shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Revolver 2022 Super Deluxe Edition ②

2022-11-11 | The Beatles
 ディスク2の「Revolver Sessions 1」は録音した時系列に沿って収録されているらしく、「Tomorrow Never Knows(Take 1)」から始まる。このヴァージョンは「アンソロジー2」で既出なのだが、めちゃくちゃ好きなので何度聴いても飽きない。才気煥発というか、テイク1でこの凄さである。私にとってはこの1曲だけで「ペパーズ」以上の衝撃を受けたという、まさに神曲の記念すべきテイク1なのだ。続いて同曲の Remix 11(←UKモノ1stプレスに入ってた回収ヴァージョン)が入っているが、手持ちのアナログ1G盤のエグい音に比べるとかなり整然とした感じに聞こえてしまう。21世紀の最新テクノロジーをもってしてもあのおどろおどろしい雰囲気は再現不可能なのだろうか?
The Beatles - Tomorrow Never Knows (Take 1 / Audio)

 「Got To Get You Into My Life」は3つのヴァージョンが収録されているが、何と言っても2つ目の Second Version ‐Unnumbered Mix のロックンロール・バンド然としたホーン・セクション抜きアレンジが新鮮でカッコ良い。「Think For Yourself」のファズ・ベースみたいな音も耳に残る。3つ目の Second Version ‐Take 8 はインスト・ヴァージョンであるが故にこの曲のそれまでの器楽アレンジの変遷が手に取るように分かって実に楽しい。
The Beatles - Got To Get You Into My Life (Second Version / Unnumbered Mix)

 同じく3つのヴァージョンが入っている「Love To You」は1つ目の素朴な Take 1 が気に入っている。タイトルはまだ Granny Smith(青リンゴ)のままだが、シタールが入ってないだけでこうも印象が違うとは...(゜o゜)  てゆーか、私は常々 “シタールは「Norwegian Wood」みたいに隠し味的に使ってこそ活きる” と思っていて、「Within You Without You」や「The Inner Light」みたいな “全身シタールまみれ” の曲がどうしても苦手なので、この「Love You To」もそれら2曲よりは幾分マシとはいえシタール全開で来られるとちょっと辛い。過ぎたるは及ばざるが如しと言うではないか。余計な装飾が一切無いこのTake 1 を聴いて “あぁこんなにエエ曲やってんなぁ...” と再発見できた。
Love You To (Take 1)

 「Paperback Writer(Takes 1 &2 ‐Backing Tarck)」はヴォーカルの入ってないインスト・ヴァージョンなのだが、これがもう鳥肌が立つくらいのカッコ良さ。そういう意味では後で出て来る「Doctor Robert(Take 7)」も甲乙付け難いくらい素晴らしいのだが(←リンゴのドラミングがめっちゃ巧い!)、聴いてて思わず身体が揺れてしまうグルーヴは唯一無比だ。これらの凄まじいまでのドライヴ感を前にすれば他のロックンロール・バンドなど瞬時にして砕け散ってしまう。何しろビートルズなのだ。砕け散って本望と言うべきだろう。
Paperback Writer (Takes 1 & 2 / Backing Track)

Doctor Robert (Take 7)

 ディスク2で一番興味を引かれた音源が「Rain(Actual speed)」だ。アップテンポで演奏・録音したバック・トラックのテープ・スピードを下げてこの曲を完成させたという経緯は知識として知ってはいたが、まさかその超高速ヴァージョンを実際にこの耳で聴けるとは思わなんだ。メロディーは同じでもテンポ / キーが違うだけでこれほどイメージが変わるとは驚きだが、リヴォってない「Rain」なんか「Rain」じゃない!と言いたくなるくらい強烈な違和感だ。それにしても、リンゴといい、ポールといい、よくぞまあこんな超高速で演奏できるもんやなぁと感心させられた。続きに収録されている「Rain(Slowed down for master tape)」(←まだADT処理前のジョンのヴォーカルがガチのダブル・トラックで聴ける!)と併せて聴くことによって当時のレコーディング・プロセスがわかるところがファンとしては嬉しかった。
Rain (Take 5 / Actual Speed)

Rain (Take 5 / Slowed Down For Master Tape)

 「And Your Bird Can Sing」には「Anthology 2」で有名になった “Giggling(くすくす笑う)”ヴァージョンというのがあるが、ここではそれとはまた別の “Giggling”ヴァージョン(←First version / Take 2となっていてAnthologyのとは笑い方が違う...)が収録されており、Giggling Vocalを重ねるまでのビフォー/アフター2トラックが並んでいる。演奏そのものは最終完成形のテイクよりも軽やかでポップな感じだ。それにしても大麻ラリパッパ状態(?)でバカ笑いしながら歌ったテイクでもロックンロールとして立派に聴かせてしまうあたり、ビートルズってホンマに凄いバンドやなぁと感心してしまった。
And Your Bird Can Sing (First Version / Take 2 / Giggling)