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てらまち・ねっと



 安倍政権の「解雇特区」構想に批判が集中していた。
 9月20日の「産業競争力会議課題別会合」でのあいさつで、安倍氏は、次のように述べていた。
  ★「・・・臨時国会に関連法案を提出。国家戦略特区は規制改革の突破口。
   経済成長の起爆剤となる国家的なプロジェクトを実施するため、世界から注目されるような画期的な規制改革を緊急に実現」

    ※(関連) 2013年10月1日ブログ ⇒ ◆「解雇特区」の名称は 「雇用特区」/今年の臨時国会に法案提出予定で進む安倍内閣

 安倍首相は16日の衆院本会議の答弁で、雇用を含めた戦略特区を一気に進めたいとする強い思いを表わした。
 その際も、
★「必要な法案を11月中旬にも閣議決定し、臨時国会に提出する予定、雇用特区を含めた戦略特区を進められるかが、その試金石」(産経ビズ)
と報道されていた。

  ★「首相は国会答弁で雇用を含めた戦略特区の実現に改めて意欲を示すとともに、戦略特区をめぐる関係閣僚との16日の協議でも、『雇用特区』を導入する方針を確認」(産経)とも報道されていた。

 ところが、その直後から、「見送り方針」との報道がされた。

 10月17日の読売。
 ★焦点となっていた「解雇ルール」など、検討してきた雇用に関する全3項目を見送る方針を固めた。

 10月19日の朝日も、「二転三転。当初の『解雇特区』は事実上、見送り」と報道
している。
 しかし同時に次のことを報じている。

 ★一方、有期契約は全国規模で見直しを始める。5年超で無期転換権が発生するのを延長。例えば、2020年の東京五輪のプロジェクトに向け、通算で5年超雇われた人でも権利が発生しない。企業は雇い止めができない無期転換への警戒感も強いからだ。
 5年ルールは今年4月に始まったばかりだが、厚労省が特区内外でルールに差はつけられないとするなか、全国一律での見直し案が浮上。厚労省幹部は「ギリギリの選択だった」と振り返った。


 つまり、厚労省が「特区内外でルールに差はつけられない」と強く解雇特区に反対したことで断念せざるを得なかった、その逆手を取ってか、「5年超で無期転換権」という企業に不利な新しい制度を「全国一律」で見直す案を検討するらしい。

    ★(関連) 厚生労働省のWe⇒ 労働契約法が改正され、有期労働契約の適正な利用のためのルールが整備されました

 どこまでも企業優先、強者優先の安倍政権の原点に、何も変わりはない。

 しかも、安倍氏本人は「ブチあげ」て、「後ですっと引く」ことで、国民の側を少しずつ慣れさせて、いつのまにか違和感すら感じなくなっているようにしようという作戦と思える。

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 上記10月1日ブログでの 「朝日・紙版 2013年9月30日から」 を再掲


●安倍首相、国会答弁で強調 「戦略特区は雇用拡大目指す」
    産経ビズ 2013.10.17
 安倍晋三首相は16日の衆院本会議で、国家戦略特区構想の中で、雇用特区が解雇を簡単に行えるといった批判があることに対し、「解雇特区といったレッテル張りは事実誤認で、不適切だ」と語った。首相の所信表明演説に対する民主党の海江田万里代表の質問に答えた。

 安倍首相は「政権の基本方針は成熟産業から成長産業への失業なき円滑な人材移動」と述べ、雇用改革の必要性を説明した。雇用ルールを明確にすることで、企業が若者や女性の雇用を増やし「戦略特区は雇用拡大を目指す」と強調した。

 戦略特区構想では、雇用特区が最大の焦点になっている。特区制度を検討する政府の有識者会議「国家戦略特区ワーキンググループ(座長・八田達夫阪大招聘教授)」では、経営側と労働者が事前に契約をかわし、条件や手続きを明確にすれば、解雇しやすくなるというルールや、有期雇用5年を超えた人が無期契約になる権利をなくすといった制度の導入を目指している。外国企業の誘致やベンチャー企業の設立をしやすくする狙いだ。

 これに対し、解雇しやすいことが前面に出てくることで、「解雇特区、ブラック企業特区につながる」といった指摘もある。連合の古賀伸明会長も「ルール違反」と表明するなど、労働組合側も強く反対する。労働行政を所管する厚生労働省からも抵抗が大きく、政府内でも方針一本化はできていない。

 そういった中での安倍首相の国会答弁は、雇用を含めた戦略特区を一気に進めたいとする強い思いの表れだ。必要な法案を11月中旬にも閣議決定し、臨時国会に提出する予定だが、成長戦略で、実行力が重要とする安倍政権にとって、雇用特区を含めた戦略特区を進められるかが、その試金石になりそうだ。

●首相反論、「解雇特区」は事実誤認 衆院代表質問
      産経 2013.10.17
 首相は国会答弁で雇用を含めた戦略特区の実現に改めて意欲を示すとともに、戦略特区をめぐる関係閣僚との16日の協議でも、「雇用特区」を導入する方針を確認した。ただ、厚生労働省は「労働関連の規制緩和は特区にはなじまない」として、労使で解雇ルールを明確にしておく規制緩和には強く反対しており、当初案通りの導入は難しくなっている。

 政府は関連法案を11月中旬にも閣議決定し、臨時国会に提出する予定で、特区の詳細について厚労省との最終的な調整を急ぐ。

●雇用規制緩和特区、断念へ…厚労省の反発に配慮
      (2013年10月17日03時22分 読売新聞)
 政府は16日、成長戦略の柱に位置づける「国家戦略特区」で導入する規制緩和について、焦点となっていた「解雇ルール」など、検討してきた雇用に関する全3項目を見送る方針を固めた。

 安倍首相は16日、首相官邸で菅官房長官、甘利経済再生相、新藤総務相と協議し、こうした方針を大筋で了承し、詳細を詰めるよう指示した。

 地域を限定して大胆に規制緩和を進める「国家戦略特区」での緩和項目を巡っては、政府の国家戦略特区ワーキンググループが選定作業を進めてきた。

 雇用については、外国企業や新興企業が進出しやすくすることを目的に、〈1〉労働者と経営者間で解雇の条件を事前に契約書面で決める「解雇ルールの明確化」〈2〉有期契約で5年超働いた労働者が本来、無期契約を結べる権利をあらかじめ放棄できる「有期雇用の特例」〈3〉一定水準以上の収入がある人の残業代をゼロにできる「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入を視野に入れた「労働時間ルールの特例」――を提案した。

 いずれも労働者の権利保護を掲げた労働契約法などを根本から覆す内容で、厚生労働省は「労働規制は全国一律でなければ企業競争に不公平が生じる」などと反発してきた。
野党からも「解雇特区」などとして、臨時国会で政府に対する攻撃材料にしようとする動きが強まっていた。

●解雇特区、事実上見送り 政府内も対立、二転三転
           朝日10月19日 
 【山本知弘、清井聡】安倍政権が成長戦略の柱の一つとする「国家戦略特区」の規制緩和メニューが18日、決まった。
 焦点の「解雇ルールの明確化」は緩和色が大きく後退。解雇トラブルの事例をまとめた「雇用契約の指針」を政府がつくり、企業に助言する案に落ち着いた。政府内の意見対立もあって特区案は二転三転。当初の「解雇特区」は事実上、見送りになった。

トピックス「解雇特区」
 「特区全体の評価は90点。雇用は82、83点と思っている」。18日夕に会見した特区ワーキンググループ(WG)の八田達夫座長(阪大招聘(しょうへい)教授)は焦点の雇用で合格点をつけた。とはいえ、日本経済再生本部(本部長・安倍晋三首相)が決めた雇用の特区案は、当初のWG案から大きく変わった。

 当初案は(1)解雇ルール(2)労働時間法制(3)有期雇用制度の3点を見直し対象とした。外国企業の誘致などに「不便な規制」を外すためで、安倍首相も「実現に向けて検討を」と指示した。

 しかし、田村憲久・厚生労働相が「憲法上、特区内外で労働規制に差をつけられない」と慎重姿勢を崩さなかった。WGは作業の遅れから(2)の労働時間を特区構想から外した。

 焦点の「解雇ルールの明確化」も変わった。当初案では、特区で定めた指針に合えば、労使の契約が裁判官の判断を縛ることにしていた。だが結局、政府が判例をもとにした「雇用契約の指針」をつくり、個別契約が指針に沿うかを助言することで決着した。

 一方、有期契約は全国規模で見直しを始める。5年超で無期転換権が発生するのを延長。例えば、2020年の東京五輪のプロジェクトに向け、通算で5年超雇われた人でも権利が発生しない。企業は雇い止めができない無期転換への警戒感も強いからだ。

 5年ルールは今年4月に始まったばかりだが、厚労省が特区内外でルールに差はつけられないとするなか、全国一律での見直し案が浮上。厚労省幹部は「ギリギリの選択だった」と振り返った。


●解雇の規制緩和見送り 国家戦略特区で政府方針
           東京 2013年10月18日
 政府は十七日、地域限定で規制を緩和する「国家戦略特区」で、解雇の条件や手続きを明確化し、従業員を解雇しやすくする制度の導入を見送る方針を固めた。厚生労働省が「雇用ルールを特区だけで変えるべきではない」と反対し、野党や労働組合が「解雇特区だ」と反発したことなどに配慮した。

 一方、外資系やベンチャー企業向けに、雇用ルールの相談に応じる組織を特区内で整備する。解雇などのルールが分かりにくいとの指摘があり、相談体制の整備で進出を促す。

 政府の国家戦略特区の作業部会は、解雇条件の明確化などを求める「労働特区」を提案していた。解雇規制の緩和見送りが固まったことで、難航した「労働特区」は決着。当初案より大幅に縮小することになった。

 労働特区では相談体制充実のほか、解雇紛争の判例を分かりやすくまとめた事例集を作り、企業に情報提供することで紛争防止に役立てる仕組みを導入する。

●【暮らし】「雇い止め」着地点どこに 改正労働契約法施行から半年(上)
           中日 2013年10月18日
◆ハウス食品元嘱託社員ら、雇用継続求め団交
 ハウス食品に雇われ、全国のスーパーなどで商品の陳列や補充を担う「店舗フォロー業務」に携わってきた嘱託社員八十九人が、営業体制の改革のために九月末で一斉に雇い止めとなった。一部の人は「ハウス食品ユニオン」を結成し、今年四月に施行された改正労働契約法を盾に同社と団体交渉を続けているが、双方の主張は平行線のまま。リストラの調整弁になるリスクを負いながら働く、非正規労働者の問題を二回に分けて考える。

 「雇用を守るのは正社員だけなんですね」

 「私たちは弱い立場。それでも社員と一緒に二十年も仕事をやってきました。一斉の解雇ではなく、もう少し大事にすべきじゃないですか」

 九月下旬、東京都内にあるホテルの会議室で開かれた団体交渉。これまで長期にわたり、反復更新されてきた雇用継続を求め、嘱託社員の女性らの訴えが響いた。

 店舗フォローは、主に量販店に特化した限定職種。商品販売スペースの確保など来店者の視点を生かした販売促進を担う。ハウス食品は、十月からの持ち株会社体制移行に伴い、営業体制を大幅に変革。通信販売の増加など、顧客の買い場の多様化に対応した営業活動をするため、店舗フォローの外部委託を決めた。

 嘱託社員に「最終の雇用契約」が告げられたのは半年前の三月下旬。委託先へ再就職後の一年間は給与などの待遇を維持するとし、その後は個人事業主として働くことに。安定収入が見込めなくなるため、二十人が「一方的な切り捨ては不当」と、四月に労組を結成し、従来と同条件での雇用継続を求めて、団体交渉を続けてきた。

 これに対し、社側は「九月末で、この嘱託の仕事はなくなる。それ以外の解決策を」と繰り返した。結局、契約終了に伴う金銭補償や、委託会社での仕事の待遇についての話は、計八回の団交でほとんど進まず、雇用について「ゼロか百か」の議論は、ついにかみ合わなかった。

 「皆それぞれ家庭の事情を抱えている。個人事業主になるなんて、とても対応できない」。勤務二十三年の女性(50)は、不安を募らす。住宅ローンを抱えた男性や、大学受験を控えた子のいる母子家庭も。嘱託社員の相談を受け、団交を支援している派遣ユニオン(東京)の関根秀一郎書記長は、「雇用継続は全く検討されず、事実上の団交拒否だ」と非難する。

 ハウス食品は、嘱託での雇用継続ができない代わり、契約終了後の激変緩和策を提示。当初、委託先への再就職後の待遇を一年間維持するとしていたが、二年間に延長した。委託先への再就職を希望しない場合でも、規定の退職慰労金を積み増して対応する方針。だが、雇用継続をめぐっては両者の溝は深いままだ。

◆“合理的理由”めぐり対立
 雇用継続を求める労組側は、改正労働契約法の一九条で認める労働者の権利を主張。有期契約を反復更新している場合、使用者は合理的な理由なく雇い止めができないと、規定されているからだ。

 しかし、ハウス食品は「嘱託社員の契約終了は、商品の販売環境の変化に対応するための、新たな営業体制の構築によるもの。単なる期間満了による雇い止めではない」と反論する。十分な合理性があり、法には抵触しないという考えだ。

 同法は雇い止めの理由について、「社会通念上相当である」ことを求めているだけで、具体的な判断の規定そのものはあいまいになっている。

 さらに、こうした論点を法的に集団で争うことの課題もある。企業の労働法務に携わる弁護士は、「雇用の継続を求める訴訟では、労働者の契約実態について、それぞれ個別に判断するため、対象者の多い今回の事例では、現実的ではない」と指摘する。お金と時間と労力をかけて個人で裁判するほど、元嘱託社員たちの生活に余裕はない。

     ◇
 袋小路に入って追い詰められる非正規労働者たち。その背景にどんな要因があるのか、より良い選択肢はないのかを、次回(二十五日付)考える。
 (林勝)

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