shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Battles Without Honor And Humanity: The Complete Collection Blu-ray Box

2017-02-25 | TV, 映画, サントラ etc
 ビートルズのアナログ各国盤シリーズも一段落したので今回はガラリと趣向を変えて音楽から離れ、先月亡くなった松方弘樹の追悼に最近手に入れたブルーレイ・ボックスを取り上げようと思う。
 私は任侠映画の大ファンで古き良き東映黄金時代の諸作品から最新のVシネマまでほぼ欠かさず観ているのだが、これまで観てきた何百という任侠モノの中で私が最高傑作と信じて疑わないのが「仁義なき戦い」シリーズだ。そしてオールスター・キャストと言っても過言ではない超豪華な出演陣の中でも特に強烈なインパクトを受けたのが小林旭と菅原文太、そして当時若手の注目株だった松方弘樹だ。
 彼は5部作中の3作品にそれぞれ違った役柄で出演し、その3回ともに志半ば(?)にして殺されている。まさに “松方弘樹は3度死ぬ”(←007かよ...)というワケだが、それだけ深作欣二監督が彼の才能を高く買っていたということだろう。特に5作目の「完結編」で彼が演じた市岡輝吉のインパクトは強烈で、宍戸錠演じる大友勝利との絡みのシーンなんかもう最高だ。結局、彼は映画の真ん中あたりで殺されてしまうのだが、作品の途中で姿を消しても記憶に強く残る演技が出来るところに役者・松方弘樹の真骨頂があると思う。
 そんな彼の訃報は私にとっては大きなショックで、その週末は追悼のために「仁義なき戦い」を始めとして「修羅の群れ」「北陸代理戦争」「最後の博徒」「新・日本の首領」といった彼の代表作DVDを一気観。どの作品も文句のつけようのない名作だが、中でもやはり「仁義なき戦い」シリーズは異次元の素晴らしさだ。
 これらのDVDを観終わった後、ふと “大画面用にレストアしてブルーレイで出てへんかな...” と思いついた私(←去年観たシェア・スタジアム・ライヴのレストア版で味をしめた???)はすぐにアマゾンをチェック。シリーズ5作にボーナスディスクを加えた国内版ブルーレイ・ボックスを見つけたのだが、3万円はさすがにちょっと高すぎる。ヤフオクも似たようなモンで、既にDVDで持っている盤にそんな大枚を叩く気にはなれない。そこで国内がダメなら海外があるわいとeBayを覗いてみたところ、何とUS版のブルーレイ・ボックスが「Battles Without Honor And Humanity」というタイトルで出ているではないか! しかもありがたいことにリージョン・フリーで、何と英語の字幕付きらしい。あの強烈な広島弁のやり取りがどんな風に英語に訳されているのか、大いに興味をそそられるところだ。
 このUSボックスは2,500セット限定商品とのことで、発売から1年が経ちそろそろプレミアが付き始めているらしく、発売時は定価$100だったものが$250~$350ぐらいの高値で取り引きされていたが、ラッキーなことにたまたま$100の即決価格で出品されたブツを発見、送料込みでも国内版の半値以下で買える計算だ。私は迷わず買いを決めた。
 このボックスは第1作「仁義なき戦い」(Battles Without Honor And Humanity)、第2作「広島死闘篇」(Hiroshima Death Match)、第3作「代理戦争」(Proxy War)、第4作「頂上作戦」(Police Tactics)、第5作「完結篇」(Final Episode)の各巻がBlu-rayとDVD2枚組セット(共にリージョン・フリー)で、更に「総集篇」(The Complete Saga)Blu-ray 1枚が付いた13枚組セットになっており、日本語PCM音声に英語字幕が付いた美麗映像で深作欣二監督が作り上げた日本ヤクザ映画の金字塔を心ゆくまで堪能できる。
 ジャケットカヴァーはリバーシブル仕様になっており、表が描き下ろしオリジナル・イラストで、裏が日本公開時のオリジナル・ポスターという粋な作りになっているのもファンとしては嬉しい。更に「The Yakuza Papers」と題した全152ページのハードカヴァー・ブックレットまで付いており、各エピソードにおける人物相関図を始め、様々なエッセイやらインタビュー、そして貴重な写真が満載だ。
 映像は丁寧にレストアされており、大画面での鑑賞に十分耐えうるレベルまでグレードアップ。又、広島弁の英語訳も期待を裏切らない面白さで、“へぇ~、このセリフがそんな英語になるんか...” と大いに楽しませてもらった。松方絡みのセリフで特に印象に残ったものを挙げてみると...
①1作目、山守組若頭・坂井(松方)が山守親分(金子信雄)を恫喝するシーン
「あんたは初めからワシらが担いどる神輿じゃないの。組がここまでなるのに誰が血ぃ流しとるの?神輿が勝手に歩けるいうんなら歩いてみいや!」
(You're just the palanquin. We've always done the heavy lifting. Who shed the blood to get us here? You think you can make it on your own, palanquin?)
仁義なき戦い 名言「神輿が勝手に歩ける言うんなら歩いてみいや 」

②5作目、敵対関係にあった大友勝利(宍戸錠)と市岡輝吉(松方)が兄弟盃を交わすシーン
「お互い分のある縁組みじゃけぇ、受けてもエエんじゃないですか」
(If this marriage can benefit us both, why not go along with it?)
「そらぁエエがのぉ、市岡、オマエ盃ゆぅモンを軽う見とりゃせんか?牛の糞にも段々があるんでぇ。おどれとワシが五寸か? 軽う見んな!」
(Fine, Ichioka, but aren't you taking the vows of brotherhood too fucking lightly? Even cow shit has different grades, you know. Are you saying you and I are equals? Don't insult me!)
仁義なき戦い 名セリフ 完結篇「牛の糞にも段々があるんで、おどれとわしが五寸かい」

③同じく5作目、敵の縄張を荒らしに乗り込んできた市岡輝吉組長(松方)が若い衆を煽るシーン
「オゥ、オマエら、かまわんけぇ、そこらの店、ササラモサラにしちゃれい!」
(Scatter into the shops around here and have yourselves some fun.)
仁義なき戦い 名セリフ 完結篇「そこらの店ササラモサラにしちゃれい」

 私はこの「ササラモサラ」という言葉の響きが大いに気に入り(←“メチャクチャ”っていう意味の広島弁か?)、昔気質のイケイケドンドンなヤクザを演じる松方の怪演と相まって忘れられないシーンになっているのだ。去年出たVシネマ作品でも有象無象の共演者たちが霞むような圧倒的な存在感で、まだまだこれからも楽しませてくれるだろうと思っていただけに彼の死は本当に残念だ。ここに心よりご冥福を祈りたいと思う。
 尚、松方以外では、1作目のラストで菅原文太が放つ名セリフ「山守さん、弾はまだ残っとるがよう...」(Yamamori, I've still got some bullets left...)があまりにも有名だ。
仁義なき戦い 名言「弾はまだ残っとるがよう 」

又、日本映画史上屈指の名シーンと私が信じる小林旭vs 梅宮辰夫(4作目)の火の出るような言葉の応酬...
小林:「広島極道はイモかもしれんが、旅の風下に立ったことはいっぺんもないんで。神戸のモンいうたら猫一匹通さんけん、おどれら、よぉ覚えとけや!」
(We may not be very sophisticated here in Hiroshima, but we never let visitors stand upwind of us. We won't let so much as a cat get through if he's from Kobe. Don't forget that!)
梅宮:「よぉし。おんどれらも吐いた唾、飲まんとけよ。ええな。わかったら、早よ いね!」
(Fine. You guys take care your spit doesn't blow in your own faces. Got that? Now get out of here!)
... は何度聞いても鳥肌が立つくらいスリリングだ。やっぱり東映の任侠路線は最高じゃのぉ...(^.^)
仁義なき戦い 名セリフ 頂上作戦 「広島極道は芋かもしれんが旅の風下に立ったこたぁいっぺんもないんでぇ」

大ショック! レナード・ニモイ氏死去

2015-03-01 | TV, 映画, サントラ etc
 昨日、ポールのチケットが取れてルンルン気分でヤフーのトップ・ニュース欄を見ていたら衝撃的なタイトルが目に飛び込んできた。 “NASAや大統領、スポック追悼” という記事である。スポック追悼って、もしかしてレナード・ニモイ氏が亡くなったのか??? 慌ててそのタイトルをクリックすると、そこには “ミスター・スポックのレナード・ニモイさん死去” とある。うわー、コレは大ショックだ。大好きなスポックが亡くなったなんて...
「ミスター・スポック」のレナード・ニモイさん死去(15/02/28)


 私は熱狂的なトレッキー(←スタートレック・ファンのこと)であり、スタトレ全シリーズ中で最も好きなキャラが「宇宙大作戦」という邦題が付けられていた初代シリーズでエンタープライズ号副長兼科学主任を務めるスポックだった。一般ピープルがスタトレと聞いてまず最初にイメージするのはエンタープライズ号でもカーク船長でもなく、ニモイ氏が演じる “耳の尖ったバルカン人” ではないか? とにかくこのスポックというキャラのインパクトは強烈で、熱しやすくて感情的なカーク船長よりも常に冷静で論理を重んじるスポックの方に強いシンパシーを感じながらスタトレにのめり込んでいった。
宇宙大作戦 日本版オープニング


 感情がなく常に論理に従って行動するという “コンピューターのように非人間的” なキャラはその後のスタトレ・シリーズにおいても必要不可欠な存在となり、「新スタートレック」のデータ少佐(アンドロイド)、「ディープ・スペース・ナイン」のオドー(流動体生物)、「ヴォイジャー」のセブン・オブ・ナイン(元ボーグ)など、彼らがいなければエピソードそのものが成立しないのではないかと思えるぐらい魅力的なキャラが作られていったのだが、そのルーツこそがレナード・ニモイ氏演じるスポックだった。
 ニモイ氏はあまりにもスポックがハマり役だったので私はいつしか彼をスポックと同一視してしまっており(←ちょうどピーター・フォーク=コロンボ、田村正和=古畑任三郎みたいな感じです...)、ニモイ氏もバルカン人なみに長寿(←ドラマではバルカン人の寿命は200歳以上という設定)なんだと勝手に思い込んでいたのだ。彼の死は私にとってジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、そしてアイルトン・セナに次ぐ衝撃度だったと言えばそのショックの大きさが分かってもらえるだろう。
 スポック絡みの名シーンは数えきれないぐらいあるが、非常に印象に残っているものの一つが映画版「スタートレックⅡ ~カーンの逆襲~」で自らを犠牲にして艦を救うシーンだ。異変に気付いて駆け付けたカーク船長とのやり取り “Don't grieve, Admiral. It is logical. The needs of the many outweigh...” “... the needs of the few” “... or the one.” はSF映画史上屈指の名シーンだろう。スタトレ以外では刑事コロンボの傑作「溶ける糸」でのメイフィールド医師役が印象に残っている。スポック・ファンとしては帝人のCMも忘れられない。
Spock's Death and Funeral

【CM 1991-92】TEIJIN 企業CM 30秒×5


 スポックを語る上で外せないのがバルカン式挨拶「長寿と繁栄を」(Live long and prosper)だが、享年83歳ということでニモイ氏は長寿を全うされたと言えるかもしれない。確かにファンとしてはめちゃくちゃ悲しいが、スポックなら多分 “死は万人に等しく訪れるもの。悲しむのは非論理的です。” と言うだろう。ひょっとすると今頃はあの世でドクター・マッコイ役のデフォレスト・ケリー氏とロミュラン・エールでも酌み交わしながら昔話に花を咲かせているかもしれない。
R.I.P. Spock. Your memory will live long and prosper...

Spock - McCoy banter and friendship Part 1
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魔女の宅急便

2012-03-30 | TV, 映画, サントラ etc
 先日新しい勤務先に挨拶に行ってきた。調書を書いた後でそこの所長との顔合わせがあり色々と話を聞かされたのだが、この所長、物事の考え方がめっちゃ堅苦しくってまるで霞が関の官僚そのもの。職員の管理も厳しそうだ。アンタはロボット長官か! ハッキリ言って一番嫌いなタイプの人間である。私はこれまで数回転勤を経験しているが、こんなにネガティヴなファースト・インプレッションは初めてだ。たとえ遠くてもこれなら前の職場の方がずっとお気楽で良かったなぁ。まぁ所長は超ウザいが、一緒に働くことになる同僚の方々がどうか良い人達でありますように...
 そんなこんなで結構ブルーな気分で仕事の引き継ぎや荷物の整理に追われた1週間だったが、凹んでいる私を見かねたのか、昨日仲良しの同僚 O ちゃんがプレゼントだと言って大きな袋を持ってきた。開けてみると何とジブリ映画「魔女の宅急便」に出てきた私の大好きな黒猫キャラ “ジジ” のぬいぐるみではないか! 私はジブリ・キャラの中でも特にトトロとジジが大好きで、それを覚えていて元気づけようとしてくれた彼女の気配りに大感激(≧▽≦) “持つべきものは友” とはよくぞ言ったものだ。この感謝の気持ちをブログにも刻み込んでおきたいので、今日は「魔女の宅急便」にしよう。
 私は2年前まではジブリといえば「となりのトトロ」しか知らないトーシローだったのだが、そんな私に他のジブリ映画も見るように勧めてくれたのが他でもない O ちゃんだった。もし彼女がいなかったら私は今も「ナウシカ」や「ラピュタ」、「千と千尋」の素晴らしさを知らずに生きていたかもしれないし、「魔女宅」のジジにハマることもなかっただろう。しかも映画を体験して音楽と映像がリンクすることによって楽曲のイメージがより鮮明になり、オリジナル・サントラだけでなく様々なジブリ・カヴァー・アルバムの楽しみも大きく広がった。そういう意味で、私を本格的にジブリの世界に引き込んでくれた彼女にはいくら感謝しても足りない。
 映画「魔女の宅急便」のサントラ盤であるこのアルバムには久石譲氏によるオリジナル・スコア19曲と、挿入歌として使われたユーミンの2曲が収録されている。久石オリジナルでは何と言っても③「海の見える午後」が圧倒的に素晴らしい!!! その哀愁舞い散る旋律の美しさはまさに絶品で、天才的なメロディー・メーカーとして数々の名曲を生み出してきた久石譲氏の作品中でも屈指の名曲と言っていいと思う。③以外ではラグライム風なアレンジが剽軽な雰囲気を出していて面白い⑦「身代りジジ」やダイナミックなオーケストレイションで盛り上がる⑱「おじいさんのデッキブラシ」が気に入っている。
 ユーミンの2曲は共に今更何の説明も不要な邦楽史上屈指の大名曲。⑳「ルージュの伝言」は1975年にリリースされたユーミン5枚目のシングルで、私なんかドラムスによるフェイド・インから始まるイントロを聴いただけでテンションが急上昇! 弾けるようなキーボードが演出するウキウキワクワク感に満ちた軽快なノリで一気呵成に突っ走るところが最高で、晴れた日のドライヴのBGMなんかにもピッタリだろう。山下達郎、大貫妙子、吉田美奈子、伊集加代子という超豪華な顔ぶれのバック・コーラスも圧巻だ。
 (21)「やさしさに包まれたなら」は1974年にリリースされたユーミン3枚目のシングルで、この曲にはシングルとアルバムの2つのヴァージョンが存在する。映画で使われたのはアコースティック・ギターのクリスプなリズム・カッティングとアルペジオが実に爽やかな味を出しているアルバム・ヴァージョンの方で、シングル・ヴァージョンよりもやや速めのテンポ設定が功を奏して名曲度が更にアップした感じ。ペダルスティール・ギターがカントリー・フレーバーを添えているところも◎だ。
 この曲は歌詞が又素晴らしく、 “小さい頃は神さまがいて 毎日愛を届けてくれた~♪” のラインなんかたまらなく好きだし、 “やさしさに包まれたなら 目に映る全てのことはメッセージ♪” なんてめっちゃ深い。そんな歌詞とユーミンのハートウォーミングなヴォーカルが絶妙にマッチして、心にポッと灯がともるような癒し系ナンバーに仕上がっているのだ。凹んでいる時でもこの曲を聴くと頑張れそうな気になってくるから音楽って素晴らしい。よっしゃ、4月からも頑張るぞー(^o^)丿  O ちゃん、ホンマにありがとうね。

魔女宅詰め合わせ: ルージュの伝言 ~ 海の見える午後 ~ やさしさに包まれたなら


松任谷由美 with All Stars ~ やさしさに包まれたなら
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仮面の忍者赤影・ミュージックファイル

2012-03-25 | TV, 映画, サントラ etc
 一昨日、転勤の内示を受けた。この2年間というもの、ひたすら遠距離通勤に耐えてきたのだが、やっとのことで北部に復帰だ。これで一車線の追い越し禁止道路をどんくさいダンプカーの後ろでイライラしながら走らされる悪夢から解放されると思うとヤレヤレなのだが、その一方で、仲良くなった同僚たちとの別れはやはりツライものがある(>_<) サムがオーストラリアに帰ってしまった後は音楽の話が出来る友人はいなくなってしまったが、一緒に仕事をする人たちには恵まれていて、特に私と息もピッタリでこれまで組んだ中で最高の相棒だった A ちゃんや、パソコンで私がトラブるたびに助けてくれた ITマイスターの I さん、そして同時期に北部から飛ばされてきて一緒に頑張ってきた O ちゃんとはいつもつるんでいたので、この3人に会えなくなるのが何よりも淋しい。
 そう言えばつい先日も私が所属する部署の年度末の打ち上げがあって非常に楽しいひと時を過ごせたのだが、宴の半ばあたりから話題が私の大好きな “昭和” の思い出話になり、自分より年上の人達とは西田佐知子やいしだあゆみといった昭和歌謡ネタで、同年代の人達とは当時のテレビ番組ネタで大いに盛り上がった。中でも予想以上に大きな反応があったのが「仮面の忍者赤影」ネタで、私が親指を鼻に当ててクリッとやりながら青影の “だいじょ~ぶ” で口火を切ると、ほぼ反応ゼロに等しい女性陣にはお構いなしに(笑)エエ齢したオッサンたちが大騒ぎ... 白影の “あかかげどのーーーッ!” やら甲賀幻妖斎の “あ か か げ ぇ ~” といったモノマネが飛び交うという実にオモロイ宴会だった (^.^)
 この「仮面の忍者 赤影」は私が子供の頃に見ていた忍者モノの特撮時代劇で、戦国時代という設定にもかかわらず、空飛ぶ円盤を始めとするハイテク兵器はガンガン登場するわ、巨大ロボットやら怪獣やらが大暴れするわという何でもアリのハチャメチャ感が面白かった。
 赤影役の坂口祐三郎さんは文字通り “涼しい目” をしたイケメン俳優で(←当時の役者さんって今とは違って美男美女率が異常に高い...)例の “赤影参上” の登場シーンなんかめちゃくちゃカッコ良かったし、青影の “だいじょ~ぶ” のモノマネも仲間内で流行っていた。しかし何よりも一番よく覚えているのは白影の登場シーンで、凧に乗って現れる時に何故いつもサイレンが鳴るのかが子供心にず~っと気になっていた(笑)
 あと、印象に残っているのが敵役の甲賀幻妖斎に扮した天津敏さんの名演技で、第一部金目教篇と第二部卍党篇ではビビりながらもその圧倒的な存在感に魅かれて毎週テレビに釘付けになっていた。第三部根来篇では京の町で暴れる巨大カブトムシと大ムカデの闘いのシーンがインパクト大だったし、第四部の魔風篇では雷丸に扮した汐路章さんのコミカルな演技が大好きだった。
 それと、番組の冒頭で毎回流れたオープニング・ナレーションも忘れられない。もちろんまだ子供だったので “豊臣秀吉がまだ木下藤吉郎だった頃...” とか “悪大将 夕里弾正の反乱を知った織田信長は...” とか言われても私には何のこっちゃだったが、オープニングの「忍者マーチ」はこのナレーションの名調子に導かれるように始まらないとしっくりこない。その辺はちょうど「大江戸捜査網」に “隠密同心、それは...” で始まるナレーションが不可欠なのと同じである。
 とまぁこのように役者の演技もオープニング・ナレーションも印象的だった「赤影」だが、それにも増して素晴らしかったのが劇中で使われていた音楽だ。中でも私が好きなのが戦闘シーンでよく流れていた「白影のテーマ」で(←なぜか白影の立ち回りよりも赤影の空中戦の時に多用されていた記憶があるが...)、これほどアグレッシヴでポジティヴな高揚感に満ち溢れた曲はそうざらには無いだろう。とにかくその血湧き肉躍るような曲想といい、ワクワクするようなホーンセクションのユニゾンといい、絶妙なタイミングで炸裂するスネアのリムショットといい、単なる “子供向け特撮番組の挿入曲” として片付けてしまっては勿体ない名曲名演だ。ドライブのお供にもピッタリなので、車好きの方は是非とも高速コーナリング時の BGM としてご活用下さい。アクセルペダルを踏む右足に思わず力が入ること請け合いです。一般車スラロームにも超オススメ(^o^)丿
 「赤影のテーマ」も忘れてはいけない。もちろん歌入りヴァージョンも懐かしくてエエのだが、この曲は何と言ってもインスト・ヴァージョンが絶品で、歌が入っていない分余計に躍動感溢れるブラス・バンド・サウンドが際立っていてめちゃくちゃカッコイイのだ。先の「白影のテーマ」もそうだが是非とも大きなコンサート・ホールで、本格的なビッグ・バンドによる大迫力の演奏で聴いてみたいと思わせる珠玉の名曲だ。
 この「仮面の忍者赤影・ミュージックファイル」には、ここに挙げた “赤影三大名曲” を始め、このシリーズの音楽全般を手掛けた小川寛興氏の名スコア・名アレンジがいっぱい詰まっており、特にバス・フルートの独奏による「赤影のテーマ」なんかもう鳥肌モノの素晴らしさだし、ユーモラスな「青影のテーマ」も様々なヴァリエーションで楽しませてくれる。私と同世代の赤影マニアはもちろんのこと、オリジナル・サウンドトラックという概念を超えた昭和メロディーの名曲集として、リアルタイムで赤影を知らない世代の人でも楽しめそうな逸品だ。それにしても1960年代後半から1970年代前半にかけてのテレビ主題歌やコマソンってホンマに曲のクオリティーが高いなぁ...(≧▽≦)

白影のテーマ


赤影のテーマ


仮面の忍者赤影OP(ナレーション入り)
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Airwolf Themes

2011-11-02 | TV, 映画, サントラ etc
 shoppgirl姐さんからいただいたコメントをきっかけに軽~い気持ちで取り上げたテレビ主題歌盤だったが、「キイハンター」→「プレイガール」→「時代劇主題歌」と回を重ねるうちに段々本気になってきて(←いつもこのパターンやな...)、とうとう自家製コンピ盤 CD-R まで作ってしまった。題して「TV ヒッツ・コレクション《日本編》」。上記の番組に加えて「ザ・ガードマン」や「ウルトラQ」、「ルパン三世」から「松田優作の探偵物語」に至るまで、私がまだバリバリのテレビっ子だった60~70年代に親しんできた古き良きテレビ主題歌をギュッと詰め込んだ超パーソナルな1枚だ。
 最近では森山加代子や黛ジュンに混じって通勤時のドライヴ BGM として愛聴しているのだが、《日本編》を作ったら《海外編》も作りたくなるのが人情というもの。カセット時代はオムニバス・テープ(←懐かしいなぁこの言葉...)を作って楽しんでいたが、CD-R の海外ドラマ・コンピ盤はまだ作っていない。ということで早速選曲に取り掛かったのだが、70~80年代の海外ドラマ主題歌はどれも皆クオリティーが高く、「スタートレック」シリーズを始めとして「ダラス」、「ナイトライダー」、「バビロン5」など、《日本編》に負けず劣らず充実した内容の盤に仕上がった。そんな名曲群の中でもとりわけ素晴らしいのが「超音速攻撃ヘリ・エアウルフ」のテーマ曲だ。
 この番組は1987年頃に読売テレビで毎週水曜の夜にレギュラー放送していたのを見て大ファンになったのだが、当時は地上波のゴールデンタイムでも海外ドラマを放送しており、月8の「ナイトライダー」と水9の「エアウルフ」は何があろうと欠かさずテレビにかじりついて見たものだった。ケーブルテレビに加入後はスーパーチャンネルで全エピソードを完全制覇、今ではバリバリのエアウルフ・マニアだ。
 ストーリー展開は、東西冷戦時代の米ソ・スパイ戦を背景に超音速攻撃ヘリ・エアウルフが活躍して毎回毎回アメリカ側が勝利するという勧善懲悪ワンパターンものだったが、私としては KGB がスベッただの、ナチスがコロンだだのといった筋書きはどうでもよく、要するにエアウルフが縦横無尽に暴れ回って最後には敵機を撃墜するシーンが見れればそれで大満足だった(←単純)。特に好きだったのがエアウルフ高速飛行中のハウリング音で、このクォォォーン!という飛行音を聞かないとエアウルフを見た気がしない。ターボを吹かして猛スピードで加速するシーンや地上スレスレを高速飛行するシーンなんか最高にカッコ良かったし、ホークのヘルメットのバイザーが下りてターゲット・ロックオンした時のオレンジ色の照準点(←マニアックな話ですんません...)が表示されるところなんか何度見てもゾクゾクする。赤外線追尾式ミサイルを引き付ける太陽弾ことサン・バーストも他では中々見れない斬新な武器だった。
 そんな「エアウルフ」だが、戦闘シーンだけでなくオープニング・テーマ曲のカッコ良さもハンパない。私は基本的にシンセサイザーの音色はあまり好きではないのだが、こういう使い方なら大歓迎(^o^)丿 イントロからしてグッとくるモノがあるし、躍動感溢れるテーマ・メロディーにはウキウキワクワクさせられる。超音速ヘリの名に恥じないそのドライヴ感は圧巻の一言だ。私なんかこの曲を聴くたびに大空を飛び回るエアウルフの雄姿が瞼に浮かび、相乗効果でアドレナリンが逆流して “よっしゃ、一丁やったろか!” と心が奮い立つ、まるでユンケルみたいな1曲なのだ。
 この「エアウルフ・シームズ」という2枚組CDは、1999年にマークJケアンズという筋金入りエアウルフ・マニアが版権元より権利を得て1000枚限定(!)で自主制作したアルバムで、私のはヤフオクでゲットした1,000円のブート盤だが、正規盤はイーベイでは超高値で取り引きされ、ウィキペディアによると2006年には $981.74 (当時のレートで約11万円!!!)という鬼のようなプレミア価格で “最も高価なテレビ・サントラ盤” の新記録を作ったというから凄まじい。因みに今では MP3 でウェブサイトからのダウンロード販売になっているようだ。
 とにかくエアウルフ・ファンにとっては垂涎モノのこのアルバム、車の運転中に聴いたら間違いなくアクセルを床までベタ踏みしたくなること間違いなし。目の前をマイペースでトロトロ走る迷惑車にはミサイルでもブッ放したくなるが(笑)、ストリングフェロー・ホーク気分でカッ飛ばしたい時のお供にはピッタリの1枚だ。

Airwolf Season 3 Intro HD


Airwolf Briefing


【おまけ】凄いなこの職人さん... まるで本物みたい(゜o゜)
Airwolf VS Knight rider: エアーウルフ対ナイトライダー

銭形平次 / 舟木一夫

2011-10-29 | TV, 映画, サントラ etc
 前回は手持ちの “時代劇コンピ” CD から「大岡越前」と「大江戸捜査網」の2曲を取り上げた。一般的な知名度で言えば多分「水戸黄門」、「暴れん坊将軍」、そして「銭形平次」あたりがチャンバラ主題歌界(?)のスタンダード・トップ3だろうが、「水戸黄門」は私にはクッサクサの老人向け音楽だし、「暴れん坊将軍」は名曲だとは思うがあまりにも松平健のイメージが強すぎて “白馬に跨って砂浜を駆ける時の BGM ” という刷り込みが私の中に出来上がってしまっており、スピーカーと対峙して聴く気にはなれない。
 残るは「銭形平次」だが、子供の頃は水曜の夜になるとそれこそ毎週のようにお茶の間からこの曲が聞こえてきたもので、大川橋蔵が出てたという以外ドラマの内容は全然覚えていないのに、この曲だけはほとんど耳タコ状態。だからそれ以来ずっと好きとか嫌いとかの対象ではなく、楽曲としては全く意識していなかった。
 そんな私がこの曲の素晴らしさに目からウロコしたのは昨年のこと、大好きな「宇宙人ジョーンズの地球調査シリーズ」 CM の “鵜飼い編” でこの曲のイントロ部分が使われているのを聞いて、昔は何とも思わなかったこの曲の持つ抜群のスイング感を再認識させられたのだ。改めて1曲フル・ヴァージョンで聴いてみたが、コレはもう立派な和ジャズ・ヴォーカル・ナンバーだ。今時どこを探してもこんなにウキウキワクワクさせてくれる歌と演奏は滅多にあるものではない。
 特に印象的だったのがノリノリのイントロに絡んでいくバス・クラリネットのカッコ良さで、軽快なテンポで飛ばすこの曲の要所要所をビシッと締める低音はまさに “一人ゴルソン・ハーモニー”。時代劇らしさ溢れる三味線やお囃子の鐘の音が支配するこの曲の中にファンキーなバスクラを巧みに取り入れたアレンジは考えれば考えるほど凄いと思わざるを得ない。例えるなら「ペニー・レイン」のピッコロ・トランペットや「恋のフーガ」のティンパニみたいなもんだが、コレがあるとないとではエライ違いで、よくもまぁここにバスクラなどという非日本的な楽器を持ってくることを思いついたもんだなぁと感心してしまう。
 それともう一つ、恥ずかしながら私は YouTube を見るまでこの曲を歌っているのが舟木一夫だとは知らなかった。舟木一夫というとどうしても「高校三年生」のイメージが強く、歯が浮くような “青春歌謡” というジャンルが苦手な私にとって彼は完全に対象外の存在だったのだが、この「銭形平次」では得意の詰襟唱法(?)を封印して見事なリズム歌謡を聞かせており、私の射程圏内に入ってきたのでヤフオクでシングル盤をゲット、無競争で200円だった。
 とにかくここで聴ける彼の “粋” を絵に描いたような変幻自在のヴォーカルは天下一品で、そのスイング感溢れるノリはまさに “江戸っ子ジャズ” とでも言うべきもの。この “粋” が分かる日本人に生まれてホンマに良かったなぁと思う今日この頃だ。

銭形平次 舟木一夫


BOSS#27『宇宙人ジョーンズ 鵜飼い 30s』
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ちょんまげ天国 ~ TV時代劇音楽集 ~

2011-10-25 | TV, 映画, サントラ etc
 「プレイガール」で山下毅雄のことを書いていたら無性に「大岡越前のテーマ」が聴きたくなり、早速 YouTube でチェック(←このパターン多いよな...)。久々に聴いたらもうめちゃくちゃ良くて、折角やから他の主題歌も聴いてみようと取り出したのがこの CD。「キイハンター」→「プレイガール」ときて、挙句の果てに「ちょんまげ」では “一体何を考えとるんや?” “ふざけるのもエエかげんにせえよ...” とか思われそうだが、私は曲さえ良ければアニメでもCMソングでも時代劇でもかまわない。ということで今回も昭和歌謡から横道に逸れてしまうが、昔懐かしい時代劇の主題歌ばかりを集めたコンピ盤CD「ちょんまげ天国」だ。
 私は基本的にTV番組の主題歌と言うのは思い入れ一発で聴くものだと思っているが、「キイハンター」にしても、「プレイガール」にしても、はたまた「ザ・ガードマン」にしても「ウルトラQ」にしても、昔のテレビ主題歌というのはそういった個人的なレベルを超越して楽曲単体として聴いてもよく出来ているものが多い。この CD にも有象無象の J-Pops が束になっても敵わないような美メロ連発の名曲名演がいくつも入っており、これらを単なる “チャンバラ・ドラマの主題歌” で埋もれさせてしまうのは余りにも勿体ない。私は別に時代劇ファンでも何でもないので知っている曲は数えるほどしかないのだが、その数曲というのが私の嗜好のスイートスポットを直撃するのだ。
 まずは何と言ってもこの盤を取り上げるきっかけとなった「大岡越前のテーマ」である。数ある山下毅雄作品の中で私が最高傑作と信ずるこの曲、哀愁舞い散る旋律に涙ちょちょぎれまくりで、コレを聴いて何も感じない人がいるとするなら私はその人の音楽的感性を疑う。ヤマタケさんお得意の口笛がこの曲に秘められた哀愁を極限まで引き出しており、聴く者の心の琴線をビンビン刺激する。この番組は小学生の頃よく見ていたが、ドラマのストーリーがどうのこうのよりもむしろこのテーマ曲が聴きたくてテレビの前に座っていたようなものだった。
 この曲にはいくつかの異なったヴァージョンが存在するが、口笛や女性コーラスを大きくフィーチャーした初期のものがベスト。後期のものは時代を反映した軽めの音作りになっているが、この旋律にシンセサイザーや打ち込みビートは似合わない。因みにこのCDに入っているのは口笛を大きくフィーチャーした劇中挿入ヴァージョンだ。
 “クール・ビューティー”を絵に描いたような梶芽衣子の凛とした美しさに憧れて(←野際陽子といい、ひし美ゆり子といい、梶芽衣子といい、今から思えばめっちゃ不純な動機でドラマ見ててんなぁ...)毎週見ていたのが「大江戸捜査網」だ。 “死して屍拾う者なし...” というナレーションがインパクト絶大だったこの番組、そのオープニング・テーマ曲がとても時代劇の主題歌とは思えないようなスケールのデカい演奏で、テーマ・メロディーを高らかに吹き切るホルンなんか爽快そのもの! ホルンの私的3大名演といえば「ウルトラセブン」の咆哮、「アルプスの少女」のイントロ、そして極めつけがこの「大江戸捜査網」というぐらい惚れ込んでいる。とにかく日本的というよりはむしろカウボーイが出てくるマルボロの CM なんかにピッタリ合いそうな、広大なアメリカ西部の大地をイメージさせるナンバーだ。
 私は吹奏楽のオーケストラを聴くことなど滅多にないが、「スタートレックのテーマ」とこの曲だけは別。リズムがどんどん変わっていくというプログレ・ファンが泣いて喜びそうな変拍子バリバリの構成ながら、躍動的でダイナミックなオーケストレイションとスピード感溢れる曲展開に圧倒され、何かこう聴いているだけで血沸き肉躍るというか、奮い立つような曲想を持ったキラー・チューンである。この曲はぜひともスピーカーと対峙して、大音量で音の奔流の中に身を委ねるようにして聴くべし!!!
 チャラいジャケットのせいで思わずスルーしてしまいそうな盤だが、こういった名曲が入っているだけでも十分聞く価値がある。たかがチャンバラ・ドラマの主題歌集とバカにしていては損をする、まさに “羊の皮をかぶったオオカミ” 的な1枚だ。

「大岡越前」テーマ音楽


大江戸捜査網


Ooedo Sousamou(1970-1984) – Theme (Full Version)

プレイガール・ミュージックファイル

2011-10-21 | TV, 映画, サントラ etc
 先日、ブログに貼り付ける「キイハンター」の動画を色々と物色していた時、見終わった後に現れる関連動画に「昭和の懐かしのお色気アクションドラマ」というのがあった。“昭和” と “アクション” だけでも十分魅かれるものがあるが、そこに “お色気” とくればこれはもう見ずにはおられない。早速クリックすると、いきなり出てきたのが「プレイガール」... おぉ、これはめっちゃ懐かしい!!! 子供の頃はよく親の目を盗んで見てたなぁ...などと考えていたら、“AVもヘアヌードもないこの時代、健全な青少年は親の目を盗んでプレイガールに夢中だった” というナレーションが入り大笑い。そーか、俺は健全な青少年やったんか...(^.^)  ということで、今回の “昭和特集” はシングル盤企画をお休みして「プレイガール・ミュージックファイル」のCD にしよう。
 「プレイガール」(1969-74)は “オネエ” こと、沢たまき率いる女性ばかりの秘密保険調査員グループが事件を解決していくお色気アクション・ドラマで、簡単に言ってしまえば「キイハンター」の女性版みたいなモンなのだが、この番組の一番の売りはミニスカートでの回し蹴り連発が楽しめる乱闘シーン... とにかくパンチラあり胸ポロありのカオス状態がインパクト絶大だった。ケッサクなのはこのナレーションの続きで、 “月に2回は温泉ホテルとタイアップ、露天風呂、刺身の舟盛り、温泉芸者にストリップ、スリルとサスペンスとは無縁の、オヤジの大好きな場所でしかプレイガールの事件は起きない...” にはワロタ(^.^)
 もうひとつ強烈に記憶に残っているのが、黒をバックに映える真っ赤なキスマークのロゴとCM前に流れるガマガエルのゲップみたいな(?) “プレイガ~ル” という不気味なジングルで、友達とよくコーラを飲んでゲップしながらマネして遊んだのを覚えている。それにしてもこの番組、当時はお色気に目が眩んで何の疑問も持たずに見ていたが、よくよく考えてみるとプレイガールってただの保険調査員なのに、何でピストル持ってるんやろ? コレって銃刀法違反やんね(笑)
 音楽を担当したのは様々なテレビ番組のテーマ曲を手掛けてきた鬼才、山下毅雄。この人は「パネルクイズアタック25」や「霊感ヤマカン第六感」、「タイムショック」といったクイズ番組を始め、「ルパン三世(第1シリーズ)」に「大岡越前」(←コレ最高!)と、スキャットや口笛を駆使しながらジャジーな感覚溢れる名曲を数多く生み出しており、この「プレイガール・オープニング・テーマ」でもラテン・ジャズのリズムに乗せてオシャレなダバダバ・スキャットが炸裂する妖しさ満点のサウンドが楽しめて言うことなし(^o^)丿 そんな「プレイガール」の音楽をコンパイルしたのがこのCDなのだ。
 この曲のスキャットを担当しているのは日本が誇る “スキャットの女王” 伊集加代。そんな名前知らんなぁ...という人でも “ダバダ~♪” で始まるネスカフェ・ゴールド・ブレンドの CM は聞いたことがあるだろう。かの有名な「11PMのテーマ」のスキャットも彼女によるものだ。だから彼女はスキャットを多用したヤマタケ作品には欠かせない存在で、上記の「霊感ヤマカン第六感」や「タイムショック」でも大活躍だし、この「プレイガール・オープニング・テーマ」では “ウッ スィクスィク プレ~イ ガァ~ル♪” と洗練の極みのような歌声を聴かせてくれる。
 涼しげなヴィブラフォン、コロコロと転がるように弾むピアノ、ゴキゲンなリズムを刻むパーカッションと、ジャズの美味しい部分だけを抽出して濃縮還元したようなオシャレなサウンドもカッコ良く、単なるお色気アクション・ドラマのサントラとタカをくくっていると驚かされること間違いなし。それもこれもやはりベースになるヤマタケ・ミュージックの素晴らしさ故だろうが、とにかく1枚のアルバムとして聴いても中々充実した内容になっていると思う。
 全編に亘っていかにも “昭和” といった感じのレトロなムードが横溢で懐かしさ満点のこのアルバム、世の男性諸氏は自分のお気に入りキャラ(←私の贔屓は何と言ってもアンヌこと、ひし美ゆり子さん!)のパンチラ・ハイキックのシーンなんかを思い浮かべながら聴くと一層幸せな気分に浸れるかもしれない(^.^)

プレイガール OP TVサイズ


プレイガール ENDING テーマ / 山下毅雄


昭和の懐かしのお色気アクションドラマ


音楽の神様 伊集加代

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カラフル・ジブリ

2011-02-06 | TV, 映画, サントラ etc
 私は音楽に目覚めて以来長い間ただひたすらロック/ポップスを中心に音楽を聴いてきたので、クラリネットという楽器にはまったくと言っていいほど縁がなかった。しかし30歳台の半ばぐらいからモダン・ジャズをも聴くようになり、ジャズが最も美しかった50年代からだんだん時代を遡っていくうちに出会ったクラリネット奏者がベニー・グッドマン、1930年代のスイング・ジャズを聴く上で避けては通れない超大物である。しかし私は彼の “ピッ!” という耳に突き刺さるような高音にどうしても馴染めず、いつしかクラリネット入りの演奏を無意識に避けるようになっていった。
 クラリネットに対するそんな私の偏見を木端微塵に打ち砕いたのが日本人ジャズ・クラリネット奏者である鈴木章治の「鈴懸の径」という曲で、私は彼の演奏を聴いて初めてクラリネットという楽器の持つ柔らかい音色の魅力を知り、“クラリネットにもこんな演奏があるんや...” と目を開かれる思いだった。特にミディアム・テンポで美しい旋律の曲を奏でる時なんか、この楽器でしか出せないような雰囲気を醸し出しており、私はクラリネット・アレルギーを解消することができた。
 そして今、2011年、ジブリ祭りで色んなカヴァー盤を聴きまくっていた最中に出会ったのがこの「カラフル・ジブリ」だった。まず最初に目に留まったのがそのジャケットで、 “木漏れ日を浴びながら楽器を手に大きな木の下に佇むうら若き女性4人” というのが実にエエ感じなのだ。このカラフルというグループは音大出身の女性4人で結成されたクラリネット・カルテットで、例えるなら今年のお正月にビートルズ・カヴァーで取り上げた1966カルテットのジブリ版みたいなモンだろう。
 このアルバムは無理やりジャンル分けすれば私の苦手な “クラシック~イージー・リスニング” の範疇に入るのかもしれないし、クラリネット4本(1st、2nd、エスクラ、バスクラ)だけの演奏でアルバム1枚はさすがにキツイかなぁと思っていたが、実際に聴いてみるとピアノやドラムもちゃーんと入っているのでロック者の私でも違和感なく馴染むことが出来た。収録曲はもう何の説明も必要ないジブリ・スタンダードが12曲で、ジャケット通りのホンワカしたサウンドがジブリの愛らしいメロディーとバッチリ合っていて思わず頬が緩んでしまう。これほど中身の音を見事に反映したジャケットには中々お目にかかれない。
 で、その中身の音だが、まずは何と言ってもアルバム冒頭の①「やさしさに包まれたなら」、この柔らかなイントロを聴いただけで私の好きな癒し系クラリネットだということが一聴瞭然で、まさにタイトル通り、聴く者をやさしさで包み込むようなサウンドだ。クラリネット・カルテットの演奏というものは初体験だが、何か心が和むというか、木管楽器ならではのウッディな感覚が耳に心地良い。たまたま今日は春のように暖かい一日だったが、この曲はまさにそんなポカポカ陽気にピッタリの癒し系ヴァージョンに仕上がっている。
 この①に始まり、歌心溢れるプレイとそのアンサンブルの妙に唸ってしまう②「アリエッティズ・ソング」、ツボを押さえた絶妙なアレンジで脳内リフレインが止まらない③「風の谷のナウシカ」、珠玉の久石メロディーとクラリネットのウォームなサウンドの邂逅が生んだ名演⑤「君をのせて」、クラリネットだからこそ出せた素朴な味わいが心に沁みる⑥「カントリー・ロード」、コレを聴けばタタリガミの怒りも鎮まりそうな哀愁舞い散る⑦「もののけ姫」、のほほんとした感じのトボけた演奏が実にエエ味を出している⑧「トトロメドレー」、ハープをバックにメロディーを慈しむように吹くプレイが感動を呼ぶ⑨「いつも何度でも」、親しみやすいクラシックという感じの⑩「崖の上のポニョ」と、聴き所が満載だ。
 このアルバムはパンクやスカ・ヴァージョンとは違ってドライヴの BGM には向かないが(←なんせ毎日がモナコ・グランプリみたいなモンやからね...笑)、柔らかい陽射しを浴びながらブリリアントな午後をマッタリ過ごしたい時なんかにはピッタリの1枚だと思う。

Clarinet Kiki


Clarinet Nausicaa


Clarinet Princess Mononoke

ジブリ・サンバ

2011-02-02 | TV, 映画, サントラ etc
 ジャズ、ボサノヴァ、スカときて今日はサンバである。ビートルズほどではないにせよ、ジブリ・カヴァー盤の多彩さにはホンマに感心させられるが、その成否は企画の面白さとそれを活かすアレンジャー次第という様相を呈している。この “ジブリの名曲をサンバ・アレンジで” というアイデアも “よぉそんなモン思いつくわ...” と言いたくなるようなユニークな発想だが、実際に聴いてみるとコレが中々面白い。ジャケットも動物をあしらった正調ジブリ路線でエエ感じだ。
 私は音楽に関しては好奇心が強いのでこれまで節操なく色んなジャンルの音楽を聞いてきたが、さすがにサンバとなると1枚も持っていない。サンバと聞いてすぐ頭に浮かぶのはもちろんリオのカーニバル。羽根を背負ったキンキラビキニのオネーチャンたちがお尻を振りながらパレードで街を練り歩く時のアップテンポでノーテンキな音楽というイメージしかない。まぁその程度の認識なので、本物のサンバがどういうものかはよくは分からないというのが正直なところだ。
 しかし一聴してみて思ったのは、コレはバリバリのサンバと言うよりは “サンバっぽいラウンジ・ミュージック” ではないかということ。例えるなら日本で食べるフランス料理や中華料理が本場フランスや中国と同じものではなく、日本人の舌に合うようにアレンジされているのと同じようなものだろう。だからこのアルバムはリオのカーニバルを云々するには “サンバの熱気” が決定的に欠けているが、日本のカフェで流すのにはちょうどいい塩梅のサウンドだと思う。
 アルバムの中で私が特に気に入っているのはヴォーカル抜きのインスト・ヴァージョン4曲で、どれもみな歌入りのトラックよりもラテン色が強く感じられるところがいい。③「さんぽ」はビーチでリラックスといった感じのお気楽なサウンドになっているし、ラテン・フレイバー全開の⑥「風のとおり道」なんかツボを押さえたアレンジでアジアン・テイスト溢れる原曲を実に見事にサンバ化している。これ、めっちゃエエわ(^o^)丿
 ⑧「海の見える街」はオリジナルの哀愁舞い散るメロディーをシロフォンで奏でるというユニークなアイデアがズバリと当たり、セニョール・ココナッツの YMO カヴァー盤「イエロー・フィーヴァー」に入っていた「ライディーン」を想わせるようなゴキゲンなラテン・ナンバーに仕上がっている。私的には⑥と並ぶフェイヴァリット・トラックだ。⑩「崖の上のポニョ」は清涼感溢れるフルートがたまらない。実にクールなポニョである。
 歌入りではイントロからいきなりハイテンションで飛ばしまくる①「風の谷のナウシカ」がカッコイイ(≧▽≦) コレはもうあれこれ考えずにリズムに合わせて踊るシカないだろう。この手の企画に欠かせない浮遊感溢れる女性ヴォーカルは私にはやや軽すぎて物足りないが、軽快なサンバのリズムに合わせるにはこれくらいがちょうど良いのかもしれない。
 ベット・ミドラーの②「愛は花、君はその種子」やユーミンの⑤「やさしさに包まれて」、オリビア・ニュートン・ジョンの⑨「カントリー・ロード」は “サンバっぽい感じがする洗練されたラウンジ・ミュージック” 路線のオッシャレ~なアレンジが耳に心地良い。④「となりのトトロ」はサンバというよりはカリビアン・テイストのビーチ・ミュージックという感じ。トロピカル・ドリンクでも飲みながらまったり聴きたい1曲だ。
 ⑦「君をのせて」はアンニュイなボサノヴァっぽいミディアムテンポでスタートし、0分46秒あたりから少しテンポを上げてサンバのリズムに切り替わるのだが、チェンジ・オブ・ペースの妙と言うか、そのあたりのテンポ設定が絶妙だ。それにしても「天空の城ラピュタ」主題歌のこの曲、パンクに始まりジャズ、ボッサ、スカ、サンバと、どんなアレンジで聴いても曲のコアである哀愁舞い散る美旋律が胸を打つ名曲中の名曲だと思う。やっぱりジブリはエエなぁ...(^.^)

ジブリサンバdemo0330
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Ska Flavor loves ジブリ Songs / 美吉田月

2011-01-29 | TV, 映画, サントラ etc
 “ジブリ・カヴァー祭り” 第3弾は何とスカである。スカと言っても別に “スカを食わされた” という意味の、ネガティヴ・ワードのスカではなく、音楽の1ジャンルとしての “スカ” のことだ。
 私が初めてスカと出会ったのは1979~80年頃だった。降って湧いたように突如出現したこの音楽を当時の音楽雑誌が軒並み大絶賛し始め、素直で影響されやすい性格だった私は流行に乗り遅れまいとして、世評の高かったスペシャルズというバンドのデビュー・アルバムをエアチェックして多大なる期待を持って聴いてみた。ところがビートルズとハードロックばかり聴いていた当時の私(←今でも同じようなモンだが...)にとって、スペシャルズのアルバムはただリズム・パターンが変わっているだけの単調な音楽にしか聞こえず、 “スカ、スカって大騒ぎしてるけど、こんなモンか...” とそれ以降しばらくはスカを敬遠していた。
 そんな私がスカに瞠目したのはその2~3年後のこと、それもヒット曲やアルバムではなくテレビの CM からだった。ホンダ・シティの CM にマッドネスというスカ・バンドが起用され、“ホンダ・ホンダ・ホンダ・ホンダ....♪”という脳内リフレイン確実のキャッチフレーズや楽しさ溢れるムカデダンスでお茶の間に大ブームを起こしたのだ。そこで使われていた彼らのヒット曲「シティ・イン・シティ」を聴いて私のスカに対する偏見は木端微塵に吹き飛んだ。今にして思えば、スカのあのユニークなリズムというのは、分かりやすいメロディーを持った楽しい曲と一体となって初めて活きるのだろう。私は早速マッドネスのアルバムを買ってきて愛聴したが、やがて80年代初めの “ツートーン・スカ” のブームが去ると、私もスカを耳にすることはなくなっていた。
 それから約30年が経ち、今年に入って “ジブリ・カヴァーの名演” を色々漁っている時に偶然出会ったのがこの「Ska Flavor loves ジブリ Songs」というアルバムだ。最初アルバム・タイトルを目にした時は “ジブリをスカで演るんか? いくら何でもそれは悪ふざけが過ぎるやろ...” と眉に唾をつけて疑いの目で見たものだし、現にスカの親戚筋(?)にあたるレゲエでジブリをカヴァーした「ジブリ・レゲエ」がイマイチだったこともあって、あまり期待せずにとりあえず試聴してみたのだが、コレが結構面白い。こういう突飛な企画は大当たりか大外れかのどちらかなのだが、コレは最高に “当たった” のである。試聴を終えた私は迷うことなく買いを決めた。
 届いた CD をプレーヤーにセットしてプレイボタンを押すと、スピーカーから弾けんばかりの勢いで飛び出してきたのは例のスカ・ビートによって換骨堕胎され生き生きと躍動するジブリの名曲の数々だった。アップテンポで2・4拍目を強調した裏打ちを特徴とするスカ・ビートが珠玉のジブリ・メロディーと見事に融合しているのである。しかも女性ヴォーカルは変なクセがなく耳に心地良い癒し系ときたモンだ。コレ、めっちゃエエわ!
 とにかく全11曲、捨てトラックなしの素晴らしさなのだが、中でもスカの楽しさ全開で迫る⑤「ナウシカ・レクイエム」は目からウロコの面白さ。 “ウパ、ウパ、ウパ” という具合にリズムに裏から乗っていくことによって生み出されるたたみかけるようなスリルとスピード感が気持ちいい(^.^) 間奏のオルガンもめっちゃグルーヴィーで、オームの群れも怒りを忘れてみんなでムカデダンスしそうな(←するかそんなもん!)ノリノリのヴァージョンになっている。⑨「人生のメリーゴーランド」も⑤と同じインスト・ヴァージョンで、静謐な原曲のイメージからは想像もつかないような粘着質のビートに腰も砕ける。とにかくこの2曲は聴いてて思わず身体が揺れてしまうような強烈なグルーヴが圧巻だ。
 ②「となりのトトロ」や⑪「崖の上のポニョ」といった楽しさ溢れるジブリの定番曲は更に楽しく、心に沁みるメロディーがたまらない①「いつも何度でも」や③「君をのせて」、⑩「アリエッティズ・ソング」はアップテンポのスカにアレンジされてまったく別の表情を見せているが、これがもう実に斬新と言うか新鮮な感覚で、いつも何度でもリピートしたくなるようなカッコ良いヴァージョンに仕上がっている。
 ベット・ミドラーの「ザ・ローズ」やオリビア・ニュートン・ジョンの「カントリー・ロード」をスカ・アレンジ・ヴァージョンで聴けるのもこのアルバムの楽しみのひとつ。絵に描いたようなスロー・バラッドの大名曲「ザ・ローズ」が原曲の④「愛は花、君はその種子」は大胆不敵なアレンジでアップテンポなスカ・ヴァージョンになっているが、ホンワカ・ムードの女性ヴォーカルが絶妙にマッチしていて違和感は微塵も感じられない。⑧「カントリー・ロード」も出だしの透明感溢れる “カントリ~ロ~♪” と歌い上げるパートはごくフツーの雰囲気なのだが、ヤクザなギターが切り込んできて弾むようなスカ・ビートが炸裂すると、そこはもうコテコテのツートーンな別世界。コレ、めっちゃ好きやわ(^o^)丿 
 ユーミンの⑥「やさしさに包まれたなら」と細野晴臣の⑦「風の谷のナウシカ」は共にミディアム・スロー・テンポで料理されており、スカというよりはレゲエっぽい印象なのだが、このゆったりまったり感が何とも言えず耳に心地良く、ここでも美吉田月の癒し系ヴォーカルが実に良い味を出している。このシンガーのことは何も知らないが、 “日本のジャネット・サイデル” と呼びたいくらい良い雰囲気の歌声の持ち主だ。
 ジブリの名曲をスカ・ビートに乗せてその新たな魅力を引き出したこの「Ska Flavor loves ジブリ Songs」は聴く者をスカッとした気分にしてくれる痛快無比なアルバムで、ドライヴの BGM としても最高だ。私の知る限りイケイケ・オラオラ系のジブリ・カヴァーでは 6% is MINE の「ジブリティック・パンク・カヴァーズ」と並ぶ大傑作だと思う。みなさんも騙されたと思って一度聴いてみられたらどうでスカ?

Ska Flavor loves ジブリ Songs


ナウスカ・レクイエム


カントリー・ロード


【おまけ】めっちゃ懐かしいわぁ~ (^o^)丿
HONDA CITY CF(Japan)
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ジブリ・ミーツ・ボサノヴァ

2011-01-26 | TV, 映画, サントラ etc
 またまたジブリである。一昨年のビートルズで味をしめて以来、このブログでは祭りと称して本能の趣くままに特定のアーティストや楽曲、テーマを集中して取り上げてきたが、2011年最初のお祭りは、様々なカヴァー盤が粗製濫造されているジブリ・ミュージックの中から私が特に愛聴している盤を特集したい。ということで、ジブリの名曲をピアノ・トリオで見事にジャズ化した前回の「ジブリ・ミーツ・ジャズ」に続く “ジブリ・カヴァー祭り” 第2弾はボサノヴァである。
 ネットで調べてみたらジブリのボサノヴァ・カヴァー盤は何種類か出ており、色々試聴してみると正に玉石混交と言っていい状態で、タイトルが似ているだけに一歩間違うととんでもないカスをつかまされるハメになる。特に酷かったのは「ジブリBOSSA」という盤で、これのどこがボッサやねん!と怒鳴りたくなるようなハウス・ミックス系の軽薄ダンス・ミュージックのオンパレード。 “渋谷系” だか何だか知らないが、何でもかんでも「ジャズ」とか「ボッサ」というタイトルを付けて堅気の衆を騙すのは一種の詐欺行為に近い。ジブリに関して言えばジャケットにオシャレな女性のイラストがアップで描かれているような盤は要注意だ。
 そんな偽物が横行するジブリ・ボッサ盤の中で私が気に入ったのがこの「ジブリ・ミーツ・ボサノヴァ」というコンビ盤である。ジャケットに写っている耳が大きくて目がクリクリした可愛い動物は、ナウシカのペットの “キツネリス” のモデルになったと言われるフェネック。やはりジブリのジャケットはこうでなくてはいけない。
  ボサノヴァという音楽は本来、クラシック・ギターを指でつま弾きながら抑揚に乏しいメロディーを呟くように歌うというスタイルだったものが、世界的に広まるにつれて徐々にその形態も変化していき、今ではゆる~いヴォーカルをフィーチャーした心地良い脱力系サウンドの総称として広義に解釈されている。このアルバムも大半はそのような “新感覚ボッサ” で、メロディーの分かり易いジブリ・ナンバーを洗練されたラウンジ・ミュージックに仕上げている。
 収録曲は8曲とやや少なめだがそのサウンドはゆったりまったりで快適そのもの。私はボサノヴァに関しては門外漢なので参加しているアーティストは一人も知らなかったのだが、実際に聴いてみるとどのトラックも実に工夫を凝らしたアレンジでボッサ化されており、そのセンスの良さに唸ってしまう。
 中塚 武 with 土岐麻子の①「となりのトトロ」、viola with Kaori Okano の②「君をのせて」と、親しみやすいオシャレなボッサが続く。 Jazztronik の③「崖の上のポニョ」は Ponyo Nova Arrangement という副題が付いているだけあって、サンバを想わせるような軽快なリズムに乗ってノリノリのボッサに仕上がっている。涼しげな雰囲気を演出するフルートや弾むようなハンド・クラッピングなど、実に秀逸なアレンジだ。 COJIROU with カコイミクの④「さんぽ」もその脱力系ヴォーカルが曲想とバッチリ合っていてめっちゃ和めてしまう。このラフでレイドバックした感覚こそがボサノヴァの本質ではないか。
 大橋トリオによる⑤「風の谷のナウシカ」はこのアルバム中唯一の男性ヴォーカル・ボッサ。やる気があるのか無いのかワカランような朴訥とした歌い方はボッサ・マイスターの 901 さんが聴かせて下さる本場ブラジルのボサノヴァを想わせるもので、正統派ボッサの風格が漂うそのサウンドはオシャレなクラブやカフェで映えそうな女性ヴォーカル群の中で異彩を放っている。付かず離れず寄り添う女性バック・コーラスとのハモりも絶品で、これこそまさに聴けば聴くほど味が出るスルメ・チューンの典型と言えるだろう。
 私がこのアルバムで一番好きなトラックが wyolica という2人組ユニットの⑥「もののけ姫」で、女性ヴォーカルの声質と唱法がボッサ化されたバックのサウンドと絶妙に溶け合い、原曲に潜む神秘性を見事に引き出している。一度聴いたらずっと耳に残りそうなカッコ良いヴァージョンだ。 Lumiere with ellie の⑦「いつも何度でも」も大好きなトラックで、囁き系のソフト・フォーカスなヴォーカルが聴く者の心を優しく包み、ほんわかした気分にさせてくれる。ここまでくると歌唱力がどうとかアレンジがこうとかいう問題ではなく、ただただその美しいメロディーに酔い、そしていつの間にかその歌声に酔いしれているという、そんな稀有な名曲名演だ。
 ジブリの音楽はアニソンというジャンルを軽く超越して、日本が生んだスタンダード・ソングという次元で語られるべきものである。天才的なメロディー・メーカー、久石譲氏の名曲の数々を軽やかなボッサ・アレンジで楽しめるこのアルバムはすべてのジブリ・ファンに自信を持ってオススメできる逸品だ。

もののけ姫(Bossa Nova version)wyolica


Lumiere with ellie


大橋トリオ

ジブリ・ミーツ・ジャズ

2011-01-22 | TV, 映画, サントラ etc
 私にとって YouTube と共に欠かせない音楽情報源がアマゾンである。先日、ジブリ・カヴァーの最愛聴盤である 6% Is Mine を聴いていて、ふと “他にもジブリのカヴァー盤でエエの出てへんかな?” と思い付き、早速アマゾン検索してみると驚いたことに292件もヒット、改めてジブリ音楽の需要の高さに驚かされた。確かにジブリの音楽は作品のクオリティが高くて国民的認知度も抜群という超優良コンテンツであり、カヴァー作の中にはレゲエや和太鼓、それに二胡を使った中国音楽みたいな盤まであってまさに何でもアリの状況だが、多いのはクラシックやオルゴール、それにデジタル臭いダンス・ミュージックの盤で、いくらジブリが好きと言ってもそんなんまで聴きたいとは思わない。
 ジャズ・アレンジの盤も少数ながら出ていたので片っ端から試聴してみたが、正統派モダンジャズとは程遠い、無機質な打ち込みドラムで軽佻浮薄な女性ヴォーカル入りの似非ジャズ盤ばかりでガッカリ(>_<) “ジャズ” というタイトルを付けてちょっとオシャレっぽいジャケットにすれば売れるだろうという魂胆がミエミエなのだが、どこをどう聴いてもカフェバー向けの使い捨てダンス・ミュージックだ。そんな有象無象盤の中で唯一 “おぉ、これは!” と思ったのが立石一海トリオの「ジブリ・ミーツ・ジャズ」だった。
 演奏はピアノ、ベース、ドラムスというオーソドックスなフォーマットで、耳に心地良いジブリ・メロディを親しみやすく料理した、万人受けしそうなピアノ・トリオ・ジャズ。その温かみ溢れるサウンドはまさにジブリの世界にピッタリで、方向性としては80年代にアルファ・ジャズ・レーベルから出ていたケニー・ドリュー・トリオみたいな感じなのだが、その芯にあるのは50年代ピアノ・トリオのエッセンス満載の王道を行くプレイだ。
 ①「いつも何度でも」、②「となりのトトロ」と、心にポッと暖かい灯がともる様な癒し系ジャズが続く。原曲のメロディを慈しむように優しいタッチで弾いているところが素晴らしい。③「崖の上のポニョ」では意表を突いてファンキーなイントロからサビ→Aメロと展開し、Bメロに入ると(1分16秒)アップテンポに転じて奮然とスイングを開始、1分57秒からドスドスと切り込んでくるベースといい、2分15秒からのトリオが一体となってノリノリで疾走するインプロヴィゼイション・パートといい、ジブリ・ソングスの中でも特にお子様志向が強い「ポニョ」がこんなスインギーなジャズになるとは思わなんだ。私の知る限り最高の “ポニョ・カヴァー” である。
 スインギーと言えば⑤「海の見える街」も負けてはいない。スイングの根底をキッチリ支える安定感抜群のリズム・セクションに鼓舞されて気持ち良く弾むピアノがたまらない。インプロヴィゼイション・パートも聴き応え十分で、めちゃくちゃカッコ良いピアノ・トリオ・ジャズが展開されていく。ジブリだと言われなければ “50年代ジャズ・ピアノ・トリオ屈指の名演” で十分通用しそうなキラー・チューンで、私がこのアルバム中で一番好きなトラックだ。
 ④「アリエッティズ・ソング」では静謐で叙情味溢れるトリオ・プレイに唸ってしまうし、⑧「君をのせて」はデューク・ピアソンを彷彿とさせるような品格したたり落ちるジャズ・ボッサに仕上がっている。⑪「風の伝説」ではベースの佐藤忍さんがスコット・ラファロばりのアグレッシヴなプレイでグイグイ煽りまくるスリリングな展開が楽しめるし、瀟洒なブラッシュがたまらない⑬「カントリー・ロード」でもスイングするピアノ・トリオのお手本のようなプレイが堪能できる。ドラムスの鈴木麻緒さんが⑮「テルーの唄」で聞かせる妖艶なブラッシュ・ワークはエヴァンス・トリオのヴィレッジ・ヴァンガード・ライヴにおけるポール・モチアンの如き吸引力だ。
 「さくらんぼの実る頃」は⑥ノーマル・ヴァージョンに加えて⑯レトロ・ヴァージョンがボートラとして収録されているが、私は50'sっぽい音作りの⑯の方が好き。まるでプレスティッジのレッド・ガーランド・トリオを聴いているような感じで、左手のコードが作り出すテンションがゆったりとしたスイング感を生んでいる。絶妙なタイミングで切り込んでくるブラッシュの “シュパッ!” という一撃にもゾクゾクしてしまう。
 老若男女に愛される人懐こいジブリ・メロディを見事な音楽センスでフォービート・ジャズ化したこのアルバム、まさに “大人のためのジブリ・ミュージック” と言うに相応しい大傑作で、メロディ良しスイング良し歌心良しと三拍子揃ったジブリ・カヴァーの金字塔的な1枚だ。

いつも何度でも


崖の上のポニョ


海の見える街


君をのせて

アニメイヤ ~ジブリ・ソングス~ / メイヤ

2010-12-17 | TV, 映画, サントラ etc
 数ヶ月ほど前だったか、クレモンティーヌが日本のアニソンをボッサ風にアレンジして歌った CD 「アニメンティーヌ」という盤をこのブログで取り上げた。頬に渦巻きマークを付けた三浦友和のCMで有名になったアレである。ところがリリースからまだ4ヶ月しか経っていないというのに販売元のソニーはあろうことかその盤に「ゲゲゲの鬼太郎」、「元祖天才バカボンの春」、「バカボン・メドレー(サントリーCMフル・ヴァージョン)」という新曲3曲を追加、「アニメンティーヌ・プラス」として新装発売したのだ。アホか!旧ヴァージョンを買ったファンの気持ちを逆撫でするような姑息な売り方だ。しかも悔しいことにアマゾンで試聴してみると「ゲゲゲ...」の出来が良さそうなんである。コレはもうレンタルするしかない。こんなことしとったら益々 CD が売れへんようになるのがアホバカ・レコード会社には分からんのかな?
 今回の一件で私は益々ソニーが嫌いになったが、ひとつだけ収穫があった。アマゾンで「アニメンティーヌ・プラス」を調べた時に、例の “この商品を買った人はこんな商品も買っています” 欄に何気なく目をやると、そこにたまたま載っていたのがこの「アニメイヤ~ジブリ・ソングス~」だったのだ。これまで何度も書いてきたように私は “ジブリ” に目がない。で、早速試聴してみるとコレが中々エエのである。よくよく見るとレコード会社も発売日も「アニメンティーヌ」と同じだ。多分2枚とも “ヨーロッパのオシャレ系女性シンガーに日本のアニソンを歌わせ、アルバム・タイトルに「アニメ」の3文字を入れて一般のファンにも広くアピールする” という企画だったのだろう。
 私はクレモンティーヌのことはよく知っていたが、このアルバムのメイヤという歌手は名前すら知らなかった。ウィキペディアで調べてみるとスウェーデンのストックホルム出身のシンガーで、90年代にはかなり人気があったらしい。彼女の歌声はちょっと甘~い感じの癒し系で、ジブリ・ワールドとの相性は抜群。この「アニメイヤ」ではそんな彼女の持ち味を活かした巧みなアレンジがなされており、原曲の良さを損なうことなくちょっとオシャレに生まれ変わったジブリ・ナンバーの数々を楽しめる。
 まずは何といっても①「となりのトトロ」である。メイヤの柔らかい歌声が愛らしいメロディーとバッチリ合っていてほのぼのとした雰囲気を醸し出しているところが素晴らしい。耳に馴染んだあの旋律に乗せて歌われる英語詞も実に新鮮で、 “Now begins a new adventure for you(素敵な冒険始まる)~♪” から “And you’ll be with Totoro, Totoro ♪” へと続くサビの部分なんかもう最高だ。トトロ・マニアの私としてはこの1曲だけでも “買い” である。
 ユーミンの名曲④「ルージュの伝言」(魔女の宅急便)もめちゃくちゃ気に入った。ウキウキワクワクするような60's風アレンジで、レトロな雰囲気溢れるヨーロピアン・ポップスになっている。この曲の英語詞はトトロのような逐語的な訳ではなく(←曲によって訳者が違います...)原曲の大意を汲んで新たに書かれた意訳調なのだが、それが又実に巧くメロディーに乗っかっているのである。特に “Maybe you'll grow up when you go home and read the mirror, I've left a lipstick message there, my darling~♪” のラインなんかお見事!と言いたくなるような名訳だ。私はビートルズを始めとする洋楽ポップスの歌詞とその対訳を見ながら独学で英語を覚えたので、この「ルージュ」のオリジナル日本語詞との比較は中々面白かった。
 大胆なアレンジで驚かされたのが⑧「風の谷のナウシカ」だ。バーシアの「クルージング・フォー・ブルージング」を想わせるようなオシャレなサウンドで、バリバリのヨーロピアン・ポップスになっているのにビックリ(゜o゜) “ナウシカァ~♪” のパートがなければジブリ・ナンバーだとは気付かない人も多いだろう。コアなジブリ・ファンの中では賛否両論分かれそうなトラックだが私はもちろん気に入って聴いている。こんなオシャレなナウシカがあっても良いではないか。
 そういう意味では③「もののけ姫」も必聴だ。日本人の心の琴線にビンビン触れるマイナー調の原曲の魅力を存分に引き出しながら様々な楽器を大量投入してコンテンポラリーな哀調ポップスに仕上げたアレンジは見事と言う他ない。特にアコギの使い方なんて絶妙だし、隠し味的に使われているコンガが生み出すグルーヴ感もたまらない。
 スロー・バラッド系では⑤「テルーの唄」(ゲド戦記)が最高だ。無伴奏で歌い始めるところなんかもう背筋がゾクゾクするほどの素晴らしさで、オリジナルの持っていた “儚さ” とは又違った魅力が溢れている。曲を慈しむように歌うメイヤの透明感溢れる歌声が心に染み入ってきてジーンときてしまうのだ。心が洗われるような名唱というのはこういうのを言うのだろう。この盤は BGM というか、ながら聴きに最適なのだが、この⑤だけは思わず手を止めて聴き入ってしまう。
 聴き入ってしまうといえば⑩「いつも何度でも」(千と千尋の神隠し)も甲乙付け難い出来栄えだ。心なしか他のトラックよりもメイヤがのびのびと歌っているように聞こえるのだが、ひょっとしたらこの曲が彼女にとっての “ジブリ・フェイヴァリット・ソング” なのかもしれない。アレンジャーも心得たもので、あれこれと策を弄さず彼女の歌声の最大限引き出すような “シンプル・イズ・ベスト” を地でいくヴァージョンに仕上げている。それにしてもジブリの音楽ってホンマにレベル高いなぁ...(≧▽≦)
 ②「Arrietty's Song」はこのアルバムとほぼ同時期に封切られたジブリ最新作「借りぐらしのアリエッティ」の主題歌でアコーディオンをフィーチャーしたケルト/アイリッシュ調のナンバーだが、私はまだ映画を見ていないので(←早よ DVD レンタル始まらへんかな...)何とも言えない。⑦「崖の上のポニョ」はクレモンティーヌも歌っていたが、メイヤの歌う “ポーニョ ポニョ♪” もキュートで中々面白い。⑨「カントリー・ロード」(耳をすませば)は唯一日本語で歌っているが、コレはまぁご愛嬌といった感じだ。
 北欧の癒し系女性シンガーが名曲揃いのジブリを歌ったこの「アニメイヤ」、日本人ならどこかで耳にしているはずのジブリ・ナンバーを英語のポップスとして聞けるこのアルバムはオシャレなカフェなんかで流せばぴったりハマりそうな1枚だ。

Meja ★☆★ Tonari no Totoro ★☆★ ANIMEJA ★☆★


Meja ★☆★ Rouge No Dengon ★☆★ ANIMEJA ★☆★ Kiki's Delivery Service ★☆★


Meja ★☆★ Therru No Uta ★☆★ ANIMEJA ★☆★


Meja ★☆★ Itsumo Nando de mo ★☆★ ANIMEJA ★☆★
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ジブリティック・パンク・カヴァーズ / 6% is MINE

2010-11-22 | TV, 映画, サントラ etc
 最近ひょんなきっかけでK君という音楽好きの若者と知り合った。彼はまだ若いのに、ビートルズを始めとしてディープ・パープルやキング・クリムゾンといった昔のロックが大好きなだけでなく(←父親が筋金入りのビートルズ・マニアらしく、小さい時からそんな音楽を聴いて育ったらしい...)、私のライフワークである “面白カヴァー” にも並々ならぬ興味を示すなど、驚くほど私と感性が似ているのにビックリ(゜o゜) しかもオーディオや車も大好きということですっかり意気投合、今では私の若い衆(?)の中でも一番の話し相手だ。
 そんな彼といつものように音楽の話をしていた時のこと、ビートルズの楽曲をラモーンズ・スタイルで高速演奏するパンクルズやメタリカそっくりのサウンドでメタル化してしまうビータリカといった、いわゆるひとつの “異種格闘技” 的パロディー・バンドの話題で盛り上がり、 “めっちゃ面白いッスね。僕も色々探してみます!” とすっかりこの世界にハマッたようだった。そしてその翌日、満面の笑みを湛えて “こんなん見つけました!” と彼が教えてくれたのがこの「ジブリティック・パンク・カヴァーズ」だ。何という速攻!それでこそ我が若い衆だ(笑)
 早速 YouTube で試聴してみるとコレがもう私の嗜好のスイートスポットを直撃する面白さ!発想の原点は YouTube でついに230万ヒットを超えた “トトロック” あたりだろうが、全体の雰囲気としてはリンドバーグを想わせるガールズ・ガレージ・ロックといった感じで、「となりのトトロ」も、「カントリー・ロード」も、「いつも何度でも」も、竹を割ったようなストレートなロックンロールにアレンジされている。 “エレクトリック・ヴォイス” とでもいうのか、ヴォーカルにエフェクトがかけられていて聴きやすく加工されていることもあって、 “パンク” を期待して聴くとちょっと物足りないかもしれないが、そのソフト・フォーカスなヴォーカルとギター・ピック・スクラッチを多用したロック・サウンドのバランスが絶妙で、大人から子供まで理屈抜きに楽しめる “お茶の間ロックンロール” に仕上がっている。この手の盤に目がない私はすぐにアマゾンでゲットした。
 収録曲は①「いつも何度でも」(千と千尋の神隠し)、②「となりのトトロ」、③「テルーの唄」(ゲド戦記)、④「ナウシカ・レクイエム」(風の谷のナウシカ)、⑤「崖の上のポニョ」、⑥「カントリー・ロード」(耳をすませば)、⑦「やさしさに包まれたなら」(魔女の宅急便)、⑧「君をのせて」(天空の城ラピュタ)の全8曲で、22分31秒というからミニ・アルバムと言えるが、つまらないオリジナル曲を延々70分近く聴かされる昨今の CD よりもこっちの方がずっと密度が濃くて良いと思う。
 どのトラックも甲乙付け難い素晴らしさだが、トトロ・マニアの私としてはやはり②が一番のお気に入り。親しみやすい原曲のメロディーの良さを巧く活かしてウキウキワクワクするようなロックンロールに仕上げている。哀愁舞い散るメロディーが印象的な原曲をハードなロック・サウンドで高速化した④はその斬新な発想に目からウロコという感じ。ナウシカを見たことがない人も、コレはもう聴くシカないだろう。イントロから一気に突っ走る⑤からはロックの楽しさがヒシヒシと伝わってくるし、原作者のジョン・デンバーが聴いたらひっくり返りそうな⑥のドライヴ感も圧巻だ。
 心に沁みる癒し系の原曲を大胆不敵なアレンジでロック化した①も面白い。コアなジブリ・ファンなら怒り出すかもしれないが、私はこういうのもアリだと思う。同じ曲でこうも印象が変わるものかと広~い心で両方楽しむのが通のファンというものだろう。原曲のインパクトが強烈な⑦もアレンジに工夫を凝らしてロック化されており、ユーミンのオリジナルとの聴き比べも一興だ。③⑧は映画を見ていないので原曲との比較は出来ないが、どちらもそのメロディーだけは「ウクレレジブリ」シリーズを通して知っていた。ウクレレであれ、ロックンロールであれ、ジブリの曲って親しみやすいメロディーの曲が多いので、アレンジャーにとっては最高の素材なのだろう。
 このアルバムは全トラックが聴き応え十分な疾走系ロックンロールなので、車内 BGM としてヘヴィー・ローテーション状態になっている。ただ、唯一の難点は美的センスのかけらもない醜悪ジャケット(←パンクをバカにしてんのか!)で、中身の音楽を聴かなければ絶対に買う気の起こらないような代物だ。まぁ私のようにジャケットに拘る音楽マニアではなく、ネットで音楽をダウンロードするような若者層をターゲットにしているのだろう。それ以外の点では文句のつけようがない1枚で、ジブリの名曲をウキウキするようなロックンロールで聴けるこのアルバムは、企画良し、アレンジ良し、雰囲気良しの好盤だと思う。私の持っているジブリ・カヴァー盤の中で文句ナシの№1だ。

6% is mine - Tonari No Totoro cover


6% is MINE - カントリーロード (Country Roads)


6% is MINE(GIRLS)_GHIBLITIC PUNK-COVERS_digest_2010.06.23
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