古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

時評:タダほど高いものはない

2010-06-03 | 経済と世相
“タダほど高いものはない”、日本の防衛の話です。
 2日、鳩山首相が、小沢幹事長を道ずれに辞任すると表明した。民主党議員総会での演説を聞いていて、オヤと思った発言があった。マスコミでは大きくは取り上げていなかったが、次の発言です。
『平和を日本人自身の手で守る日本をいつかはつくらないといけない。私の時代にはムリだが、あなた方の時代につくれるようにしていただきたい』
 『米国に依存し続ける安全保障が50年、100年続いていいとは思わない』と、鳩山さんは言いました。
 日本は日米安保により米軍に防衛を依存することで、軍事にカネをかけず経済成長に資金を集中できた。その結果が日本の高度成長、故吉田茂首相の選択した国家戦略でした。
 時あたかも米ソ二大陣営の対立、いわゆる冷戦の時代で、日本の高度成長は、社会主義陣営に対して、自由主義経済の優越を実証できる、いわば、資本主義陣営のショールームでもあったのです。だから、米国にとっても、日本の防衛を引き受けるメリットがあった。
 しかし、冷戦の時代が終わり、日本の高度成長は、日本の自動車産業がGMを凌駕するほどになりました。
 こうなると、米国がタダで日本の防衛を引き受ける理由はないと、米国が考え始めたとしても不思議はない。
 その頃から、例えば、湾岸戦争で戦費を負担せよとか、カネを出すと今度は、「カネだけ出せば良いと考えている」、日本への批判が強まりました。だから、冷戦が終わった時点で、日本の安全保障システムを再設計しなければならなかったのに、日本の政治家はシステムはそのままで、駐在米軍の費用の7割を負担する「おもいやり予算」を実施することで、米国の機嫌をとった。
 今や、安全保障を米国に依存することが、安上がりでなくなったと、私は考えます。“タダほど高いものはない”のです。
 何故かというと、米軍が日本に駐留することは、言葉を換えれば、米軍が日本を占領している状態です。米国の意向に逆らうことが出来ない国になってしまった。
 一つの例ですが、先日、日本が購入した米国債の評価損が27兆円にもなる!とメールしましたが、損すると分かっても、米国債を買いつづけなければならない。
 冷戦時代には、米国に防衛を依存することが、日本の経済成長に資したのですが、今は足かせになっている。
 『平和を日本人自身の手で守る日本をいつかはつくらないといけない』鳩山首相の辞任に際しての言葉は、重いのです。
 普天間問題を経験することで、鳩山さんは、遅きに失したきらいはあるものの、それが分かった。
 それにしても、鳩山さんは、就任する時の言葉と辞任する時の言葉はすばらしかった。
 総論の名手です。しかし、政治を動かすのは、総論でなく、各論です。

最新の画像もっと見る