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てらまち・ねっと



 アメリカは「オバマケア」と呼ばれる医療保険制度改革の問題で、共和党の強硬な反対が続き、予算が通らないことで政府機関が止まり始めている。
 日本は「皆保険」でみんなが保険に入り、国が医療費など相当程度を負担しているので理解しにくい節もあるけどが、アメリカは一律な制度がなく自由、だから、特に低所得者は医療を受けられないことにもなる。
 高額な医療費が必要な場合、困難が生じる。
 オバマ大統領は、加入率を向上させる制度改革を実行中。

 (ウィキペディア)「予算案不成立と政府閉鎖 / オバマケアの2014年実施に関して、共和党が多数を占める下院は1年延期をする予算案を可決したが、民主党が多数を占める上院が予定通りの実施を求める予算案を可決したため、予算案が2013年9月に不成立となることが決定し、同年10月から17年ぶりに政府閉鎖が発生している。」

 ともかく、今後どうなっていくか、少し調べてみた。

 ネットでは、「イランラジオ」の記事が面白かった。例えば、

  ★「・・とはいえ、アメリカ政府の今の問題は、今年の10月17日に起こる可能性のある出来事に比べると、それほど大きなものではありません。
   この日、アメリカ政府の債務は上限に達する見込みで、もし政府と議会がその上限の引き上げに関して合意しなければ、アメリカでは、メディアの言葉通り、「財政の終焉」を迎えることになるでしょう。」

  ★「・・言い換えれば、予算とオバマケアと呼ばれる医療保険制度改革の間には一種のスパイラルが起きており、どの政党も、最初の一歩を引っ込めるつもりはないようです。こうした中、時間が経過すればするほど、共和党には不利になっているようです。」

  ★「ここ数日に行われた世論調査によれば、アメリカ人の大部分が共和党が現在の危機を引き起こしたと見ています。
   彼らは、ティーパーティーの強硬派は、自らの政治的な目的に達するためにアメリカの予算問題を利用しているとしています。」

  ★「時計の針は財政の終焉に向かって刻一刻と進んでいるのです。」


 具体的に、今後の流れをひにちょ追って見せているのがロイター。
 ★ 「シナリオ:米国初のデフォルトはどう起こるか」

 ティーパーティーが共和党を強硬化させて、アメリカや世界の大混乱に至り得る政治状況を生み出しているという状況。
 ブログに記録しておいた。
 なお、ロイターは日本についても警告している。
 「ねじれ」で混乱するアメリカ、ねじれの解消した日本、「それでも、警告される日本」というべき。

 コラム:日本にも債務上限や歳出強制削減の条項新設を
              コラム:米混乱が招く安倍相場の「逆回転リスク」

  「膨張する歳出に歯止めをかける点は「野放し」状態になっていると言っていいだろう。
   このままでは仮に消費税率を10%に引き上げても、債務の累増問題を解決できない危機に直面する。米国のような債務上限の設定や歳出を強制的にカットできる条項を設定すべきだ。
  私には、米国債のデフォルト回避に向けて議論している米国の方が、無制限の債務膨張を止められない日本よりも、ずっと健全であると映る。


 どこで妥協点を見出すか。
 
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● 経済破綻寸前のアメリカ
            イランラジオ-2013/09/30 2013/09/30(月曜) アボルファトフ解説員

世界最大の経済大国アメリカの政府が、財政破綻を宣言する寸前の状態にあります。この短い時間の中で、共和党と民主党が合意に至らなければ、明日10月1日火曜の未明に、アメリカ政府は事実上財政破綻することになります。

アメリカ連邦政府が機能しなくなることにより、およそ200万人の政府職員が失業することになります。アメリカ財務省の支払いの停止は、アメリカを財政破綻国のグループに転落させることになるでしょう。もっとも、アメリカが財政破綻するのは今回が初めてのことではありません。17年前にも、アメリカ政府は予算を確保できなかったことから、およそ2週間にわたり破綻した状態にありました。この出来事は最終的に、アメリカ共和党と民主党が譲歩しあったことで収束しましたが、アメリカ経済の慢性病は、依然として尾を引いています。

アメリカの大手証券会社リーマン・ブラザーズが経営破たんした5年前から、アメリカでは依然として破綻の流れが続いており、日々悪化の一途を辿っています。
2007年に経済危機が始まった時点では、経営破たんは財政運営を誤ったいくつかの金融機関に限られるだろうと思われました。しかし、リーマン・ブラザーズ社が数千億ドルもの巨額の資産を保有しながら破綻に追い込まれたときから、アメリカの金融の基盤が揺らぎ始めています。

この状態は、急速にゼネラル・モーターズ社や、連邦住宅会社ファニーメイなどの大手企業や金融機関にまで広がりました。アメリカ政府はここで、国の金融体制の崩壊や経済的な混乱を阻止するべく行動を起こし、破綻しつつある企業に数千億ドルに上る財政支援を行いました。この措置により、危機的状況は緩和され、2011年には経済不況に歯止めがかかる兆しが見え始めました。しかし、民間企業やそれに準ずる企業の財政難が解決されたにもかかわらず、さらに大きな問題、即ち政府系機関の資金不足が浮き彫りになりました。

2010年までの10年間に、アメリカ政府が資金の投入により財政危機に陥っている政府機関を早急に支援できていれば、その後の10年間である現在、危機に巻き込まれることはなかったはずです。この期間には、経済破綻がドミノ式にアメリカの複数の都市を襲い、アメリカの自動車産業の中心地であるデトロイト市までが、経営破たんに追い込まれました。

現在、アメリカ政府のみならず、アメリカ国債を購入している数十の政府も、危機に直面しています。およそ2兆ドルに上るアメリカ国債の大半を保有しているのは、中国、日本、EU、そして産油国です。

 アメリカ政府は、年間数千億ドルを債権者に支払っていますが、明日1日火曜未明から、アメリカ財務省が収支を決済できなかった場合には、アメリカ政府と親しい他国の財政も危機に陥ることになります。
このため、アメリカ政府内の金融危機は、急速に地理的な国境を越えて、ヨーロッパやアジア、アフリカ、南米諸国の市場にまで波及すると考えられます。
数ヶ月前にアメリカが財政の崖に追い詰められていた時期には、アメリカの信用度は信用度格付け会社スタンダード・プアーズにより、格下げされていました。この問題は、アメリカを初めとする世界経済に数十億ドルもの損害を及ぼしています。このため、アメリカ政府の資金の循環が数日間停止した場合には、どれほど大きな打撃を被るかは想像に難くありません。

しかし、たとえ土壇場で共和党と民主党が妥協したにせよ、問題が永久的に解決されるわけではありません。言い換えれば、数ヵ月後再び年間予算編成のため、或いはアメリカ国債の限度額の引き上げのために議論が再燃する可能性がある、ということです。
これを回避するには、来年予定されている中間選挙でアメリカ下院が共和党の勢力から逃れ、アメリカで民主党による一極支配を成立させるしか、方法は残されていないのです。

●【日経平均】アメリカの財政問題不安が重苦しく304円安
    財経 2013年9月30日

●株価 米財政問題で値下がり
               NHK 10月4日

● アメリカ大統領と議会指導部の協議
            イランラジオ-2013/10/03   アボルファトフ解説員
 アメリカ連邦政府の閉鎖から2日が経過しましたが、同国の政府関係者は、予算問題に関して解決策を見出すことができていません。

ホワイトハウスではアメリカの大統領と、議会の指導部の合同会議が行われましたが、双方は自らの立場を譲らないと述べました。
同時に共和党と民主党は互いに、相手側が連邦政府の閉鎖を引き起こしたと非難しました。

とはいえ、アメリカ政府の今の問題は、今年の10月17日に起こる可能性のある出来事に比べると、それほど大きなものではありません。
この日、アメリカ政府の債務は上限に達する見込みで、もし政府と議会がその上限の引き上げに関して合意しなければ、アメリカでは、メディアの言葉通り、「財政の終焉」を迎えることになるでしょう。

アメリカが国内外の債権者に債務を支払うことができないという問題は、世界中の金融市場を沈める可能性のある致命的な津波を引き起こすでしょう。こうした中、アメリカ連邦政府の閉鎖から2日がたっても、共和党と民主党の間で合意が生み出される見込みはまったくありません。


共和党と民主党の対立が同様の状況を引き起こした17年前、連邦政府の活動は3週間近く停止されました。現在も、こうした状況が続けば、数十万人の政府職員の財政に深刻な打撃を与えるほか、政府の債務上限の引き上げに向けた時間がなくなり、アメリカの財政の終焉という悪夢が現実のものとなるでしょう。

現在、アメリカの官僚体制と財政の安定の前に横たわる脅威のどれ一つとして、共和党と民主党を妥協させることができていません。共和党は、医療保険制度改革の実施を延期することを条件に予算案の通過に合意するとしている一方、民主党は、最初に予算を通過させてから、この問題に関して協議するとしています。

言い換えれば、予算と、オバマケアと呼ばれる医療保険制度改革の間には一種のスパイラルが起きており、どの政党も、最初の一歩を引っ込めるつもりはないようです。こうした中、時間が経過すればするほど、共和党には不利になっているようです。

ここ数日に行われた世論調査によれば、アメリカ人の大部分が共和党が現在の危機を引き起こしたと見ています。
彼らは、ティーパーティーの強硬派は、自らの政治的な目的に達するためにアメリカの予算問題を利用しているとしています。


一部の予想では、もし共和党の穏健派が、現在の政治的な行き詰まりを打開するために議会の民主党に同調すれば、この政党は内乱、さらには分離に直面するだろうとされています。

これにより、共和党のベイナー下院議長は議会の穏健派の支持を受けることができるにもかかわらず、なかなか政府、民主党に歩み寄ろうとしていません。こうした遅延が続いている中で、時計の針は財政の終焉に向かって刻一刻と進んでいるのです。

●コラム:日本にも債務上限や歳出強制削減の条項新設を
           ロイター 2013年 10月 3日
[東京 3日 ロイター] - 安倍晋三首相が来年4月からの消費税率引き上げを1日に決断し、歳入の増加は図られるものの、膨張する歳出に歯止めをかける点は「野放し」状態になっていると言っていいだろう。

このままでは仮に消費税率を10%に引き上げても、債務の累増問題を解決できない危機に直面する。米国のような債務上限の設定や歳出を強制的にカットできる条項を設定すべきだ。私には、米国債のデフォルト回避に向けて議論している米国の方が、無制限の債務膨張を止められない日本よりも、ずっと健全であると映る。


<消費増税分を社会保障に充てるとの理念、急速に後退へ>
8%に消費税を上げることで、2014年度は前年度比8.1兆円の増収が見込まれている。ただ、5兆円規模の経済対策を実行するために、結果的には収支改善は3兆円前後に圧縮される。

15年度に景気刺激策を打たなければ8.1兆円の増収効果がフルに効くので、15年度にプライマリーバランスを10年度比で半減させるという中期財政計画の目標は何とか達成可能と政府サイドはみているのだろう。

ただ、2014年度概算要求をみていると、適切な歳出のコントロールが今の政府にできるのか、極めて疑問が残る展開となっている。要求総額は99兆2500億円と過去最大となり、国債費を除いた政策的経費の要求総額は73兆9707億円で、前年度予算に比べ3兆6000億円超も上回った。

与党の中には、消費増税で歳入が膨らむことを当て込み、14年度の予算編成ではかなりの予算額が獲得できると目論む声が広がっているようだ。増大する社会保障関連費に消費増税部分を充てるという理念が、急速にかき消されつつあるように感じる。
     ・・以下、続編・・

●オバマ大統領、政府機関の一部業務再開に向けた共和党の法案拒否へ
          ロイター 2013年 10月 5日
[ワシントン 4日 ロイター] -オバマ米大統領は、予算案が不成立となったことを受け閉鎖されている一部の政府機関の特定の業務再開に向けた共和党の歳出予算案を拒否する。ホワイトハウスが4日、声明で明らかにした。
ホワイトハウスは声明で「非常に限定的な業務のみを再開させる部分的な2014年度の歳出予算案の下院通過にオバマ政権は強く反対している」と表明。
そのうえで「歳出予算案をこのような形で検討することは、米政府を運営するにあたり真剣で責任のある方法ではない」とした。

●シナリオ:米国初のデフォルトはどう起こるか
   ロイター 2013年 10月 4日 18:22
[ワシントン 4日 ロイター] - 米議会が債務上限引き上げで合意しなければ、米債務は17日にも16兆7000億ドルの上限に到達する見通し。
財務省の日々の収支がどうなるのか正確には分からないため、デフォルト(債務不履行)がいつ、どのように発生するのか予測するのは難しい。

しかし、財務省の過去の同時期の銀行との取引明細書を見れば、今後どのぐらいのペースで資金が枯渇していくのか推測することは可能。以下、財務省の2012年10─11月の取引明細書を基にデフォルト前後に予想される展開をまとめた。

<10月17日>

財務省は借り入れを上限以下に抑えるための手段を使い果たし、債券の新規発行が一切できなくなる。
この日は67億5000万ドルの税収が見込まれるが、社会保障関連で109億ドルの支出がある。こうした収支の結果、最終的な手元資金は275億ドル程度になる見通しだ。

<10月18─29日>
この時期、財務省の手元資金は急激に減少する。支出1ドルに対して収入70セントとなり、差額を賄うための新規債券発行もできない。

22日には収入が支出を35億ドル上回る見通しで、状況は一時的に好転する。ただそれも長くは続かず、24日には再び資金繰りが厳しくなる。財務省はこの日、軍事関連の下請け業者への支払いが18億ドル、メディケア(高齢者医療保険)に基づく医師・病院への支払いが22億ドル、社会保障関連で111億ドルの支払いが見込まれている。これに対して、税収・その他の収入はわずか96億ドルと見込まれる。

この時点で、米債券への信頼感が失われる可能性がある。政府はもはや債券を発行することはできないが、償還を迎えた債券を借り換えることは可能。投資家は毎週、1000億ドルの米債券をキャッシュアウトする機会があるが、再投資を選択することが多い。デフォルトへの警戒感から再投資が敬遠されれば、財務省の資金繰りは一挙に崩壊する。

<10月30日>
デフォルト発生。政府は70億ドルの支払いが履行できない状況に陥る。

財務省は、どの支払いを履行するか選択することはできないとしている。同様の事態に直面した2011年、財務省はすべての支払いを履行するだけの資金を確保するまで支払いを実施しない計画を立てたとされる。

そのような措置を今回もとった場合、学校向けの6億8000万ドル、福祉関連の5億5300万ドル、防衛関連の9億7200万ドルの支払いが履行されないことになる。

政府を主要顧客とする企業が受ける打撃は大きい。

デフォルトが続くに伴い支払い遅延が長期化し、数日間で数十億ドルの経済損失となる。

<10月31日>
今年のハロウィーンは、60億ドルの国債利払い日でもある。
利払いができなければ、米国債投資にはリスクがないという前提が揺らぐ。これまで確実に償還されてきたことから、世界で最も低いレベルに抑えられてきた金利は上昇することがほぼ確実。株式市場は急落し、消費者の財布のひもは固くなり、景気は一段と悪化する。

この日から財務省は厳しい決断を下し始めることになる。中国の債券保有者に支払うか、それともアフガニスタンに駐留する軍に資金を提供するのか。オバマ政権は優先順位は付けられないとしているが、アナリストは、政権が少なくとも優先順位付けを試みるとみている。

この分析に協力してくれたシンクタンク、超党派政策センターのアナリスト、ブライアン・コリンズ氏は「期日に利払いできないのは、他の支払いができないことよりも深刻な事態」と指摘した。

<11月1日>
この日をもって、米政府は未踏の領域に入る。

理論上、政府はいつまでも債券保有者が損失を被らない状態にしておくことが可能。利払いをしても余りある税収があり、財務省は他の債務と別のシステムを通じて債券保有者に支払いができるからだ。

ただそれは、債券以外の支払いがより遅れることを意味する。米軍は賃借料を払えず、年金生活者は日々の買い物にも困る可能性がある。

一方、もし財務省がハロウィーンの利払いを履行せず、政権与党と野党の対立が解消されない場合、米国の信用力低下につながる。米ドル、アジアでの銀行融資、イリノイ州の農作物保険コストなど、あらゆる金融商品の価値に疑問符が付く。

財務省は3日に公表した報告書で「デフォルトすれば前代未聞で壊滅的な打撃となる可能性がある」とし、「負の波及効果が世界に広がる可能性がある」と指摘した。

●コラム:米混乱が招く安倍相場の「逆回転リスク」=佐々木融氏
          2013年 10月 4日 18:42
米国の2014年度予算案をめぐる混乱は結局、会計年度末を越え、今月から政府機関の一部閉鎖が始まった。前回の政府機関閉鎖は1995年末から96年1月にまでさかのぼる必要があり、近年ではあまり例がない。

しかし、77年から96年までの間で見ると、政府機関が閉鎖に追い込まれたことは17回もあった。そのうち9回で閉鎖は3日以内に終了しており、短期間で終わることも多かったが、今回のケースでは前回の26日間を越える閉鎖期間となるリスクも想定しておく必要があるかもしれない。

現在の状況に鑑みると、民主党と共和党の予算案をめぐる確執は、政府債務の上限をめぐる問題にも拡がりを見せ、結局は両問題が一緒に協議されることになりそうだ。大雑把に言えば、予算案の紛糾ポイントは医療保険制度改革(オバマケア)に関する支出を認めるかどうかという点だ。これは政府債務の上限を引き上げるべきか否かという問題にもつながってくる。つまり、政府債務の上限が引き上げられるという結果になるまで、政府機関の一部閉鎖が続く可能性も考えられる。

<10月中は予想以上のドル安・円高に要注意>
ルー米財務長官によれば、これまで行なってきた特別措置もいよいよ限界を迎え、10月17日には米国の債務は法律で定められた上限に届いてしまうとの見通しである。ただ、政府機関が一部閉鎖されたことにより歳出が減っているため、債務が上限に到達してしまう日はもう少し先に伸びるかもしれない。

それでも、11月1日には670億ドルの歳出が予定されているため、遅くともその日には債務は上限に到達することは確実だ。それまでに議会が上限を引き上げられなければ、米国債はデフォルトになってしまう可能性が高まる。

つまり、逆に言えば、今回の混乱が本当の大問題につながり、世界の金融資本市場を混乱に陥れるまでは、まだ1カ月弱の余裕があるとも言える。それまで共和党と民主党の意地の張り合いが続いてしまうリスクも想定しておかなければならない。

 このような米国の財政をめぐる混乱はドル安につながる可能性が高い。米国は巨額の経常赤字国であるため、そもそも市場には常に大きなドル売り需要がある。したがって、通常は巨額の投資資金が米国に流入することによってドルは安定するわけだが、今回のような問題が生じると、米国への資本流入が極端に減ることになる。前回、政府債務の上限問題がギリギリまで懸念された11年7月には、上限引き上げ決定(債務上限は8月初に引き上げられた)までの2週間でドルは実効レートベースで2.5%、ドル円は81円台から76円台まで約6%下落した。

また、米政府機関の一時閉鎖は当然、米国の経済成長にとってマイナスとなる。JPモルガンの米国エコノミストは政府機関の閉鎖が1週間続くと、実質国内総生産(GDP)成長率を年率0.12%押し下げると予想している。閉鎖が長引けば長引くほどマイナスインパクトは大きくなり、世界経済にも悪影響を与える。市場のボラティリティ(予想変動率)も上昇する可能性が高く、そうなると世界の投資家は大きなポジションを保有し続けられなくなる。

今、世界の投資家が保有しているポジションで最も大きいのは、恐らくアベノミクスに期待した日本株の買い持ちポジションと、日本の投資家などによる対外投資増加を期待した円の売り持ちポジションだろう。日本が問題の根源ではなくても、世界経済が鈍化し、金融資本市場のボラティリティが上昇してしまえば、世界の投資家はポジションを手仕舞う必要に迫られ、結果的に日本株を売り、円を買い戻さざるを得なくなる。

筆者は米国債がデフォルトに陥る可能性は極めて低いと考えているが、そのギリギリのところまで米国議会における民主党と共和党の対決が続いてしまうリスクは小さくはないと見ている。したがって、それまでの間、つまり10月中はドル円相場が予想以上に大きくドル安・円高方向に振れるリスクを警戒する必要があると考えている。

*佐々木融氏は、JPモルガン・チェース銀行の債券為替調査部長で、マネジング・ディレクター。1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。

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