古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

はやぶさⅡへの期待

2012-03-27 | 読書
 次は『生命は宇宙からやってきたか』
  DNAをRNAが転写して、そのRNAが蛋白質を作り、蛋白質が細胞を造る。その細胞の核にDNAが入っている。この場合、DNAが蛋白質を作ったと考えるか、蛋白質がDNAを作ったのか?卵が先に出来て鶏をつくったのか、それとも鶏が卵を作ったのか?“DNAが先か蛋白質が先か”は、生物学者の間で注目されているテーマです。

 ここに「RNAワールド」なる仮説が登場する。「蛋白質とDNAの情報をつないでいるRNAが主役だ」というもの。DNAの遺伝情報はいったんRNAに写し取られ、そのRNAが細胞核から細胞質へ流れ出てきて、タンパク質合成が行われる。この場合、RNAはメッセンジャーでそれ以上のものでないと思われていた。DNAは二重らせん構造をしているが、RNAは一本の鎖で折りたたまれて特別な立体構造をとりうる。蛋白質はアミノ酸の鎖で折りたたまれ、これまた特別な立体構造になり、その構造体が酵素になり触媒機能を果たしたり、筋肉の機械的運動を生み出したり、細胞内の骨格を作ったりする。
1980年代初め、RNAを研究していたチェック博士、ある種のRNAも、立体構造のとり方しだいでは蛋白質に似た触媒機能があることを見つけた。これは実に大発見だった。酵素のような触媒となるのは蛋白質だけだと考えられていたからです(チェック博士はこの発見でノーベル賞を受賞)。
つまり生命の初期段階では、RNAが情報を担い、同時に酵素機能を担うような一人二役だった。その後、情報の保全にはより安定したDNAが生み出され、酵素のような細胞機能には蛋白質が作られた。という「RNAワールド」なる概念が誕生しました。
 ところで、地球の誕生はおよそ46億年前である。生命誕生は38億年前だ(というのが現在の学説)とすると、(生物は細胞からなると考えると)無細胞の時代は8億年だったことになる。
これは長いようでいて、生命の歴史全体から俯瞰するとあまりにも短い。生命とは合成と分解の絶え間のないサイクルであり、・・・サイクルを回し続けながらバランスを維持し、少しずつ変容して進化を遂げる。最初の細胞ができてから細胞内小器官が生まれ、さらに細胞が分化し、多細胞化を果たし、植物や動物が出来るのに38億年を要した。
筆者によると、生命とは“動的平衡を維持する存在”であり、“動的平衡を維持する”ことよりも、最初の“動的平衡を生み出すこと”がはるかに困難。RNAが生命の源になる動的平衡を生み出すためには、目も眩むようなトライアル・エラーの繰り返しがあったであろう。そのための時間として8億年はおそらくあまりにも短い。
一つの仮説がある。宇宙のどこかで生命に必要な動的平衡が作りだされ地球に漂着したという考え方(パンスペルミア説)。この仮説に従えば、宇宙の歴史は150~200億年前のビッグバンにまでさかのぼるので、動的平衡誕生までの試行錯誤の時間的猶予があったことになる。
有機物が存在する可能性がある地球近傍惑星への打ち上げが計画されている「はやぶさⅡ」(2014年打ち上げ2020年帰還)への期待大である。