スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

香港国際競走&第五部定理三七備考

2016-12-12 19:10:56 | 海外競馬
 香港のシャティン競馬場で開催された昨日の国際競走。今年は数多くの日本馬の参戦がありました。
 香港ヴァーズGⅠ芝2400m。スマートレイアーは中団外を追走。道中で徐々に位置を上げていき,直線に向かうあたりでは3番手。サトノクラウンは内で控える形。最初は中団でしたが,後方よりに位置を下げていく形に。ヌーヴォレコルトは後方の外にいましたが,ゆっくりと控えていき,集団の最後尾を追走。このレースは逃げていた馬が直線で後続を引き離して独走。ですが道中で馬群の中を漸進し,最後も集団の中を割って抜け出たサトノクラウン1頭だけが追い詰め,フィニッシュの前ではついに逃げ馬を捕えて半馬身差で優勝。ヌーヴォレコルトはほぼ直線だけの競馬で直線は馬群を割って伸び4着。とはいえ勝ち馬からは8馬身差。スマートレイアーは直線で粘る競馬となりそこから4分の1馬身差の5着。ただこの2頭は距離が長いと思われ,善戦といえるでしょう。
 優勝したサトノクラウンは2月の京都記念以来の勝利。重賞4勝目で大レース初制覇。このレースは2着馬の実績が断然。その馬が逃げて後続を引き離したところを1頭で追ってきて差し切ったのですから立派なもの。事実,3着馬に6馬身半もの差をつけているのですから,2着馬も力を出し切ったとみてよく,この馬もそれだけの力があったということになります。これでみればこれくらいの距離が最適なのではないでしょうか。
 日本馬の海外での勝利は先月のレッドカーペットハンデキャップ以来。大レースは5月のイスパーン賞以来。香港ではチャンピオンズマイル以来。香港ヴァーズは2001年のステイゴールド以来15年ぶりの2勝目。騎乗した香港のジョアン・モレイラ騎手はチャンピオンズマイル以来の日本馬での大レース2勝目。管理している堀宣行調教師は天皇賞(秋)以来の大レース制覇。海外ではチャンピオンズマイル以来。
 香港スプリントGⅠ芝1200m。ビッグアーサーは中団の外に位置し,4コーナーに向かって徐々に進出していく形。レッドファルクスは後方4番手から馬群の中を突いていくレース。ただ直線ではあまり見せ場はなく,ビッグアーサーが4馬身4分の1差の10着。レッドファルクスはさらに2馬身差の12着。スプリントは香港のレベルが高いカテゴリー。ロードカナロア級が遠征して勝てるというレベルですから,今年の2頭ではこういう結果も致し方ないのではないでしょうか。
 香港マイルGⅠ芝1600m。ネオリアリズムが外の2番手,発馬後のダッシュが悪かったロゴタイプは追い上げてその内と,レース前半はこの2頭が併走。サトノアラジンは最後尾に。ネオリアリズムはじわじわと進出して直線の入口では逃げた馬に並び掛け,直線で一旦は先頭に。しかしそこで一杯になり3馬身半差の9着。ロゴタイプはイン追走から馬群を割り,3着争いには加わったものの1馬身4分の1差で5着。サトノアラジンは直線で大外に。伸び脚はみせて2馬身4分の1差の7着。このレースは概ね後方に位置していた馬が上位を占めていますので,ロゴタイプは僕が思っていたより走りました。ネオリアリズムもひどくばててはいませんが,力不足だったということでしょう。サトノアラジンは控えたのは悪くなかったですが,大外を回るようではさすがに厳しいです。
 香港カップGⅠ芝2000m。最内枠のエイシンヒカリが前に行き1コーナーで先頭を確保。400m過ぎから23秒台のペースを刻み,2番手との差を広げていきました。ラブリーデイが3番手の内,ステファノスは5番手でしたが道中で漸進してラブリーデイより前の3番手に。クイーンズリングは8番手から。モーリスは発馬が悪く後方3番手になり,そこからはずっと内を回りました。エイシンヒカリは直線に入るところでも大きなリード。ただ結果的には暴走だったようで,直線の半ばでは一杯になり7馬身4分の3差で10着。ずっと内を回り,直線では前にいた2頭の間を割ったモーリスはまだ先頭だったエイシンヒカリをあっさりと捕え,ここからは概ねワンサイドで差を広げて優勝。3馬身差となっていますがもう少しあったような感じもします。ステファノスとラブリーデイは並ぶように伸びて3頭での2着争い。ステファノスが2着馬から半馬身差の3着でラブリーデイは差のない4着。この2頭は力を出しての結果でしょう。クイーンズリングは流れ込むような競馬でエイシンヒカリより4分の3馬身前の9着。僕の見解ではこの馬には距離が長く,ペースが遅くならなければ厳しかったということです。
 優勝したモーリスは天皇賞(秋)からの連勝で大レース6勝目。このレースはエイシンヒカリとモーリスの力が抜けていて,エイシンヒカリの方が自滅のようなレースになったので圧勝になりました。これで現役を退くようですが,歴史的な名馬の1頭でしょう。この馬の数多くのレースをみることができたのは競馬ファンとして大きな喜びです。父はスクリーンヒーロー。祖母が1989年のクイーンステークス,1990年の金杯とアルゼンチン共和国杯,1991年のアメリカジョッキークラブカップを勝ったメジロモントレーデヴォーニアメジロボサツの分枝。
 日本馬は昨年に続いての香港カップ連覇で5勝目。騎乗したイギリスのライアン・ムーア騎手は天皇賞(秋)以来の日本馬での大レース制覇。海外ではドバイターフ以来。香港では昨年の香港マイル以来。管理している堀宣行調教師は同日に海外GⅠ2勝という快挙を達成しました。

 第五部定理四〇が人間の精神mens humanaにだけ妥当するのではなく,すべてのものが精神animataを有するなら,すべての精神に妥当するということについての説明は不要でしょう。さらにいえばこの定理は別に思惟の様態cogitandi modiにだけ限定していわれているわけではないのですから,たとえばすべての物体corpusについて妥当するということはいうまでもありません。
                                     
 この定理は,各々のものが,働きを多くなすほど完全であるということを示しています。なので働きをなすagereものほど完全であり,働きを受けるpatiものほど不完全であるということを意味していると解さなくてはなりません。ただし,ここで不完全というのは,絶対的な意味で不完全ということではありません。働きを受けることが多いものは,働きをなすものと比べれば相対的に完全であるとはいえないという意味です。つまりスピノザはこの意味において,完全性perfectioについて優れているものと劣っているものとが存在するということは認めているのです。
 ただし,僕の解釈では,これは個物res singularisが現実的に存在している場合のことです。僕がそのように解釈する根拠は第五部定理三七備考にあります。
 「第四部の公理は,一定の時間と場所に関係して考察される限りにおける個物を念頭に置いたものであって,そのことは誰にも明瞭なことと信ずる」。
 第四部公理は,自然のうちに存在する個物はどんな個物であっても必然的に働きを受けるということを意味しているといえます。ですがこの公理の前提は,その個物が現実的に,すなわち一定の時間と場所に関係して持続して存在するという場合に限定されるのだというのがこの備考の意味するところになるでしょう。ということは一般的に個物が働きを受けるのは,その個物が現実的に存在しているからだということになります。しかるに働きをなすもののほど完全性に優れ,働きを受けるものほど完全性に劣るということは,その個物が現実的に存在している場合にのみ生じることだということになります。よって個物が神の属性に包容されているとみられる限りでは,各個物間に完全性の相違は発生しないということになります。しかし現実的に存在するならそれは発生するのです。
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