古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

名古屋高裁判決と食料自給率

2008-04-20 | 経済と世相
 「自衛隊のイラク派遣は武力行使放棄などを定めた憲法九条一項に違反」という名古屋高裁の17日の判決は、私は当たり前のことを言っているだけだと思うが、政府にはショックだろう。新聞各紙が論評しているが、概ね、判決に好意的な批評が多い中で、軍事評論家の江畑謙介さんが「世界常識と離れる」との批判を中日朝刊(18日)に載せていた。
【水や食料、燃料はいいが兵員や弾薬はだめなんて世界の常識と懸け離れている。兵員を運ばないことで自分の手が汚れていないというのは自己満足だ。・・・日本は食料自給率が低い。海外貢献せずに飢えてしまっていいのか。】

 実は、今、野口悠紀雄さんの『モノづくり幻想が日本経済をダメにする』(ダイヤモンド社、07年10月刊)を読んでいる。とても面白いので、紹介のメールを後日送信したいと思っています。
 副題が「変わる世界、変わらない日本」というのですが、副題を主題にした方が内容にぴったりでは?と思いました。「世界がどんどん変化していくのに、日本は今までの日本から変わろうとしない」ことを憂いる本だからです。概ね、著者の主張には賛成なのですが、一つどうしても同意できない記述がありました。
 【今、食料の自給率を上げないと心配だとの意見が圧倒的に多い。
 しかし、供給源を世界に求めることによってこそ、豊かな食生活を享受できるのである。世界のさまざまな産出国から最も有利なコストで調達できるというだけではない。食料供給の安全は、供給源を分散化してこそ確保できるのだ。】
 筆者は、資源は国内調達にこだわらず、世界各地から集めることが効率的で、食料の安全保障も可能であると主張する。しかし私は、食料だけは非効率的であろうとも、地産地消に拘るべきだと思っている。将来、地球上の人口増加によって、食料輸出を制限するという動きが出る確率を否定できないと考えるからです。
 ところが、この江畑さんのコメントから、現在の世界は既に、食料自給率が低いと、言いたいことも言えなくなっている、と知りました。

 若し江畑さんの意見が正しいとするなら、政治家は、その実態を国民に説明して、だからこういう行動が必要なのだ、と訴えるべきです。
 国民に何の説明もせず、口先だけで「非戦闘地域」であるとか、「国際貢献」であるとか、ごまかしの答弁を繰り返す政治家には、うんざりです。