shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「A Hard Day's Night」各国盤バトルロイヤル①

2019-07-26 | The Beatles

 単なる思い付きで各国盤の聴き比べをやった「With The Beatles」、前回が面白かったので柳の下のドジョウを狙った「Help!」、引っ込みがつかなくなり(笑)こーなったらオリジナル・アルバム全部やったれとシリーズ化を決意した「Beatles For Sale」に続く“ビートルズの各国盤バトルロイヤル・シリーズ” 第4弾は「A Hard Day's Night」です。

①イタリア盤(3N/3N, 164g)
 Sさん:おぉ、これはイタリアの元気が戻りましたね。
 私:“戻った” というか、時系列で言うと、前回聴いた「For Sale」よりもこっちが先なので、イタリアでは「With The Beatles」「A Hard Day's Night」と順調にきて、何故か「For Sale」だけがイマイチで、続く「Help!」で完全復活した... という流れになりますね。それにしてもエエ音です。やっぱり「A Hard Day's Night」はこうでなくっちゃ!
 Sさん:楽器の響きもいいですね。前回の「For Sale」よりも低音の響きがよく出てるんで気持ち良く聞こえるんでしょう。ただ、「With The Beatles」や「Help!」のようなイタリアの独自性はないですね。基本的にUKっぽい音作りです。
 私:B面はA面よりも音が大きくて迫力が出てますね。押し出し感がハンパないです。
 Sさん:B②「I'll Cry Instead」、良いですね! ベースがよぉ仕事してるのが分かります。
 私:ベース・ラインがハッキリと聞こえますね。思わずニヤついてしまいそうなエエ音です。
 Sさん:B面の方が良かったですね。一体何が違うんやろ...??? A面は内周に行くに従ってだんだん迫力が無くなっていった感じです。もう一度A⑦「Can't Buy Me Love」を聴いてみましょか... (A⑦をかける)... やっぱりB面の方が音がシャープですね。
 私:A面も決して悪くはないんだけれど、B面に比べるとキラキラ感が足りませんね。

②フランス盤(154g)
 私:(A①「A Hard Day's Night」イントロの“ジャ~ン♪” を聴いて)コレは強烈!
 Sさん:やっぱり音デカいですね(笑) 「For Sale」と同じ路線ですね。聴いてて楽しくなります。
 私:このアルバムも「For Sale」の時と同じジョン大好きエンジニアですかね? アルバム全体が “John Lennon & The Beatles” になってます(笑)
 Sさん:独自のジャケット写真がエエですよね。
 私:色使いも素晴らしいですねぇ... さすがはフランス! おぉ、このA④「I'm Happy Just To Dance With You」、高域をシンバル、中域をリズムギター、低域をベースの音がしっかりと空間を埋め尽くしてて、まるで音の壁がドバーッと目の前に迫ってくるような感じがすごく良いです。
 Sさん:そうですね。ジャケットも良いし、これは優勝候補でしょう。やっぱり独自路線がエエのかな...
 私:A⑦「Can't Buy Me Love」もさっきのイタリア盤よりもこっちの方が全然良いですね。シンバルの音がスゴイです。
 Sさん:目一杯切ってる感じですね。「With The Beatles」UKラウドカット盤の「Roll Over Beethoven」を思い出します。これはちょっとやりすぎかな...(笑)
 私:ただ、リズムギターもベースもよく入ってるからシンバルがコレでも気持ち良く聴けるんですよね。UKでは針飛びとか考えますけど、イタリアやフランスみたいなラテン系はそんなこと全然気にせぇへん感じですね。
 Sさん: B面も元気ですね。
 私:全然ブレませんね。
 Sさん:このエンジニア、やっぱりジョンが好きなんやな...(笑)
 私:B①「Any Time At All」なんかもう凄いの一言ですわ。
 Sさん:B④「When I Get Home」もかなりエエんちゃいますか?
 私:ジョン好きにはタマランでしょう。B⑤「You Can't Do That」のカウベルの音がめっちゃ小っちゃいですね。その分ジョンのヴォーカルが大きく入ってる(笑) 他のレコードと楽器の音のバランスがちゃいますね。
 Sさん:完全に “ジョンの声ありき” のアルバムになってますね。
 私:B⑥「I'll Be Back」なんてジョンのヴォーカルと伴奏のアコギが見事な主従関係になってます。
 Sさん:他のレコードならもっとアコギが大きく聞こえますもんね。

③ニュージーランド盤(159g)
 Sさん:A①「A Hard Day's Night」、すごく疾走感がありますね。
 私:低域の低いところを潔くスパッと切り捨てて中域のスピード感をとった感じですね。映画のサントラとしてはこっちが正解でしょう。
 Sさん:A②「I Should Have Known Better」、映画の中でトランプやってるのはこっちの音ですね。フランス盤の音じゃない。
 私:フランス盤の音やったら列車が揺れてトランプなんかできませんわ(笑)
 Sさん:コレは万人にウケそうな音ですね。ラウドカットに行くか、こういう聴きやすい音に行くか、中々悩ましいところです。
 私:すごく丁寧に作ってありますね。ヴォリューム上げたらもっとエエ感じになるかな? ヴォリューム上げてみます?... あぁコレの方がエエですわ。
 Sさん:A④「I'm Happy Just To Dance With You」、独特の疾走感がたまりませんね。A⑤「And I Love Her」のアコギの音もこっちの方がエエでしょ。
 私:ヴォーカルとバックの演奏のバランスがエエですね。どこまでいっても破綻しない音、という感じがします。ただ、気になったのはどの曲もアタマの入りが安全運転で、徐々に盛り上げていくように聞こえるところです。
 Sさん:決して最初からドーン!ときませんね。
 私:B面、ちょっと音が小さいですね。A面の方が良かったです。
 Sさん:A面は高級感のある音でしたけど、B面は何か安っぽくなっちゃいましたね。
 私:B⑥「I'll Be Back」、ジョンの声が痩せ細ってません?
 Sさん:そうそう、A面の方がもっと良い声してました。
 私:もう一度A①を... あぁ、コレもう全然ちゃいますやん、音の厚みが! コレがジョンの声ですよ。
 Sさん:この疾走感がB面にはありません。A面には色んな音が一杯詰まってますね。
 私:独自マトの音はハマると凄いけど、ハズすと悲惨ですね。それをAB両面で体現したのがこのNZ盤と言えるんじゃないでしょうか。エンジニアの人、ひょっとするとB面切った日の朝に嫁はんと喧嘩でもしたんちゃいますか?(笑) (つづく)