アンソロジー・シリーズは複数のテイクを組み合わせた “新ヴァージョン” を積極的に生み出したが、⑫「グッド・ナイト」なんかも初期のリハ・テイクとテイク34のストリングスを合成させてあり(←ちょうどアンソロ2の「イエス・イット・イズ」と同じ手法)、エンディングがまだ完成してなかったとはいえ、 “木に竹を接ぎました感” が強く、私としては前半部の素朴な感じを活かした編集にしてくれた方が良かったように思うが、これはまぁ人それぞれなのだろう。
このアンソロジー3のディスク1はそれまでのアンソロジー1、2の計4枚に比べてアコースティック色が強く、しかも一聴して公式ヴァージョンと大して変わらないようなテイクも結構含まれている(←コレはコレである意味凄いことなのだが...)ので1枚通して聴くとやや単調で地味な印象を受けてしまう。例えば⑬「クライ・ベイビー・クライ」や⑭「ブラックバード」、⑲「マザー・ネイチャーズ・サン」なんかがそうだと思うが、もっとロックンロール色の強いナンバー(「バック・イン・ザ・USSR」や「バースデー」、「ミー&マイ・モンキー」etc)の初期テイクで先の「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」みたいに思わず唸ってしまうような新ヴァージョン発掘を期待してしまうのは贅沢なのかな?
そんな中で一見地味ながら私の心にグッと食い込んできたのが⑯「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウイープス」のアコースティック・ヴァージョンで、スパイス程度にポールのオルガンが入っている以外はジョージのアコギ弾き語りという超シンプルな歌と演奏なのだが、これがもう涙ちょちょぎれるぐらい素晴らしい!もちろんクラプトンが泣きまくる公式ヴァージョンがエエのは論を待たないが、このシンプルイズベストを絵に描いたようなヴァージョンからは幽玄の美のような儚さが滲み出ておりめちゃくちゃ感動的だ。アンソロジー・ビデオの第7巻の最後にこの曲が流れてきた時はゾクッとしたし、主人公が非業の死を遂げるような大作ドラマのエンディング曲なんかに使ったらぴったりハマりそうな気がする。そう言えば、2006年に出たアルバム「ラヴ」でジョージ・マーティン父子がここからオルガンをイレースし、代わりにストリングスを被せてリミックスしていたが、ずーっとやってみたかったんやろなぁ...
⑰「ヘイ・ジュード」はリハーサル・テイクで、アタマの部分でジョンが “From the heart of the black country” とカマし、それを受けてすかさずポールが “When I was a robber in a Boston place... you gathered round me with fine embrace...” と歌い、そのまま“ヘイ ジュー♪” へとなだれ込む。この辺の生々しさがタマランわぁ... (≧▽≦) 4分21秒という長さもちょうどいい感じで言うことなし。他のポール曲では手探り状態から徐々に曲を練り上げていく様子がわかる(21)「ロッキー・ラックーン」、屈指の大名曲はテイク1から既にほぼ出来上がっていたことが判明した(25)「アイ・ウィル」、それと同じセッションで即興で歌われた(23)「ステップ・インサイド・ラヴ / ロス・パラノイアス」、ただひたすら同じフレーズを繰り返しながら様々な歌い方を試し、最後に誰かに向って(ジョン?マーティン?) “どれがエエと思う?” と意見を求める(26)「ホワイ・ドント・ウィー・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード」と、ポールの絶好調ぶりが伝わってくる。
ジョージの未発表曲⑱「ノット・ギルティ」は1979年のソロ・アルバム「慈愛の輝き」でアコースティックなヴァージョンが日の目を見たが、このビートルズ・ヴァージョンはこの時代らしいへヴィーでエッジの効いたギターのサウンドがカッコ良い。単調な旋律の曲なので、サウンドに凝るしかなかったのだろうが、2分35秒を過ぎたあたりからギターが唸りまくるところなんか大好きだ。
この時期のジョンは出来不出来が激しいように思えるのだが、特に意味不明なのが未発表曲(22)「ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」で、「レヴォリューション9」と同様、ヨーコの前衛趣味に感染したかのようなワケのわからん曲だ(>_<) ⑮「セクシー・セディ」や(24)「アイム・ソー・タイアード」も何となく重苦しい雰囲気で聴いてて正直しんどくなることがある。それに比べて⑳「グラス・オニオン」の痛快なまでのカッコ良さ、これでこそジョン・レノンだ。様々な効果音も満載で特に電話のベルやガラスの割れる音なんかは面白いが、これを聴いた後に公式ヴァージョンを聴けばそういった効果音の代わりに弦楽器のオーヴァーダブを提案したジョージ・マーティンの鋭さが実感できる。ラストの(27)「ジュリア」は演奏終了後のジョンとポール(多分コントロール・ルームで演奏を聴いてた...)の会話が印象的で、 “スッゲー良かったけど、1・2ヶ所あやしいとこもあったからもう1回演ってみぃひんか?” “あれぐらい別にかまへんやん...” “まぁそぉ言わんと...” “完璧ちゃうん?” “確かに良かったで。でもな、...” というやり取りが和やかなムードで交わされるのだ。やっぱりこの二人、仲エエんちゃうの(^o^)丿
The Beatles - "While My Guitar Gently Weeps" (Anthology Version)
このアンソロジー3のディスク1はそれまでのアンソロジー1、2の計4枚に比べてアコースティック色が強く、しかも一聴して公式ヴァージョンと大して変わらないようなテイクも結構含まれている(←コレはコレである意味凄いことなのだが...)ので1枚通して聴くとやや単調で地味な印象を受けてしまう。例えば⑬「クライ・ベイビー・クライ」や⑭「ブラックバード」、⑲「マザー・ネイチャーズ・サン」なんかがそうだと思うが、もっとロックンロール色の強いナンバー(「バック・イン・ザ・USSR」や「バースデー」、「ミー&マイ・モンキー」etc)の初期テイクで先の「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」みたいに思わず唸ってしまうような新ヴァージョン発掘を期待してしまうのは贅沢なのかな?
そんな中で一見地味ながら私の心にグッと食い込んできたのが⑯「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウイープス」のアコースティック・ヴァージョンで、スパイス程度にポールのオルガンが入っている以外はジョージのアコギ弾き語りという超シンプルな歌と演奏なのだが、これがもう涙ちょちょぎれるぐらい素晴らしい!もちろんクラプトンが泣きまくる公式ヴァージョンがエエのは論を待たないが、このシンプルイズベストを絵に描いたようなヴァージョンからは幽玄の美のような儚さが滲み出ておりめちゃくちゃ感動的だ。アンソロジー・ビデオの第7巻の最後にこの曲が流れてきた時はゾクッとしたし、主人公が非業の死を遂げるような大作ドラマのエンディング曲なんかに使ったらぴったりハマりそうな気がする。そう言えば、2006年に出たアルバム「ラヴ」でジョージ・マーティン父子がここからオルガンをイレースし、代わりにストリングスを被せてリミックスしていたが、ずーっとやってみたかったんやろなぁ...
⑰「ヘイ・ジュード」はリハーサル・テイクで、アタマの部分でジョンが “From the heart of the black country” とカマし、それを受けてすかさずポールが “When I was a robber in a Boston place... you gathered round me with fine embrace...” と歌い、そのまま“ヘイ ジュー♪” へとなだれ込む。この辺の生々しさがタマランわぁ... (≧▽≦) 4分21秒という長さもちょうどいい感じで言うことなし。他のポール曲では手探り状態から徐々に曲を練り上げていく様子がわかる(21)「ロッキー・ラックーン」、屈指の大名曲はテイク1から既にほぼ出来上がっていたことが判明した(25)「アイ・ウィル」、それと同じセッションで即興で歌われた(23)「ステップ・インサイド・ラヴ / ロス・パラノイアス」、ただひたすら同じフレーズを繰り返しながら様々な歌い方を試し、最後に誰かに向って(ジョン?マーティン?) “どれがエエと思う?” と意見を求める(26)「ホワイ・ドント・ウィー・ドゥ・イット・イン・ザ・ロード」と、ポールの絶好調ぶりが伝わってくる。
ジョージの未発表曲⑱「ノット・ギルティ」は1979年のソロ・アルバム「慈愛の輝き」でアコースティックなヴァージョンが日の目を見たが、このビートルズ・ヴァージョンはこの時代らしいへヴィーでエッジの効いたギターのサウンドがカッコ良い。単調な旋律の曲なので、サウンドに凝るしかなかったのだろうが、2分35秒を過ぎたあたりからギターが唸りまくるところなんか大好きだ。
この時期のジョンは出来不出来が激しいように思えるのだが、特に意味不明なのが未発表曲(22)「ホワッツ・ザ・ニュー・メリー・ジェーン」で、「レヴォリューション9」と同様、ヨーコの前衛趣味に感染したかのようなワケのわからん曲だ(>_<) ⑮「セクシー・セディ」や(24)「アイム・ソー・タイアード」も何となく重苦しい雰囲気で聴いてて正直しんどくなることがある。それに比べて⑳「グラス・オニオン」の痛快なまでのカッコ良さ、これでこそジョン・レノンだ。様々な効果音も満載で特に電話のベルやガラスの割れる音なんかは面白いが、これを聴いた後に公式ヴァージョンを聴けばそういった効果音の代わりに弦楽器のオーヴァーダブを提案したジョージ・マーティンの鋭さが実感できる。ラストの(27)「ジュリア」は演奏終了後のジョンとポール(多分コントロール・ルームで演奏を聴いてた...)の会話が印象的で、 “スッゲー良かったけど、1・2ヶ所あやしいとこもあったからもう1回演ってみぃひんか?” “あれぐらい別にかまへんやん...” “まぁそぉ言わんと...” “完璧ちゃうん?” “確かに良かったで。でもな、...” というやり取りが和やかなムードで交わされるのだ。やっぱりこの二人、仲エエんちゃうの(^o^)丿
The Beatles - "While My Guitar Gently Weeps" (Anthology Version)