shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Down To Earth / Rainbow (Pt. 2)

2012-11-18 | Hard Rock
 このアルバムは①「オール・ナイト・ロング」で幕を開ける。2代目ヴォーカリスト、グラハム・ボネットの名刺代わりの1曲であり、いきなりイントロの “ウォウゥ ウォウゥ ウゥ~♪” という雄叫びに度肝を抜かれる。まるでロニーの影を振り払うかのように響き渡るドスの効いたヤクザなヴォーカルは唯一無比で、まさにやっさんの魅力全開の名唱である。ドスドスと切り込んでくるコージーの剛力ドラムも実に強烈で “これぞレインボー!” と言うべきハードボイルドなサウンドが楽しめるのだが、メロディーに強烈なフックがあるのでちゃーんと “キャッチーで親しみやすいハードロック” になっているところが凄い。新生レインボーの1曲目にピッタリのナンバーだ。
 しかし歌詞には大きな変化が見られる。ロニーに “中世ファンタジーではなくラヴソングを書け!” と言っていたリッチーの方針通りにここで一気に方向転換、アメリカでウケそうな軽~い内容にシフトしていくのだが、それにしてもエライ変わりようである。少し前までは “バビロンの城門がどーたらこーたら” とか “王を殺せ!” とかいった中世趣味的な内容だったのがココにきていきなり “ねぇ彼女、ワイン飲む? 名前は? 今ひとり?” とたたみかけ、 “君に触れたい... オレのモノにしたい...” と露骨な表現で女性をナンパする歌詞が飛び出してくるのだからその落差にビックリ...(゜o゜) 歌詞を書いたのはロジャー・グローヴァー爺... 老いてますます盛んとはこのことか。
 PV も笑撃のケッサクで、ステージ袖でクネクネ踊ってる金髪のネーチャンをチラ見しながらグラサンに白ジャケット姿で歌うやっさん、いつもの黒衣で黙々とギターを弾く御大、そしてラフなスタジャン姿(?)でドラムを叩きまくるコージーと、見事にメンバーのファッションがバラバラなところが笑える。このビデオ、ホンマにオモロイわ...(^.^)
Rainbow All Night Long High Quality


 これに続く②「アイズ・オブ・ザ・ワールド」も素晴らしい。まるで全盛期のフォリナーのハードな側面だけを抽出して濃縮還元したかのようなキャッチーな歌メロを絶妙に歌いこなすやっさんの、ヴォーカリストとしての懐の深さを満天下に知らしめるナンバーだ。初めてこのアルバムを聴いた時、①②の連続パンチに完全KOされたのを覚えている。
 まずイントロの壮大なキーボードから風雲急を告げるようなムードが立ち込め、コージーの重量級ドラミングが爆裂してテンションは一気にマックスへ。曲を完全に自分のものにしたやっさんの力強いヴォーカル、アグレッシヴに弾きまくる御大のギター・ソロ、この曲の陰のMVPと言ってもいいぐらい変幻自在なプレイを聴かせるドン・エイリーのキーボードと、三頭体制期を想わせるドラマチックな展開が圧巻で、6分40秒という長さを微塵も感じさせない名曲名演だ。ギター・ソロの後にさりげなく入るピアノなんかまさに“音楽を分かっている”者にしか出来ない見事な職人ワザと言えるだろう。
Rainbow - Eyes Of The World


 ③「ノー・タイム・トゥ・ルーズ」は70年代AC/DCを想わせるストレートなロックンロールで、コージーの刻むへヴィーなリズムとリトル・リチャード顔負けのシャウトを聴かせるやっさんのヴォーカル(0分59秒のお茶目な “アハッ♪” にはクソワロタ...)がめっちゃエエ感じ。レインボーには非常に珍しいバック・コーラスもばっちりキマッている。
Rainbow - No Time To Lose


 このアルバム中で私が一番好きなのが⑧「ロスト・イン・ハリウッド」で、私の中では「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」と一二を争うレインボーのベスト曲だ。イントロのコージー怒涛のドラミングから目も眩むようなスピードで繰り広げられるスリリングな演奏はまさに鳥肌モノ! 爆発的な圧力で背後からガンガン煽りまくるコージーのドラムをガッチリと受け止め、 “パワーにはパワーで対抗” するかのように強烈なダミ声でガナりながら凄まじい勢いで突っ走るやっさんに “炎のヴォーカリスト” の真骨頂を見る思いがする。更に絶妙なチェンジ・オブ・ペースになっているドン・エイリーのキーボード・ソロを受けて満を持したかのように御大リッチーが登場、キレキレ状態でめちゃくちゃカッコ良いソロをキメるところがたまらんたまらん(≧▽≦)
 とにかくメンバー全員の鬼気迫るハイテンションなプレイの応酬に圧倒されるこの曲、ちゃんとバック・コーラスで要所要所をシメながらメロディアスに疾走するところなんか80年代HRシーンを先取りしているように思う。これこそまさに “ハードロック桃源郷” である。レッド・ゼッペリンに「ロックンロール」があるなら、レインボーにはこの「ロスト・イン・ハリウッド」がある... そう言い切ってしまいたいぐらいカッコ良いキラー・チューンだ。アルバムのラストを飾るのにこれ以上相応しい曲はないだろう。
Rainbow - Lost In Hollywood


 結局グラハム・ボネットはこの「ダウン・トゥ・アース」1作きりでレインボーを脱退(←仲良しのコージーが辞めてすっかりヤル気を無くしたらしい...)、4オクターブあるといわれるその声を活かしてマイケル・シェンカーやイングヴェイ・マルムスティーン、スティーヴ・ヴァイといったスーパー・ロック・ギタリスト達と共演することになるのだが、その輝かしいキャリアを見れば彼がどれほど素晴らしいヴォーカリストなのかが分かるだろう。軽々しく “やっさん” 呼ばわりしてナメとったら怒るでしかし!
【おまけ】やっさんwww

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