古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

バブルの損失

2007-05-28 | 経済と世相
 バブルの崩壊で日本人はいくら損をしたか?という話です。
例えば、ある人が土地をバブル時購入して値下がりして損をしたとしても、その土
地を値下がり前に売った人は得をしている。日本全体では損得なし。勿論、外国の土地・不動産をを高く買って損したケースはあるが、その総額はたいして多くはない。
 ほんとに日本全体で損をしてないか?というとそんなことはない!水泳の帰途、図書館で週刊誌をのぞいていたら、野口悠紀雄さんが、この問題を分析していた。
【もっとも明白なものは、金融機関に注入された公的資金のうち損失が確定した分
だ。その額は・・・10兆4326億円である。(なお、この場合にも得をした人がいる。損失が生じたのは、長銀などの貸付で回収できなかったものがあったからだが、借りた方から見れば金を返していないわけだから、その分だけ得をした。)
納税者が負担したのは、これだけではない。以下に述べよう。
 金融庁の資料によると、全国銀行の不良債権処分損の92年から06年までの累計は、96兆7828億円である。・・・
 ところで、銀行の会計処理でこれが損失とされることと、法人税において損金と認められることは、別の問題である。バブル崩壊前の日本の税制では、貸出先が破綻せずに存続している限りは、損金扱いを認めなかった。
 ところが、不良債権の処理を本格化させるために、一定の条件の下で、貸出先が破綻していなくとも損金扱い(無税償却)を認めることにした。・・・
不良債権処理分のうち、どれだけが無税償却だったのかは、分からない。ただし、
大部分は無税だたのではないかと想像される。仮に全額が無税償却だったとすると、前記97億円弱に法人税実効税率(約40%)をかけた分だけ、銀行の税金負担が減った。その額は38兆7131億円である。90年代以降、法人税税収は激減したのだが、その大きな理由はここにあった。
 繰り返すが、不良債権の無税償却は、もともと認められている措置でなく、特例
だ。だから、銀行に対する補助金とみなすことができる。
公的資金とあわせれば納税者の負担は約49兆円(国民一人当り約38.5万円)
にのぼったことになる。
これだけの額を、銀行の放漫経営の尻拭いのために納税者が負担させられたのであ
る。・・・これほど不合理なことがまかり通る国は、世界広しというども、日本だけだろう。】
蛇足だが、今もメガバンクは法人税を納めていない。税金を納めなくても政党献金
したいらしくて、銀行協会は自民党に献金を申し出たが、さすがに、安倍総裁は断ったらしい。
 結論、バブルの損失は、借りた金を返さなかった額で把握できる。つまり、銀行の
損失額を見れば分かるのだが、その多くは国民の税金に付けを回された。