12月3日。丸善に行き新書の棚を診ていたら、「阿久悠と松本隆」という本を見つけた。
「阿久悠が亡くなってもう10年になるな」と手に取ってみた。
パラパラのぞいていたら、「この本は、二人が交差した瞬間を求め、その前後7年を描く現代詩である」とあった。阿久悠は知っているが、松本隆は良く知らない。そういえば「冬のリヴィエラ」は松本隆作詞でなかったかな、「二人が並走していた1975年から1981年までに絞って書く」という。買い求めた。
「冬のリヴィエラ」、こんな歌だった。
「彼女(あいつ)によろしく伝えておくれ
今ならホテルで寝ている筈さ
泣いたら窓辺のラジオをつけて
陽気な歌でもきかせてやれよ」
これって、阿久悠の「ジョニーへの伝言」と似たとろあるじゃない。
「ジョニーが来たならつたえてよ。
2時間待ってたと
割に元気よくでていったよと
お酒のついでに話してよ」
「例えば一篇の小説、一本の映画、一回の演説、一周の遊園地、これと同じヴォリュームを4分間に盛ることは狩野ではないか」と阿久悠は語る。「冬のリヴィエラ」も「ジョニーへの伝言」も一片の小説の一場面みたいなフレーズだ。
「時代に正対していると、その時代に就く悠のものが見えてくる」と、阿久悠は、時代を語ることに熱心だが、松本隆はあまり「時代」を意識していない。
松本隆は「冬のリヴィエラ」の他に何があったか、ネットで調べた。
「木綿のハンカチーフ」があった。大ヒット曲だ。
改めて見ると、この唄すごく凝ったつくりだ。
まず、男女のセリフが交互に出てくるのだけど、両方のセリフを男女でなく、一人の女性歌手に歌わせている。
「恋人よ僕は旅建つ 東へ向かう列車で
華やいだ街で 君への贈り物探すつもりだ
いいえあなた私はほしいものはないのよ
ただ都会の絵の具に染まらないで帰ってほしい
染まらないで帰ってほしい」
この唄どうして木綿のハンカチーフなの?
「おくりものねだるわ
ねえ 涙ふく木綿のハンカチーフください。」
最後で「木綿のハンカチーフ」が出てきた。
阿久悠も松本隆も、昔からの歌謡曲を脱皮した演歌を目指したらしい。