発達で近い将来、在宅勤務が広がるとみられるが、あなたは望みますか? 週休2日が確保されるのであれば望まない--。そんな答えが40%で最も多かった。
「仕事を家庭に持ち込みたくない」という気持ちの表れだと、当時の新聞にある。通勤地獄を甘受しても、線引きをしたいようだと。一方で、週の半分程度の在宅勤務を希望するという答えも31%あり、期待感もにじんでいた。
時代が進んで、インターネット、パソコン、スマホが現れたが、在宅勤務が劇的に広がったとは言えない。職場以外で仕事をする意味のテレワークに名前が変わり、育児や介護などとの両立にも役立つと、旗が振られる。
首都圏では東京五輪の混雑緩和という役割も担う。いまは1年前の予行演習の時期で、取材先に電話すると「きょうはテレワークで不在です」と言われることもある。五輪の本番ではさらに広がるかもしれない。問題は、その後も持続するかどうかだ。
米ニューヨークで働く人にスニーカーが多いのは、1980年の地下鉄とバスの長期ストがきっかけになったようだ、と以前書いた。長い距離を歩くのを強いられ、疲れにくい靴に履き替えた。五輪だって突破口になる可能性はある。
働き方も家庭のあり方も、どんどん変わっている。「子どもにおかえりを言うために、きょうはテレワークにします」。そんなふうに父たち母たちが、気軽に言えるようになれば。
客を見て取れるだけ……
あこぎな商売をめぐるジョークである。眼鏡店の経営者が新入りの店員を教える。「眼鏡を合わせ終わったら、客が値段を聞くから『10ドル』と言うんだ。そして客の反応に注意してるんだ」。もし客がぴくりともしなかったら「……がフレーム代です。レンズはもう10ドル」と続けて言えと。
それでもまだ客が平然としていたなら、「1枚につき10ドル」と言うのだと(植松黎編・訳『ポケット・ジョーク13』)。客をよく見て、取れるだけ取る。かんぽ生命の営業でも似たようなことがあったようだ。
「ゆるギャラ」。一部の郵便局員が客にそんな呼び名をつけていたと、先日の紙面にあった。契約を取りやすい一人暮らしの高齢者のことで、「半ぼけ」「甘い客」の言い方もあったという。
一人の90代女性が、10年間で54件の保険を契約し、すべて解約するケースもあった。関わった局員は27人に上るというから、詐欺グループを連想してしまう。ノルマの達成手段としてだけ、客を見ていたか。
日本郵政は、全契約者2千万人に対し問題がないかどうか確認を始めるという。総人口の15%にあたる契約者を持つ大きさを改めて思う。巨体ゆえに監視の目が届かなかったか。巨体の隅々まで意識改革はできるのか。
謝罪に追われる全国の現場は以下のジョークに近いかもしれない。セールスマンの上司に対する報告。「2種類の注文しかありませんでしたよ」「それは何だ。 どんな商品だ」「『出ていけ!』と、『失せろ!』の2種類で」
さよなら京
身長2メートル強、根っからの暑がり。同じ体形の864人で膨大な計算をこなし、不平ひとつこぼさない--。スーパーコンピューター「京」である。この夏で引退すると聞き、神戸市の理化学研究所を訪ねた。
私たち研究者に見たことのない眺望をたっぷり見せてくれました」。ねぎらうのは理研顧問の平尾公彦さん(73)。軍事利用が盛んな他国のスパコンと違い、京は民生専門に使われた。町ごと時間ごとの雲の動きを予測し、心臓手術の精度を高めた。
現役生活8年半。地球の全員が休まずに電卓をたたいて17日かかる仕事を1秒でこなす。その驚異的な速度で世界の頂点を2度極めた。「陸上競技にたとえるなら、短距離走も高跳びも幅跳びもこなす。多芸多才な名選手でした」と平尾さん。
逆風にさらされた時期もある。「世界2位ではダメなんですか」。
開発途上の2009年、民主党政権による事業仕分けで予算の一部が凍結され、世界1位の座は絶望的に。科学者らが政府に再考を迫り、辛くも息を吹き返す。完成まぎわには、東日本大震災で部品工場が被災する危機にも遭った。
引退を惜しむ声もあるが、水冷と空冷にかかる費用が膨大で、撤去が決まった。省電力で高性能を発揮するスパコン「富岳」に道を譲る。
京が外部との接続を断っのは今月16日。電源を落とす30日には式典も開かれる。まことに浮き沈みの激しい生涯だったが、不眠不休の働きぶりに深甚なる感謝を捧げたい。長年のお勤め、お疲れ様でした。
香港デモの所作
削巷のデモに終息の気配が見えない。路上を埋め尽くす若者たち・ノ・八情に、5年前、現地駐在の記者として追った「雨傘運動」が重なる。民主化を求めた若者たちが警察の催涙弾に雨傘で立ち向かい、テントを路上に張って2ヵ月半占拠した。
収材当時の印象で言えば、一部に暴力はあったが、参加者たちは意外なほど冷静だった。若者が救護テントや携帯の充電場所を設営し、その親世代が飲み水やマスクを運び入れた。路上の自習テントでは、「短時間でも参加を」と高校生か宿題の数学に取り組んでいた。
現地で取材中の同僚によると、今年も10代、20代の姿が目立つ。
「救急車が来た」と声をかければ、整然と道を空ける。立法会(議会)に突入した日も、「不可破壊」「保護文物」と互いに自制を呼びかけたそうだ。
往来を妨げる空港占拠や、時に報じられる暴力沙汰は、日本から見ていても残念でならない。それでも今のデモでは、5年前に道路網を寸断した長期のテント龍城は姿を消したそうだ。
時間ばかりが費やされ、住民も疲弊した雨傘運動から、香港の人々は教訓を得たのだろう。デモが節度を失えば、たちまち市民の共感を失う。人心が離反すれば、当局がすかさず排除に乗り出す。
「もともと地上には道はない。歩く人が多くなれば、それが道になるのだ」。5年前の運動で横断幕に大書された魯迅の言葉を思い出す。今回のデモも来週には雨傘の79日間を超える。時代に即した街頭行動を模索する試みは続く。
「温室効果ガス」という言葉
地球温暖化、気候変動……。そんな言葉が新聞に載らない日はほとんどないだろう。先日、読者からお便りをいただいた。「温室効果ガス」という言葉に常々、疑問をお持ちだという。「効果」は良い結果の時に使うのではないかと。
なるほど、「悪影響」とは言うが「悪効果」は聞かない。もっと言えば温室も、ぽかぽかした感じで印象は悪くない。英語のグリーンハウス・ガスを訳した言葉のようだが、「気候変動元凶ガス」とでもした方がぴったりくるか。
何げなく使っているが、字面だけ見ると、ちょっと変。そんな言葉について翻訳家の岸本佐知子さんが書いていた。もしも意味を知らずに「赤ん坊」という言葉に出会ったら、何を想像するだろうとエッセー集『ねにもつタイプ』にある。
よくわからないが、たぶん何らかの生き物なのだろう。全身が真っ赤でてらてらしている。入道のように毛のない頭から湯気を立てている……」。夜行性でシヤーツと嗚く、小動物を生で食らう、などと岸本さんの空想はとめどない。
刺身」は、全身をめった刺しにされて、血まみれの状態。「腕っ節」は、腕に木の節穴のようなものが次々にできる病気。一語一語に神経をとぎすます翻訳家ならではの考察なのだろう。それにしても笑える。
ビジネスなどで使われる「差別化」も最初はいやな感じがしたのに、いつのまにか慣れてしまった。習慣の魔力だろうか。文字の姿形をながめつつ、ときには立ち止まってみるのも悪くない。
9.8 知の世界
9.8.1 知の展開
1.知識と意識
①ニーズの多様化
②図書館の活用
③都市と田舎
④市民レベル
2.地域の幸せ
①地域の仕事
②共同体
③地域配達
④幸せの定義
3.社会保障
①一律保障
②環境と安全
③共有意識
④ベーシックインカム
4.共有民主主義
①産業構造
②国境の開放
③国家の機能
④意志の合意
9.8.2 知の利用
1.自立した市民
①自立の条件
①自立の条件
③地域の専門家
④内から世界を表現
2.利用を開発
①グローバルは支援
②利用に格差なし
③利用は所有の1/10
④地域活動を保障
3.グリーン雇用
①皆の道路行政
②コミュニティ雇用
③バーチャルインフラ
④ネット放送
4.高度サービス
①資本からサービス
②サービスで生活
③スタバの価値観
④新しい行政の根幹
9.8.3 知の共有
1.共有のカタチ
①図書館クラウド
・総務省
②クラウドで実体化
③いいとこ取り
④サービスの多様化
2.所有権
①所有はムダ
②ウーバー的業態
③シェアリング
④所有権放棄
3.知の循環
①活性化が目的
②知恵を集約
③行政はインフラ
④サファイア事務局
4.企業の目的
①組織の分化
②理念で目的明示
③コンパクト指向
④企業を加工込む
9.8.4 知の変革
1.知の生活
①互いの状況把握
②生活資本主義
③徹底的に使う
④安全に使う
2.存在の力
①シェアで儲ける
②行動は選択の制約
③生物多様性
④生き抜く力
3.組織から配置
①哲学を先行させる
②カリスマは不用
③配置で生きる
④歴史を変える
4.シェア社会
①ウーバー感覚
②持続可能な教育
③組織論理の破綻
④家庭を変革
9.7 平等をめざす
9.7.1 歴史から見る
1.137億年の物語
①アイスボール
②地中海物語
③破壊と進化
④歴史で見ていく
2.国民国家の自由
①民主主義
②自由の代償
③戦える国
④組織の限界
3.格差拡大
①不平等社会
②国民は依存
③国家の限界
④市民から作る
4.市民主体の社会
①個と超
②配置と循環
③歴史の折り返し
④変革の時代
9.7.2 各自に目的
1.市民を配置
①市民が分化
②全体を考える
③先を見る
④持続可能性
2.パートナーの存在
①外なる世界の接点
②皆を引き込む
③戒律の徹底
④寄り添う
3.内なる世界を確立
①目的をもつ
②基本空間の設定
③近傍系に拡大
④位相空間
4.市民が変わる
①生き残りをかける
②目的に対して平等
③教育・家族・仕事
④平等社会
9.7.3 共有を生かす
1.消費者から生活者
①消費資本主義
②生活者意識
③資本主義の変質
④共有資本主義
2.所有から共有
①共有物を所有
②差別化戦略
③マーケティング
④共有するメリット
3.作るから使う
①作るよろこび
②ICT、AI
③教育インフラ
④組織を超える
4.位相を変える
①コミュニティ支援
②好き嫌い
③個人を生かす
④多くの人の幸せ
9.7.4 平等の条件
1.個々の目的
①国家の目的
・自由
②組織のアプローチ
③個人の目的
・目的が夢になる
④平等の前提
2.目的の組合せ
①目的で基本空間く
②基本空間から反射
③同一目的部分
・範囲の決定
④社会を合わせる
3.多重による平等
①多様な頂点
②新しい配置
③新しい平等の定義
④小さな民主制度
4.女性が主導権
①家庭から解放
②多様な価値観
③新しい社会の責任
④知の世界を獲得
9.6 課題解決
9.6.1 個で構成
1.市民主体
①コミュニティ
②要望と選択
③ソフトインフラ
④電柱と車は地下に
2.コミュニティ融合
①全体をつくり出す
②位相で接続
③循環させる
④超から指令
3.LANとWAN
①下位構造
②上位組合せ
③コミュニティ融合
④外部とつなぐ
4.インフラ再構成
①皆で作るインフラ
②情報共有意識
③駐車場を花壇に
④公共交通
9.6.2 家族制度
1.制度の弊害
①個人として生きる
②未婚率25%
③家事労働
④社会保障単位
2.形態の変化
①家長制度
②核家族
③個人単位
④共依存脱却
3.変化の兆候
①定年後は自炊
②家族での位置
・犬以下
③家族LINE
④衣食住シェア
4.女性の自立
①多様な側面
②家庭の役割
③宗教と家族
④自立する時
9.6.3 教育制度
1.国のための教育
①国が認める
②国は存在しない
③兵士は不用
④自ら考える
2.存在の意識
①学校の必要性
②哲学と数学
③多様性を生かす
④真理を問う教育
3.個が自立
①存在の力
②枠に留める
③教育インフラ
④組織を超える
4.個の自立
①コミュニティ支援
②好き嫌い
③個人を生かす
④多くの人の幸せ
9.6.4 仕事のあり方
1.組織の分化
①インフラの外部化
②多方面展開
③生き残り条件
④正義を追求
2.個の自立を反映
①生き抜く
②風景を変える
③生活に戒律
④本質的な要望
3.マーケティング
①生活者中心
②地域中心
③個人と全体
④変革プロセス
4.シェア社会
①皆で作るインフラ
②プロの役割
③マルシェ志向
④シェアへ移行
9.5 全体を意識
9.5.1 全体を見る
1.内に全体を含む
①内から考える
②ソーシャルツール
③スマートに接続
④組織を取り込む
2.危機意識
①外からインパクト
②思いを発信
③アジテーション
④危機を直視
3.寄り添う
①高度サービス
②地域インフラ
③寄り添う心
④周縁から中核
4.技術を優先的活用
①AI、ICT
②女性主体の経済
③アプリ化
④イノベーション
9.5.2 地域に橋頭堡
1.地域インフラ
①周りを見る
②企業を巻き込む
③アウトリーチ
④組み替え
2.コミュニティ
①要望に対応
②ユニット活動
③社会と融合
④戻ってこれる場所
3.新しい合意
①理念に基づく
②個を生かす
③行動のパーティ
④直接民主制
4.領域拡大
①好き嫌い
②社会は見えていない
③領域を深掘り
④徐々に拡大
9.5.3 全体を取り込む
1.ライブラリ確保
①接点をもつ
②事例展開
③生涯学習
④企業を取り込む
2.意見発信
①意思表示
②コメント文化
・まとめ方
③領域拡大
④行動の単位
3.ネットでつなぐ
①リテラシー
②乃木坂
③核と端の関係
④ランキング
4.影響力を及ぼす
①外の外が狙い
②生活者
③ハブ
④企業の力
9.5.4 全体を動かす
1.課題の明確化
①危機の最終段階
②地域の課題
③全体の課題
④女性の課題
2.全体を使いこなす
①モノつくり脱却
②NPOの役割
③超に働きかけ
④中間が実体
3.超とつながる
①大いなる意思
②分化し、統合
③超えるものを想定
④アジアと共存
4.クライシス対応
①少子高齢化
②社会保障
③破壊と創造
④社会保障制度
9.4 循環させる
9.4.1 機能
1.支援する
①寄り添う
②外から内へ
③パートナー
④ファシリテーター
2.勇気づける
①危機感
②内なる力
③市民が自立
④勇気づける
3.提案する
①企画する
②内から外へ
③循環を規定
④全体を見る
4.作り上げる
①エネルギー源
②企業の位置づけ
③循環を維持
④モノつくり
9.4.2 役割
1.内なる思考
①その場で考える
②近傍
③状況を把握
④意思決定
2.内なる行動
①内なる世界
②環境を意識
③存在の力で動く
④合意して行動
3.外なる思考
①組織をもつ
②全体を考える
③課題を明確にする
④外と内をつなぐ
4.外なる行動
①外なる世界
②目標達成
③意思の力で動く
④武器を用意
9.4.3 思考と行動
1.行動より思考
①内なる世界で完結
②ライフスタイル
③原因と結果
④パラダイム変換
2.最後まで考える
①危機意識をもつ
②全てに興味
③講堂は実験
④地域に反映
3.シミュレーション
①外なる世界
②町つくり
③市民協働
④公共空間のデザイン
4.いつでも戻す
①依存体質から脱却
②地域インフラ
③交通体系
④市民主体
9.4.4 地域と全体
1.地域の充実
①市場バランス
②地域中心の経済
③地域から要求
④支援をうける
2.全体を意識
①やる気と希望
②地域の覚醒
③地域から伝播
④資本主義を超える
3.地域を意識
①核としての地域
②中央からの分配
③端と核をつなぐ
④公共空間
4.共有意識
①先人の夢
②意識の拡大
シェア
④共有の絆
9.3 グローバル化
9.3.1 日本はローカル
1.他国への意識
①追いつき、追い越せ
②工業立国
③ローカルのまま
④独りぼっち
・極東の国
2.モノつくり
①集団的浅慮
②ガラパゴス
③企業任せ
④平和が武器
3.多様な国々
①方向は自主国家
②東欧は地中海指向
③東欧は民族主体
④西欧はバラバラ
4.EUは超国家
①多様な価値観
②EU指令の有効性
③人口減少に移民
④女性のフル活用
9.3.2 日本の選択肢
1.思考停止のまま
①先を考えない
②共有意識の喪失
③共依存のまま
④変化しないリスク
2.モノつくり固執
①意思決定しない
②戦える国
・原爆所有
③少子高齢化
④このまま行く
3.アジアと共に
①極東の国として
②日本海同盟
③アジアの地政学
・中国・インド。
④日中の軸
4.世界の先端
①地域から国を変革
②環境社会を提示
③コミュニティ立国
④アジアモデルを
9.3.3 国を超える
1.国境はない
①移民の存在
②国境なきムスリム
③EUと独仏
④企業に国はない
2.新帝国主義
①米中の争い
②中華思想
③地政学の限界
④ポスト米国中心
3.経済の領域
①GAFA独占
②ニューエコノミー
③北欧の実験国家
④地域から再興
4.超国家
①超国家設立
②国の役割
③自由の保証
④平等の超国家
9.3.4 超国家
1.国は中間の存在
①個と超の間
②価値観吸収
③組合せ自由
④新しい連合
2.EU・地中海
①独仏のEU
②中欧・東欧は対露
③南欧の地中海
④ロシアは北極海
3.インド洋・シナ海
①印・インドネシア
②アフリカは観光立国
③イスラエルは孤立
④中国は分裂
・朝鮮統一
4.アメリカ大陸
①米国は大陸限定
②中米は米国追従
③カリブはキューバ流
④ブラジルは独自
9.2 多様化
9.2.1 国の対応
1.多様な要望
①国は対応不可
・国は上から
②組織の硬直化
③地域で対応
④地域複合型
2.依存する国民
①与えられた自由
②国家と一体化
・片思い
③依存に値しない
④先がない
・考えていない
3.行政は画一的
①あやまった平等
②多様な要望
③多様な対応は不可
④民族としての甘え
・日本の場合
4.国の規模
①集中のデメリット
②分配から考える
・見える範囲
③大きすぎる
・500万人規模
④国は企業に依存
9.2.2 企業の対応
1.モノつくり
①創造力
②作る目的
③自己満足
④大量生産
2.インフラ只乗り
①メディア
②物流
③利用パターン
④共有領域
3.GAFA独占
①チーム集合型
・機能提供
②知の時代
③群集心理
④全てを手にする
4.使うことで変わる
①サービスが主
②小さな循環
③個が発信源
・アイデア
④事務局の存在
9.2.3 地域の対応
1.多様性を生かす
①フライブルグ市
・町単位
②参加型コミューン
③公共図書館
④分散アプローチ
2.市民をつなぐ
①コミュニティ
②ユニット活動
③地域の方向
④国家と対で連携
3.未来への実験
①様々な実験
②公民学連携
③ピッツバーグ市
・デトロイト比較
④コンパクト性
4.共有意識
①お互いを知る
②ソーシャル活用
③目的に向かう
④地域インフラ
9.2.4 個の力
1.市民の力
①クライシス対応
②個の意識
③生活者の意識
④配置されている
2.多様な活動
①自律分散
②高度サービス
・自分のアイデア
③マーケティング
④行政を活用
3.好き嫌いで分化
①自分の分野
②各自が専門家
③グリーン雇用
④新しい行政と協働
4.民主主義を超える
①国にできること
②最小単位
③周縁から配置
③周縁から配置
9.1 課題
9.1.1 組織
1.不平等問題
①誰の問題?
②何が問題?
③自由との関係
④個人と国家
2.富の偏在
①自由とトレードオフ
②歪みは存在する
③格差なき社会
・ユートピアではない
④組織での問題
2.富の偏在
①決められた空間
②歪みは存在する
③個人の幸せ
④組織でない世界
4.自由と平等
①個人の生き方
②自由に生きる
③目的を持つ
④目的に平等
9.1.2 地球温暖化
1.問題は何?
①CO2増加で温暖化
②温暖化でCO2増加
③結果が原因
④有限に対する認識
2.歴史から見る
①137億年の今
②アイスボール
・温暖化で脱却
③人間という要素
④循環で見ていく
3.国の対応
①思考停止状態
②集中の弊害
③地球規模の発想
④国レベルで対応不可
4.人類への課題
①有限への対応
②エネルギー問題
③食糧問題
④循環のシナリオ
9.1.3 循環していない
1.一方通行
①リサイクル
・まやかし
②戻らない仕組み
③発生源に戻せ
・エントロピー
④シェア発想
・身近な循環
2.廃棄物
①埋めるか、燃やす
②後進国に送る
・太平洋に捨てる
③廃棄物は儲かる
④所有の放棄
3.生活者
①生き抜く意識
②生活者から再構成
③下流から循環
④シェアする
4.高齢者
①老人のアナロジー
②居なくなるだけ
③人生の静脈系
④人類の循環
9.1.4 集中
1.集中は効率的
①中央集権国家
②効率により余剰
・日清・日露
③分配が前提
・組織の論理
④リスクの集中化
・国債
2.分配は非効率
①断面の効率追求
・原発
②分配より分散
③ソフトエネルギー
④シェールは環境破壊
3.多様化に対応
①地域で選択
②生活者に対応
③小さな循環
④地域の意識
4.地域に分散
①地域の分化
②コミュニティ
③行政と市民の融合
④シェアで主導権
『インターネット動画メディア論』より 動画メディアの未来
コンテンツとしてのテレビ番組はまだ見られている
2009年2月、当時アメリカNBCユニバーサルのJeff Zuckerは、「テレビ放送は大変な変化期に見舞われている。もし、今、その収益構造(ビジネスモデル)を変えようと試みなければ、新聞業界のようになってしまう恐れがある」と述べたという。
それから10年、アメリカでは、まだ、テレビ番組は見られている。アメリカ人が平均5時間の動画を視聴するうちの大半(4時間強)はテレビ番組であるといわれる。第4章で述べたように、Netflixは映画とテレビ番組が主力コンテンツである。また、第5章で述べたように、YouTubeでもテレビ番組はよく見られている。 Alyssa Fisher とLouisa Haの調査によれば、回答者の83.7%は、以前放送されたテレビ番組を週に数回は視聴しているという。視聴者はまだテレビで見逃した番組や過去の番組を見るためにインターネットを利用している。このことは、伝送路は放送波から通信回線へと代わり、テレビ局のビジネスモデルは激変しつつあるといえども、プロフェッショナルが制作した映像コンテンツには、現時点でなお競争力を有していることを示すと考えられる。
こうした状況下で、テレビ局や新聞社も変貌を試み、インターネットでの配信をおこなおうとしてはいる。しかし、テレビ局や新聞社がインターネットサイトを展開しても、そこでは、放送や出版におけるほどの広告収入は得られていない。特に新聞や雑誌にとっては、紙媒体での広告収入の落ち込みを、インターネットサイトでの広告収入で補うことができるかどうかの見通しはたっていないのが現状である。
インターネット動画メディアでは、ロングテールの概念が示すとおり、視聴者の好みが限りなく細分化され、ほんの僅かなコンテンツが膨大な視聴者を集める一方、その他の大多数のコンテンツはごく僅かな視聴者しか得ることができない。このことは、特にテレビのように数百万人から数千万人という視聴者の規模の大きさが広告出稿の前提であったメディアの事業構造とは相いれない事態といえる。したがって、伝送路を放送波からインターネットの通信回線に置き換え、従来の広告モデルのまま展開しただけでは、従来の規模の収益は得られない可能性がある。
また、インターネットでテレビ番組を配信した時に、インターネット動画メディアのプラットフォームに匹敵するほどの利便性を提供できなければ、多くの視聴者を得られないと考えられる。