shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Live at the Royal Albert Hall / The Who

2011-07-05 | Rolling Stones / The Who
 5月の半ばから何となく始めた “ザ・フー祭り” も何やかんやでもう7月なのだが、懲りずにまだ継続中である。前回はケニー・ジョーンズ時代のライヴ盤「フーズ・ラスト」を取り上げたので、今日はザック時代のライヴ盤「ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール」でいってみたい。
 彼らは1983年に一旦解散した後、ライヴ・エイド(1985)や結成25周年記念ツアー(1989)で再結成しているが、他の多くのバンドのリユニオンと同様にザ・フーの場合も、メンバーが何となく集まってハイ弾きましたハイ叩きましたという同窓会的なプレイに終始しているように聞こえ、見ていて迫ってくるものはあまり感じられなかった。ザ・フーとしての必然性が感じられず、バンドとしての集中力は拡散し、演奏のテンションも低いように思えたのだ。
 しかし1996年にハイド・パークで行われたプリンス・トラスト・コンサートではドラマーにリンゴ・スターの息子であるザック・スターキーを起用、かつてのザ・フーの片鱗を感じさせるパフォーマンスを見せつけた。その後1999年の再々結成コンサート・ツアーでは大編成を止めてよりロック向きの5ピース・バンドに切りかえ、ピートもアコギから再びエレキに持ち替えてエネルギッシュなプレイを披露、ザ・フー本来のタイトで引き締まったバンド・サウンドが戻ってきた。結局このツアーは2000年末まで続けられたのだが、その最終日にあたる11月27日のライヴの模様を収めたのがこの「ライヴ・アット・ザ・ロイヤル・アルバート・ホール」である。
 恥ずかしながら私はこの CD を買うのをずっと後回しにしていて、他のザ・フー盤をほとんど聴き尽くした後で “そー言えばコレまだ聴いてへんかったなぁ...” ぐらいの軽いノリであまり期待もせずに買ったのだが、実際に聴いてみてビックリ(゜o゜) めちゃくちゃエエのである。そのハイテンションな演奏は1980年代以降では抜きん出ているのではないか。マネージャーのビル・カービシュリーと同じく、私がザ・フーのステージで最も感銘を受けたのは以前取り上げた「コンサート・フォー・ニューヨーク・シティ」(2002)なのだが、彼らはこのツアーでの好調ぶりをそのまま維持してニューヨークに乗り込み、あの神懸かったパフォーマンスが生まれたのだと思う。
 このようにザ・フーが完全復活したのは一にも二にもザックのダイナミックなプレイによるところが大きい。これだけガンガンとプッシュされたらピートも難聴を理由にアコギでお茶を濁しているわけにはいかないだろうし、同じリズム隊のジョンも本気になってスーパー・プレイを連発、ここに躍動感溢れる21世紀のザ・フー・サウンドが生み出されたのだ。
 ディスク1では①「アイ・キャント・エクスプレイン」や③「ピンボール・ウィザード」、⑤「マイ・ワイフ」から⑩「フー・アー・ユー」、⑪「ババ・オライリー」に至るまで、耳慣れたライヴの定番曲がザックの躍動感溢れるドラミングによって息を吹き返している。そんな中で注目はそれまでのライヴ盤には収録されていなかった②「エニーウェイ・エニーハウ・エニーウェア」、⑥「ザ・キッズ・アー・オールライト」、⑦「メアリー・アン・ウィズ・ザ・シェイキー・ハンド」、⑧「バーゲン」といった楽曲群。特に間奏のドラム・ソロが重要な②はこれまであまりライヴで演奏されてこなかったように思うのだが、彼らがこの曲をセット・リストに加える気になったのは、キース直系のスリリングなプレイを身上とするザックを得たからだと思う。 又、1st アルバムに入っていた甘口ビート・ポップスの⑥もシャキシャキした演奏で旨口ロックに仕上げている。大好きな⑦⑧をザック・ヴァージョンで聴ける幸せもこの盤でしか味わえない(^o^)丿
 このように良いことずくめに思えるこのライヴ盤なのだが、私的にどうしても許容できない点が一つある。ディスク2の半数以上のトラックでしゃしゃり出てくるゲスト陣がめちゃくちゃ鬱陶しいのだ。ブライアン・アダムス、ポール・ウェラー、エディー・ヴェダー、ノエル・ギャラガー、ケリー・ジョーンズといった連中が “スペシャル・ゲスト” として登場し、あろうことかヴォーカルまで取っている。図々しいにも程があるというか、厚顔無恥も甚だしい。例えるならロネッツやスプリームズのリユニオン・ライヴでレディー・ガガやビヨンセが歌うようなモンである(←極端な例えだが...)。ファンはザ・フーが聴きたくて身銭を切るのであり、こんな若手連中の下手くそな歌が目当てでこの盤を買う人なんてそんなにいないと思うのだが...(>_<) 私はこいつらが入ったトラックはすべて飛ばして余計な不純物の混じらない真正ザ・フーの演奏だけを CD-R に入れて楽しんでいる。こーいう時にパソコンってホンマに便利やね。
 とまぁこのようにあまり好きになれないディスク2だが、そんな中では⑦「ユー・ベター・ユー・ベット」、⑧「ザ・リアル・ミー」、⑨「5:15」と続く流れがめっちゃ好き。特に⑨で聴けるジョン・エントウィッスルの驚異のベース・プレイは圧巻で、涼しい顔して物凄い速弾きをブチかましている。リード・ベースの真髄ここにありと言えるトラックだ。
 尚、このCDにはジョン・エントウィッスルにとって最後のステージとなった2002年2月の同所でのライヴ4曲を収録したボーナス・ディスクが付いており、不要なゲスト参加の数トラックを除けば(←しつこい!)ファンとしてはお買い得感溢れる3枚組ライヴ盤なのだ。

The Who Live at The Royal Albert Hall - Can´t Explain


John Entwistle bass solo


The Who at The Royal Albert Hall - The Real Me