古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

小説を読まない上司は持ちたくない!

2005-04-21 | 読書
 週間朝日の4.22号に評論家の田原総一郎さんがこんな記事を載せていました。

【坂野潤治は私が信頼する日本近代史の学者である。
 その坂野に怒られた。私が自分だけの経験を敷衍して、いま再び戦前のような言論・思想の自由が奪われる危険性を主張したからである。
 私は1941年、太平洋戦争が起きた年に小学校に入り・・・教師から、「君らの寿命は20歳で終わりだ。天皇陛下のために、・・・死ね」と教えられた。・・・戦前・戦中には言論・思想の自由はなく、戦争に反対したり社会主義や共産主義を主張したりすると、・・・警察に捕まって厳しい拷問を受け、殺された人もいるという実態を知ったのは戦後になってからだった。・・】

 そこで【「子供のころのわずかな体験で歴史を語るなどとんでもない」と怒られたのである】
 つまり、田原さんが【戦前には言論・思想の自由がなかった】と言ったのだが、その部分が違うということだったらしい。
【民主主義は戦後、占領軍によって与えられたものではない。明治・大正・昭和の時代にも、この国にあった。その延長として戦後の民主主義があるというのが、坂野の説明であった。】
【また、自分のささやかな体験で歴史を語るのは、大いに危険であり、歴史は膨大な資料、書物の中にあるのだ、とも力説した。坂野の指摘には、ジャーナリストとしては、いささかならず抵抗があったが、民主主義は戦後の産物ではなく、明治時代から存在していたという指摘は、新鮮で説得力があった。】
 以下、その理由が述べられていましたが、割愛します。

 で、私が以上長々と引用したのは、これが私が本を読む理由だったからです。(読書の効用は、歴史がその中にあるかどうかは私には分かりませんが、ここにあると考えます。)
 体験は勿論重要ですが、時間も体力も限度があり、従って、体験できることには限りがあります。その限界を超えさせてくれるのは読書以外にないのでは、と思うのです。
 ついでながら、小説の効用について。
 特に、人の上に立つ人には、そういう人はお忙しくて時間がないのですが、年に1~2冊は小説を読んでほしい。部下を持つ人には、人間の多様性の理解、つまり、人間に対する感受性を磨いて欲しいからです。
 たとえ、それが「愛ルケ」であったとしても・・・小説を読まない上司は持ちたくないと、かつて、考えていました。

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