古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

アラブの生産性向上

2005-05-04 | 読書
 「アラブとイスラエル」(高橋和夫著、’92、講談社新書)と言う本を読みました。放送大学の新学期で「第三世界の政治」(高橋和夫教授)の講義を受講中ですが、この本は、その副読本です。
 面白い箇所を紹介します。
【パレスチナ人は、国を持たず、アラブ世界でも常に差別されてきた。表面上はアラブの大義という看板の下で受け入れられても、内心ではけっして仲間うちとしては扱われてこなかった。またパレスチナ人は、国による保護を得られないため、個人の努力、そしてパレスチナ人同士の団結によって人生をきり開いてきた。ある国から追放されるようなことがあっても、命ある限りけっして奪われることのないものに投資してきた。つまり教育にであった。
 パレスチナ人の勉強熱心はアラブ社会では際立っている。パレスチナ人は、医者であり、作家であり、画家であり、弁護士であり、大学教員であり、ジャーナリストであり、研究者である。
 パレスチナ人たちについて知識を得るようになったユダヤ人たちは、自らの姿を鏡に映し出したよな感情を持ったことであろう。つまり、パレスチナ人はアラブ世界のユダヤ人なのである。】
 国を失った民族は、教育に力を入れる。それは、パレスチナ人もユダヤ人も同じ。最近の日本の学力低下は、国が豊かになって、その国がなくなる心配がない所為かも?

 もう一つ、
【イスラエル国民の18%がアラブ人である事実はしばしば見落とされている。イスラエルの成立時に難民となったアラブが多かったが、中には故郷に踏みとどまった者もいた。その結果、イスラエルには現在70万のアラブ市民がいる。彼らの人口増加率はユダヤ人を上回っており、将来イスラエル国家がそのユダヤ性を維持できなくなるのではないか、との懸念をユダヤ人に、そして期待をアラブ人に抱かせている。
 もっと深刻なのは占領地の170万のパレスチナ人の存在である。イスラエル市民権を持つパレスチナ人と合計すると、240万という数字になる。イスラエルのユダヤ人功は370万にすぎない。したがって、占領地をイスラエルが併合したとすると、アラブの人口比は40%近くに跳ね上がる。
 アラブの出生率の高さを考慮すると、21世紀のいつの時点かにイスエラエルの人口の過半数がアラブという事態が発生する。つまり、イスラエルはアラブの人口増加という時限爆弾を抱え込んでいるわけだ。戦場では勝てなかったアラブが寝室での生産性においてユダヤ人を上回り、パレスチナの多数派としての地位を回復しつつある。】
 これを恐れて、イスラエル内の強硬なユダヤ人シオニストは、「イスラエル支配地区のアラブ人をヨルダンに追い出して、ヨルダンの王制を廃止し、パレスチナと看板を書代えろ!」と主張しているそうです。生産性はヨルダンで上げてくれ、と言う。

 アラブのテロリストが、アメリカを憎むのは、アメリカがイスラエルに肩入れするから。アメリカが肩入れするのは、ワシントンのユダヤ・ロビーの活動による。だから、アメリカに追随することは、結果として、ユダヤを支援することになり、買わなくても良いアラブ人の恨みを買うことになると思うのですが、小泉さんはどう考えているのかな?
 
   

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