shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

evergreen / My Little Lover

2010-09-01 | J-Rock/Pop
 修理に出していたパソコンがやっと戻ってきた。やっとこれで快適にネットが見れるとホッとしながら梱包を解いてみてビックリ... 全然違うパソコンが入っているではないか!同封されていた修理報告書を見ると “ケーブル不良及びモジュール動作不良による本体不具合を確認し、交換部品がないため NV53A-H32へ製品交換致しました” とのこと。確かメーカーには販売した製品の部品に対して8年間の保存責任があったはず... 何で1年半前に出た新製品の部品が無いねん?しかも持ち主に無断で製品交換って一体どーゆーこっちゃ?その製品交換というのも新品にではなく “メーカー認定再生修理パソコン” という中古のパソコンで、それも word も何も入ってない廉価版にである。それで “修理完了しました” とは呆れてモノも言えない。1ヶ月も待たした結果がコレかよ... 客をナメとんのか!ゲートウェイっていくら海外のメーカーとはいえ、ここまで酷いとは思わなんだ。早速仲介のケーズデンキに電話して怒鳴りまくり、メーカーに圧をかけて誠意ある対応をさせるようクンロクを入れといた。とりあえずこの問題が解決するまではそのパソコンをお使い下さいとのことだが、起動するたびに gateway の文字が画面に出てきて怒りが沸々と湧いてくる。しかもその再生パソコン、何と3日で壊れてしまった(笑) こんな糞メーカーの製品はもう二度と使いたくない(>_<)

 ということでこの数日間は非常に不愉快な日々を過ごしたのだが、そんなグルーミーな気分を和らげてくれたのが他でもないマイ・リトル・ラヴァー akko の癒し系ヴォーカルだった。私が持っている彼らのアルバムは全部で4枚。オフィシャルなベスト盤「シングルス」、裏ベストとでも言うべき「セルフ・コレクション」、シングルB面まで網羅した台湾盤「単曲集」といった編集盤が3枚と、1st アルバム「evergreen」なのだが、特にこの「evergreen」はオリジナル・アルバムでありながら収録曲のクオリティーが抜群に高く、アルバム自体が “もう1枚のベスト盤” みたいな感じなのだ。
 収録されているシングル3曲のうち、⑤「Hello, Again ~昔からある場所~」に関しては以前「シングルス」を取り上げた時にこの曲への思いのたけをぶちまけたので詳細は省くが、とにかくビートルズが好きな人なら必ず気に入りそうな邦楽史上屈指の大名曲とだけ言っておきたい。他の2曲もキャッチーな旋律のアメアラレ攻撃が圧巻で、生硬な akko のヴォーカルが楽しめるデビュー曲⑨「Man & Woman」は後の活躍を予感させるようなマイラバ的ポップ・アレンジが随所に聴けるし、 2nd シングル③「白いカイト」は “危うさ” を内包した舌っ足らずな彼女の歌声と郷愁を誘う懐かしいメロディーが絶妙にマッチしていて言うことナシ!この3曲は友人のマイラバ・ファン O ちゃんの超お気に入りらしいが、私もこの3曲こそがマイラバの原点だと思う。
 このアルバムはシングル曲以外にもメロディアスなナンバーが目白押しで、日本のジェフ・リンと化した小林武史の鋭いポップ・センスに脱帽だ。①「マジック・タイム」はウキウキするようなサウンドに乗って akko の浮遊感に満ちたヴォーカルが乱舞する魅力的なナンバーで、 “チクタク チクタク チクタク...♪” というフレーズが実に効果的に挿入されている。アルバム冒頭を飾るに相応しい1曲だろう。②「Free」も「帰ってほしいの」や「ABC」といった初期ジャクソン5のヒット曲に通じる楽しさに溢れたポップ・チューンで、この①②③と続く流れはまさにマイラバ流ポップス玉手箱状態だ。微妙な危うさを持った akko の歌声が引き立つアレンジのセンスが見事な⑥「My Painting」、聴けば聴くほど味が出る静謐なバラッド⑦「暮れゆく街で」、ベース主導のファンキーなノリがエエ感じの⑧「Delicacy」と、このアルバムは実に多様な楽曲群の集合体でありながら不思議な統一感を醸し出しており、しかもそれら1曲1曲が極限まで磨き込まれているところが凄い。
 このような珠玉の名曲揃いの中でも私がとりわけ気に入っているのが④「めぐり逢う世界」と⑩「evergreen」だ。④はイントロを聴いただけで名曲の予感がするナンバーで、サビから一気にたたみかける展開は快感の一言!こんな名曲を惜しげもなくシングルB面にしてしまうのだから、当時のマイラバの充実ぶりが分かろうというものだ。⑩は何よりもまず眼前に広がる大草原をイメージさせる壮大な曲想に圧倒される。それが緻密に計算され尽くしたアレンジによってアルバムのラストを締めくくるに相応しいナンバーに仕上がっているのだ。特にブラスやコーラスの絡ませ方は職人芸と言ってもいいくらいの見事なもので、まさに天才プロデューサーの名に恥じない素晴らしい仕事だと思う。
 J-Pops 界の鬼才小林武史が個性の塊のような akko のヴォーカルを得て、洋楽ポップスと昭和歌謡のオイシイところを巧くブレンドさせて作り上げたこの「evergreen」というアルバムは “心に響くメロディーの宝庫” と言っていいくらいの大傑作で、当時 J-Pops を聴き始めたばかりの私にとっては実に衝撃的な内容だった。ひょっとすると90年代邦楽アルバムの最高峰と言ってもいいかもしれない。洋楽であれ邦楽であれ、ジャズであれロックであれポップスであれ、音楽とは突き詰めれば曲の良し悪しこそがすべてなんである。あれから何百回聴いたか分からないが、リリースから15年経った今聴いても全く古さを感じさせない素晴らしさ... まさにタイトル通りのエヴァーグリーンな1枚なのだ。

MY LITTLE LOVER "白いカイト" Video Clip


My Little Lover めぐり逢う世界


MY LITTLE LOVER evergreen