レインボー祭りもいよいよ80年代に突入だ。ハードロック史に残る名盤「ダウン・トゥ・アース」を作り上げ、リッチー、コージー、やっさんの “新三頭体制” スタートかと思った矢先、レインボー・サウンドの屋台骨を支えてきたコージーがバンドのコマーシャル化に我慢できなくなり脱退、これにすっかりヤル気をなくしたやっさんもニュー・アルバムのリハーサル中にアメリカに帰ってしまいそのまま脱退と、バンドは飛車角抜きの危機的状態に陥るが、オレがオレがオレがのリッチー御大はドラマーにボビー・ロンディネリ、そして3代目ヴォーカリストにジョー・リン・ターナーを迎えて親米コマーシャル化路線を更に推し進め、バンドの転生を図る。その結果生まれたのがこの5thアルバム「ディフィカルト・トゥ・キュア」(邦題は「アイ・サレンダー」)である。
このアルバムを聴いての第一印象は、メンバー・チェンジによってサウンドがガラッと変わったなぁということ。 “メロディアスでパワフルで緊張感漲るハードロック” というのがそれまでのレインボーの売りだったが、いかんせんコージーとやっさんの抜けた穴は大きく、 “メロディー” は相変わらず健在だったもののハードロックの生命線と言うべき “パワー” と “緊張感” においては明らかに後退しており、ごく普通のアメリカン・ロック・バンドのような聴きやすいサウンドになってしまっている。まぁそれこそがリッチーの狙いだったのだが...
新ヴォーカリストのジョー・リン・ターナーは “吠え” も “ガナリ” もしないイケメン・シンガーで、リッチーの考える “アメリカ受けするロック” にはピッタリだったが、アンドレややっさんという “キャラが濃い” ヴォーカリストに比べて線の細いジョーではどうしても見劣りがしてしまう。例えるならハミルトンの抜けた後にペレスが入ったマクラーレンみたいなモンで(←F1ファンにしか通じないマニアックな例えですんません...)、 “この曲にはこの声でないと...” という決定的な吸引力に欠けるのは否めない。ということで “三頭体制” から “一頭支配” へと変わってしまったレインボーだが、それでも聞かせてしまうのはひとえにリッチー御大の “唯一無比な” ギターの魅力故だろう。
ジャケット・デザインはフロイドやゼッペリンで名を馳せたあのヒプノシス。何でも元々はブラック・サバスの「ネバー・セイ・ダイ」用に作られて不採用になったものをレインボーの新作に流用したとのことで、おそらく原題の「Difficult To Cure」に引っ掛けたのだろうが、私的にはちょっとビミョー(>_<) 少なくともジャケットから音が聞こえてくる “ジャケ名盤” からは程遠い安直なデザインだ。
このアルバムでは前作の「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」に引き続きラス・バラードの作品①「アイ・サレンダー」を取り上げている。これはもう “一体どうすればアメリカで愛されんだぁ???” というリッチーの気持ちの表れ... なワケないか。冗談はさておき、アルバムから 1st シングルとしてカットされたこの曲は当時ラジオから頻繁に流れており、 “アィサレェ~ンダ、アィサレェ~ンダ♪” と執拗に繰り返されるサビメロはしっかりと頭にこびり付いていたが、私的には “「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」よりははるかにマシやけど、レコードを買いたいと思うほどではないな...” というのが正直なところで、まぁ可もなく不可もなしといった感じ。やはりまだ “リッチーといえば「ハイウェイ・スター」や「バーン」...” というようにディープ・パープルの幻影を追っていたのだろう。
しかしあれから30年以上が経った今の耳で聴くとこれが中々の名曲名演で、ジョー・リン・ターナーの線の細いヴォーカルもかえって適度な哀愁を醸し出していてエエ感じやし、何よりもバックでガンガン響き渡るキーボードの連打がめちゃくちゃ効いている。御大の歌心溢れるギター・ソロも文句ナシで、実に良く出来たパワー・ポップに仕上がっているのだ。尚、この曲はアメリカでは105位止まりと全くヒットしなかったがイギリスでは「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」の6位、「オール・ナイト・ロング」の5位に続いて3位まで上昇、レインボーの親米路線サウンドは何故かイギリスでウケが良いようだ...(笑) (つづく)
RAINBOW [ I SURRENDER ] PROMO-VIDEO.
【おまけ】YouTube で何と西城秀樹ヴァージョンの「アイ・サレンダー」を発見! やっさんの「ナイト・ゲーム」をカヴァーしてるのは知ってたけど、まさかレインボーまでカヴァーしてるとは...(゜o゜) 他にも「オール・ナイト・ロング」とか「アイズ・オブ・ザ・ワールド」とか、やっさん時代のナンバーを中心に何曲か歌っているのだ。きっとレインボー大好きなんやね。面白いので貼っときます。
西城秀樹 アイ・サレンダー ラビィングユー・ベイビー
オールナイトロング 西城秀樹
HIDEKISAIJO アイズ・オブ・ザ・ワールド
このアルバムを聴いての第一印象は、メンバー・チェンジによってサウンドがガラッと変わったなぁということ。 “メロディアスでパワフルで緊張感漲るハードロック” というのがそれまでのレインボーの売りだったが、いかんせんコージーとやっさんの抜けた穴は大きく、 “メロディー” は相変わらず健在だったもののハードロックの生命線と言うべき “パワー” と “緊張感” においては明らかに後退しており、ごく普通のアメリカン・ロック・バンドのような聴きやすいサウンドになってしまっている。まぁそれこそがリッチーの狙いだったのだが...
新ヴォーカリストのジョー・リン・ターナーは “吠え” も “ガナリ” もしないイケメン・シンガーで、リッチーの考える “アメリカ受けするロック” にはピッタリだったが、アンドレややっさんという “キャラが濃い” ヴォーカリストに比べて線の細いジョーではどうしても見劣りがしてしまう。例えるならハミルトンの抜けた後にペレスが入ったマクラーレンみたいなモンで(←F1ファンにしか通じないマニアックな例えですんません...)、 “この曲にはこの声でないと...” という決定的な吸引力に欠けるのは否めない。ということで “三頭体制” から “一頭支配” へと変わってしまったレインボーだが、それでも聞かせてしまうのはひとえにリッチー御大の “唯一無比な” ギターの魅力故だろう。
ジャケット・デザインはフロイドやゼッペリンで名を馳せたあのヒプノシス。何でも元々はブラック・サバスの「ネバー・セイ・ダイ」用に作られて不採用になったものをレインボーの新作に流用したとのことで、おそらく原題の「Difficult To Cure」に引っ掛けたのだろうが、私的にはちょっとビミョー(>_<) 少なくともジャケットから音が聞こえてくる “ジャケ名盤” からは程遠い安直なデザインだ。
このアルバムでは前作の「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」に引き続きラス・バラードの作品①「アイ・サレンダー」を取り上げている。これはもう “一体どうすればアメリカで愛されんだぁ???” というリッチーの気持ちの表れ... なワケないか。冗談はさておき、アルバムから 1st シングルとしてカットされたこの曲は当時ラジオから頻繁に流れており、 “アィサレェ~ンダ、アィサレェ~ンダ♪” と執拗に繰り返されるサビメロはしっかりと頭にこびり付いていたが、私的には “「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」よりははるかにマシやけど、レコードを買いたいと思うほどではないな...” というのが正直なところで、まぁ可もなく不可もなしといった感じ。やはりまだ “リッチーといえば「ハイウェイ・スター」や「バーン」...” というようにディープ・パープルの幻影を追っていたのだろう。
しかしあれから30年以上が経った今の耳で聴くとこれが中々の名曲名演で、ジョー・リン・ターナーの線の細いヴォーカルもかえって適度な哀愁を醸し出していてエエ感じやし、何よりもバックでガンガン響き渡るキーボードの連打がめちゃくちゃ効いている。御大の歌心溢れるギター・ソロも文句ナシで、実に良く出来たパワー・ポップに仕上がっているのだ。尚、この曲はアメリカでは105位止まりと全くヒットしなかったがイギリスでは「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」の6位、「オール・ナイト・ロング」の5位に続いて3位まで上昇、レインボーの親米路線サウンドは何故かイギリスでウケが良いようだ...(笑) (つづく)
RAINBOW [ I SURRENDER ] PROMO-VIDEO.
【おまけ】YouTube で何と西城秀樹ヴァージョンの「アイ・サレンダー」を発見! やっさんの「ナイト・ゲーム」をカヴァーしてるのは知ってたけど、まさかレインボーまでカヴァーしてるとは...(゜o゜) 他にも「オール・ナイト・ロング」とか「アイズ・オブ・ザ・ワールド」とか、やっさん時代のナンバーを中心に何曲か歌っているのだ。きっとレインボー大好きなんやね。面白いので貼っときます。
西城秀樹 アイ・サレンダー ラビィングユー・ベイビー
オールナイトロング 西城秀樹
HIDEKISAIJO アイズ・オブ・ザ・ワールド