shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Wings Over America」各国盤バトルロイヤル①

2019-06-29 | Paul McCartney
 少し前の話になるが、Discogsでポールのスウェーデン盤を探していた時のこと、あるセラーが盤質NMの「Wings Over America」 をたったの €4.5で出品しているのを見つけ、思わず衝動買い(←こればっかり...)。送料込みでも2,000円するかしないかの値段で稀少なスウェーデン盤が買えたわい... とほくそ笑んでレコードの到着を待った。
 それから10日ほどして荷物が届いた。ワクワクしながらパッケージを解いて中身を取り出すと、ピッカピカにコーティングを施された美麗ジャケットでテンションUP! しかし喜び勇んで盤を取り出してセンター・レーベルを確認すると、そこにはハッキリと Made In Holland の文字が...(゜o゜)  もちろん版権表記も北欧の ncb ではなくドイツ・オランダ系の BIEM/STEMRA となっている。慌ててジャケット裏を見ると Printed In Sweden とあるので中身だけが違っていることになるわけだ。私はセラーに “中身間違えとるで。ちゃんとした盤をすぐに送らんかい!” という趣旨のメールをして返事を待ったのだが、その日がたまたま週末だったこともあって、折角だからこのオランダ盤をSさんと一緒に聴いてみようと思い立ち、B-SELSへ持ち込んだ。
 その日は他に例の「Band On The Run」のニンバス盤も持っていったので当然そちらから試聴スタート。詳細はこの前書いた通りで2人してニンバス盤のスーパーウルトラ高音質に浸っていたのだが、盤を聴き終えていつまでも無音でいるわけにもいかず、Sさんに “次は何にしましょうか?” と聞かれた私は “ほんなら「Over America」のオランダ盤でも聴きましょか。” とこのレコードを差し出した。
 針を落としてA①「Venus And Mars」が始まるとすぐにSさんが“コレ、ちょっと音が変じゃないですか? まるで別のライヴを聴いてるみたいですよ。” と仰った。私もさすがに “別のライヴ” とまでは思わないまでも、確かにこれまで何百回と聴いてきた「Over America」の音ではない。何か無理やり作った人工的な音という感じがして違和感ありありなのだ。Sさんは “自然な音ではないですよね、コレ。歓声だけ聞いても会場キャパが違って聞こえるし、ハードロックっぽい音作りにしようとして失敗したような感じです。” と一刀両断に切って捨てる(笑)
 とても6面全部を聴く気にはなれなかったので “それじゃあ一番ボロが出そうな Side-3 のアコースティック・セットを聴いてみましょう。” と私(←鬼畜やな...)。しかしSide-3を聴き進むにつれ、徐々にアコギ大好きSさんの顔がこわばっていく。そして「Blackbird」が始まったところで “コレはもうお話になりません。ギターの弦の音が安っぽいナイロン製に聞こえますよ。こんなの「Over America」じゃないですね!” とやや怒気を含んだ(笑)声で仰ったので “何か血の通ってないアンドロイドみたいな音作りですよね。この盤はここまでにしましょ。” と、B-SELS聴き比べ史上初の打ち切り(笑)となった。まぁその前に聴いていたのがニンバス盤ということもあって余計に酷く感じたのかもしれないし、この盤は1983年以降に出た再発盤なので(←センター・レーベル上部中央にある惑星ジャグリング・ヴァージョンの MPLロゴで明らか)オランダ盤全部が悪いということではないのかもしれないが、少なくともこのレコードに関する限りは全く論ずるに値しない音質改悪盤だった。
 家に帰ってみるとセラーから謝罪のメールが来ており、当然ながら即返金となったのだが、こーなってくると意地でも本物のスウェーデン盤を聴いてみたくなってくるというもの(でしょ?) 結局別のセラーにメールして、今度は正真正銘のスウェーデン盤であることを事前にしっかりと確認してから購入。前々から Discogsのセラーはエエ加減なのが多かったが、今年に入ってからは特に酷くて半年間で何と10件もの出品エラーによる返金で無駄な時間を浪費させられている。困ったものだ(>_<)
 愚痴はさておき、オーダーから1週間という電光石火の早業でついに本物のスウェーデン盤が届いた。ジャケットは前のヤツ以上にピッカピカで、ほとんどミント状態と言っていい。盤質もEXで、これで$9.99だから超お買い得と言えるのだが、気になるのは音質だ。果たしてオランダ盤と同様のアホバカ盤なのか、それとも... ??? 私は性懲りもなくこの盤を B-SELS に持ち込んでSさんと一緒に徹底検証することにした。 (つづく)