shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

NME Poll-Winners All-Star Concert 1964 & 1965

2022-11-03 | The Beatles
 ビートルズのカラー化DVDシリーズの中で私が「A Hard Day's Night」と同じくらい興味を引かれたのがメロディ・メーカー誌と並ぶイギリスの音楽雑誌だったNME(ニュー・ミュージカル・エクスプレス)誌主催のPoll-Winners All-Star Concert の模様を収めたDVDだ。これらはモノクロの断片的な映像しか持っていなかったこともあって、1964年版と1965年版を両方買うことにした。
 まず1964年版の方だが、ビートルズは「She Loves You」「You Can't Do That」「Twist And Shout」「Long Tall Sally」「Can't Buy Me Love」の5曲を演奏している。このライヴ映像で一番印象に残るのは何と言っても右側のジョン用マイクの不安定さ(笑)。私なんかそっちの方が気になって歌や演奏の鑑賞に集中できない。ちょうど6・30日本公演でのポールのマイクスタンドが揺れまくってた例の一件を思い起こさせるレベルのグダグダぶりなのだ。
 1曲目の「She Loves You」が始まってすぐにジョンが歌いにくそうに何度も何度もマイクの向きを変えているが一向に直らないし、そもそもマイクスタンド自体がグラグラ揺れているのだから話にならない。続く「You Can't Do That」でも事態は改善されず、「Twist And Shout」ではメンバーが立ち位置をスワップしてジョンが左側のマイクで歌い、ポールとジョージが右側のグラグラ・マイクでコーラスを付けている。「Long Tall Sally」ではそんなマイクスタンドなんて倒れてしまえとばかりにリッケンをガンガン弾き倒すジョンが面白い。全5曲わずか15分足らずのステージだが、ビートルズの演奏自体は圧巻そのもので、めちゃくちゃ気合いの入ったロック魂溢れる名演と言っていいと思う。
 ただ、この64年版はメンバーの顔色が濃くなったり薄くなったりと色調が不安定で、もちろん白黒よりはマシなものの、点数化するとしたらせいぜい60点ぐらい。カラー化の出来に関しては「可」という評価が精一杯だろう。
The Beatles live at the 1964 NME readers poll awards - AI Colorized and Upscaled
 
 1965年版のセトリは「I Feel Fine」「She's A Woman」「Baby's In Black」「Ticket To Ride」「Long Tall Sally」の5曲で、冒頭でジョンがマイクの向きを調整するのに手こずっていて“またかよ...” と不安がよぎるが、演奏が始まるとマイクがグラグラすることもなくステージは順調に進行する。ただし「I Feel Fine」の前半は左側のマイクがオフになっていたようで、ポールとジョージのコーラスが聞こえない。前年の熱気迸るようなステージも良かったが、この年の余裕すら感じさせる落ち着いた演奏も又素晴らしい。2年連続でラストは同じ「Long Tall Sally」だが、比較視聴すれば1年間でビートルズがどれだけ成長したかがよくわかる。カラー化の出来は上々で、80点あげてもいいんじゃないかと思えるくらい色調は安定している。
Beatles Full NME 1965 Concert Colorized

 このDVDではビートルズ以外にもストーンズやアニマルズ、ハーマンズ・ハーミッツなど様々なグループが見れるが、私的には「Georgy Girl」で有名なシーカーズが見れたのが予想外の大収穫。しかも「I'll Never Find Another You」「A World Of Our Own」という屈指の名曲を演ってくれているのだから涙ちょちょぎれる。こんな名曲がゴロゴロしてた60年代ってホンマに凄い時代やってんなぁと思う。私は基本的にコンピレーション物はあまり買わないのだが、このDVDに関しては買って大正解だったと思っている。
The Seekers - A World Of Our Own (1965)