shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「McCartney」各国盤バトルロイヤル

2019-07-07 | Paul McCartney
 つい最近ポールの1stソロ・アルバム「McCartney」のニュージーランド盤を手に入れた。Discogsでたったの£4.99という安さだったので何も考えずにオーダーしたのだが、届いたレコードをジャケットから取り出してビックリ(゜o゜)  A面後半部分の盤面がまるで何らかの薬品で腐食したかのように白く光っており(←シンナーみたいなモンで拭いたっぽい... アホか!)、実際に鳴らしてみてもシャーッというノイズがひどくて「Junk」なんか悲惨そのものだ。一体これのどこがVG+やねん!!!と怒りがこみ上げてくるが、Discogsでの買い物はギャンブルみたいなモンなので運が悪かったと諦めるしかない(>_<)
 ただ、A面後半は完全にアウトだが、薬(?)に侵されていない部分は中々エエ雰囲気で鳴っている。倍音成分が豊かなのか音の響きがキレイなのだ。う~ん、惜しいなぁ(>_<) これは是非とも盤質の良いレコードで全曲聴いてみたいぞ... と思い早速「McCartney」のNZ盤をネットで検索してみたところ、 MucisStackという通販サイトに1枚だけ出ていたのを見つけて £5.99で購入。届いたレコードは前のとは違ってコーティング無しのジャケットだったのでどうやら2ndプレスのようだが(←たぶん73年頃のプレス)、盤質は問題なしでホッと胸をなで下ろす。実際にスピーカーから出てきた音も1stプレスと遜色のないもので、NZ盤も中々やりよるのぉ… という感じだ。
 私はこの美音「McCartney」をSさんにも聴いてもらおうと思ったのだが(←毎回このパターンやな…)、せっかくの機会だからどうせなら UK盤やUS盤、インド盤と併せていつものようにバトルロイヤル形式で聴き比べをした方が面白いと考え、私は手持ちの「McCartney」を総動員してB-SELSに持って行った。

①ニュージーランド盤(1stプレス:2U/2U, 152g、2ndプレス:2U/2U, 145g))
 Sさん:A面前半のノンダメージ部分は結構エエんちゃいますか?
 私:そうなんですよ。盤が傷んでるA面後半部分はノイズが酷いですが、それ以外のところが良かったんで一度聴いてもらおうと思って持ってきたんです。
 Sさん:キレイな音です。ただ、B面はA面より落ちるというか、A面の良さが消えてしまってますね。
 私:悪くはないんだけれど、ごく普通のサウンドですね。まるでA面の魔法が解けちゃったような... A面とB面で何故こんなに差があるのか不思議です。それじゃあ次は2ndプレスを聴いてみましょか。
 Sさん:音の傾向はさっき聴いた1stプレスと同じですが、1stプレスはB面がA面ほど良くなかったのに対し、この2ndプレスはB面もA面と同じハイ・クオリティーをキープしてますね。
 私:不思議ですよね~、同じマトの 2ndプレスの方が音が良いなんて。しかもこっちの方が軽いっちゅーのに...
 Sさん:アコギの曲なんか、本当にキレイな音で鳴ってますよね。
 私:音圧はそれほどでもないですが、音のキメ細やかさが抜群で、高域の伸びが気持ちイイです。コレは買って正解でした。

②UK盤(2U/1U, 141g)
 私:ひょえ~(≧▽≦)  自分で持ってきて言うのも何ですが、めっちゃエエ音ですね(笑)
 Sさん:これがUKの音ですよ。いやぁ~、ホントに素晴らしい!
 私:やっぱりUKの1Uはモノが違いますね。
 Sさん:これがポールの意図した音なんですよね。
 私:おっしゃる通りでございます(笑) こ・れ・が「マッカートニー」!!!

③US盤(両面とも Z14 STERLING LH/RL, 139g)
 私:UK盤の後に続けてコレを聴くとめっちゃ面白いですね。
 Sさん:音にガッツがありますね。
 私:UK盤こそが王道ですが、このガンガンくる感じも捨て難いですよ。
 Sさん:まさしく “ロックな「マッカートニー」”。
 私:このレコードは “ロック魂溢れるアルバム” というワケでもないのにコレですからね... さすがはボブ・ラドウィッグというか... エンターテインメントの国、アメリカならではですわ(笑)

④インド盤(2UT1/2UT1, 161g)
 Sさん:おぉ、これはイイですねぇ~。どこを切ってもチューブカットの音ですよ。いわゆる “現代的な音” の真逆を行ってますね。
 私:中域にエネルギーが集中してますね。聴いててめっちゃ気持ちの良い音です。アナログ・レコード好きにはタマラン音ですよ、コレ。
 Sさん:まるでもう1台プレイヤーを用意してディレーをかけたような奥行きのあるサウンドですね。
 私:チューブカットの一番美味しいところが存分に味わえる音作りですよね。
 Sさん:「Junk」のベースなんて、そこまでやるか!みたいな太さで入ってますよね。何とも言えない余韻が残ります。
 私:例の「Imagine」A面もそうでしたが、インド盤って時々こういう凄いのにブチ当たるからやめられません(笑)
 Sさん:コレ、本当にいいですねぇ~。興奮して今晩寝られませんわ... (と満面の笑顔)
 私:また体内時計を狂わせちゃいますかね?(笑)

ということで、当初はNZ盤を中心に聴くつもりだったのだが、たまたま比較対象用に持っていったインド盤にすっかり主役の座を奪われた感じで、その日は遅くまで Sさんと二人でインド盤「McCartney」を大音量で聴きまくったのだった。これがもしもインド盤単体で聴いていたとしたら、果たしてここまで盛り上がったかどうか... 同じ曲で定点観測的に複数の盤を比較する聴き比べはこういう新発見があるから面白い。とにかく今回の「McCartney」バトルロイヤルは聴いた盤それぞれに独自の長所があって、珍しく “ガッカリ盤” が1枚も無いという、非常にレベルの高い聴き比べだった。さて、次はどのレコードで聴き比べをやろうかな?