スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

ハイセイコー記念&ふたつの合理性

2021-11-18 19:05:14 | 地方競馬
 昨晩の全日本2歳優駿トライアルの第54回ハイセイコー記念
 イルヴェントは発馬で1馬身くらいの不利がありました。ノブレスノアがゆっくりとハナへ。2番手にミゲル。3番手にフォラステロとサブノリョウマ。この後ろは1馬身半くらい離れ,ナックファルコン。6番手にカイル。7番手にジュンブルームーン。8番手にハッピースパイラルとマロース。10番手にママママカロニとイルヴェント。12番手にミスターブラストとミネソタ。4馬身差の最後尾にキャッスルブレイヴという隊列。前半の800mは52秒1の超スローペース。
 ノブレスノアとミゲルは並んで直線に。3番手のフォラステロは内に進路を取りましたが,そこまで。ここからフィニッシュまでノブレスノアとミゲルが後ろを離しての競り合い。最後まで抜かせなかったノブレスノアが一杯に逃げ切って優勝。ミゲルがクビ差で2着。ミゲルの外から脚を伸ばしたカイルが2馬身半差で3着。大外から追い込んだママママカロニが1馬身差で4着。
 優勝したノブレスノアは南関東重賞初制覇。このレースはママママカロニの素質が上位でしたが,それはゴールドジュニアで見せた圧倒的な速力によるもの。距離が延びることが不利に働けば,ほかの馬の出番もあり得るという見立て。その場合はデビューから4連勝で鎌倉記念のトライアルを勝ち,鎌倉記念で3着だったノブレスノアが最有力候補。ただこのレースは楽なペースで先行した2頭が最後まで競り合うという内容で,展開が結果に大きく左右したといえますから,どこまで評価してよいかは分からない面も残ります。父は2004年にサラブレッドチャレンジカップ,2009年に黒船賞兵庫ゴールドトロフィー,2010年に兵庫ゴールドトロフィーを勝ったトーセンブライト。母の父はネオユニヴァース。3代母は1988年にフラワーカップとクイーンステークスを勝ったフリートーク
 騎乗した船橋の森泰斗騎手習志野きらっとスプリント以来の南関東重賞47勝目。第52回以来2年ぶりのハイセイコー記念2勝目。管理している浦和の小久保智調教師は南関東重賞52勝目。ハイセイコー記念は初勝利。

 哲学的な観点からは,以下の点に気を付けてください。
                                        
 Aという人間が現実的に存在していて,そのAの精神mensのうちにXの真の観念idea veraがあるとき,スピノザの哲学では,Aの精神の本性naturaを構成する限りで神DeusのうちにXの真の観念があると説明されます。つまり,Aの精神のうちにあるXの真の観念と,神の無限知性intellectus infinitusのうちにあるXの真の観念の形相formaは同一です。そしてAというのは任意の人間ですから,このことは万人に該当します。つまり,どんな知性のうちにあろうと,真の観念の形相というのは同一なのです。なのでXの真の観念というのは,数え上げるのならひとつしかないのであって,Xについて異なった複数の真の観念があるということはありません。そしてXというのも任意なので,これは万物に妥当します。すなわちどのような事物あるいは事柄であろうと,真の観念は同一でありまた唯一です。そしてスピノザの哲学では,真の観念の総体が真理veritasといわれるのですから,どのような事物であれ事柄であれ,真理は同一で唯一だということになります。
 これは僕が主体の排除といっている,スピノザの哲学の構造的理論を下支えするものです。そしてこのことに従えば,麻雀のある場面についても,真理は同一でかつ唯一なのですから,その場面でリーチを宣言するのも合理的な選択であり,リーチを宣言しないのも合理的な選択であるというのは不条理であるということになるでしょう。そしてこのことは確かにそうなのです。しかし,僕の説明がスピノザの哲学に照らし合わせたときに不条理であるというわけではありません。これは合理性の目安あるいは規準の相違によってどちらも合理的な選択であるといわれているのであって,同一の対象についてふたつの合理性があるといわれているのではありません。
 この場面に合わせて説明します。ここでパイレーツがリーチを宣言するという選択をしたなら,それは得点を獲得する可能性がいくらか減少するとしても,獲得すれば必ずトップになるという観点から合理的な選択です。これに対してリーチの宣言をしないというのは,得点の獲得と順位を上げる可能性を高めるという観点から合理的な選択なのです。
コメント
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