shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Let It Be Super Analog Masters」

2021-12-26 | The Beatles
 ここのところイスラエル盤やペルー盤といった各国盤アナログ・レコードばかり買っていたが、映画「Get Back」の公開を稼ぎ時と見たブート業者から色々とリリースされたブートレッグの中に1枚面白そうなのを見つけたので今日はそれを取り上げたい。タイトルは「Let It Be Super Analog Masters」といって、「Let It Be」の貴重なアナログ音源4種類を収録しているとのこと。所詮メーカーインフォなんて美辞麗句のオンパレードで全く当てには出来ないが、これまで色んなブートレッグを買ってきた経験からインフォの行間を読む術は身に付いているのでこいつは“当たり”ではないかと直感し、試しに買ってみたら結果は予想以上に興味深いものだった。

【ソース1】イタリアンカッティング・マスターリール
・インフォ抜粋:1970年イタリアに送られたマスターテープからLP盤のカッティング用に等倍コピーされたリールテープよりダイレクトトランスファー。レコード化する際にかけられてしまうコンプレッションがない為、「Two Of Us」のアコースティックギターのきらめいた伸びやかさとスネアのシャキシャキ度、「Dig A Pony」の野外ライブ感、「Let It Be」のイントロの細かい音、「I’ve Got A Feeling」の音の鮮度と中音域の密度、「The Long And Winding Road」のオーケストラセクションのポールのボーカルとの共存感、「Get Back」の迫力サウンドなど、全体を通じて今までの音源と聴いた印象がかなり違う。
・感想:“マスターリールの音”ということで期待を裏切らない高音質だ。コンプレッションのかけられていないそのサウンドはアナログレコードばかり聴いている私の耳には実に新鮮に響いた。各国盤蒐集のメリットは大好きなビートルズを様々なヴァリエーションの音で楽しめることだが、そういう意味でもこのマスターリール版は買って大正解だった。尚、テープの経年劣化のせいか曲間や静音部で僅かに走行ノイズが聞こえる箇所があるが、ほとんど気にならないレベルだ。

【ソース2】UKカセットテープ初版
・インフォ抜粋:スタジオ1インチマスターから32台のカセットデッキを使って1回32本単位でダビングをしたというこのUK初版カセット・ヴァージョンは別ミックスで、ジョージのギターの残響、ポールの響くピアノ音、軽快なリンゴのドラミング、そしてジョンの息づかいまで感じられるボーカルが生々しく再現されている。
・感想:今回の4ソースの中で一聴して明らかに違うのがこれ。ミックス違いというのもあるが、それ以上に音作りの方向性が全く違う。中低音が大きく張り出していて高音部の高いところは潔くスパッと切り落としたような感じの音になっており、ソース1から続けて聴くと最初は音がこもって聞こえるかもしれないが、それはあくまでも相対的なもので、この手の野太い音が好きな人にはたまらない “ヴィンテージな” サウンドだ。特に「Across The Universe」のマッタリ感はたまらんたまらん(≧▽≦)

【ソース3】UK初盤ボックスセット用LPマトリクス2U/2U
・インフォ抜粋:まるで別物と呼ばれるUK初回盤BOX仕様のLet It Be 2U/2U。シャープなドラムの音、クリアーな各楽器の生音、そして太いベース音はこの盤でしか味わえない。状態の良いディスクからCD化を敢行した、現在発売中の正規音源とは一線を画すアナログ音源!とにかく英国初盤は桁違いのクオリティーだということを体感できる。
・感想:私が日々聴いているのはまさにこのUK 2Uの音で、極論すれば「Let It Be」は2Uに始まり2Uに終わる(←まぁこう言っちゃ身も蓋もないが...)のではないか。まさに “王道中の王道” と言っても過言ではない究極の「Let It Be」だ。ただ、原盤の盤質は私に言わせれば VG++ ~ Ex-で、曲間で数ヶ所チリパチ音が入るのが玉にキズ。私はB-SELSで買ったスピンドル・マーク皆無のノイズレスNM盤があるのでどうしてもそちらを聴いてしまうが、コスパを考えるとこのCDはお買い得だと思う。

【ソース4】UK輸出用白盤
・インフォ抜粋:今まで音質的に語られることがなかった1978年製輸出仕様の白盤Let It Be。手書きマトでアメリカ盤や日本盤とは明らかに違うアプローチでカッティングされており、ラウドで素晴らしい音質が楽しめる。カラービニールの質の問題でバリッというノイズが何箇所か入るのが弱点だが、それを差し引いても高音質な音源。
・感想:私は一部の例外を除けば再発盤には関心がないのでこの1978年UK製エクスポート仕様ホワイトビニール盤の存在は全く知らなかったし、カラーレコードは音が悪いという偏見のせいもあって何の期待もせずに聴いたのだが、私の予想を遥かに上回る良い音でビックリ。確かにバリッというノイズが入るところもあるにはあるが、そんな些細な欠点など忘れさせてしまうくらい好バランスで気持ちの良い「Let It Be」だ。

【おまけ】YouTubeでこんなの↓を見つけました。海外にも聴き比べマニアは居てるんやねぇ... 興味のある方はヘッドフォンを用意して全問正解にチャレンジしてみて下さい。
The Beatles Let It be Stereo Showdown | Which Vinyl Pressing is The Best?