shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Please Please Me」金パロ・モノの 1G/1G盤ゲット\(^o^)/

2019-07-30 | The Beatles
 1週間ほど前だったか、いつものようにB-SELSでSさんと各国盤聴き比べをやって大いに盛り上がっていた時のこと、「Please Please Me」の5ヶ国分を聴き終えて残すはUK盤のみとなったところで時間がきてしまったので、私が “次回は2ndプレスの金パロと4thプレスの黄パロを持ってくるのでじっくりと聴き比べましょか。” と言うと、Sさんが “盤質極上の「Please Please Me」3rdプレスが店にあるんですけど、黄パロなのに音はかなり金パロ2ndプレスに近いと思うので、どうせなら3枚聴き比べませんか?” と仰った。その時は深く考えもせずに “おぉ、それは面白そうですやん。これで1stプレス盤があれば最高なんですけどねぇ。版権者名が Dick James表記の1stプレスって実はまだ1回も聴いたことがないんですよ... きっとえげつない音してるんでしょーね...” とかなんとか言いながらB-SELSを後にした。
 しかし家に帰って一息入れた後、ほんの好奇心から(←いつもこのパターンでアリ地獄にハマるよな...)Dick James表記の「Please Please Me」をeBayで検索してみたところ、何と3枚も出品されており、しかもその中の1枚が “THE ULTIMATE PLEASE PLEASE ME BLACK & GOLD 1G 1G STAMPERS!” となっているではないか! Dick James表記の1stプレスというだけでも凄いのに、更にスタンパーが 1G/1G とは... (≧▽≦)
 ここでもう一度レコード作りの工程を整理しておくと、①まずマスター・テープからカッティング・マシンでラッカー盤凹が製作されるのだが、この時にデッドワックスの6時方向(つまりセンター・レーベルの下側)にマトリクス№が刻まれ、ポーキーさんやらラドウィックさんといったカッティング・エンジニアの名前が刻まれたりもする。②次にこのラッカー盤を鋳型としてメタル・マスター凸が作られ、③再びそれを鋳型としてメタル・マザー凹が作られる。一番最初に作られたマザーはデッドワックスの9時方向(つまりセンター・レーベルの左側)に1が刻まれるというワケだ。④更にそこからスタンパー凸が作られ、⑤それを使ってビニールにプレス凹するのだが、デッドワックスの3時方向(つまりセンター・レーベルの右側)に各レコード会社独自のコードを使って何枚目のスタンパーかを刻印してある。例えばビートルズならEMIコードでG⇒1, R⇒2, A⇒3, M⇒4, O⇒5, P⇒6, H⇒7, L⇒8, T⇒9, D⇒0、ストーンズならDeccaコードでB⇒1, U⇒2, C⇒3, K⇒4, I⇒5, N⇒6, G⇒7, H⇒8, A⇒9, M⇒0 という風に。つまり簡単に言えばビートルズなら 1Gが、ストーンズなら 1Bが理論上は最も鮮度の高い音がするということになる。
 で、ここに出品されている「Please Please Me」はマトリクス枝番が -1Nでマザー/スタンパー№が 1G/1G ということだから、初版の鋳型(つまりマトリクス1)から最初に作られたメタルマザーから起こした1枚目のスタンパーでプレスされたレコードということであり、それはつまりこれ以上音の鮮度が高い「Please Please Me」は地球上に存在しえないということを意味しているのだ。これはえらいこっちゃである。
 先月「SGT Pepper's」のニンバス盤を手に入れた時に “残すは金パロのステレオ盤のみ” みたいなことを書いた覚えがあるが、モノラルの 1G/1G となると話は別だ。いやむしろ、私の音の好みから言えば、稀少価値のせいで鬼のようなプレミア価格がついた金パロ・ステレオ盤にウン十万円をつぎ込むよりも1G/1Gモノラルの轟音盤をその数分の一の値段で手に入れる方が断然理にかなっている。 “This is very rare and only comes around a couple of times in a lifetime.”(めちゃくちゃレア。生涯に2~3度巡り合えるかどうか。)という商品説明もまんざら大袈裟とは言い切れないくらいの究極の逸品なのだ。ということで私はこのレコードがどうしても欲しくなり、ウォッチリストに入れて監視し始めた。
 スタート価格は£500(=約67,000円)で6日間のオークション、終了日時は月曜の早朝5時である。私は “あと3日... あと2日...” と指折り数えながら締め切りを待った。特に終了まで1日を切った日曜日はこのレコードのことが気になって何も手につかない有り様で、数十分おきに入札状況をチェックしていたのだが、直前まで£550/4bidsのままで膠着状態が続いていた。ただ、商品ページには17 Watchers と表示されており、それはつまりこのまま平穏無事に終わるはずがないという、いわば嵐の予兆を意味していた。その日は早朝決戦に備えていつもよりも早めに布団に入ったのだが、コーフンして中々寝付けず、結局2時間ほどウトウトしただけで3時過ぎに目が覚め、二度寝を恐れた私は顔を洗ってコンタクトを入れ、臨戦態勢に入った。
 そしていよいよその時は来た。午前5時1分の締め切り時刻の3秒前に全身全霊を込めた£1,001(←我ながら姑息やな... 笑)のビッドを敢行、価格表示が緑の文字で£820に変わった時は思わず “よっしゃぁ!!!” と叫んでしまったくらい大コーフンしてしまった。これでまたまた8月もレコード断食を余儀なくされそうだが、SGTのニンバス盤とPPMの1G盤があればもうそれだけで十分だ(^o^)丿
 その日はそのまま超ハイテンションで出勤して同僚に気味悪がられたりいじられたりしたのだが、一番面白かったのがレイちゃん(※)という同僚のアメリカ人女性の反応で、“I've got the holy grail!!!”(究極のお宝を手に入れたで!)と言うと、大笑いしながら “I heard it before. It's today's holy grail, isn't it? Tomorrow you'll find another holy grail, right?” (それ前にも聞いたわ。それって「今日のお宝」で、どうせまた明日には別のお宝見つけて大騒ぎするんでしょ?)と言われてしまった。う~ん、こやつ、見抜いておるわ(笑)
 ということで、レコードがイギリスから届き次第 B-SELS に持ち込んで「Please Please Me」1stプレスから4thプレスまでの4枚聴き比べをやって、このブログで報告しますんで興味のある方はお楽しみに...(^.^)

(※)レイちゃんは私が去年ポールのライヴに行ってきた時も “You're on cloud nine.”(最高に幸せそうな顔してるね)と喜んでくれたほどの仲良しなのだが、この7月をもって任期満了で帰国することになった。あぁ寂しい...(T_T)  今日最後にお別れの手紙をもらったのだが、そこには “I'm going to miss that sparkle in your eyes when you get excited about the Beatles.”(ビートルズのことでコーフンしてるあなたの目の輝きが見れなくなるは寂しいわ)と書かれていた。