古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

池田教授の卓見

2013-12-27 | 経済と世相
 週刊朝日の12月27日号に、生物学者の池田清彦さんが寄稿していました。まことに卓見だと思いますので、以下に紹介します。
 【食糧自給率39%、エネルギー自給率4%しかない日本は、とりあえず世界各国、とりわけアメリカと付き合わざるを得ない。アメリカは鎖国をしても生きていけるが、日本に奇跡が起きてエネルギー自給率が100%近くになればともかく、今のままでは鎖国をして自立するのは無理である。
 遠い将来は知らず、現時点でアメリカが鎖国をしないのは、アメリカの多国籍企業の利益のためだ。ざっくり言ってしまえば、グローバリゼーシヨンとは、この世の最終権力を国民国家から多国籍企業に移すことだ。グローバリゼーシヨンを推進している人たちも、そのことに意識的であるとは限らないとしても、グローバリゼーシヨンが進めば結果的にそうなるに違いない。多国籍企業の望みは、一番コストのかからない地域で製品を作り、一番儲かる場所で売ることだ。
 そのためには、経済に関しては国境などというややこしいものがあっては困る。多くの国をTPPに加入させ、関税を撤廃しようとの動きはこの線上にある。その結果、賃金の高い先進国では単純労働の空洞化が起こる。空洞化に抗おうとすれば、賃金低下に甘んじる必要がある。世界レベルでの単純労働者の賃金の平準化は不可避となる。
 グローバリゼーシヨンにとって、今一つ重要なファクターは、安価なエネルギーが供給されることだ。安い労働力で製品を作っても、それを運ぶのに多大なコストがかかれば、労働者の賃金が多少高くとも、地産地消した方が合理的である。安価なエネルギーと安価な労働力こそがグローバリゼーシヨンの源泉なのだ。アメリカでシェール革命がおこった後で、TPPが重要な政治課題に上がったのは故ないことではない。
 ところでグローバリゼーシヨンの恩恵に浴するのは、アメリカばかりではなく日本の多国籍企業についても然りであろう。逆に日本の一般国民の大半は損することになるだろう。何といっても単純労働者の賃金が徐々に下がることは必定だからだ。
 民主主義国家では、国民の大多数に不利益をもたらす政策は支持されない。何とかごまかすためには、本当のことを知らせてはまずい。具体的に言えば、外交上の密約と称して国民に不利益になる情報は隠ぺいすればよい。
 TPPを推進しようとする安倍政権が、国民の大半が反対する特定機密保護法をごり押しして通した理由はここにある。】
 多国籍企業がアメリカの政治を動かし、そのアメリカの政治に日本が盲従しているように、私には思われるのですが・・・