高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

第3回 なにわ旬菜語ろうの会 その3

2005-09-18 | 料理日記

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  いよいよ最後となりました、なにわ旬菜語ろうの会‐振り返り記‐。
 今回の食材は石川早生小芋についてです。
 石川早生小芋の原種は聖徳太子が奈良の法隆寺から、南河内郡の叡福寺へ持ち帰ったものではないかといわれております。石川というのは大阪の南部を流れる大和川の支流の川の名前に由来します。今でこそ、全国ワースト2位の汚い川としてその名を馳せている大和川ですが、今でも上流の奈良県の支流では蛍を見ることも出来るほどきれいな川もあります。
 昔はお月見の頃がちょうど収穫時期だったためこの地域では芋名月という言葉も残っているそうです。そんな古くから伝わる石川早生小芋も大阪で商業ベースとして生産する農家はなく、農作技術の流失や気候・土壌の条件も適合した九州産に主役の座を明け渡しております。
 ちなみに早生(わせ)とは生育期間、つまりは種してから開花・成熟・結実するまでの期間の短いものをいいます。晩生(おくて)に対する言葉です。早生品種よりも生育期間の短い品種を極早生と言います。

  柚子味噌入りみじん粉揚げーまず、早生小芋を生かすのはその若さを引き立てることが重要で、柔らかさを生かすのがポイントであると上野先生はおっしゃていました。 皮付きのまま小芋の片方を切り落とし、蒸し器で串がスッと刺さるまで蒸します。蒸した小芋の身をくり抜いて、空洞を作ります。(貫通しないように) 皮を剥いて、空洞の中に柚子味噌をを詰め、くり抜いて実を潰して空洞を塞ぎます。 片栗粉を叩いて、卵白、みじん粉(精白した餅米を蒸し、ローラーでせんべい状に伸ばして乾燥し、挽いて粉末にしたもの)をつけて揚げます。
 外側のカリッとした食感と、中の小芋の柔らかな舌触りが絶妙です
  
  柚子味噌の作り方(私のレシピですが)-白味噌1kg:酒135cc:味醂135cc:砂糖120g~:卵黄4個を鍋で合わせて、最初は中火、味噌が熱くなってきたら弱火にして、15分程焦げないように混ぜます。味噌が冷めたら摩り下ろした柚子の皮を玉味噌に混ぜ込んで完成です。とても香りの良く、いろいろなものに使えます。
  画像に写っているしし唐は、魚のすり身に卵を混ぜたものをしし唐に詰めて、素揚げしたものです。

  開始から2時間少々の短い時間でしたが、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。
  憧れの料理人であります上野 修三先生や実際に腕を振るって頂いた割烹キガワのご主人 上野 修さんをはじめ、この勉強会を支えていただいている関係者の皆様にはほんと感謝の気持ちでいっぱいです。
  今回で3回目となる「なにわ旬菜 語ろうの会」ですが、この勉強会で学んだことを少しでも多くの方に知っていただき、大阪で作られる食材に関心を持っていただけたら料理人冥利につきると思います。
  

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第3回 なにわ旬菜語ろうの会 その2

2005-09-16 | 料理日記

  
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さてさて、なにわ旬菜語ろうの会の続きです。
 素麺3種類の食べ比べー今回の食べ比べは.河内素麺・半田素麺・三輪素麺の3種類です。
普段、同じ料理や食材を食べ比べることなかなかありませんよね。人の味覚は曖昧なところもあるので、味の違いを比べるにはその場で食べ比べるのが1番違いがはっきり分かります。今回の3種類の素麺の説明を簡単。
  半田素麺‐四国三郎吉野川の中流に位置する半田町。素麺は280年あまりの歴史を持っています。その製法は、後から紹介する奈良県三輪地方に発し、淡路島・鳴門を経て阿波半田に伝わったらしい。時の将軍に阿波の名産物として献上されたとする記録もあり、JAS規格では煮麺のカテゴリーであるが、伝統を顧みて素麺と名乗ることが許させている。
 感想‐麺が太いこともあり、風味・食感にすぐれ、パスタなどの代わりに使って洋食風にアレンジを出来やすい。今回も堀尾先生がこの半田素麺をフレッシュトマトソースと組み合わせ、洋風の中に和のテイストを上手く取り込んだ料理を発表してくださいました。
  
 河内素麺‐江戸時代中期に河内国内素麺の生産は活発化し、現在の生産基盤を確立。幾度かの素麺取引株(製品の品質の確保のために、上納金を納めないと素麺業が出来ない仕組み)の解散などの危機を乗り越えた。現状の素麺業は、都市化や専業農家の減少により、風前のともしび的な状況である。それは、素麺が農家の副業として家計収入を支えてきた側面を持ち、農家の減少が素麺業にも反映された。
 感想‐乾麺の状態から小麦の香りが強く、実に風味が豊か。多少ばらつきのある麺の太さが食感にアクセントを与えている。

 三輪素麺‐奈良県の三輪山麓の豊作地帯、特に良質の小麦粉が生み出した素麺。今でも奈良県下は150軒ほどの生産者さんがおり(ほとんどは農閑期の副業)、11月から年を越えた3月まで純白の白い糸が寒風にそよぐ風景が三輪地方の風物詩となっているそうです。日本でも有数の産地だけにその技術を支える職人の技術は高く、白髪と呼ばれる超極細の素麺がそれを物語っているのではないでしょうか(通常の素麺の太さが10gで100本程なのに対して、白髪は300本。ギネスブックに登録すれば、世界一細い麺となることは間違いないそうです)
 感想‐食感・喉越しが秀逸。これを食べると、素麺食べてるなと、実感できる落ち着きのある味です。

 素麺出汁の作り方ー鰹節・昆布・干し海老でとった出汁4:薄口0,5:濃口0,5:味醂0,8~1を合わせて作る。
 今回の薬味は本山葵を直前に摩ったものです。これは私の思うことなのですが、チューブの山葵を入れるとかえって味が悪くなるように思います。市販の麺つゆではそんなに感じないかもしれませんが、チューブなら入れない方が美味しく頂けると思います。ちゃんと出汁を合わせて作ると出汁だけでも充分美味しさは実感してもらえると思います。少し手間かもしれませんが、1度出汁を合わせて味わって見てください、それだけでもっと素麺がおいしく食べられますから。

  すみません、今回でも書き切れませんでした。あともう一回、石川小芋で完結しますのでお付き合いくださいませ。

 

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第3回 なにわ旬菜語ろうの会

2005-09-15 | 料理日記

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 12日は午前の保育園での浪速野菜の種まきの食育イベントを無事終了。夜はこれもかねてから楽しみにしている「なにわ旬菜 語ろうの会」に参加しました。今回で3回目になるのですが、割烹キガワの上野修三先生が実際に包丁を振るわれて、また料理の解説をしてくれる料理人にとってはなんとも贅沢な勉強会です。
 参加条件はジャンルを問わない料理人限定(今のところ追加の募集はありません)ということで、かなり活発な意見交換や質問が飛び交います。
 今回のテーマ食材は素麺3種と石川早生小芋、河内蓮根です。
 まずは、河内蓮根を使ったとびあらと蓮根の甘酢浸し 黄身酢がけ。
 とびあらは大阪では良く使われる小型の海老で、正式な名称はサル海老といいます。味の方は、車海老ほど上品ではないですが、うまみの強い海老です。 
 河内蓮根は大阪は門真にある生産者さんが育てたものを使用。
 門真は江戸時代に地蓮(野生蓮)に加賀蓮根や備中蓮根の種蓮を導入し、今の河内蓮根にまで昇華させた、いわばふるさと。少し前までは寒中に蓮池にもぐって蓮根を掘り取る「池師」と呼ばれる名人の方がおられたそうです。今ではこのような方もいなくなってしまったそうですが、蓮根の収穫を機械化することは無理らしく現在でも生産者の方は厳寒の中、胸まで水に浸かりながら収穫しているそうです。
 この蓮根をサッと酢湯掻きしたのち、甘酢に漬けます。同じ蓮根でも、細い蓮根はシャキシャキと歯ごたえがよく、太い蓮根にはモッチとした食感と、それぞれに良さがあります。
 甘酢の割合は、水6:酢4:砂糖適量:塩少々:昆布を合わせて1度沸かして冷ます。これにほんの少し唐辛子を浮かべてもらえれば完成です。
 黄身酢は卵黄10個:全卵1:酢:砂糖を湯煎にかけて練り、冷ませば完成です。つや出しにサラダ油も加えることもあるそうです。

  今回はこの辺で、1度終わります。次回に続きを書きますので、もう少しお待ちください。

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保育園で種まき

2005-09-13 | 農業・食育・食文化について
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いよいよ保育園での種まきの日がやってきました。
 種まきといってもよくある朝顔やチューリップではなく、浪速伝統野菜の天王寺蕪と田辺大根という超マニアックなもの。
 この種まきを通じて子供達に食べ物が育っていく過程を見て・触れて・感じてもらうことと、少しでも大阪で作られる「たべもの」に興味をもってもらうという、大人の淡い期待を込めた食育活動の一環なのです。
 今回、またしてもご協力頂くのは浪速野菜の権威にして、バイオリンの達人(?)の食とみどりの総合センターの森下先生です。
 まず、森下先生から種まきの仕方を園児達に説明していただくところからスタート。ほとんどの子供達が初めて野菜の種を植えるので、興味津々。森下先生を「おっちゃん」呼ばわりで、先生の質問にどんどん反応してくる。しかも、森下先生も今までに小学校でのこのようなイベントに参加されていることもあり、子供たちを取り込むのがすごく上手です。園児が次から次へと手を挙げて、前に出て自分の思うように土をいじる。先生はそれを決してダメとは言わないで、上手く他の子どもに振って行き、それを繰り返すことにより間違った子も恥かしい思いをすることなく、また多くの子供達が参加していくのです。
 一通り、説明が終わったところで、第2部へ。第2部は森下先生のバイオリンと園児たちの打楽器とコーラスのコラボレーション。10日程前に園の先生にお渡しした「浪速野菜の歌」と「天王寺蕪の歌」を園児たちがどこまで憶えてくれているのか興味津々。いやはや、この年頃の柔軟性と園の先生の指導力に感服。皆、大きな声でしっかり歌ってましたよ。そんなに長い歌詞ではないのですが、しっかり4番まで。多分、森下先生もびっくりされていたと思います。折角なので、この歌声を浪速魚菜のHPで発表したいと考え中です。
  さて、場所を園庭に移し、実際に種まき開始。
  この日は凄く日差しもきつく、暑い一日でしたが園児には全く関係ない様子。2人1組になって、プランターに種を撒いていきます。「こんな小っさい種からほんまに野菜できんの?」的な発言もあり、まだまだ野菜が育つという実感は無いようです。
 種まき終了後、再び教室に戻って園児から森下先生に今日のお礼とお別れの挨拶。教室を出るときには「またくんの?」とか聞かれて、森下先生は園児囲まれてモミクチャに。しっかり、園児の心をつかまれたようです。
 
 今回植えた天王寺蕪が育つまで約60日だそうです。そのあたりで収穫祭を行うことになっていますので、その時はやっと私の出番ですね。今日は森下先生も私も花丸元気な子供達の笑顔を見れて、とても嬉しかったです。少しでもこのような体験をした子供達が食べること・食べ物に興味を持ってくれればと願わずにはいられません。

  今回ご協力いただいた森下先生、園の先生方、そしてとびっきりの笑顔を見せてくれた園児達に感謝の気持ちでいっぱいです。

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念願のホームページ完成

2005-09-11 | 筆者の徒然なるままに

 今回の選挙は自民党の圧勝との事。小泉劇場と表現された今回の選挙の後に、どのような変化が見られるのか興味津々です。
  変化といえば、以前から依頼を受けていました浪速魚菜の会のホームページの更新がようやく完了し、昨日アップしました。
  特にPCの専門的知識も無く、正直何度か挫折しそうになりましたが、いつも自分がお世話になっているので何とか貢献できればと思い頑張りました。ド素人が作ったHPなので何の目新しさも無いのですが、そこは大目に見てください。まだ、リニューアルしただけなので、これから少しずつでも良くしていきたいと思っています。

 これからもこのブログ共々、ご贔屓にしていただけますようにお願い致します。

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