いよいよ最後となりました、なにわ旬菜語ろうの会‐振り返り記‐。
今回の食材は石川早生小芋についてです。
石川早生小芋の原種は聖徳太子が奈良の法隆寺から、南河内郡の叡福寺へ持ち帰ったものではないかといわれております。石川というのは大阪の南部を流れる大和川の支流の川の名前に由来します。今でこそ、全国ワースト2位の汚い川としてその名を馳せている大和川ですが、今でも上流の奈良県の支流では蛍を見ることも出来るほどきれいな川もあります。
昔はお月見の頃がちょうど収穫時期だったためこの地域では芋名月という言葉も残っているそうです。そんな古くから伝わる石川早生小芋も大阪で商業ベースとして生産する農家はなく、農作技術の流失や気候・土壌の条件も適合した九州産に主役の座を明け渡しております。
ちなみに早生(わせ)とは生育期間、つまりは種してから開花・成熟・結実するまでの期間の短いものをいいます。晩生(おくて)に対する言葉です。早生品種よりも生育期間の短い品種を極早生と言います。
柚子味噌入りみじん粉揚げーまず、早生小芋を生かすのはその若さを引き立てることが重要で、柔らかさを生かすのがポイントであると上野先生はおっしゃていました。 皮付きのまま小芋の片方を切り落とし、蒸し器で串がスッと刺さるまで蒸します。蒸した小芋の身をくり抜いて、空洞を作ります。(貫通しないように) 皮を剥いて、空洞の中に柚子味噌をを詰め、くり抜いて実を潰して空洞を塞ぎます。 片栗粉を叩いて、卵白、みじん粉(精白した餅米を蒸し、ローラーでせんべい状に伸ばして乾燥し、挽いて粉末にしたもの)をつけて揚げます。
外側のカリッとした食感と、中の小芋の柔らかな舌触りが絶妙です
柚子味噌の作り方(私のレシピですが)-白味噌1kg:酒135cc:味醂135cc:砂糖120g~:卵黄4個を鍋で合わせて、最初は中火、味噌が熱くなってきたら弱火にして、15分程焦げないように混ぜます。味噌が冷めたら摩り下ろした柚子の皮を玉味噌に混ぜ込んで完成です。とても香りの良く、いろいろなものに使えます。
画像に写っているしし唐は、魚のすり身に卵を混ぜたものをしし唐に詰めて、素揚げしたものです。
開始から2時間少々の短い時間でしたが、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。
憧れの料理人であります上野 修三先生や実際に腕を振るって頂いた割烹キガワのご主人 上野 修さんをはじめ、この勉強会を支えていただいている関係者の皆様にはほんと感謝の気持ちでいっぱいです。
今回で3回目となる「なにわ旬菜 語ろうの会」ですが、この勉強会で学んだことを少しでも多くの方に知っていただき、大阪で作られる食材に関心を持っていただけたら料理人冥利につきると思います。