shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Philles Album Collection

2011-12-27 | Wall Of Sound
 みなさんこんにちは。ヒッピーな、じゃなかったハッピーなクリスマスを過ごされましたでしょーか? デートしてくれる可愛い彼女もいない私は家でコタツに入って音楽を聴くという “いつものメリークリスマス” 状態だったのだが、コタツにはミカンとネコが欠かせないように、音楽ファンにとってのクリスマスといえば何はさておきフィル・スペクターである。ウォール・オブ・サウンドなんである。聖夜には轟き渡る分厚いエコーがよく似合うのだ(←何という強引な展開...)。ということで今日は2011年の私的 “リイシュー・オブ・ザ・イヤー” といえるフィル・スペクターの7枚組ボックス・セットをご紹介。
 この「フィレス・アルバム・コレクション」はフィル・スペクターがフィレス・レーベルからリリースした全アルバムから例のクリスマス・アルバムを除いた下記の6枚を紙ジャケ(←私の EU 盤は結構ソリッドな作りになってます...)でオリジナル通りに復刻、更に7枚目としてシングル B 面に収録されたインストルメンタル音楽を集めた「フィルズ・フリップサイズ(← flipside とは “シングル B 面” という意味)by フィル・スペクター・ウォール・オブ・サウンド・オーケストラ」というボーナス・ディスクまで付いた、まさにオールディーズ・ファン垂涎モノのボックス・セットなのだ。
 1) Twist Uptown / The Crystals
 2) He's A Rebel / The Crystals
 3) Zip-A-Dee-Doo-Dah / Bob B. Zoxx And The Blue Jeans
 4) The Crystals Sing The Greatest Hits
 5) Philles Records Presents Today's Hits
 6) Presenting The Fabulous Ronettes Featuring Veronica
因みに日本盤はありがたい解説付きの(←皮肉です)Blu-Spec CDとやらで1万円を超える超ボッタクリ価格だったので私は迷わず輸入盤をチョイス。アマゾン・マーケットプレイスのイギリス直送便で新品が何と3,000円ポッキリだ!!! ということは1枚当たり430円... 円高サマサマというか、ホンマに良い世の中になったものだ(^.^) 
 上記の6枚は個々に独立した作品だし、今ここでそれぞれの盤についての感想を書く気力も体力も無いのでそれは又の機会に譲るとして、7枚目のボーナス・ディスクについて少し触れたい。フィレス・レーベルのシングル B 面用インストは、リハーサルの合い間に録ったジャム・セッション音源に身内や関係者の名前をテキトーにタイトルに付けただけ、というものがほとんどで、中には “何じゃこりゃ?” というトラックもあるが、興味深い音源も少なくないので油断できない。
 スタイル的には大きく分けてロックンロール風とフォービート・ジャズ風の2種類に大別され、前者ではクリスタルズの「ヒーズ・ア・レベル」とジョンの「ロックンロール」を足して2で割ったみたいな雰囲気の③「ドクター・カプランズ・オフィス」(←スペクターがかかっていた精神科医の名前から取ったもので、「GO! GO! ナイアガラのテーマ」としても有名ですね...)が気に入ったが、何よりも面白かったのは後者のジャズっぽい演奏だ。 “スペクター・サウンドでジャズ” というのも中々オツなもので、バーニー・ケッセルのギターを大きくフィーチャーした⑨「ミス・ジョーン・アンド・ミスター・サム」、フレディー・グリーンみたいにザクザク刻むリズム・ギターが快感を呼ぶ⑫「ギット・イット」、ガンガン弾きまくるパウエル直系のピアノとビッグ・バンド風の爆裂ドラム・ソロに圧倒される⑭「チャビー・ダニー・D 」、ブンブン唸るベースとスインギーに乱舞するピアノの絡みがたまらない⑯「アーヴィング」など、結構面白い音源が多くて楽しめた。
 このようにいいことずくめに思えるこのボックス・セットだが、唯一不満なのがモノラル音源から最新リマスターを施したというその音質だ。常日頃 iPod で音楽を聴くような人達には無縁のハナシだが、オリジナル盤 LP のスピーカーから迸り出るような迫力満点のモノラル・サウンドと比べるとその差は歴然(>_<) 月とスッポン、ラオウとジャギ、レッドブルと HRT ぐらいの違いがある。ノペーッとしていて平面的というか、脱脂綿で拭いたような清潔な感じのサウンドで、全体的にガッツに乏しいのだ。ジャズで言うと ECM みたいな音作りなのだが、ウォール・オブ・サウンドはやはりブルーノートのような無骨な音で聴きたい。あの “音の壁” はあくまでも十分な音圧あってのもので、エコー感だけが残った薄っぺらいサウンドではその魅力が半減してしまうように思う。せっかくの好企画なのに、それだけが惜しい。画龍点睛を欠くとはまさにこのことだ。
 このようにリマスタリングには不満が残るものの中身の方は文句の付けようがない珠玉の名曲名演アメアラレ攻撃で、オリジナル盤 LP はその人気と希少性ゆえに数万円で取引されているため余程のコレクターでない限り聴けないようなフィレス・レーベルの貴重な音源が、ヘタレな音とはいえ(←しつこい!)手軽に楽しめるようになっただけでも感謝せねばならないだろう。それに7枚組といっても1枚30分前後の盤ばかりなので、今年の大晦日はコタツに入って(←ホンマにコタツ好きやなぁ...)スペクター・サウンドを一気聴きするというのもエエかもしれない。

Phil Spector jukebox


Phil Spector house band - Dr. Kaplan's Office


GO! GO! Niagaraのテーマ~Dr.Kaplan's Office


Chubby Danny D
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