高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

飛鳥ワインさん訪問

2006-05-04 | 生産者訪問

Dscn1507_1  大有研のイベントの下見で羽曳野にある飛鳥ワインさんを訪問。
 もともと、大阪は葡萄の生産が盛ん。昭和3年には栽培面積が1,000ヘクタールを超えて、山梨県を抜いて全国一位になったこともあります。

 この羽曳野飛鳥とい土は、水はけが良く・温暖で少雨・多照であるなど葡萄栽培に適した環境で、昔から糖度の高い良質の葡萄を実らせて、全国的にも高い評価を受けてきたそうです。

 今での日本で作られるワインのほとんどが食味用のデラウェアなどから作られたものです。飛鳥ワインさんでもこのような品種を使ったものでもワインを作られていますが、シャルドネやカルベネ・ソービニヨンなどの欧州系葡萄でのワイン作りにも取り組まれています。

Dscn1505 苗を接木から育て、1年が経過した状態。良質な葡萄を取るために、一度縦に伸びた茎を切り落として、また短い状態に戻して茎を太くするそうです。一人前の葡萄が実るまで5年程必要で、木の寿命は約50~60年くらいだそうです。この欧州系の葡萄栽培を学ぶために山梨の生産者さんや国の醸造試験場などでいろいろと学ばれたそうです。

Dscn1508  少し分かり辛い画像かもしれませんが、飛鳥ワインさんは国産ワインコンクールでも入賞する程。

 飛鳥ワインの中村さんご夫妻にワイン作りについての想いをいろいろとお聞きすることができました。ワインは純粋に葡萄の果汁で作られるので、他のお酒よりも素材の良し悪しが大切になること。欧州系の栽培など、より美味しいワイン作りへの想い。100%自家生産・自家醸造への目標。やはり、自分で育てるからこそ、より美味しいワイン作りに臨む事が出来る。出来てくる葡萄への想いが、ヒシヒシと伝わりました。

 その想いが、商品となったのが飛鳥ビンテージというワイン。100%自社農園葡萄で作られた生ワイン。まだまだ、ロット数は少ないそうですが、仲村さんの思いを現実にしたこだわりのワインです。私は、メルロー2003年の赤を購入。チーズと一緒に楽しむ事を進めてもらいましたので、今からとても楽しみです。

 今回は、下見ということでまだ実際のワイン作りの工程を見ることがありませんでした。是非、晩夏に訪れて、ワインの出来る過程をみたいと思っています。また、一つ大阪でこだわりの食材に出会えそうなので、とても嬉しいです。感謝。。

 

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イタリアン 片岡護料理講習会

2006-05-01 | 料理日記

 先日、全国的も有名で、日本でのイタリア料理の草分け的存在 アルポルトの片岡護シェフの料理講習会が大阪で行われたので、参加してきました。

 今回は、パスタが5品とサラダ・肉料理と魚料理、それにデザートが各一品ずつ。私自身は和食なのですが、野菜をどのように扱うのか、食材に対してどのようにアプローチするのかとても興味深く拝見させて頂きました。

 これは、私も料理の講師をさせて頂くことがあるのでわかりますが、普段と違う厨房で作業をするのはかなり大変なのですよね。しかも、少量ずつとはいえ30数名の試食用の分量を一度に作る事は普段はないでしょうから。

 率直な感想を言うと、魚料理・肉料理は絶品という感じではありませんでした。フランス料理店で働くようになって、実感したことはソースの旨み。イタリアンは比較的シンプルに仕上げるのですが、フレンチのソースはかなり旨み成分が凝縮されています。この旨みの濃さは、和食にも無いですね。課題ですね。

 ただ、流石にパスタなどはどれも美味しかったですよ。旬の食材をうまく取り入れた料理でした。今回の講習の中から2品、ご紹介します。

060425_151000  活生たこと根菜のサラダー活たこは、掃除した後にサッとボイルして、薄切りにします。姫人参や蕪は、一口大に切ります。オリーブオイルとパセリ、レモン汁・バルサミコ、塩・胡椒等でドレッシングを作り、 和えて出来上がり。見た目も華やかで、食欲をそそります。こういう一品が和食の中にあっても良いのではないかと思います。

 060425_1516 春野菜のパスター大蒜、鷹の爪・アンチョビをオリーブオイルで炒めて、白ワイン・アサリの茹で汁を加える。そこにパスタ・茹でた春野菜・仕上げに白魚を加え、柚子胡椒・塩・胡椒・パセリを加えて仕上げる。盛り付けの時に、からすみ・からすみパウダー・揚げ大蒜を盛り付けて出来上がり。これも旬の食材、しかも日本の調味料をうまく取り入れた一品でした。

 片岡シェフへの質問の時間があったので、料理を考える時に大切にしていることは何ですか?と訪ねて見ました。

 片岡シェフ 「自分で考えるだけでは、限界がある。人の料理を食べること。それを自分に貯金していく。それが時間を経て、自然と自分の中で消化されて、アイデアとして出てきます。食べ重ねが大切。」

 「他のジャンルの料理を取り込む時には、例えば天婦羅なら肉のガルニに使うとか、たらの芽に詰め物をして使う。日本料理のように、各地のある良い食材を積極的に使っていく。」

 およそ、3時間。充実した時間を過ごす事が出来ました。料理方法もそうなのだけれど、常に貪欲に吸収するトップシェフの姿勢がとても印象的でした。

 今回、この講習を開催してくださったトーホーという会社は、流通の会社では珍しく、環境保全活動に積極的に取り組まれている会社です。私が知っている神戸で活動されている方も、トーホーさんの協力を頂いているそうです。消費と流通、自然はすごくバランスの取りづらいものであるけれど、このような活動を行っている会社はとても素敵だと思います。

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ウメビーフ 日野農産 原野さん訪問

2006-05-01 | 生産者訪問

 今回は、大阪で肉用牛を飼育されている原野さんを訪問しました。

 原野さんの飼育は、大阪府堺市。本当に都市の中での畜産。今回、訪問した時もその前を通り過ぎてしまったほど、違和感なく存在しています。(外観は、何かの工場みたい。) そして、入った瞬間に期待が高まりました。家畜の異臭がほとんどしない。きれいにされた牛の寝床や施設、エサなどが良質な証拠。これは、素晴らしい出会いかもと期待。

 原野さんの飼育する牛は、梅酒の漬け梅を食べさせて飼育する梅ビーフ。梅酒で有名なチョーヤの漬け梅をエサに混ぜて与えています。これは、都市型生産の特長である、リサイクル利用なのです。本来なら廃材となるおからや今回の梅などをうまく再利用して、畜産のエサにする。もちろん、廃材といっても人間が食べているものなので全く問題はない。資源的にも環境的にもとても有意義なつながりなのです。

060424_1421  原野さんは、和牛(日本古来の食肉用牛の種類で、黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種の4種類)の生後90日程の子牛を飼い付けて、その後約30ヶ月(約600キロ強)飼育して育てます。エサは、毎日朝・晩の2回、子牛の時にはまず丈夫な牛を育てるまでに胃を強くするエサの与え方、そしてある程度成長すると高カロリーのエサに切り替えて発育を促すそうです。このように時季のよって与えるエサを変えることで、より健康的な牛が育つそうです。ちなみに、子牛の時は、乾草や藁を中心に、その後はビールかすやおから、小麦やとうもろこしの圧片を食べさせているそうです。

 まだ、科学的には漬けウメによって、具体的にどのような効果があるのかはっきり分かってはいないそうです。ウメのクエン酸や食物繊維の整腸高価効果。他にも、昔から牛のアルコールを飲ませてリラックスさせたりはすることはあったそうですし、このような複合的な効果が結果として、良質の肉質をもつ牛が育つそうです。この他にも、牛に与える水を、セラミックなどの特殊はろ過装置を通すことにより、腸内細菌を整え、高いレベルでの波動の効果が出ているそうです。

 実際に、ウメビーフのバラ肉を生で試食させて頂きました。バラなので、かなりの油の量なのですが、全然しつこくないし、お肉の臭みも全然無い。凄く上品な味がして、醤油につけなくても食べ続けることが出来るほど。かなり気に入りました。ただ、まだまだ流通量が少ないのが残念です。

 このように育てられているので、アトピーや通風の方が食べても平気な方もおられるそうです。原野さんの霜降りなどの見た目だけに囚われずに、高いレベルで味や健康を追求していく。他府県の畜産関係の人を納得させるくらい、美味しい牛を育てるという思いがひしひしと伝わる訪問でした。

 また、一つこのような新たな発見に出会えたことに感謝。

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