古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

すべての疲労は脳が原因

2016-07-08 | 読書
 ここの所、からだが疲れやすいのです。たとえば、プールで泳いだ後、家までの帰りがしんどい。歩くのも脚がもつれるような感じです。
3年前までは一日1000mぐらいは毎日泳いでも疲れというものは感じなかった。その原因が2年前の怪我によるものか?2年前の怪我以来疲れやすくなったのは事実ですが、怪我と同時に加齢現象が効いたのかもも知れない。
 先日、丸善で新刊を立ち読みしていたら、「すべての疲労は脳が原因」(集英社新書、16年4h月刊)という本を見つけ、GETしてきました。著者は梶本修身さん、大阪市大大学院疲労医学特任教授。1962年生まれと紹介されていた。前書きにこの本の要旨が記されています。
『「疲労」と聞くと「ガス欠」、すなわち車のガソリンがゼロになるようなエネルギー枯渇のイメージを持つ人が多い。また、「仕事や運動をすればエネルギーを消費するから疲れるのは当たり前」と思っている人が多い・。しかし疲れを感じるのはエネルギーが不足したからではない。
 日本は「疲労大国」で、日本人の60%は何らかの疲労を感じている。
過労死を意味する「KAROUSI」は英語に採用されている。
疲労について
運動でストレスを発散すると疲れもすっきりとれる。
ニンニク、ウナギ、焼肉、栄養ドリンクで疲れは軽減する。
温泉にゆっくりつかって疲れを取る。
楽しくお酒を飲めばリセットできる。
これらはすべて科学的裏付けはありません。
では、一般に見られ宇疲労は何が原因で起きるのか?
その答えは、「細胞のサビ」、「酸化ストレス」です。「酸化ストレス」とは、体内で活性酸素が過剰に発生することで生じます。
 もちろん、疲労の原因がすべて参加ストレスというわけではない。しかし大多数の健康な人の疲労には、細胞への酸化ストレスが大きくかかわっています。
 身体の中でどこがいちばん疲れやすいか?
 たとえば、長時間のジョギングや、暑い中のゴルフは「疲れた」と感じるでしょう。しkし、私たちの研究によると、4時間、身体に負荷を与える運動を続けても、実は筋肉や肝機能にはほとんど影響がない。
 では、疲れていないのになぜ「体が疲れた」と感ずるのか?
答えは「脳の自律神経の中枢」にありました。
 ヒトは、運動を始めると、数秒後には心拍数が上がり、呼吸が速く大きくなります。体温の上昇を防ぐべく発汗します。それを秒単位で制御しているのが「脳の自律神経中枢」で、運動が激しくなると、この「脳の自律神経中枢」での処理が増加します。その結果、脳の細胞で活性酸素が発生し細胞が酸化され、本来の自律神経の機能が果たせなくなる。この時脳に「疲労」が生じ、「疲労感」として自覚する。
 世界的に疲労の研究の歴史はまだ浅く、日本において国が研究をスタートさせたのは1990年代です。』
 第1章「疲労の原因は脳にあり」は、運転時の疲れについて、ドライバー必読と感じました。
活性酸素の発生が「疲労」の原因になりますが、活性酸素が直接脳に「疲労感」をもたらすわけではない。
疲労因子と呼ばれる一群のタンパク質が「疲労感」をもたらす。脳内の神経細胞などが、活性酸素で参加されると、細胞内から老廃物が排出され血液中の疲労因子が増加する。そして「活性酸素が細胞を攻撃して疲労因子が増えてきた」という情報が大脳に伝わって疲労感を表出する。
「疲労因子が疲労感をもたらしている」、「疲労とは、疲労因子が体内に多く留まっている状態」です。
疲労から回復するには、活性酸素により酸化され損傷した細胞を修復しなければならない。この役割をになうのが、疲労回復因子と呼ばれるたんぱく質群。年齢をかさねると、疲れがのこりやすいのは、加齢によって、疲労回復因子の反応性が低下するからです。
 第3章で呼吸と疲労の関係を解説します。
疲労回復因子によりダメージの回復が進むかどうかは「睡眠」が大きく影響する。
呼吸は、肋間筋の働きとともに、横隔膜を下げて、肺を陰圧(内部の圧力が外部より低い状態)にすることで、外界の空気を吸い込む動作と、横隔膜を戻して肺から空気を自然に送り出す動作で構成されています。横隔膜を下げて肺に空気を送り込むのはかなりの重労働で、人はそれを休みなく24時間死ぬまで繰り返します。1時間自転車を漕いでも消費するエネルギーは、300キロカロリー程度なのに、何一つ運動しなくても毎日生きてるだけで約1500キロカロリーのエネルギーを消費するのも、呼吸にかなりのエネルギーを要しているからです。
 呼吸は通常でもかなりの運動負荷になっていますが、いびきをかいている状態では、肺に空気を入れるにはさらにエネルギー負荷がかかります。そうなると、自律神経は心拍を早くし血圧をあげて酸素供給量を維持しようと頑張る。その結果、本来、もっとも休めなくてはいけない睡眠中に自律神経をさらに酷使します。
疲労回復にいびきは大敵ということ、
 第4章で、「科学が解明した脳疲労を改善する食事成分」について述べます。
結論だけいうと、イミダペプチドが最も効果的だと言います。
イミダペプチドは何に含まれるかというと鶏の胸肉です。
鶏の胸肉に抗疲労成分がなぜ含まれるかは、渡り鳥の行動を考えるとわかる。
渡り鳥は季節に応じて地上の広い範囲を飛び回る。1年の間に北極圏と南極圏を行き来して3万km以上飛ぶ鳥さえいます。常時疲れずに羽を動かす胸肉に抗疲労成分が大量に含まれるのは不思議でない。
海を回遊するマグロやカツオの尾びれに近い筋肉にも、イミダペプチドは豊富に含まれます。
第5章では、脳疲労を永現する環境について述べます。これも結論を言うと、「ゆらぎのある環境」だといっています。最終章は、疲労しにくい脳の鍛え方。それは「ワーキングメモリーを鍛えること」だそうです。