古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

驚くべき日本語(2)

2014-04-25 | 読書
つまり、日本語という「車」は、世界中の誰にとっても非常に運転しやすい言語だといえます。その車には、日本語の動詞という、とてもスムーズで話し手の指示に規則的に対応する信頼すべきアクセルがついているのです。
日本語は、膠着性(くっつける)の言語で、ある言葉の前、真ん中、後ろに新たな別の「かな」を「くっつける」ことで、その言葉の意味を簡単に変えることができる。ここに英語などには見られない、日本語の驚くべき柔軟性の本質があります。
かなを前に加えてできる言葉の例に「くっつく」、「真っ先」など。真ん中に入れる例には「見る」が「見られる、「とめる」が「とめられる」。後に加える例は、「起こる」が「起こりうる」。
柔軟性のある日本語は他言語ほどの語彙を必要としないのです。
日本語の50音の文字すべてで、しかも一度しか使わずに詩を作るのは想像を絶するほど難しいことでしょう。しかし、日本語は10~11世紀に「いろは歌」を作りました。
「てにをは」を使うと、日本語の名詞はどんな格にもなります。日本語の「てにをは」に似た英語の前置詞は、外国人には難物です。
「バスに乗っています」はI’m on the bus.
「車にのっています」は、「I’m in the car.」です。
onだと屋根に乗っかる。
形容詞も簡潔です。
「若い」とはふつう年齢を表します。
「おいくつになりました?」
「69です」
「えっ、69?若い!」
の「若い」は、「年齢が若い」意味ではなく、「実際の年齢より、若く見える」意味です。他の言語ではここまで簡単に表現できないでしょう。

英語に比べ、日本語は柔軟性があり、語彙が少なくても限りなく多くのニュアンスを簡単に表現できる驚くべき言語です。
日本語は「世界語になる可能性がある」と、筆者はこう述べます。
母語話者の数でいえば、日本語は世界で9番目の言語になります。北京官話が一番多く、英語は母語話者でない数も含めると、北京官話よりも多くの人間が話しています。
英語がこんなにも広範に使われるようになったのは、大英帝国の拡大と勢力のおかげでした。大英帝国が衰退し力を失ったあとには、アメリカ合衆国という、軍事力と世界の道徳を掲げる次の帝国の継承者が英語の拡大に貢献しました。しかし、どの帝国とて永遠に続くことはありえません。すでに私たちは、アメリカの力が徐々に衰えていることを知っています。
これから数十年のうちにおそらく英語以外の言語、特に中国語が、より広く使われるようになるでしょう。
しかし、簡便で柔軟性に富んでいるという性格から、日本語が非日本人に、学習したり使いこなしたりするのに難しくない言語であることを思えば、日本語が世界の共通言語の一つとして非常に需要な役割を果たすに違いないと思います。二つの条件が満たされれば・・・一つの条件は、日本人が、日本語がある種の「特別な」暗号、日本民族の意思伝達にのみ有効な暗号だという誤った考えを捨てることです。
二つ目は、日本語の美しさの本質が、日本の詩人や作家たちが創造してきた世界や人間の本質についての表現にあることに気付くことです。
このように、日本語は、話すのが容易だから世界語として使われる可能性があるというのです。
そのためには、書き方のルールを非日本人に分かり易くする努力が必要だと私は考えます。