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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Beatles Anthology 3 (Disc 2-Pt. 1)

2009-10-22 | The Beatles
 アンソロジー・シリーズもいよいよ大詰め、3のDisc-2 に突入だ。この盤は大雑把に言うと、前半がいわゆる “ゲット・バック・セッション” 、後半が “アビー・ロード・セッション” という構成になっている。この時期のアウトテイクスはアナログLP時代にセッセと音の悪いブートで集めたきりだったので、このアンソロジー3で初めて耳にしたテイクも多く、ワクワクドキドキしながら聴いたものだった。 “ゲット・バック・セッション” 音源は当然ながら雰囲気の悪かったトゥイッケンナム・フィルム・スタジオでのものではなく、ビリー・プレストンが参加して生まれ変わったように素晴らしい演奏を繰り広げたアップル・スタジオでのものが採用されているのが嬉しい。
 ①「アイヴ・ガット・ア・フィーリング」は数あるこの曲のテイクの中でも私が一番好きな歌と演奏で、ポールの鬼気迫るヴォーカルといい、ノリノリで雄叫びを上げる(1分31秒)ジョンといい、気合い十分だ。このグルーヴこそがビートルズなんだと快哉を叫びたくなるようなヴァージョンだ。曲が終った後でジョンが “俺のギター・アンプの音量ちょっと上げすぎちゃったけど、そんなに悪くなかったろ?” とポールに言っているのが微笑ましい。②「シー・ケイム・イン・スルー・ザ・バスルーム・ウインドウ」は後に「アビー・ロード」に収録される完璧なテイクの原型ともいうべきラフな演奏が聴けて実に興味深い。それはまるでダイアモンドの原石のようだ。尚、曲が終わった後、ポールがジョンに “ここんところ、もっと色んなアレンジのヴァリエーションを試したい...” と言っているのが生々しい。③「ディグ・ア・ポニー」は演奏のノリが抜群で、①同様ここに収められたヴァージョンが一番好きだ。彼らも満足そうで、曲が終わった後にポールが “俺たち時間をかければかけるほど良くなっていくんだぜ。高級ワインみたいなモンさ!” と言っている。
 ④「トゥー・オブ・アス」はアコースティック・ヴァージョンはどれも公式ヴァージョンと雰囲気が似てしまうものだが、このテイクは2人のヴォーカルがラフな分(アコースティック・アレンジに変えてから、まだ時間が経ってない初期リハ段階?)吸引力が増し、かえって印象に残る。めっちゃカッコイイ入り方をする⑤「フォー・ユー・ブルー」も、言っちゃ悪いがスペクターの公式ヴァージョンなんか足元にも及ばないぐらい躍動感に溢れた演奏だ。コレを聴いて私の中の「フォー・ユー・ブルー」に対する評価は急騰した。とにかくアンソロジー収録の “ゲット・バック・セッション” 音源は最高だ!⑥「テディ・ボーイ」は当初幻のアルバム「ゲット・バック」に入っていたが結局は外されてポールの1st ソロ「マッカートニー」で日の目を見たナンバー。ここではビートルズによるこの曲の初期の(多分...)リハ・テイクが聴ける。
 ⑦「リップ・イット・アップ / シェイク・ラトル・アンド・ロール / ブルー・スウェード・シューズ」はロックンロール・クラシックスのカヴァー3連発をメドレーにしたもので、たとえライブ活動をやめてもビートルズがバリバリのロックンロール・バンドであることを満天下に示す名演だ。彼らも実に楽しそうで、ジョンなんか “ブラウン・スウェード・ブーツ、イェ♪” (2分49秒)とアドリブをかましてノリまくっている。⑧「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」はもう何の説明も不要なぐらいに語り尽くされてきた “ポールが意図した” シンプルなヴァージョン。アルバム「レット・イット・ビー」の時にも書いたが、私はこの素朴そのものの和食ヴァージョン(笑)が大好きだ。⑨「オー・ダーリン」も②同様、「アビー・ロード」ヴァージョンの原型ともいうべき荒削りな演奏ながら、リラックスした雰囲気が伝わってきてめっちゃエエ感じ。一旦曲が終わった後、ジョンが “ヨーコの離婚が成立して嬉しいなったら嬉しいな~♪” とアドリブで歌い始め、その替え歌にポールがハーモニーを付けるところが面白い。相変わらずの仲良しさんだ(^.^)
 ⑩「オール・シングス・マスト・パス」は言わずと知れたジョージの3枚組大作のタイトル曲で彼のソロ・レコーディング、⑪「メイルマン、ブリング・ミー・ノ・モア・ブルース」はバディ・ホリーのカヴァーで、ジョンが気だるそうな感じで歌っている。コレに思いっきりエコーをかけて情け容赦ないリヴァーヴ攻撃に晒したら、75年のソロ「ロックンロール」に入りそう...かな?
 ⑫「ゲット・バック」はルーフトップ・コンサートのエンディングで歌われた方のヴァージョンで、屋上に上がってきた警官の指示で演奏途中にジョンとジョージのギターのアンプがオフにされた、あの演奏だ。この曲は何と言っても演奏をグイグイ引っ張るリンゴのドラミングとドライヴ感あふれるジョンのリード・ギターが圧巻なのだが、映画「レット・イット・ビー」の中で、ジョンが歌い続けるポールの方を向いてアンプを指さして “どないすんねん?” みたいなポーズをし(←39秒あたり)、その後ジョージがアンプのスイッチを入れて、これまためちゃくちゃカッコ良いリズム・ストロークを再開するところ(←47秒あたり)なんかもう何度見てもゾクゾクする。そして何よりも嬉しかったのが、ずぅ~っとヨーコにベッタリで終始ヤル気のなさそうだったジョンが実に生き生きとギターを弾き、ポールの方を向いて笑顔を見せ(2分40秒)、楽しくてたまらん!みたいな感じでリズムを取るシーン(2分54秒)を見れたこと。いくらケンカしていても一旦演奏が始まればすぐに最高の4人組に戻れるっていうのが素晴らしい。何かめっちゃ暗~い感じで始まったあの映画にこんなイカしたエンディングが用意されていたなんて、やっぱりビートルズは何をやっても絵になるなぁ...(≧▽≦)

The Beatles - Get Back : Version 2 (Apple Rooftop) [HD]

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こんにちわ! (ルーフ)
2009-10-23 01:27:17
shiotch7さんに質問なんですが…

ビートルズっていうと、メロディメーカーとしてはもちろん高い評価を受けてるわけですが、演奏テク的には、どのような評価なのでしょう?

例えばジョージのギターを揶揄する向きがありますが…
他にはリンゴのドラムはそこそこイケてた、とか…

ぶっちゃけ、うまかったんですか?それともヘタだったんでしょうか?
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うまかったと思います (shiotch7)
2009-10-23 02:57:24
ルーフさん、こんばんは♪

私見ですが、それは「うまい」という言葉の定義によるのではないでしょうか。
例えば誰とは言いませんがめちゃくちゃ速弾きするけど
聴いてて何も伝わってこないギタリストっていますよね。
そういう人を「うまい」というかどうかだと思うんですよ。
だからひいき目ではなく、私はビートルズは “うまかった” と思ってます。
“ヘタだった説” の根拠になってるのは多分65~66年のライブで
日本公演みたいにグダグダな演奏があったからだと思いますが
想像を絶する嬌声の中、自分の出してる音すら聞こえない状態で
楽器を正確に弾くなんて出来ないでしょ?
耳栓して楽器弾くようなモンですから。
スタジオ・ライブ形式の一発録りで録音された「ウィズ・ザ・ビートルズ」や
アップル・ビル屋上で繰り広げられた「ルーフトップ・コンサート」を聴けば
ビートルズって聴く者をグイグイ惹きつける
巧さを持ったグループだったと思います。
因みにポリスのアンディー・サマーズは
ジョージの腕前について訊かれ、こう言ってます:
「ジョージはとても上手いギター・プレイヤーだったし正確なプレイをした。
彼のプレイを聴き直してごらん。とにかく聴かせるよ。
彼は曲の持つフィーリングをよく捉えて
素晴らしく、そして味のあるギターを弾いたね。」
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