shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

映画「Get Back」最高でした!②

2021-12-01 | The Beatles
 映画「Get Back」のパート2はDay8: 1/13からスタートするのだが、前日の関係修復ミーティングが決裂したせいかめっちゃ重苦しい雰囲気だ。驚いたのはスタジオの食堂で行われたジョンとポールの話し合いの場にリンゼイホッグ監督が隠しマイクを仕掛けていて(←スパイ映画みたいやな...)2人の生々しいやり取りがばっちり聞けること。藤本さんの本「ゲット・バック・ネイキッド」を読んで大体の内容を知ってはいたが、実際にジョンとポールの肉声で聞くとリアリティがハンパない。今回の映画はかなり濃い内容のものになるだろうと期待はしていたが、まさか隠し撮りの音声まで聞けるとは思わなんだ。それにしてもポールもポールでよくぞ許可を出したものだと思う。
 ジョージが復帰するまで3人でのリハーサルが続くが、「Get Back」の歌詞をポールとジョンであーでもないこーでもないと推敲しながら作り上げていくところは実に興味深い。尚、この日の帰り際に翌日も来る証として2人が自分のお気に入りの楽器を置いて帰るシーンがあるが、ポールのヴァイオリン・ベースに貼り付けてあった “演奏曲目リスト” は「Rock And Roll Music」で始まり「I'm Down」ではなく「Long Tall Sally」で終わっていたので、多分1966年最後のライヴ・ショーであるキャンドルスティック・パークの時のものだろう。
 トゥイッケナムからサヴィル・ロウのアップル・スタジオへリハーサルの場所を移したDay 12: 1/21 から場の雰囲気が俄然良くなりメンバーも和気あいあいという感じになるのが画面からも伝わってくるが(←マジック・アレックス作のネック回転ギター/ベース、めっちゃウケるwww)、中でもトゥイッケナムではずっと苦虫をかみつぶしたような顔だったジョージに笑顔が戻ってファンとしてもホッと一安心。ポールがかなり気を遣っているのがわかるし、ジョンも別人のようにやる気まんまん。前の週までのグダグダぶりとは打って変わってカチッとまとまった演奏を繰り広げるあたりはさすがビートルズである。やっぱり人間関係って大事なんやね。
 Day 13: 1/22のビリー・プレストンが登場する場面で “キーボード奏者を求めていたとは知らずにたまたま挨拶に立ち寄った” というテロップが出るが、私は場の雰囲気を良くするためにジョージが誘ったという通説を信じていたので(←「アンソロジー」のビデオでジョージがそんなことを言ってたような気がするんやけど...)ちょっとビックリ。要するにビリーの参加は偶然の産物だったということになるのだが、そのような偶然ですら必然となってしまうのがビートルズの凄いところ。「Get Back」や「I've Got A Feeling」、「One After 909」といった “ルーフトップ曲” の圧倒的なグルーヴはビリー・プレストン抜きには考えられない。
 Day 14: 1/23の白眉は何と言っても15分以上にわたる「Get Back」のリハだろう。メンバー間のコミュニケーションもバッチリで、全員が “良い音楽を作ろう” というポジティヴな姿勢で臨んでいるのが画面を通してハッキリと伝わってくる。4人で協力しながらアレンジを煮詰めていく様はまさに “The Making of GET BACK” と言えるもので、名曲名演誕生の歴史的瞬間を覗き見ることが出来て大感激だ。いやぁ、ホンマにこれは神映画ですわ(≧▽≦)
 Day16: 1/25にはショーのプランの落としどころとしてリンゼイホッグ監督とグリン・ジョンズがアップルビル屋上でライヴを行うことをポールに提案し(←この時のポールの表情が実に面白い...)、ポールとリンゴが監督たちと屋上の下見をするシーンがあって “問題は機材の重量に屋上が耐えるかだ” というテロップが出るのだが、これまでそんなことを考えたことすらなかった私は “イギリスのオフィス・ビルの屋上ってそんなに脆いんか?” と不思議に思った。しかしパート3でベコベコの足場を見て確かにこれはヤバいと大いに納得。受付のデビー嬢が屋上へ上がろうとするヒゲの巡査部長に “屋上はご遠慮を... 重量制限が...” と言うシーンには笑ってしまった。
 結局その4日後に屋上ライヴをやることに決まったところでパート2は終了。パート3ではいよいよルーフトップ・コンサートの完全版が見れる... しかもジャクソン監督のことだからきっと貴重な映像を出し惜しみせずにガンガン見せてくれるだろうとそのことばかり考えて前日は中々寝つけなかった。 (つづく)