shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Revolver 2022 Super Deluxe Edition ①

2022-11-06 | The Beatles
 「Revolver」のスーパー・デラックス・エディションを手に入れてからこの1週間というもの、毎日毎日アホみたいに聴きまくっている。ビートルズの全アルバム中でも三指に入るスーパーウルトラ愛聴盤の「Revolver」が最新技術によってピッカピカに磨き上げられてドカーン!と届いたのだからコーフンするなという方が無理。家に居る時や車の中はもちろんのこと、仕事中でもパソコンに向かって書類を作っているふりをしながら(笑)イヤホンで聴きまくっているせいか、カモメのテープループ音が脳内リフレイン状態だ。
The Beatles REVOLVER Special Editions - Official Trailer

 私はこれまでの50周年ニュー・リミックス・シリーズ4タイトルの時と同様に今回の「Revolver」も輸入盤CD5枚組スーパー・デラックス・エディションと輸入盤LP(1枚単独のヤツ)の両方をHMVで予約しており、CD版の方は発売翌々日の10/30に無事到着。マルチバイなんちゃらとかいうキャンペーンを利用して16,500円で買えて嬉しかったが、単品LPの方は何故か発売が2度も延期されるというグダグダぶり。同じアナログでも “4LP+EP”版の方はちゃんと発売日にリリースされとるというのに、メーカーは一体何をしておるのだ? 一刻も早くアナログの音でニュー・ミックスの音を楽しみたかった私は単品LPをキャンセルし、思い切って“4LP+EP”版の方を買うことにした。予定よりも出費はかさむことになるが、知らないうちに貯まっていたHMVのポイントをフルに使って18,700円で買うことができた。こちらはまだ手元には届いてないので、今日はCD版を聴いた感想を書いていきたい。
 まずはメイン・ディッシュとでも言うべきディスク1の「ニュー・ステレオ・ミックス」から。これはジャイルズ・マーティンとサム・オケルが例のデミックス・テクノロジー(←映画「Get Back」でピーター・ジャクソン監督のサウンド・チームが開発した新技術)を駆使して、ギター、ベース、ドラムスが1つの同じトラックに入っている4トラック・テープから各楽器の音を分離し、定位などをしっかりと整えて聴感上自然なステレオ・ミックスに仕上げたものだ。
 「Revolver」には色んなタイプの曲がごった煮状態で詰め込まれており、そのアレンジやレコーディングにおいてそれぞれ先鋭的かつ野心的な試みがなされているにもかかわらず、絶妙な緊張感を湛えながら1枚のアルバムとして成立しているという凄いレコードなのだが、中でも要所要所をピリッと引き締めているジョンのサイケ色の強い曲のインパクトは特筆モノ。今回のニュー・ミックスではそういった “リヴォッた”曲たちがデミックスによって換骨奪胎→クリアーな音で再構築されており、新鮮な感覚でこの稀代の傑作アルバムを楽しむことが出来るのだ。
 例えば「I'm Only Sleeping」では逆回転ギターを中央に定位させることによって、「She Said She Said」では左chで埋もれていたジョージのリードギターがクリアーに聴かせることによって、それぞれ曲のイメージが変わったし、我が最愛の曲「Tomorrow Never Knows」でもより奥行き感を出すことによってリヴォ指数が格段にアップ、轟きわたるポールのベースの重低音との相乗効果で凄まじいグルーヴを生み出している。う~ん、カ・イ・カ・ン... (≧▽≦)
The Beatles - I'm Only Sleeping

The Beatles - She Said She Said

The Beatles - Tomorrow Never Knows

 ポールの曲では「Eleanor Rigby」出だしの例のミキシング・ミスが修正されたのが喜ばしいが、私が一番感心したのは「Got To Get You Into My Life」で、ブラスがクリアーな音で左右にバランスよく振り分けられたことによってよりダイナミックに、そして包み込まれるような感じで楽しめるようになったことで、デミックス・テクノロジーが効果テキメンという感じ。リニューアルされた「For No One」も絶品で、オリジナル・ステレオ・ミックスに比べてより品格が漂うというか、気品すら感じさせる見事なミックスに仕上がっている。又、「Here There And Everywhere」のコーラスの定位配置も見事という他なく、この曲の比類なき美しさに拍車をかけているようだ。
 ジョージの「Taxman」もそれまで他の楽器と一緒くたに片チャンネルで鳴っていたギターの音を分離してセンターに定位させ、クリアーで切れ味鋭い音に仕上げることによって、曲が活き活きと躍動しているように感じられるのだ。「ペパーズ」から始まったこのニュー・リミックス・シリーズだが、私的には今回の「Revolver」が一番満足度が高い。
The Beatles - Got To Get You Into My Life

The Beatles - For No One

The Beatles - Taxman

 初期~中期ビートルズのオリジナル・ステレオ・ミックスに関しては例の悪名高い “左右泣き別れ”ミックスが不自然極まりないこともあって(→「Revolver」はまだマシな方だったが...)何かと言えばモノラル盤ばかり聴いてきた。今回のニュー・ミックスでは楽器やコーラス・ハーモニーの定位がドラスティックに変えられ、バランスが良くて立体感すら感じさせるような見事な音像定位になっており、ステレオも悪くないなぁという気にさせられた。ジャイルズとサム、ホンマにエエ仕事しますなぁ...  今後「Rubber Soul」→「Help!」と時を遡ってニュー・リマスター・シリーズがリリースされそうなので、そちらも大いに楽しみだ。