今週はとても寒い日が続きましたね。いよいよ、冬の到来です。
先日も書きましたが、今週はささゆりの里の冬の献立の試食と写真撮りを行いました。
前回のメニューから1ヵ月が過ぎたばかり。このような保養地や観光地でのメニュー変更は、通常はそんなに頻繁に行わないのですが、なにせ食材のほとんどが露地栽培などの旬の野菜ばかり。一汁三菜のスタイルは変わらないのですが、いかにしてその野菜を美味しく食べてもらえるのかを、いつも大切に考えています。
まずは野菜の炭火焼ですが、新たにサツマイモと天王寺蕪、海老芋が加わります。サツマイモと海老芋は提供前に火を通しておき、炭火で焼くのでポクポクした食感が堪りません。海老芋の皮もスルッと向けて、これに薬味の味噌をつけて食べるとほんとうに美味しいです。また、天王寺蕪がほんとうに美味しいです。生のまま焼くのだけれど、外が遠火の直火で焼けて、中に蕪の果汁が集まるんです。その蕪を噛むと外側の柔らかい食感と中の瑞々しい果汁がたまらなく美味。また1つ記憶に残る味に出会ってしまいました。
田辺大根の風呂吹きは、昆布だしをベースにほんとうにうす味でコトコト長い時間焚いてゆっくり味を吸って貰います。調味量は、大根の水っぽさを補って尚且つ、その甘み・うまみを感じてもらうために余計なものはなるべくいれないようにしました。このホクホクの大根を赤味噌ベースに、この付近でとてる柚子をたっぷり練り込んだ田楽味噌で食べてもらいます。付け合せの青みには大根の茎を大根の出しで炒り煮を添えました。
冷えた体を心から温めてくれるぼたん鍋。少しクセのある猪の肉を、たっぷりのお酒と昆布だし・生姜で長い時間をかけて焚きます。そして、濃い目に味付けをして更に焚きます。そして、1度漉して、猪の肉を取り出します。この出汁は濃い目に味付けして、尚且つ焚いているので、また昆布だしを足して飲んで丁度良い加減の塩梅にします。なぜ、こんなことをするかと言うと、猪の肉が出し殻にならないように、出汁をとった後にもう一度肉に味を戻すためです。そこをすると、出汁も猪の肉もおいしく頂けるようになるのです。上野先生直伝の料理法です。
あと、この日は炭火でお肉が食べたいとおっしゃる方に向けて、亀岡の地鶏を味噌床に漬けたものも試食してもらいました。鍋も味噌漬けも試食してもらった方には好評でしたので、ほっと一安心。
新しい食材と出会いや旬という限られた期間の中で、メニューを考えることはとても大変です。でも、そのお陰で私もとても貴重な経験もしているし、凄く勉強になってます。自分でも、畑を見学にしたりし始めたことで、料理の発想や調理法が変わって来ていることを感じますし、上野先生の料理を食べてからは更にそれが加速しているように思います。
ささゆりの里での仕事が一段落ついたので、いつも原木の椎茸を提供してくれている渡辺さんの畑を見学させて頂けるようになりました。その時のお話は後日、追記しましす。
以前にもメニューの内容はここでもご紹介させていただきましたので、割愛させていただきます。
今回、乾しいたけを取り扱う時に1番勉強になったのは、戻し方です。今まで、乾しいたけを戻すときは水に砂糖を加えて蒸し器で蒸しながら戻す、という方法。しかし、今回はすすめる会が推奨されている冷水で戻す方法を試してみました。
結果から言うと、後者の方が時間はかかりますがしいたけの香りも飛ばないし、戻した汁も上品な感じがしました。加熱して戻すと、どうしても戻し汁の方にうまみも香りも移ってしまいます。しかも、必要以上に移るので今までは戻し汁はあんまり美味しいと思いませんでした。
そこから、私なりに一工夫。どうせ、水から戻した後に出汁の味を含ませるなら、水の替わりに出汁で戻してみようと思ったのです。そして、試してみたら大正解。出汁をしっかり吸って、しかも柔らかく戻っていました。生で食べてみても、ほのかに出汁の風味が口の中で広がって、とても良い感じに仕上がりました。
今回は料理教室で作った4品の料理のうち、2品を公開します。どちらもとても好評でした。簡単にできますので、ぜひお試しになってください。
どんこ椎茸の陣笠揚げ
1.八方地(白だし・お酒・薄口醤油・塩)を作っておいて、そこにどんこ椎茸を漬けて冷蔵庫で半日かけてもどす。
2.どんこ椎茸の傘の裏側にサツマイモ味噌を塗り、白玉団子を詰める。
3.小麦粉で打ち粉をして、天婦羅衣を通して揚げる。油の温度は170度。
4.ししとうは穴を開けて、素揚げする。器に天紙をひいて、盛り付ける。
サツマイモ味噌―サツマイモ(ホイルに包んで焼き、皮を剥いて潰す。)-150g:白味噌-60g:薄口醤油-15ccを合わせてこねる。(サツマイモが無ければ、お味噌に砂糖を加えて、少し甘めにしてしいたけに塗っても美味しく頂けます。しいたけもサツマイモもともに食物繊維が豊富ですし、あまり調味料を使わないで食材の良さを感じてもらいたいと考えた一品です。
にゅう麺とどんこ椎茸の艶煮
まず、椎茸の艶煮を作ります。
1.こうしん椎茸は1度汚れを落とすために水で洗い、たっぷりの冷水で半日漬ける。
2.漬け汁は1度漉して、残しておく。椎茸6枚に対して水600cc:砂糖100gを加えて炊いて、椎茸に甘みを含ませる。10分程炊いた後、濃口醤油を80ccを数回に分けて加えて更に炊いていく。
3.煮汁が少なくなり、味見をして調節し、仕上げの段階で味醂を
加えて、照りをよくする。味醂のアルコールが飛べば火を止めて出来上がり。
にゅう麺の作り方
1.たっぷりの湯でにゅう麺を茹でる。
2.にゅう麺が茹で上がれば、ザルにあげ流水で揉む。その後、ザルにあげて水気をきる。
3.出す前に1度にゅう麺出しにくくらせ、麺を器に盛る。熱々のにゅう麺出汁をはり、貝割れ、刻んだ椎茸の甘露煮を盛って出来上がり。 にゅう麺出汁の作り方―白だし1400cc:味醂100cc:酒100cc:薄口醤油70cc:塩 適量。醤油は色を見ながら調整し、塩で塩梅をきめる。
今回は乾物の良さも体験できました。更に、やっぱり日本で作られるこだわりのある食材をこれからも大切にしていきたいと改めて感じることができた一日でした。
先日、日本産原木乾しいたけをつかった料理教室の講師を勤めさせていただきました。
この料理教室は日本産原木乾しいたけをすすめる会の協賛のもと、栄養士さんなど普段から食に関わるってらっしゃる方を生徒さんに迎えて開催されました。この教室は、この原木しいたけの良さを知ってもらって普段の家庭の食事でこの栄養にも味的にも優れたしいたけをもっと食べてもらいたいという思いから開催されました。
当日は、日本産原木乾しいたけをすすめる会の顧問の方から日本産と中国産の乾しいたけの違いなどを通じて、このしいたけの優れた点をご紹介いただきました。
きのこの説明
きのこは日本で5千種くらいあり、うち食べることの出来る野生のきのこは3百首くらいある。きのこは大きく腐生菌と菌根共生菌の2種類の分類できる。
腐生菌-動植物を分解して生活する。しいたけ・ぶなしめじなど10数種類が栽培されている。
菌根共生菌-生きている植物の根の部分で合体し、相互に栄養のやりとりを行っている。栽培が難しく、ほししめじなど極限られおり、松茸もこの種類に分類されるが現在のところ栽培はできていない。
日本産と中国産の違い
日本産乾しいたけ-日本産の乾しいたけのほとんどが原木栽培。(ちなみに生しいたけは4割ほど) 原木(クヌギやコナラ)にしいたけ菌を植え、しいたけが出来るまでに1年半から2年ほどかかる。しいたけのうまみ成分であるグアニル酸や抗腫瘍作用のあるレンチナンの含有量が中国産のものと比べて豊富に含まれている。乾いた状態から水に戻すと重さが6ー7倍になる。
中国産乾しいたけ-ほとんどが菌床栽培。おが屑やとうもろこしがらなどに、米ぬか・栄養剤等を加えた培地に、しいたけ菌を植える。3ヶ月から5ヶ月程度でしいたけが発生する。かなり人工的な栽培方法である。水戻し率は5倍ほどで、噛み切りやすさの数値も高い。(食感の悪さにつながる)
乾しいたけの特徴について
○乾しいたけは生しいたけよりもうまみ成分のグアニル酸が10倍ほど生成される。
○調理する前に天日に1-2時間乾すとビタミンDがさらに千倍も増える。
○食物繊維が豊富でコレステロール値や高血圧低下作用がある。
○どんこしいたけは傘が開く前に収穫され、肉厚。こうしんは傘が開き、傘の肉が薄く・扁平な形になったものを収穫したもの。両者は種類の違いではなく、収穫時期の違いのみ。また、春子しいたけがもっとも肉厚で美味とされている。
○選び方は乾燥がしっかりしていて、傘の表面は茶褐色艶があり、傘の裏は明るい淡黄色・乳白色のものが良い。
○保存方法は密閉容器に入れて、冷蔵庫などの冷暗な場所で保存すると良い。
○品質表示と賞味期限。賞味期限は上手に保存していれば2-3年は大丈夫であるが、概ね一年間くらいを目安にしたほうが良い。JAS規格のより、品質表示などの表示を明記することになっている。国内産原木乾ししいたけのシンボルマークもあるので、その表示を目印にてもらえれば良い。(画像の下のしいたけのマークです。)
少し説明が長くなってしまったけれども、それだけ乾しいたけが優れた食品であるのだな、と再認識しました。また、やはり国内の原木でしいたけを栽培している方たちの凄いこだわりが感じられました。実は、私が料理監修をしている高槻のささゆりの里でも、原木で生しいたけを栽培しておられる方がいらっしゃって、しいたけ狩りもできるんですよ。(もちろん、メニューの中にもこの原木生しいたけは使用しています。) 確かに美味です。
実際の料理提案と感想は次にご紹介します。
今日は長男の七五三のお参りに住吉大社に行きました。
本来なら11月15日におまいりに行くらしいのだけれど、その日は仕事なので。今日は天候にも恵まれて、しかも思ったよりも混雑していなかったので良かったです。
お参り後に、電車好きの長男がチンチン電車に乗りたいと言ったので、天王寺まで行くことに。何の用事もなかったのだけれど、近鉄百貨店の本屋で少し本を見て,少し早めの晩御飯。うどんすきで有名な美々卯へ行きました。小さい子供がいると食事できる場所を探すだけでも大変なんですよね。
いきなり話は変わりますが、テレビでビートたけしと石原東京都知事の対談を放送していました。
その中で「頭のイイ人はどんな人」というテーマがあって、石原都知事は「他の人が考え付かないことをする独創性のある人」。ビートたけしが「頭が良いか悪いかともかく、時間を忘れられるくらい没頭できることがある人が幸せな人。それで飯が食べられたら最高。」と、言ってました。
なかなか時間やほかの事をすべて忘れて没頭できることって無いですよね。もしかしたら、そこまでのレベルには達してないかもしれませんが、私の中では2つあります。それが料理とフットサル。最近、いろいろと料理提案などする機会に恵まれているので、頭の中は料理のことでいっぱい。凄く悩んだり・うまく行かないこともあるけど、新しい発見や美味しいものを作れたり、食べたりするととても幸せな気分になれる。後者はあくまでも趣味の範囲ですが、この2つは私にいつも刺激を与えてくれます。ドキドキや新しい発見があるので、飽きずに怠けずに取り組めるのかな、と思うこともあります。
心のとても優しい長男が、自分が幸せでしかもそれが周りの人も幸せに出来るような素敵な人生を歩んで欲しい、そんなことを祈る。今日はそんな1日でした。
まんでい会でご一緒させて頂いています、なにわ翁さんを訪問しました。
場所は大阪天満宮の程近く、老松通りにあります。最近、西天満の方においしいお店がちらほら出来て、昔と違って少しはこのあたりの知名度が上がったてきたな、と思います。その筆頭のお店がイタリアンのイル・チプレッソになるかもしれませんね。数年前のオープンして間もないときに一度食事に行ったことがあり、そのときはまだ今ほどの混雑はなくて比較的ゆっくりと食事を楽しんだのを覚えています。
さて、話を戻してなにわ翁のご主人、勘田さんは日本一のそば打ち名人として有名な「達磨 雪花山房」高橋邦弘氏の弟子としてそば打ちの修行に励んだそうです。その鮮やかな手さばきは以前に一緒に参加させて頂いたおやこ料理教室で見させて頂いているのですが、今日までその評判のお蕎麦を食べる機会に恵まれませんでした。そして、念願かなってようやくお店を訪問することが出来たのです。
店の前に行くといきなり勘田さんの姿が。早速、お店の中に案内して頂き、注文は勘田さんにお任せしました。
勘田さんが出してくれたのは茨城産の新そばの十割のざる。ほんの数日前に届いたばかりのものだとか。淡いうぐいす色をしたお蕎麦をまずは何もつけずに、その後そばつゆにつけて食し、最後にそばつゆに葱を刻んだ物、本山葵の薬味をいれて頂きました。感想は・・・、こんなにおいしい蕎麦、今まで食べたことない。決して、大袈裟さじゃなくて本当に、今まで食べた中で間違いなく一番です。
本来、私はうどん党であまり蕎麦は好きでありません。関西では有名な出石や京都の有名な蕎麦屋さんに行っても、大した感動もなくて、ましてや十割蕎麦の感想は多少香りはあるけどもさもさした食感がどうも苦手でした。でも、本当においしいお蕎麦は、喉越しも良くて・口の中で香りも広がって・しかも食感もぷりぷりとした感じです。ほんとうに材料のこだわった、しかもしっかりとした技術のある職人が打つお蕎麦は美味しいものなのですね。しかも、ご主人の勘田さんはとても真摯な方で、このお人柄もこの蕎麦の味に反映されているのかもしれませんね。
蕎麦の後に頂いた蕎麦湯や玄米御飯も鴨のうま煮もとても美味しく、本当に幸せな気持ちになれました。
帰り際に勘田さんと少し談笑。勘田さんの、「美味しい物を食べると、幸せな気持ちになりますよね。」のひと言。この気持ちが料理人には凄く大切なことなのですよね。
また、美味しいお蕎麦と料理人としての刺激を頂きに参りますので、その時は宜しくお願いします。