shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Shogun's Samurai DVD

2017-03-04 | TV, 映画, サントラ etc
 前回に引き続き今回も映画のDVDだ。私は映画に関しては音楽と違ってほとんど何も分からないド素人だが、そんな私が例外的に大好きなのが深作欣二監督の作品で、前回取り上げた「仁義なき戦い」に衝撃を受けてからというもの、彼の作品だけは欠かさず見るようにしてきた。その大半は私が大好きなヤクザ/アクション系の作品なのだが、そんな中で異色中の異色と言えるのが深作監督にとって初の時代劇である「柳生一族の陰謀」だ。
 時代劇といえばヘビメタも顔負けの様式美が当たり前の世界だが、深作監督はヤクザ映画で培ったノウハウを大量投下、千葉真一や松方弘樹、成田三樹夫に室田日出男といった「仁義...」の役者を配し(何と金子信雄まで出とるwww)、陰謀と裏切りの連続で観る者をグイグイ引き付け、迫力とスピード感に溢れた映画に仕上げている。その手法はまさに「仁義なき戦い」の時代劇版で、家光vs忠長の家督争いはさしずめ “小田原死闘篇” と言ったところか。
 私が「仁義なき戦い」のUS版ブルーレイ・ボックスを買った時にふと “他の深作映画もUS版出てへんかな~” と考え、真っ先に頭に浮かんだのが「仁義なき戦い」同様に数々の名セリフが飛び出すこの「柳生一族の陰謀」だった。早速eBayで検索してみるとアメリカ人に分かりやすい “Shogun's Samurai” というタイトル(副題は直訳の “The Yagyu Clan Conspiracy”)が付けられたDVDを発見、リージョン1なのが玉にキズだが$4.99という安値に釣られて即決。届いた盤はそのままでは観れないのでパソコンを使ってリージョンフリー仕様にシュリンクし、DVD-Rに焼いた。DVDのリージョンってホンマに鬱陶しいわ。
 この映画が封切られたのは私が高校生の時だったが、予告編のCMスポットで使われた秀逸なキャッチコピー「我につくも、敵に回るも、心して決めい」はめっちゃ流行ったように記憶している。DVDに特典映像として入っている Trailerで英語字幕を見てみると(←このセリフのシーンは予告編用に撮ったらしく、映画本編には出てこない...)“Take my side, or be my enemy... it's your decision.” となっていた。なーるほど、うまいこというなぁ...
 この映画の主役は柳生但馬守を演じる萬屋錦之介で、ラストの “これは夢じゃ。夢でござ~る!” を始めとしてその大仰なセリフ回しはこの濃すぎるぐらい濃いキャストの中でも一人だけ浮いている感が強い。私なんか逆にそのあたりに可笑しみを見い出して楽しんでいるが、やはり記憶に残るのはよろきんではなく私のお気に入りの役者たちが出てくるシーンだ。
 仁義なき戦いで強面のヤクザを演じた松方弘樹はこの映画では顔に醜いあざがあってしかもどもりというハンデを背負った徳川家光を熱演しているのだが、中でも一番印象に残っているのが謀略の限りを尽くしてついに将軍になった時に父親の遺影に向かって「親に逢うては親を殺し、仏に逢うては仏を殺す。」(I'll kill my parents if they stand in my way. I'll defeat Buddha if he interferes.)とドモリながら語りかけるシーン。その迫真の演技はさすがの一言で、一見の価値アリだ。まぁその直後に千葉真一扮する柳生十兵衛に首をハネられてしまうのだが...
 松方と同じく「仁義なき戦い」に出ていた成田三樹夫も私が大好きな役者さんで、そのザ・ワン・アンド・オンリーなキャラクターは主役を食ってしまうぐらい強烈なインパクトを残すことも多かったが(←服部刑事役で出ていた「探偵物語」では松田優作との絶妙な絡みは最高だった...)、何とここでは烏丸少将綾麿という剣豪の公家(←白塗りお歯黒でホホホと笑いながら武士たちを切りまくる姿はインパクト絶大!)を演じているのだ。JAC所属の志穂美悦子に向って、「去れ! 麻呂はオナゴを斬る剣は持たん。」(Go away, I won't kill girls.)と言い放つシーンも面白いが、やはり何と言ってもJACの親玉、千葉真一扮する柳生十兵衛との対決シーンでの「出ておじゃれ!... 姿は隠しても獣はニオイでわかりまするぞ。」(Come out!... Beasts smell even if they hide.)が一番好きでおじゃるよ(^_^)
 この二人以外ではカリスマオーラがハンパない三船敏郎や妖艶な美しさが際立つ大原麗子が良かったが、私的には徳川忠長役の西郷輝彦の意外な好演が一番の拾い物。西郷どんといえばどうしてもリズム歌謡御三家のイメージが強くて役者としてはまったく期待していなかったので、そのケレン味のない演技には感心させられた。特に駿府城での軍議の席で言い放った「もう遅い!... 手ぬるい!... 愚策!」(Too late! Passive! No good!)の3連コンボがめっちゃ気に入り、一時期職場でギャグとして使っていたほどだ。
 このように、ともすればマンネリ&ワンパターンに陥りがちな時代劇も深作監督が撮るとセオリーを無視した荒唐無稽なストーリー展開にグイグイ引き込まれ、ついつい時間の経つのを忘れてしまう。個々のシーンでも見どころが満載なこの映画、何回観てもホンマにオモロイわ(^.^)
Shogun's Samurai: The Yagyu Clan Conspiracy

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