shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

夜明けのスキャット / The Yellow Monkey

2011-12-14 | Cover Songs
 今、なぜか由紀さおりが海外で大人気だという。新聞やテレビでも取り上げられて話題になっているので私のような歌謡曲ファンでなくてもご存知かもしれないが、彼女がアメリカのジャズ・オーケストラ、ピンク・マルティーニと共演したアルバムがアメリカやカナダの iTunes ジャズ・チャートで1位になったのを始め、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで開いたコンサートをソールド・アウトにして喝采を浴びるなど、まさに大ブレイクと言ってもいいモテモテぶりなのだ。
 事の発端は、ピンク・マルティーニのリーダーが地元オレゴンの中古レコード店で偶然見つけた彼女のLPをジャケ買いし、その中に入っていた「夜明けのスキャット」を聴いてその美しい歌声に魅了され、ついには彼女との共演に至ったというものらしい。ヒットの裏側と言うか、こういった偶然から始まるインサイド・ストーリーというのは実に面白いものだが、今日は今話題のアルバム「1969」ではなく、そのきっかけとなった42年前のヒット曲「夜明けのスキャット」、それもロック・バンドによるカヴァーを取り上げようと思う。
 この曲は1969年に彼女が本名の安田章子から由紀さおりへと改名してリリースした最初のシングルで、彼女の透明感溢れる歌声が幻想的な夜明けをイメージさせる曲想に見事にマッチして150万枚を売り上げ、年間チャート1位に輝いたという大ヒット曲。1番の歌詞が “ル~ル~ルルル~ ラン~ラ~ラララン~♪” の繰り返しという当時としては非常に斬新な構成から “日本初のスキャット・ヒット” と呼ばれているらしい。
 ただ、イントロの訥々としたアルペジオは洋楽ファンなら誰でも知ってるあの曲そのまんまで、思わず “Hello darkness, my old friend...♪” と口ずさんでしまいそうだ(^.^)  試しに「夜明けのスキャット」でググってみると検索候補にまで出てきたのには笑ってしまったが、海外の人達がこのイントロを聴いてどう思ったのかちょっと気になるところだ。因みに作曲はいずみたくである。
 パクリ疑惑はさておき、ここからが本題だ。確かに由紀さおりが歌うオリジナル・ヴァージョンは魂が浄化されるような美しさを持った名演(←ちょうどエンヤやメリー・ホプキンを聴いた時の感じに似てる...)には違いないのだが、私が実際に愛聴しているのは日本が誇るロック・バンド、 The Yellow Monkey によるカヴァーの方で、これこそまさに私にとって究極と呼べるヴァージョンなのだ。
 イエロー・モンキーによるこのカヴァーは元々1995年に出たシングル「嘆くなり我が夜のファンタジー」のB面に入っていたもので、私は初期の隠れ名曲を収めたベスト盤「ザ・トライアド・イヤーズ・アクトⅡ」で初めてコレを聴いて大感激!!! あの美しい昭和歌謡の名曲にロック魂を注入し、ハードボイルドでありながら深みのあるバラッドに昇華させているところが何よりも素晴らしい。特に圧巻なのが中性的な魅力を湛えた吉井さんの艶のあるヴォーカルで、何度聴いても心にグイグイ食い込んできてゾクゾクさせられてしまう。決して大袈裟ではなく、聴く者の魂を揺さぶる歌声で、その魅力に一旦ハマると病み付きになること請け合いだ。
 バックの演奏・アレンジもヴォーカルに負けず劣らずのカッコ良さで、ドスドスと切り込んでくる重量感溢れるドラムスも不思議なくらい違和感なく曲に合っているし、何と言っても3分30秒を過ぎたあたりから炸裂する入魂のギター・ソロが最高だ。由緒正しい音楽ファンが聴いたらイスから転げ落ちるかもしれないが、私はこういうの大好き(^o^)丿 彼らの原曲に対する愛情とリスペクトがビンビン伝わってきて嬉しくなってしまう。
 名曲は時を超え、ジャンルを超えて歌い継がれていく。イエロー・モンキーで聴く “ロックな” 「夜明けのスキャット」は私のように昭和歌謡を愛するロック・ファンにピッタリのスーパー・ウルトラ・キラー・チューンなのだ。

夜明けのスキャット / THE YELLOW MONKEY


夜明けのスキャット(オリジナル・ヴァージョン)由紀さおり


【おまけ】特に深い意味はありません(笑)
サウンド・オブ・サイレンスThe Sound of Silence/サイモンとガーファンクル