shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Please Please Me」南アフリカ盤

2021-01-31 | The Beatles
 私はこれまで様々な各国盤を聴いてきたが、その中で最も当たり外れが大きかったのが南アフリカ盤である。最初に買った「Hey Jude」とその次に買った「Let It Be」が大ハズレで一度は絶縁を決めたものの、去年B-SELSの「日記」に “初期の南ア・モノラル盤は音が良い” と書いてあったのを読んで、試しに「Rubber Soul」の南ア盤を聴かせていただいたところ、南ローデシア盤に遜色のないくらい良い音で鳴ったのでクルッと手のひらを返し(笑)、“初期~中期までのモノラル音源を南アフリカ / 南ローデシア盤で揃えよう” と心に決めたのだった。
 幸いなことに南ローデシア盤は「A Hard Day's Night」「Help!」「The Big Beat of The Beatles」の3枚を、南アフリカ盤は「Rubber Soul」と「Revolver」の2枚を順調に手に入れることができ、中々出てこなかった南ロー盤「Beatles For Sale」も年明け早々にB-SELSで入手。残すは「Please Please Me」と「With The Beatles」の2枚だけとなっていた。
 そんな折も折、1月16日付のB-SELSの「日記」コラムを見ると “PLEASE PLEASE ME 南アフリカ モノラル!!” というタイトルが目に飛び込んできた。“ついに来たか!” とワクワクしながら中身を読むと “南アフリカ独自の何かを主張しているような、芯のある、個性的な音” “何か幸せを感じさせるような音” “間違いなく良い音” と表現されている。私はSさんの書かれた文章を読んで自分好みの音かどうか大体わかるのだが、この“芯のある”と“幸せを感じさせる”という2つのフレーズから “これは当たりに違いない” と確信し、翌17日にB-SELSに行くことにした。
 お店に入り、“日記にあった南ア盤「Please Please Me」を聴かせて下さい!” と言うと “是非聴いていって下さい。盤質がとても良いんですよ... (^.^)” と仰る。こちらは買う気マンマンで来てるのに “聴いていく” だけですむはずはないよな... と思いつつ(笑)耳に全神経を集中させる。
 ワン、ツー、スリー、フォー! 1曲目「I Saw Her Standing There」のイントロが店内に響きわたる。おぉ、何というナチュラルな音だろう! UKオリジナル盤の鮮烈な音とはまた違った魅力を感じさせる親しみやすい音で、何よりも音の余韻が素晴らしい!!! 空気感とでも言えばいいのか、一つ一つの音の響き・質感がとてもまろやかなのだ。特にA③「Anna」やA⑥「Ask Me Why」のジョンの切々としたヴォーカルにはゾクゾクさせられるし、その一方でA⑤「Boys」なんかは初期ビートルズ特有のエネルギー感がバッチリとスピーカーから迸り出てくるのだからたまらない。
 これらの特性は独自カッティングによるものだろうが、盤質の良さも大いに貢献していることは間違いない。とにかく曲間の無音部分も含めてサーフェス・ノイズが極端に少ないことにビックリ(゜o゜)  ネット・オークションに出てくる南アフリカ盤ってGとかVGとかのガチャ盤がほとんどなのだが、何故かB-SELSの盤はキレイなのが多い。“アフリカに何か特別な仕入れルートでもあるんですか?” と聞いたら大笑いされてしまったが...
 A面を聴き終えた段階で既に心は決まっていたが、折角なのでB面も聴かせていただく。B②「P.S. I Love You」に見た目上少し目立つスリキズがあるが実際に聴いてみると音にはほとんど出ない良性のもので(←ポリープかよ...)まずは一安心。それより何よりB③「Baby It's You」のジョンの歌いっぷりに心が激しく揺さぶられる。う~ん、これは素晴らしい!!! 音圧や迫力の点ではUKオリジナル盤に軍配が上がるが、ジョンの歌心溢れるヴォーカルを堪能したいならこの南アフリカ盤に勝るものは無い。
 B⑦「Twist And Shout」を聴き終え、満足感に浸りながら “これめっちゃエエですね。買います!!!” と言うと“気に入っていただけてよかったです。” とSさんも嬉しそう。家に持ち帰って自分のシステムでかけてみて、改めて中低域の充実ぶりと倍音の見事な再現力に感心させられた。ほぼノイズレスでこれだけの音が聴けるんやからB-SELSに足を向けて寝れませんわ。