古稀の青春・喜寿傘寿の青春

「青春は人生のある時期でなく心の持ち方である。
信念とともに若く疑惑とともに老いる」を座右の銘に書き続けます。

宮島 2

2004-12-06 | 旅行
 次は鹿の話。「紅葉に鹿」は絵になると、カメラに収めたいのですが、中々思う位
置に行って呉れない。風間先生が声をかけても、いつかな動きません。そこでポケッ
トから饅頭を取り出し食べさせると、今度は喜んで何処までも先生に付いて行く。
 「現金なもの」と、笑っちゃいましたが、先日、静岡県佐久間町の山村に住む伯父
に逢った時の話を思い出しました。
 「今年は、猿が畑に出てのー、作物をかじってしまうんだ」。遠州は暖国ですか
ら、クマは出ませんが猿がでるようです。
 「山ん中の喰いもんより人間の作ったもんの方が旨いんで、味を覚えるとなア」と
嘆いていた。
 鹿も同様で、「もみじ饅頭」は旨かったのでしょう。
 でも、旨い食い物を呉れる人に付いて行くのは、人間も本質的には同じかもしれま
せんね。

 もみじ谷公園方面に歩いて、それから、木の間隠れに見える宮島湾、神社などの景
色を見ながら坂道を下りてきました。
 「宮島に雪が積もることありません?」と聞いて見た。厳島神社の赤い社殿を、雪
の中に置いたらどんな具合だろうと、ふと、思ったからです。「雪は積もらない」と
のご返事でした。

 日本の建築は、背景に溶け込んでその美しさを表現すべく設計されている。厳島神
社は足元を洗う宮島湾の波とともに見て、その美を堪能できるのだ。若しかしたら、
平清盛の頃は、白雪を背景にした社殿が見られたかも?と、妄想しました。

 西洋の建築は、建物自体に、環境とは別に美を設計するから、例えば、ルーブル美
術館を仮にベルリンに持っていっても、その美は変わらない、と思う。日本建築はそ
うでない。
 岡倉天心は、と突拍子もないことを想起しました。「茶の本」の中で、「茶」の背
景には道教の思想がある、例えば、壷の有用性は、壷自体でなく、壷の中に入り込ん
でいる「空」にあり、茶室の美も同様だと説いていた。
 日本建築も、建築の中の空間の設計に工夫が見られる。建築の中だけでなく、建築
が置かれる空間をも設計している、と愚考しました。

 港近くで、かきの焼いた味を賞味させて頂き、宮島の旅を終えました。広島駅に3
時、皆様と別れホテルで預けた荷物を受け取り3:46ひかり乗車、帰宅したのは7
時でした。

 以上で3日間の旅、思いつくままの紀行文終ります。編集長他皆様方、有難うござ
いました。