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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

ジョンのUSシングル盤特集

2016-02-07 | John Lennon
ジョン・レノンのUKシングル盤は前回で一段落したので、今回は番外編としてイギリスでシングル・カットされなかったUS盤シングルを2枚取り上げます。

①Mother (1827)
 この「マザー」を初めて聴いたのは確か中2の時だったと思うが、アルバム「ジョンの魂」(←それにしても凄い邦題やね...)に針を落とすといきなり“ゴ~ン、ゴ~ン... ” と深い井戸の底から響いてくるかのような鐘の音が響き渡り度肝を抜かれたのを覚えている。これだけでも“何じゃこりゃあ... (゜o゜)” だったのだが、重厚な鐘の音4連発の後、間髪を入れずに “マザァ~♪” とジョンの鬼気迫るヴォーカルが炸裂、30才を過ぎた大の男が、それもスーパースター中のスーパースターであるジョン・レノンが己の心の内にある暗部を白日の下にさらけ出し、“母さん行かないで... 父さん戻ってきて...” と絶叫するのだ。そんなヘヴィーな心情吐露をシンプル極まりないロック・サウンドに乗せたこの曲は耳に心地よいポップ・ミュージックとは対極に位置する極私的な歌であり、その度し難い “重さ” と “感情過多”(←ファン以外の人が聴いたらドン引きしてしまうレベルかも...)は日常聴きにはあまり向いていないが、時々取り出して聴くと “やっぱり凄いわ... (≧▽≦)” と圧倒されること請け合いの名唱だ。
 私は「ジョン魂」や「シェイヴド・フィッシュ」といったLPでしかこの曲を聴いたことがなかったので、このシングル・ヴァージョンを聴いて冒頭の鐘の音4連発が入ってないことにビックリ(゜o゜)  どちらが良いという問題ではないが、これだけでも印象はかなり違うし、曲の長さも3分55秒と、5分を超えるアルバム・ヴァージョンに比べてかなり短く編集されている。購入価格は$7.50(約900円)で、ランオフ部分には Bell Sound の刻印が入っており、UKオリジナルLPと比較試聴してみてもカッティング・レベルが高く、ジョンの心の叫びがよりリアルに迫ってきた。
John Lennon -Mother (single edit)-


②Woman Is The Nigger Of The World (1848)
 この「ウーマン・イズ・ザ・ニガー・オブ・ザ・ワールド」は過激なタイトルや歌詞の内容にばかり注目が行きがちだが、私にとってはロックにおいて脇役に過ぎないサックスという楽器のカッコ良さを教えてくれた、忘れられない1曲だ。1972年頃にジョンのバック・バンドを務めていたエレファンツ・メモリーのアグレッシヴな演奏は当時のジョンの荒ぶるロックンロールにピッタリで、フィル・スペクターの音壁効果でパワーアップされた分厚いサウンドをバックに炸裂するジョンのヤクザなヴォーカルがたまらない... (≧▽≦) 特に曲の後半部で武骨なサックスが戦闘モードのジョンを更に鼓舞するところなんかもう最高だ。
 男性による女性差別を激しく糾弾したこの曲は元々ヨーコが発した言葉にインスパイアされてジョンが書いたものだが、そもそも例の “失われた週末” で当時自分の秘書だったメイ・パンを半ば強制的に慰安婦としてジョンにあてがったのは他ならぬヨーコだったことは周知の事実。その一方で「女は世界の奴隷か!」などとフェミニスト面しているヨーコだが、一体どの口が言うねん!とはまさにこのことだろう。
 このUS盤シングルも上記の「マザー」と同じくランオフ部分に Bell Sound の刻印が入っており、期待を裏切らない豪快なサウンドが楽しめる。購入価格は$5.00(約580円)で実にオイシイ買い物だった(^.^)
John Lennon - Woman Is The Nigger Of The World - Lyrics

ジョンのUKシングル盤特集④

2016-01-31 | John Lennon
①(Just Like) Starting Over (K79186)
 「ダブル・ファンタジー」の “ネイキッド” なミックスで構成された企画盤「ストリップト・ダウン」に入っているこの曲のヴァージョンは例の鐘の音(←どう考えてもアレは仏壇に線香をあげてるみたいでシャレにならんわ...)の代わりに “This one's for Gene and Eddie and Elvis... and Buddy.” というジョンの語りで始まる。つまりこの曲はジーン・ヴィンセント、エディ・コクラン、エルヴィス・プレスリー、バディ・ホリーらが活躍していた古き良き50年代へのジョン流のオマージュであり、特に歌唱法なんかもうプレスリー丸出しだ(^.^) 私見だが、ディスコやフュージョンといった軽薄な音楽が蔓延した70年代が終わり新たに80年代を迎えるにあたって、ジョンはもう一度50年代のような “心に響く” 音楽に立ち返ろうと言いたかったのではないか。そのためのスターティング・オーヴァー... つまり音楽的な再出発を高らかに宣言したのがこの復帰第1弾シングルなのだろう。それにしてもジョンはホンマにエエ声してるなぁ... (≧▽≦)
 ゲフィン・レコード移籍後のジョンのアナログ・シングルはすべてピクチャー・スリーヴ付きなのだがランオフ部分のマトリクスがイマイチよく読み取れない。45catという専門サイトで調べたら私が買ったのは1stプレスらしく、実際にCDやオリジナルLPよりも押し出しの強いごっつい音が聴けて大満足(^o^)丿 購入価格は£2.99(約500円)だった。
john lennon just like starting over


②Woman (K79195)
 ジョン・レノンのソロ作品には非常に個性が強くてジョンにしか歌いこなせないような曲が少なくないが、この「ウーマン」はスタンダード・ソングと言っても過言ではないくらいの美しいメロディーを持った曲だ。そういう意味ではビートルズのアルバムに入っていても何らおかしくないような、万人ウケする名曲と言えるだろう。ただ、曲想やアレンジがジョンにしては “優しさ”"甘さ” に流れ過ぎではないかというの気がしないでもなかったが、このアナログ・シングル盤を聴いて印象が変わった。バックの女性コーラスは相変わらず甘ったるいが、下の方までズゥ~ンと伸びたベースとドラムの重低音がその甘さをキリリと引き締めて絶妙なバランスを保っているのだ。念のためにCDを引っ張り出してきて聴いてみると耳に馴染んだ平板な音(笑)で、音の厚みはシングル盤の足元にも及ばない。オリジナルLPの音はさすがにCDよりはずっとマシだが端正に整いすぎの感は否めない。大袈裟ではなく、7インチ盤特有の “生々しくて分厚い音” がこの曲の “優しさ” をより引き立てているような感じがする。ビートルズのメンバーのソロ作品をUKシングル盤で揃えようという企画はやり始めた当初は無謀に思えたが(←ポールだけで30枚以上あったし...)、今となっては “やってよかったー\(^o^)/” というのが正直な感想だ。この盤もピクチャー・スリーヴ付きで、購入価格は£3.96(約660円)だった。
JOHN LENNON.,WOMAN


③Nobody Told Me (POSP700)
 1984年に未発表音源集「ミルク・アンド・ハニー」がリリースされると知った時、まだジョンの死のショックから立ち直っていなかった私は複雑な気持ちだった。ジョンの新曲が聴けるという嬉しさの反面、彼の声を聴いただけで当時の辛い思いがよみがえってくるのではないかと怖かったからだ。実際に聴いてみると、亡くなった肉親が生前に遺してくれたメッセージを聞いているような感じで、特にジョンが優しく語りかける「グロウ・オールド・ウィズ・ミー」なんかはもう泣けて泣けて仕方なかったが、アルバム全体としては(←もちろんジョンのパートしか聴いてないけど...)「ダブル・ファンタジー」よりも快活な感じで躍動感に満ちており、溌剌としたジョンの声が聴けただけで大満足だった。
 だからアルバムからのリード・シングルであるこの「ノーバディ・トールド・ミー」もめちゃくちゃ聴きまくった。出だしの “みんな talk はしてるけど、say a word はしていない” という鋭い一節からして痛快そのものだし、言葉遊びの中に社会風刺をふんだんに盛り込んだ歌詞をシンプルなロック・サウンドに乗せて歌うという、まさにジョン・レノン健在なりといえる1曲だ。特にサビの “Nobody told me there'd be days like these... strange days indeed♪”(こんな時代がやってくるなんて誰も教えてくれなかった... 変な時代だよ、まったく...)のラインが耳にこびり付き、 “そーかそーか、ジョンも70年代後半の空気には違和感を感じてたんやなぁ...” と我が意を得たりという感じだった。
 去年手に入れたこのUKアナログ・シングルはポリドールの青レーベルで、購入価格は£1.99(約330円)だった。
Nobody Told Me - John Lennon

ジョンのUKシングル盤特集③

2016-01-16 | John Lennon
①Whatever Gets You Thru The Night (R5998)
 この「真夜中を突っ走れ」という曲は意外なことにジョンがソロになって初めての(そして存命中唯一の)全米№1シングルなのだが、正直言って私にはそれほどの名曲とは思えない。セッション中に閃いたサビのメロディーを元にササッと書き上げてレコーディングしたら№1になっちゃった... という感じの曲だ。それはチャート・アクションにもハッキリと表れていて、1週だけ1位を記録した翌週にはもうトップ10圏外へと落ちてしまい、12位→21位→40位と急下降してしまったのだ。要するに当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったエルトンとの共演という話題性からラジオでは頻繁にオンエアされたが、飽きられるのも早かったということか。
 この曲はチャラいサックスがハバをきかせる典型的なアメリカン・ロックであり、どちらかというとデュエットしている相方のエルトン・ジョンが書いたと言った方がしっくりくるようなポップなナンバーだ。エルトンならそれで十分だが、筋金入りのロックンローラーであるジョンにとっては役不足。ジョンにはやはり「ニューヨーク・シティ」や「ミート・シティ」のようにヘヴィーなロックがよく似合う。ということで曲的にはイマイチなのだが、ジョンのヴォーカルはさすがの一言。というか、この曲はジョンのヴォーカルで “もって” いる部分が大きいように思う。言葉の速射砲を操るジョンの至芸が一番の聴き所だ。
 私が買ったのはプッシュアウト・センター型のライトグリーン・アップル・レーベルでマトリクス枝番は -1U/-1U。NMと言いながら届いてみると盤面に曇りがあって少し不安だったが、実際に音には影響がなかったので一安心だ。購入価格は£3.99(約700円)だった。
John Lennon - Whatever Gets You Through The Night (HQ)


②#9 Dream (R6003)
 “名は体を表す” という言葉があるが、この曲なんかもうその最たるもので、ジョンの浮遊感溢れる彷徨ヴォーカルはもちろんのこと、丸みを帯びたギターのサウンドから雲の上を散歩しているかのような幽玄な雰囲気を醸し出すストリングス・アレンジ、そして例の摩訶不思議な呪文 “ア~バワカワ ポッセポセ♪” のリフレインに至るまで、タイトル通りに聴く者を “夢見心地” へと誘う見事なサウンド・プロダクションだ。因みにこの曲は全米チャートで最高9位を記録したという出来過ぎのエピソードがあるが、ビルボード誌のチャート・アクションにはこれ以外にも “話題作り” 的な作為がミエミエなケースが散見されるので(←フリートウッド・マックの7週連続4位とか...笑)イマイチ信用できない(>_<)
 私が買ったのはプッシュアウト・センター型のライトグリーン・アップル・レーベルでマトリクス枝番は -1U/-1U。スピンドル・マークの無いミント状態のピカピカ盤を£3.99(約700円)で買えて大ラッキーだった。
John Lennon - "#9 Dream" 2010 Remaster


③Stand By Me (R6005)
 ジョンのソロ・アルバムでターンテーブルに乗る回数が圧倒的に多いのは74年に出た「ロックンロール」だ。私の場合、カヴァーかオリジナル作品かというのはどーでもよく、ジョンの声でバリバリのロックンロールが聴けさえすればそれ以上何も望むものは無いからだ。ヨーコ臭さが皆無なのも嬉しい(^.^)  そしてそんな愛聴盤「ロックンロール」の中でもピカイチと言える屈指の名演がこの「スタンド・バイ・ミー」だ。
  ジョンがカヴァーするとその曲はオリジナル歌手の手を離れてジョンのものになってしまう。「ツイスト・アンド・シャウト」「プリーズ・ミスター・ポストマン」「マネー」「スロー・ダウン」「ロックンロール・ミュージック」と挙げていけばキリがないが、この「スタンド・バイ・ミー」も1975年を境に “ベンEキングの曲” から “ジョン・レノンの曲” になった。その唯一無二の “声” で原曲に新たな生命を吹き込んで “自分の曲” にしてしまうのがジョン・レノンというシンガーなのだ。
 この「スタンド・バイ・ミー」はバックの演奏も圧倒的に、芸術的に、超越的に素晴らしい。中でもザクザク刻むギターのリズム・カッティングは白眉と言えるもので、絶妙なテンポ設定によってタメを作り、まるでカウント・ベイシー楽団のフレディー・グリーンのように豊饒なグルーヴ感を生んでいる。まさに歌良し、演奏良し、グルーヴ良しと三拍子揃った大名演だ。
 私が買ったのはプッシュアウト・センター型のライトグリーン・アップル・レーベルでマトリクス枝番は -1U/-1U。購入価格は£3.99(約700円)だった。
John Lennon - Stand By Me (Take 2, 1975 Original Studio Version)

ジョンのUKシングル盤特集②

2016-01-06 | John Lennon
①Power To The People (R5892)
 去年の11月にジョンのUKシングル盤を集めようと心に決めた時、一番楽しみだった盤がこの「パワー・トゥ・ザ・ピープル」だ。何と言ってもあの爆音である。フィル・スペクターがジョンのヴォーカルに加えて総勢45名の女性コーラス隊、そしてスタジオにいた全員の足踏み(!)にエコー処理を施して分厚いウォール・オブ・サウンドに仕上げた強烈なナンバーだ。この音を “暴徒の一斉蜂起” と表現した評論があったが、まさに言い得て妙である。“血湧き肉躍るサウンド” と言ってもいいかもしれない。やっぱりフィル・スペクターって凄いわ(≧▽≦)
 私が買ったのはプッシュアウト・センター型のダークグリーン・アップル・レーベルでA面のマトリクス枝番は -1Uで、しかも何とPorky刻印入り! これはイギリスが誇る名エンジニア、ジョージ・ペッカムによってカッティングされた盤を意味するもので、通常盤よりも音圧が高くて迫力満点のサウンドが楽しめるのだ(^o^)丿 ジョンのソロ・シングルの中でも一・二を争うラウドなナンバーをPorkyカッティングで聴ける喜びを何と表現しよう? こんな爆音盤がたったの£2.75(約490円)で買えるのだからやっぱりeBayは止められまへんな...
人々に勇気をPower to the People/ジョン・レノンJohn Lennon


②Happy Xmas (R5970)
 私がビートルズを聴き始めた70年代後半はジョンのシングル曲はベスト盤「シェイヴド・フィッシュ」でしか聴けなかったので、この「ハッピー・クリスマス」も同アルバムに収録されていたヴァージョン(トータル・アルバム感を出すためにエンディング部分に「ギヴ・ピース・ア・チャンス」のワン・トゥ・ワン・コンサート・ライヴ・ヴァージョンをフェイド処理で繋いだヤツ)が私の中にしっかりと刷り込まれており、初めてこのオリジナル・シングル・ヴァージョンをラジオで聞いた時は “へぇ~、こんなほのぼのとしたエンディングやったんか...(・o・)” と新鮮に感じたものだった。ハーレム・コミュニティ・クワイアという少年少女合唱隊の歌声がいやおうなしにクリスマスの雰囲気を盛り上げているが、やはり何と言ってもこの曲は “ジョンの声” の魅力に尽きるのではないか。 “ソゥ ジスイズ クリスマス~♪” の一声だけでたとえ真夏でも聴く者の心に雪を降らせることが出来るのがジョン・レノンというシンガーなのだ。
 実を言うと十数枚あるジョンのUKシングル盤の中で唯一既に持っていたのがこの「ハッピー・クリスマス」で、私のは大学時代に四条烏丸のタワーレコードで買ったもの。マトリクス枝番は -3 でR.I.Pと手書きで彫られているので1980年にリイシューされた3rdプレス盤だ。因みに1972年リリースの1stプレス盤はPorky刻印入りで枝番が -1Uのターコイズ・ブルー・ビニール、1975年に出た2ndプレス盤は刻印無しの枝番 -2Uということだ。3rdプレス盤でもそれなりの音で鳴っているのでPorkyの1Uを是非とも聴いてみたいなぁと思ってずーっと網を張っていたのだが、念願叶って今日の朝ようやく落札出来た\(^o^)/ これが£4.99(約880円)で買えるとは夢にも思わなんだ... 届くのが今からめっちゃ楽しみだ(^.^)
John Lennon Happy Xmas (War is Over)


③Mind Games (R5994)
 この「マインド・ゲームズ」は私が大好きなシングル盤だ。まずB面からヨーコが消えたのが何よりも嬉しい。私のようなヨーコ嫌いの人間にとって、これまでのシングルのB面はジョンのレコードにおける暗黒面とでも呼ぶべきダーク・サイドであり、資源の無駄遣い以外の何物でもなかったが、ヨーコとの別居による “失われた週末” のスタートによってようやく両面共にジョンの作品が収録されたシングルが楽しめるようになったというワケだ。あのままずっとメイ・パンと暮らしてれば良かったのに...(>_<)
 ヨーコ叩きはそれくらいにしておいて(笑)話をジョンに戻そう。まずA面の「マインド・ゲームズ」だが、初めて聴いた時は何か地味な曲やなぁと思ったが(←「インスタント・カーマ」や「パワー・トゥ・ザ・ピープル」のようなド派手な音壁サウンドの後に聴いたので余計にそう感じたのかも...)何度も聴くうちにサビメロが脳内リフレインを起こしたスルメ・チューンだ。この曲は万人受けするようなポップ・ソングとは激しく一線を画す個性的なメロディー展開で、エモーショナルなジョンの熱唱によって聴く者の心に強烈なインパクトを残すのだろう。
 B面の「ミート・シティ」は私が大好きな「ニューヨーク・シティ」の三軒隣りに住んでいるようなカッコ良いロックンロール・ナンバーで、いきなり“ウェ~ッ!!!” という雄叫びで度肝を抜き、T.レックスっぽいリズムを刻むラウドなギターが生み出すグルーヴでガンガン押しまくりながらもワザあり変拍子で聴き手を翻弄するという痛快無比な展開がたまらんたまらん...(≧▽≦)  歌詞もロックンロールそのもので、 “People were dancing like there's no tomorrow♪” のラインなんかもう最高だ。愛だの平和だのとゴチャゴチャ言わずに、ただストレートにロックンロールを歌うジョンこそが最高なのだと考えるのは私だけかな? 尚、この曲のシングル・ミックスはビートルズ時代からの登録商標である逆回転パートがアルバム・ミックスとは違っている。
 私が買ったのはプッシュアウト・センター型のライトグリーン・アップル・レーベルでマトリクス枝番は -2U/-2U。どうやら73年頃(←ポールなら「死ぬのは奴らだ」、ジョージなら「ギヴ・ミー・ラヴ」あたり)からダークグリーンが姿を消し、ライトグリーン・アップルになるようだ。購入価格は£3.99(約700円)だった。それと、このシングルのフランス盤のピクチャー・スリーヴ写真がめっちゃオモロイので興味のある方は “John Lennon Mind Games French single” でググってみて下さい。
John Lennon - Mind Games HD 720p

John Lennon - Meat City [45 version]

ジョンのUKシングル盤特集①

2016-01-01 | John Lennon
 新年あけましておめでとうございます。数えてみたらこのブログで新年の挨拶をするのも8回目なんですね。よくもまぁ飽きもせずにと自分でもビックリですが、気のすむまでこの音楽日記を続けていこうと思いますので、本年もどうぞよろしくお願い致しますm(__)m

 2016年はジョン・レノンのシングル盤特集でスタート。去年の11月にディスクユニオンの開店セールで「イマジン」のUKシングルを手に入れて以来、ジョン、ポール、ジョージ、リンゴのソロ・シングルをeBayでガンガン獲りまくってきたが、約2ヶ月かかって欲しかった盤は大体ゲットすることが出来た。ビートルズ関連は同じ曲でもオリジナルLPに入っているヴァージョンとミックスや音圧が違うものが少なくないのでマニアは要注意だ。

①Give Peace A Chance (Apple 13 / R5795)
 ジョン初のソロ・シングル「ギヴ・ピース・ア・チャンス」を初めて聴いたのは75年リリースのベスト・アルバム「シェイヴド・フィッシュ」に収録された約1分の超ショート・ヴァージョンだったので、ジョンの死後に出た「ジョン・レノン・コレクション」でコンプリート・ヴァージョンを聴いた時はイントロのカウントを始め、めっちゃ新鮮に感じたものだった。シンプルな歌詞を単調なメロディーに乗せてひたすら繰り返し歌うというスタイルが功を奏して実に力強いメッセージ・ソングになっている。“revolution, evolution... meditations, United Nations, Congratulations♪” のようにライミングを上手く活用した言葉の速射砲によって聴き手にインパクトを与えるジョン・レノンの面目躍如といえる1曲だ。
 私が買ったのはプッシュアウト・センター型のダークグリーン・アップル・レーベルでA面のマトリクス枝番は -1(B面は聴かないのでどうでもいい...)。調べたところによると、マト1初回盤はレーベル面左のAPPLE 13の下に “R5795” があるのが特徴で、“Sold in UK”表記のあるものと無いものが混在しているとのこと。購入価格は£4.99(約880円)だった。
John Lennon- Give Peace A Chance


②Cold Turkey (Apples 1001)
 ジョンのセカンド・シングル「コールド・ターキー」(→邦題がアホバカ直訳の「冷たい七面鳥」って、感謝祭の残り物じゃあるまいし...笑)は麻薬の禁断症状を歌ったもので、ジョンは最初ビートルズとして歌おうとしたらしいが他の3人に拒否されたとのこと。そこでプラスティック・オノ・バンドとしてトロントでのライヴでお披露目し、その後にスタジオ入りしてレコーディングと相成ったらしい。エリック“ジャンキー”クラプトンによるギターが不気味に轟きわたる中、のたうち回る様に禁断症状の苦しみを歌うジョンのヴォーカルは説得力抜群だ。「イマジン」も悪くはないが、やっぱりジョンにはこういうパワフルでヘヴィーなロックンロールが良く似合う。
 私が買ったのはソリッド・センター型のダークグリーン・アップル・レーベルでA面のマトリクス枝番は -1U(B面は聴かないのでどうでもいい...)。そう言えば高校時代に買った「The Beatles – An Ilustrated Record」という本のこの曲の解説に “大きな音で演奏すること” という箇所があって何のことやらよく分からなかったが、このシングル盤のレーベル面中央にデカデカと太字で書かれた PLAY LOUD を見て長年の謎が解けた。これは要するに “このレコードは大音量でかけてくれ” という意味で、このplayは決して“演奏する”ではない。あ~スッキリした(^.^) 購入価格は£5.99(約1,060円)だった。
Cold Turkey (Single Version) - John Lennon & The Plastic Ono Band (Remastered 2010)


③Instant Karma (Apples 1003)
 上記の2曲と同じく、この「インスタント・カーマ」もベスト・アルバム「シェイヴド・フィッシュ」で初めて知ったのだが、歌詞カードの訳詞を見ても全く意味不明な内容で、長い間タイトルの意味が良く分からなかった。今でもちゃんと分かったと胸を張れる自信はないが、 “カルマ(つまり業、因縁、宿命)は瞬時にしてオマエを捕えるぞ... だから今をしっかりと生きるんだ... 月や星や太陽のように輝くのさ” というような意味ではないかと解釈している。要するにチンタラと生きている人達に対して “しっかりせぇよ!” と励ます歌なのだ。
 この曲はフィル・スペクターのプロデュースによるウォール・オブ・サウンド効果でジョンのヴォーカルがより引き立つ仕上がりになっているのが最大の聴き所。ジェフ・エメリックによるとUK盤シングルはジョンの “細かいことは気にせずにさっさと出しちまえ!” という鶴の一声でまだスペクターが最終OKを出していないミックスが使われたのに対し、US盤シングル用にはスペクターがその後ロスのスタジオにこもってジョン抜きで仕上げたミックスが使われているらしい。US盤は今太平洋上を我が家に向かって飛んでいるはずなので、届いたら又聴き比べてみよう。
 私が買ったUK盤はソリッド・センター型のダークグリーン・アップル・レーベルでA面のマトリクス枝番は -1(B面は... もうエエか...)。「コールド・ターキー」と同じくレーベル面中央に PLAY LOUD とあり、大音量で聴くと音壁効果が更にアップするのが嬉しい(^o^)丿 購入価格は£5.99(約1,060円)だった。
Instant Karma By John Lennon

ディスクユニオン大阪店のオープンセールに行ってきた

2015-11-14 | John Lennon
 ここのところ仕事が忙しくてストレス溜まりまくりだったので、先週の金曜日の昼から有休を取ってディスクユニオン大阪店の開店セールに行ってきた。ターゲットはもちろんこの3ヶ月ほどずーっと買いまくっているオールディーズの7インチシングル盤という超マイナーな分野なのであまり大きな成果は期待できないが、それより何よりユニオンの大阪進出の様子をこの目で確かめてみたいという好奇心によるところが大きい。場所はアクトスリービルで、開店セールに合わせたかのように同じビル内で開催される梅田レコードCD市とハシゴできるのも効率的でいい(^.^)
 その日は午後3時過ぎにお店に着いたのだが、店舗は昔ディスクJJがあった向かい側の、ちょうどジャズ喫茶があったあたりだ。中に入るととにかく人、人、人で、その異常なまでの人口密度の高さのせいで中々奥へと進めない。入って正面から右側に展開するCDコーナーの方はまだマシだったが左手側のアナログ・コーナーは押し合いへし合いの大人気で、その凄まじい熱気に圧倒される。そのほぼ全員がオッサン(外国人の女性が2~3人いたが...)でしかも目が血走っているというのが笑えるが、大阪でこーゆー光景を見るのはホンマに久しぶりである。私の記憶では15年ぐらい前に行ったジャズ廃盤祭りが確かこんな感じだった。
 私は人の波をかき分けて何とか左手一番奥のこじんまりしたシングル盤コーナーに辿り着き、早速猟盤を開始。店は東京の各店舗に比べるとかなり狭い感じで(←ガラガラのクラシック・コーナーはスペースの無駄やろ...)在庫数もそれなりだ。特にこの7インチ盤コーナーは辺境そのもの(笑)という感じで大賑わいのLP盤コーナーとは雲泥の差だが、その方がかえってゆったりと探せるというものだ。
 事前の予想通りあんまり目ぼしいものは無いなぁ...と思いながらエサ箱を漁っていたところ、何やら見覚えのあるデザインの盤が... おぉ、これはドルトン・レコードのカンパニー・スリーヴではないか! ドルトン・レコードと言えばもちろんベンチャーズである。彼らのシングル盤はあまり売れなかったせいかeBayオークションにもほとんど出てこないのだが、オリジナルLP盤をも凌ぐその音圧の凄さは「ウォーク・ドント・ラン」や「10番街の殺人」のシングル盤で実証済みで、大袈裟ではなくリスニングルーム全体が地鳴り鳴動せんばかりのラウドな音がスピーカーから飛び出してくるのだ。
 しかもラッキーなことに私が引いたのはその週末にeBayでスナイプを予定していた「ファジー・アンド・ワイルド」(邦題は「ワイルドで行こう」)で、それが720円とeBayの約半値で買える計算だ。ベンチャーズというとどうしても “テケテケ♪” 専門のお気楽サーフ・インスト・ロック・バンドと思われがちだが、60年代後期の彼らはファズをギンギンに効かせたバリバリのガレージ・ロックを演っており、ジミー・ペイジやエリック・クラプトン、エディ・ヴァン・ヘイレンといったギタリスト達に多大な影響を与えたというのは有名な話。そして彼らのファズ・ロックの代名詞ともいえるのが他でもないこの曲で、「シンク・フォー・ユアセルフ」のファズ・ベースの音が大好きな私は前々から45回転シングルの音でこの曲を聴いてみたいと思っていたのだ。帰って実際に聴いてみたところ、私の予想を遥かに上回るラウドなロックンロールが聴けて大満足だ(^.^)
The Ventures - Fuzzy And Wild


 ベンチャーズのシングル盤を片手に俄然テンションが上がってきたところで次に見つけたのがジョン・レノンの「イマジン」UKオリジナル・シングルのマト1盤。しかもそれが何と617円というもってけドロボー価格だ! ビートルズ・メンバーのソロ・シングルに一旦手を出してしまうと歯止めが効かなくなってしまうのが自分でもよく分かっていたのでeBayオークションでも意図的に見ないようにしてきた私にとってはまさに “禁断” の領域である。70年代以降はもちろんステレオ盤なので50~60年代のモノラル盤ほど強烈な違いはないかもしれないが、それでもやはりUKオリジナル・シングルの音を一度は聴いてみたいという誘惑はシングル盤に手を出した時から常に私の頭の中にあった。まぁジョンの場合は厳密に言えばNY移住以降はUS盤がオリジナルということになるのだが、ビートルズに関してこれまでUK盤至上主義を貫いてきた私(←60年代キャピトル盤のエコーかけまくりアホバカ・ミックスがトラウマになってる...)はどうしてもUKの2文字には抗えない。それがたったの617円である。私は迷わず買いを決め、とうとう魔界に足を踏み入れてしまった。
 帰って早速同じUKオリジナルのLP盤との聴き比べを開始。「イマジン」が音圧とかエネルギー感を味わうような曲ではないのは百も承知だが、それでも整然と整ったLPの音に比べ、シングルの方はクラウス・フォアマンのベースもアラン・ホワイトのドラムスもより力強く響くような音作りがなされており、「イマジン」でコレやったら「インスタント・カーマ」とか「パワー・トゥ・ザ・ピープル」とかもっと凄いんちゃうか...(^o^)丿と今後に大いなる期待を抱かせられた。因みにこの「イマジン」をきっかけにして1週間でジョンのソロ・シングルを既に10枚ほどゲットしたのだが、届くのが今から待ちきれない。いくら使ったかは考えないことにしている(笑)
 シングルのエサ箱を見終わった後、興味本位でビートルズのオリジナル盤コーナーも覗いてみたところ、「レット・イット・ビー」のUK 1stプレス写真集付きボックス・セットの75,000円にビックリ(゜o゜)  何かもう完全に骨董的価値を持った美術品的な扱いになっているような感じがする。結局ユニオンでの収穫はシングル2枚だけだったが、レジに行くと整理券を渡され(←440番でした...)番号を呼ばれるまで15分ほど待つハメに... みんなLPを脇にごっそり抱えて中国人も顔負けの爆買いをしているので時間がかかっているのだろう。会計を済ませて会員証と乾電池(?)を貰い、ディスクユニオンを辞した。
John Lennon - Imagine (45rpm)

Imagine / John Lennon

2011-04-07 | John Lennon
 悪夢のような大震災からもうすぐ1ヶ月が経とうとしている。東北地方では不安と不自由に苛まれながら避難所で生活されている方々が数多くおられるし、福島~関東地方の水や食べ物への放射能汚染はますます酷くなる一方で、事態が好転する兆しは見えない。私は西日本に住んでいるので被曝の心配はないように思えるが、放射性物質の大気中への拡散etcを考えると正直不安になってくるし、何よりも同じ日本の地で苦しんでいる人達が無数にいると思うととてもじゃないが心中穏やかではいられない。
日本で公表されない気象庁の放射性物質拡散予測 2011.04.04


 英語の諺に A friend in need is a friend indeed.(まさかの友は真の友)というのがある。本当に困った時にこそ自分にとって大切な人が分かるという意味だが、今の日本が置かれた状況がまさにそれだろう。この大震災の惨状を見て、世界中で “日本を助けよう!” という声が湧き起っているのには本当に有り難い思いで一杯だ。自然災害の前には国家・信条・宗教の違いなど関係なしに、同じ人間として苦しんでいる人を思いやる... まさに40年前にジョン・レノンが歌った「イマジン」の世界である。
 特に嬉しかったのが先日たまたま YouTube で見つけた F1ドライバー達から被災した日本へ向けてのビデオ・メッセージで、片言の日本語での単語リレーなのだが、彼らの気持ちが十分に伝わってきて(特にトゥルーリのジェスチャー付き “ガンバロウ!” に感動!!!)大の F1 ファンの私は思わず目頭が熱くなった。
  みんなで 力を あわせて
  みんなで 勇気を 持って
  みんなで 希望を 持って
  みんなで 前を 向いて
  みんなで 助け あって
  一緒に 頑張ろう!
  東北 一緒に 頑張ろう!
  日本 みんなで 一緒に 頑張ろう!
そしてこのビデオ・メッセージのバックに流れていたのがジョンの「イマジン」なのだ。マシンやヘルメットに書かれた “ガンバレ!日本” “Don’t give up, Tohoku!” の映像と共に優しげに語りかけるジョンの歌声が平時の何十倍もの説得力を持って心に響いた。
FORMULA1 We Pray For JAPAN 「がんばろう、日本」


 もう1本、YouTube で見つけてグッときたのが、ニューヨーカーたちが被災国日本への募金を呼び掛けるという、実にイマジンでウィー・アー・ザ・ワールドな内容の “Rise Again, Japan!” という動画。被災国の人間として、 “日本、俺たちがついてるぞ!” “全世界だぞっ!” という言葉に、 “ライジング・サン!” の連呼にどれほど勇気づけられたことだろう... Thank you, New York!!! 彼らの思いに応えるためにも、我々日本人はもう一度力を合わせて立ち上がらなければならない。
Rise Again, Japan! 日本語字幕付き
コメント (10)

“自家製ダブル・ファンタジー” を作ってみた(^o^)丿

2010-01-02 | John Lennon
 ジョン・レノンの遺作となった「ダブル・ファンタジー」はジョンとヨーコの曲が交互に出てくるので、多分ほとんどのファンがやっていたと思うが、私もジョンの曲だけをピックアップしてカセットテープ(!)に入れて聴いていた。しかしジョンが亡くなって以降かなりの間、ショックが大きすぎてどうしてもこのアルバムを聴こうという気になれなかった。その後、未発表音源集「ミルク&ハニー」がリリースされ、更に「ジョン・レノン・アンソロジー」BOXで多くの別テイクが日の目を見たが、そこには公式ヴァージョンを凌ぐようなテイクが数多く含まれており、改めてジョン・レノンのロックンローラーとしての凄みを見せつけられた思いだった。
 それから更に月日が流れ、去年ビートルズ・マラソンで「ジ・オルタネイト・リヴォルヴァー」の “別テイクでアルバムを1枚作る” という発想に瞠目、続いてジョン・レノン・ウイークで「アンソロジー・BOX」のDisc 4 を取り上げた時に “自分だけの「ダブル・ファンタジー」を作ろう!” と思い立った。ジョンが亡くなって今年で30年、そろそろ前へ進まなくてはいけない(>_<) “ジョンの遺作” という発想はもう捨てよう... “愛と平和の人” としてでもなければ “良き家庭人” としてでもなく、ただただ最高のロックンローラーとしてのジョンをプロデュースしてみよう... と決意、気分はすっかりジョージ・マーティンだ(笑)。
 私は古いタイプの人間なので未だに十数曲70分近く詰め込まれたCDフォーマットに馴染めないでいる。アレはベスト盤を作る時に出来るだけたくさんの曲をブチ込むのにはピッタリだが、1枚のアルバムを作るならやはりA面とB面に分かれ、片面5~6曲20分程度のアナログLPフォーマットがしっくりくる。ということで早速 “自家製ダブル・ファンタジー” の制作にトライ、まずはA面こんな感じでどーでしょう?(DF は Double Fantasy 、 JLA は John Lennon Anthology 、 M&H は Milk & Honey のことです)
 A-1「(Just Like) Starting Over」(from DF)
 A-2「I'm Losing You」(from JLA)
 A-3「Cleanup Time」(from DF)
 A-4「Nobody Told Me」(from JLA)
 A-5「Every Man Has A Woman」(from M&H)
A面の目玉はシングルになった①④ではなく、チープ・トリックを従えてハードにロックする②から凄味さえ感じさせるヤクザなヴォーカルが圧巻の③へと続く流れだ。う~ん、めっちゃカッコエエわぁ(≧▽≦) ジョンにはやっぱりロックが似合う。⑤はここ以外に行き場がない(笑) それでは続いてB面!
 B-1「I Don't Wanna Face It」(from JLA)
 B-2「Woman」(from DF)
 B-3「Watching The Wheels」(from JLA) 
 B-4「I'm Stepping Out」(from M&H)
 B-5「Grow Old With Me」(from JLA)
B面アタマにはノリ一発のコレがピッタリ。盤を裏返していきなりユルい曲なんてNGだ。②⑤は絶対にこの位置しかないと決めていた。ロック・アルバムにおけるスロー・ナンバーの位置ほど大切なものはない。③→④→⑤の流れも気に入っている。
 とまぁこんな感じで結構楽しめる。昔と違って今はパソコンに取り込んで簡単に編集できるので本当にありがたい。自家製アルバムのプロデュース、皆さんも一度やってみてはどうですか?

John Lennon with Cheap Trick- I'm losing you
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John Lennon Anthology (Disc 4)

2009-12-14 | John Lennon
 Disc-4 “ダコタ” はジョンのハウス・ハズバンド時代後半の2年間にホーム・レコーディングされたデモ音源と「ダブル・ファンタジー」セッションのアウトテイクスで構成されている。①「アイム・ルージング・ユー」は他の「ダブル・ファンタジー」収録曲とは激しく一線を画すエッジの効いたシャープなサウンドにビックリ(゜o゜) それもそのはずで何故かこのヴァージョンだけチープ・トリックのメンバーを起用しているのだ。このストレートなロック・サウンドを聴いて思うのは、「ダブル・ファンタジー」がヨーコとの共作という形態ではなく全曲こんな感じのロックだったらどんなに良かったかということ... まぁ今更言ってみてもしゃあないが、それほどこのヴァージョンは素晴らしい(^o^)丿
 ③「サーヴ・ユアセルフ」はジョンが激しくアコギをかき鳴らすホーム・レコーディングで、ディランへの返答歌とのこと。ディランの盤は持ってないので何とも言いようがないが、かなりアグレッシヴなトラックだ。④「マイ・ライフ」は「スターティング・オーヴァー」のデモで、まだ曲のアイデアを探っているような感じがする初期ヴァージョンだ。⑤「ノーバディ・トールド・ミー」は「ミルク・アンド・ハニー」収録ヴァージョンよりもジョンのヴォーカルが活き活きと躍動感に溢れ、自由闊達な感じがしてめっちゃエエ感じ。エンディングがブチッと切れてしまうのが残念だ。⑥「ライフ・ビギンズ・アット・40」はジョンがリンゴのために書いたカントリー調のナンバーで、リズムボックスをバックにアコギの弾き語りで歌っている。
 ⑦「アイ・ドント・ウォナ・フェイス・イット」はノリの良いロック・ナンバーで、ジョンにはこんな感じのストレートなロックをもっともっと聴かせてほしかったというのが正直なところ。スティーヴ・ミラーみたいなドライヴ感溢れるギター・サウンドが印象的だ。⑧「ウーマン」はリズムボックスをバックにアコギの弾き語りで歌うヴァージョンで、そのシンプルの極みのようなサウンドからそこはかとなく漂ってくる哀愁がたまらない(≧▽≦) ⑨「ディア・ヨーコ」ではバディ・ホリーのしゃっくり唱法で軽やかに歌うジョンが面白い。⑩「ウォッチング・ザ・ホイールズ」はアコギ弾き語りによるホーム・レコーディングだが、私は本テイクよりもアップテンポで駆け抜けるこっちの方が好きだ。この手の秀逸な別テイクを集めてジョン曲だけで “ダブル・ファンタジー・アンプラグド” としてリリースしたら売れそうな気がするのだが...(^.^)
 ⑪「アイム・ステッピング・アウト」は冒頭のセリフが入ってない別テイクで、「ミルク・アンド・ハニー」収録ヴァージョンに比べると何となく物足りない感じがするのは否めない。⑫「ボロウド・タイム」はアコギ弾き語りによるホーム・レコーディングで、曲としてはやや単調に響く。⑬「ザ・リシ・ケシュ・ソング」はジョージのインド趣味をおちょくった歌で、CD解説には “皮肉った” とあるが、私の耳にはネガティヴな響きはなく、ただふざけて作ったようにしか聞こえない。本当のところはどーなんやろ?ジョージの「ブロー・アウェイ」の歌詞とメロディーがそのまんま出てくるところがジョンらしくて好きだ(笑)。
 ⑮「ビューティフル・ボーイ」はジョンの歌声が本テイクよりも優しさに溢れ、父親としての愛息への想いがダイレクトに伝わってくる微笑ましいヴァージョンだ。⑰「オンリー・ユー」はオリジナルのプラターズであれリンゴであれ正直言って苦手な曲だったのだが、このジョンのヴァージョンだけは別。もう何度でも聴きたくなるような魅力溢れる歌声だ。苦手曲を愛聴曲に変えてしまうヴォーカリスト、ジョン・レノン恐るべしだ(>_<)
 ジョンが優しい歌声で “これから一緒に歳を重ねていこう...” と歌う⑱「グロウ・オールド・ウィズ・ミー」はビートルズ・ファンなら涙なしには聴けない大名曲だが、ここで聴けるのはジョンの遺したテープに何とあのジョージ・マーティンがストリングスをオーヴァーダビングして完成させたニュー・ヴァージョン!ただでさえウルウルきてしまう曲に加えて更に涙腺を刺激するストリングス・アレンジはマーティン先生の見事な仕事という他ない。⑲「ディア・ジョン」はジョンが最後に書いた曲だそうで、自分自身への励ましのメッセージのように響く。 “そんなに頑張らなくていいよ。たまには息抜きも必要だ。人生は駆け抜けるものじゃない。” という歌詞がたまらなく好きだ。
 ということで12月に入って始めた “ジョン・レノン・ウイーク” は既に取り上げた「ロックンロール」を除く70年代のオリジナル・アルバムを1週間で制覇するつもりが結局「アンソロジー」まで含めて2週間もやってしまったが、一応これで終了ということで... いつものことながら計画性もへったくれもないブログやね(笑)。明日からどないしよ~(>_<)

john lennon grow old with me

John Lennon Anthology (Disc 3)

2009-12-13 | John Lennon
 Disc-3 “ザ・ロスト・ウイークエンド” は「ウォールズ & ブリッジズ」と「ロックンロール」セッションのデモ & アウトテイクスで構成されている。「ウォールズ & ブリッジズ」はジョンのアルバムの中ではターンテーブルに乗る回数が一番少なかったとこの前書いたばかりだが、不思議なことにこの「アンソロジー」収録の別テイク群はスーッと心に入ってくる。私が馴染めなかったのはアメリカ的なアレンジやAORっぽいサウンドだったので、私的にはそういった装飾を施される前のシンプルなテイクと出会えただけでもこのDisc-3 は価値がある。①「ホワット・ユー・ゴット」はホーム・レコーディングによる超シンプルなアコギの弾き語りだが、まるでジョンが独り言を呟いているかのようなトラックだ。②「ノーバディ・ラヴズ・ユー」はストリングス類が入っていない別テイクで、シックな公式テイクと甲乙付け難い名唱が聴ける。曲もヴォーカルもそのすべてが素晴らしい、ジョンの隠れ名曲といえるだろう。
 「ホワットエヴァー・ゲッツ・ユー・スルー・ザ・ナイト」は38秒のホーム・レコーディング③をイントロにして同曲のリハーサル・テイク④が聴けるが、エルトンが入っていない分ジョンのヴォーカルが存分に堪能できるし、シンプルな楽器構成も良い。これでピアノがエレピじゃなかったら最高なのに...(←生理的にエレピの軽薄な音が嫌いですねん!) ⑧「スケアード」は公式ヴァージョンよりも遥かにシンプルかつ重厚で、グッと迫ってくるものがある。この「アンソロジー」にはそういった別テイクが数多く収録されており、特に「ウォールズ & ブリッジズ」に関してはどうしてもこっちを聴いてしまう。
 ⑨「スティール・アンド・グラス」は姉妹曲(?)の「ハウ・ドゥー・ユー・スリープ」同様、やっぱりストリングス入りの方が雰囲気が出ていて良いように思う。⑩「サプライズ・サプライズ」はエンディング部分の「ドライヴ・マイ・カー」アレンジはまだ無いが、ジョンの歌声は力感に溢れており、これはこれでエエ感じだ。⑪「ブレス・ユー」は別テイクながら公式テイクとそれほどの違いは感じられない。どっちにしてもサビのメロディーを聴くとストーンズの「ミス・ユー」を思い浮かべてしまう(>_<) タイトルもソックリやし、やっぱりミックがパクッた、というか拝借したような気がする。(24)「オールド・ダート・ロード」は本テイク同様、私にはちょっと薄味というか大人しすぎてあまり楽しめない。これは曲の善し悪しではなく、私が苦手とするタイプの楽曲なので仕方がない。
 ⑬「ムーヴ・オーヴァー・ミズ・L」は「ニューヨーク・シティ」の気分で「スリッピン・アンド・スライディン」を演ったかのような公式ヴァージョンが圧倒的に素晴らしいが、この別テイクもかなりの出来だ。要するにこの曲が本質的に持っているノリの良さがジョンのロックンロール・スピリットに火をつけるのだろう。こんなカッコイイ曲なのにアルバム未収録でシングルのB面に甘んじているというのが不憫でならない。
 ジョンのソロ作品中私が最も好きなアルバム「ロックンロール」からの音源はどれもこれも聴き応え十分だ。ブラッシュを擦る音の後、ジョンのカウントで始まる⑥「ビー・バップ・ア・ルーラ」のカッコ良さは筆舌に尽くし難い。ロックンロールを歌うために生まれてきた男、ジョン・レノンの真骨頂が聴ける名唱だ(^o^)丿 ⑦「リップ・イット・アップ / レディ・テディ」はあの豪快なホーン群が入る前のヴァージョンだが、このままでも十分通用する熱いヴォーカルが素晴らしい。 “リトル・リチャードといえばポール” のイメージがあるが、どうしてどうして、ジョンだって “リトル・リチャード好き” を全開にしてロックしている。その最たるものが⑮「スリッピン・アンド・スライディン」で、⑦と同様にまだホーン群は入っていない別テイクなのだが、そんなのカンケーネェ!とばかりに疾走するジョンが圧巻だ。ピアノの連打(←こーゆーの大好き!)もスリリングで名演度アップに拍車をかけている。
 ⑯「ペギー・スー」はバンドが一体となって火の出るような勢いで突っ走るところが最高だが、わずか1分強で終わってしまう理不尽さが悲しい。コレはもっともっと聴きたかった...(>_<) ⑰「ブリング・イット・オン・ホーム・トゥ・ミー / センド・ミー・サム・ラヴィン」もホーン抜きのテイクで、変にアレンジせずにストレートに歌っているところがいい。(22)「ビー・マイ・ベイビー」はフィル・スペクターを起用して破綻したLA セッションからの音源で、「ルーツ」で耳ダコとはいえ、何度聴いても重苦しいだけのヴァージョンだ。せっかくの名曲が拷問に耐えているように響く。(23)「ストレンジャーズ・ルーム」は後に「ダブル・ファンタジー」に収録されることになる「アイム・ルージング・ユー」の原型で、1980年のホーム・レコーディングながら、この時期の体験を元にして出来た曲だからという理由でここに入れられたという。ヨーコによる判断だが、何となく居心地の悪さを感じてしまうのは私だけかな?

EARLY TAKE - Be Bop A Lula

John Lennon Anthology (Disc 2)

2009-12-12 | John Lennon
 Disc-2 “ニューヨーク・シティ” には「サム・タイム・イン・ニューヨーク・シティ」~「マインド・ゲームズ」の頃のアウトテイクスと、この時期に出演したコンサートのライブ音源が収録されている。①「ニューヨーク・シティ」はホーム・レコーディングによるわずか56秒のアコギ弾き語りで、あっけなく終わってしまうので不完全燃焼もいいところ。本テイクが素晴らしいだけに、それに迫るような別テイクを期待していたのだが...(>_<) ②「アッティカ・ステイト(ライブ)」と③「イマジン(ライブ)」の2曲はアポロ・シアターにおけるチャリティー・コンサートのライブ録音で、どちらもかなり充実した歌と演奏だ。特にアコギ弾き語りによる③はピアノ主体の公式ヴァージョンとは又違った深い味わいがあり、グッと胸に迫ってくる。
 ④「ブリング・オン・ザ・ルーシー」はラフなリハーサル・テイクながらジョンは結構ノッていて、自らを鼓舞しながら(12~24秒あたり)実に気持ち良さそうに歌っている。「ウーマン・イズ・ザ・ニガー・オブ・ザ・ワールド」は⑤がホーム・レコーディングによるわずか39秒のアコギ弾き語りで、「ワン・トゥ・ワン・コンサート(昼の部)」での同曲ライブ・ヴァージョン⑦のイントロ的な扱いだ。このコンサートからは続く⑧「イッツ・ソー・ハード(ライブ)」、⑨「カム・トゥゲザー(ライブ)」と3曲連続で収録されているが、そのどれもがアルバム「ライブ・イン・ニューヨーク・シティ」収録の夜の部よりもジョンの出来が良いように思う。特に⑨ではアドリブで “ストップ・ザ・ウォー!” と叫ぶなど気分の面でもノッており、何でこっちを単独で出さんかったのか不思議なくらいだ。
 ⑩「ハッピー・クリスマス」は公式ヴァージョンのラフ・ミックス、つまりテイクは同じで最終的なお化粧がまだ済んでいないというだけの違いなので特に目新しさはない。似通った曲想の次曲⑪「ラック・オブ・ジ・アイリッシュ(ライブ)」へのつなぎとして入れたのだろうか? その⑪は⑫「ジョン・シンクレア(ライブ)」と共にミシガン大学で行われたジョン・シンクレア救済コンサートからのライブ音源で、その政治的な歌詞とアコギ主体のサウンドは60年代のフォーク・フェスティバルを思い出させるが、ジョンのヴォーカルは凡百のフォーク・シンガーとは次元の違う説得力を持って激しく迫ってくる。
 ⑭「アイ・プロミス」と⑮「メイク・ラヴ・ノット・ウォー」は共に「マインド・ゲームズ」の原曲と呼べるもので、元々は曲の断片のような⑭(←まだ最終形の面影は殆どない...)があり、その “ラヴ イズ ジ アンサ~♪” の部分を核にして曲を発展させていったのが⑮(←ラフだが構成はかなり最終形に近い...)という感じだろうか。とにかくジョンの曲作りの一端が垣間見れて非常に興味深いトラックだ。
 ⑯「ワン・デイ・アット・ア・タイム」は派手な女性コーラスの入っていない素朴そのもののリハーサル・テイクで、若干テンポを落として1オクターブ低い声で歌い、ギター・ソロのフレーズをハミングするジョンがめちゃくちゃ渋くてカッコイイ(≧▽≦) この声こそが私をジョン・レノン狂いにした張本人で(笑)、装飾過多な公式ヴァージョンよりも遥かに魅力的に響く “ネイキッドな” ヴァージョンだ。⑰「アイ・ノウ」もシンプルなホーム・デモだが、超素晴らしい⑯の次に聴くとどうしても印象が薄くなってしまうのはしゃあないか。
 ⑱「アイム・ザ・グレイテスト」と⑲「グッドナイト・ヴィエナ」の2曲は共にジョンがリンゴのアルバム用にプレゼントした曲だが、ここではジョンがリンゴのためにガイド・ヴォーカルを歌っているヴァージョンが収録されており、リンゴには悪いがジョンが歌うことによって曲の良さを極限まで引き出しているように感じられる。この2曲は本当に素晴らしい!特にまるで初期ビートルズのようなハンド・クラッピングの入ったウキウキするような⑲は個人的にはこのボックス・セットの中でも1・2を争うほどの愛聴トラックだ。
 (22)「リアル・ラヴ」はあの “アンソロジー・プロジェクト” の目玉とでも言うべき再結成シングルのベースになった “テイク1” とは微妙に違う “テイク4” というのが嬉しい。幽玄の美を湛えたようなジョンのピアノ弾き語りによるこのヴァージョンにはただただ涙ちょちょぎれる。(23)「ユー・アー・ヒア」は本テイクと甲乙付け難い素晴らしいヴァージョンで、ジョンのヴォーカルだけに限って言えばこっちの方がより優しさに溢れていて良いかもしれない。他のアーティストとは違い、ジョンの場合はあれこれアレンジを凝らすよりも何も考えずにシンプル&ストレートに歌ったデモやリハーサル・テイクの中にこそ宝が潜んでいることをこのボックス・セットが如実に物語っているように思う。

John Lennon - Goodnight Vienna - A Extended Mix



John Lennon Anthology (Disc 1-Pt. 2)

2009-12-11 | John Lennon
 Disc-1 “アスコット” の後半は「イマジン」セッションが中心だ。名曲⑨「イマジン(テイク1)」は公式ヴァージョンには入っていないオルガンやハーモニウムでゴテゴテと着飾った、いかにもスペクターらしいサウンドで、私の耳にはそれらがジョンのヴォーカルの邪魔をしているように感じられる。スペクターという人はロネッツやクリスタルズといった一連のフィレス・レーベルの作品は言うまでもなく、「マイ・スウィート・ロード」や「インスタント・カーマ」のようにツボにハマるととてつもない大傑作を生み出すが、その一方でアルバム「レット・イット・ビー」のように装飾過多なサウンドでロック色が薄まってしまう(←ロックに拘らない一般ピープルにはかえって聴きやすいかもしれないが...)危険性をも孕んでおり、まさに両刃の剣のようなプロデューサーだと思うのだが、このテイク1は後者の印象を受ける。ジョンのヴォーカルに限って言えば、心に沁み入るような瑞々しい歌声で説得力抜群なだけに余計に残念だ。
 ⑪「ベイビー・プリーズ・ドント・ゴー」はアルバム「サム・タイム・イン・ニューヨーク・シティ」収録のザッパとの共演ライブでゾクゾクするようなヴォーカルを聴かせてくれたジョンだが、これは実に貴重なスタジオ録音ヴァージョンで、エッジの効いたシャープなリズム・ギターといい、スリリングなヴォーカルといい、ジョンの本気度を雄弁に物語る。未発表だったのが信じられないくらいのクオリティーの高さだ。⑫「オー・マイ・ラヴ」はドラムレスのリハーサル・テイクで、ややかすれ気味のジョンの歌声が湛えている優しさがじんわりと感じられて癒される。実に素朴な味わいのヴァージョンだ。
 ⑬「ジェラス・ガイ」はストリングスが入ってない分、より自然で生々しいサウンドになっており、ニッキー・ホピキンスのピアノやジム・ケルトナーのドラムも活き活きとダイナミックに響いてこの曲の新たな魅力を実感させてくれる。私的には公式テイクより断然こっちの方が好きだ。⑭「マギー・メイ」はわずか53秒のトラックで、曲と曲の繋ぎというか効果音的に使われているのだが、なぜ1979年のホーム・レコーディングをここに収録したのかは意味不明だ。
 ⑮「ハウ・ドゥー・ユー・スリープ」はまだストリングスが入る前のテイクでジョージのスライド・ギターが実にエエ味を出しているのだが、攻撃的な歌詞を持ったこの曲にはあのスペクター・アレンジのおどろおどろしいストリングスが実に効果的だったことをこのシンプルなヴァージョンが逆説的に証明しているように思う。⑯「ゴッド・セイヴ・オズ」は廃刊の危機にあったアングラ雑誌「オズ」を支援するためのシングル用にジョンが書いた曲で、これはリード・ヴォーカルのビル・エリオットのためにジョンが歌ったガイド・ヴォーカル・ヴァージョン。いかにも “ファイト一発!” といった感じのやや単調な曲ながら、勢いだけで聴かせてしまうような歌と演奏になっており、サウンド的にはアルバム「サム・タイム・イン・ニューヨーク・シティ」に近い雰囲気だ。⑰「ドゥ・ジ・オズ」は全編を通して気色悪い魔女の断末魔が入っているのでパス。こんなん聴きたくない(>_<) 
 ⑱「アイ・ドント・ウォント・トゥ・ビー・ア・ソルジャー」は実にハード・ドライヴィングな演奏で、そのパーカッシヴなサウンドは穏やかなイメージのアルバム「イマジン」の中では思いっ切り浮いてしまうだろう。こういう異色のヴァージョンが聴けるのがこのボックス・セットの面白いところだ。⑲「ギヴ・ピース・ア・チャンス」はレコーディング前のリハーサル音源で、ジョンが参加メンバーにアレコレと指示している様子がわかる。歌や演奏がどうのこうのというよりも、一つの記録としてこのボックス・セットに収録されたのだろう。
 ⑳「ルック・アット・ミー」はアコギによる弾き語りで、そのシンプルな味わいは公式テイクとはまた違った魅力に溢れている。ジョンの素朴そのもののヴォーカルが絶品だ。(21)「ロング・ロスト・ジョン」は歯切れの良いアコギのリズム・カッティングがめっちゃ気持ちいいノリノリのナンバーで、リンゴのタイトなドラミングが生み出す躍動感溢れるリズムをバックにジョンの闊達なヴォーカルが楽しめる。このように魅力的なテイクが満載のこのボックス・セット、今では中古なら5,000円弱で手に入るようなので、ジョンのオリジナル・アルバムを聴き込んだファンなら絶対に “買い” でっせ(^o^)丿

John Lennon - "Baby Please Don't Go"

John Lennon Anthology (Disc 1-Pt. 1)

2009-12-10 | John Lennon
 1990年代半ばにビートルズ自身の手によってその歴史を音と映像で残そうという “アンソロジー・プロジェクト” により CD やビデオが怒涛の如くリリースされてビートルズ・ファンを狂喜させたが、それらが一段落したのも束の間、今度はジョンのホーム・レコーディングやリハーサル・テイクといったいわゆる未発表音源を時系列に沿って編集した究極の4枚組ボックス・セットが発売された。それがこの「ジョン・レノン・アンソロジー」で、 “アスコット” 、 “ニューヨーク”、 “ロスト・ウイークエンド” 、 “ダコタ” の4つのパートに分けられている。私は当初、この企画がかなりヨーコ色の強いものになるのではと危惧していたのだが、実際に聴いてみるとそれは全くの杞憂に終わった。その大半がアウトテイクということもあってか、飾らない素のジョンの歌声が実に生々しく、ファンとしては涙ちょちょぎれる内容なのだ。
 まずDisc-1 の “アスコット” だが、「ジョンの魂」~「イマジン」期のアウトテイクスが中心で、最終形ヴァージョンとはかなり異なる初期テイクが多くてめっちゃ面白い。①「ワーキング・クラス・ヒーロー」はジョンのアコギ弾き語りで、本テイクに迫るくらいの完成度を誇るかなりクオリティーの高い歌と演奏が楽しめる。メロディー・ラインのアレンジが公式テイクとは微妙に違っているのも聴き所。ジョンが様々なトライを重ねていた様子が垣間見える貴重なトラックだ。②「ゴッド」はピアノの入っていないギター、ベース、ドラムスというシンプルなフォーマットのリハーサル・テイクだが、ある意味ではあの衝撃的だった公式テイクよりも強烈かもしれない。若干速めのテンポで “信じないっ♪” を連呼するうちにノッてきたジョンが勢いに任せて一気呵成に歌い切る。公式テイクのような細かいアレンジがまだ出来てない分、あれこれ考えを巡らせることなく本能の趣くままに言葉の速射砲を連発するジョンのヴォーカルに圧倒される。
 ③「アイ・ファウンド・アウト」はエレキ・ギターによる弾き語りで、まだプリ・プロダクションの段階と言えるようなラフな歌と演奏だ。これも②と同様にジョンが何も考えずに心の中にあるものをストレートに吐き出しているような感じがする。④「ホールド・オン」はわずか43秒という短いトラックだが、公式テイクとは全く違うウキウキするようなリズムに乗って軽やかな歌声を聴かせるジョンがたまらなく好きだ。肩の力の抜けた名唱とはこういうのを言うのだろう。コレ、もっともっと聴きたかったなぁ...(>_<)
 ⑤「アイソレイション」は演奏の途中で一旦中断し、再開する様子が丸ごと収められているが、その間のジョンと他のメンバーとのやり取りが微笑ましくもリアルで、“ごめん、ミスった...(>_<)” と謝るリンゴに対し “よくあることさ、もう一回やろう!” と答えるジョンの優しさに満ちた声がたまらない。恥ずかしい話だが、このトラックは歌よりもこのジョンの喋りに萌えてしまう(≧▽≦) ⑥「ラヴ」はピアノ伴奏による公式テイクとは違うアコギの弾き語りヴァージョンで、双方とも甲乙付け難い素晴らしさだ。途中ミスると鼻を鳴らして中断し、“ギターに集中しなきゃ...” と自らに言い聞かせて再開するところなんかも生々しくってエエ感じだ。
 ⑦「マザー」は重厚にして鬼気迫る公式テイクとは雰囲気の違う、躍動感に溢れる歌と演奏で、ピアノではなくギター、ベース、ドラムスというフォーマットでシンプルに仕上がっている。重苦しさを演出した結果の公式テイクなのだろうが、私はむしろこっちのギター・ヴァージョンの方が好きだ。クラウスの轟音ベースもたまらない(^o^)丿 ⑧「リメンバー」は開始早々にジョンがリズム隊に向ってゲラゲラ笑いながら “おい、速すぎるよ!” と言って中断し、テンポを落として再開するもこの日のジョンは余程機嫌が良かったのか、随所で笑い転げながらも歌い続ける。実に楽しそうだ(^.^)。緊張感溢れる公式テイクからは想像もつかないほどの和気あいあいとしたセッション(笑)だが、逆説的に言えばゲラゲラ笑いながら歌っても十分聴かせてしまうヴォーカリストがジョン・レノンという人なのだと思う。(つづく)

John Lennon - Mother

Shaved Fish / John Lennon

2009-12-09 | John Lennon
 この「シェイヴド・フィッシュ」はジョンが5年間の主夫生活に入る直前の1975年にリリースされたベスト・アルバムである。ジョンのベストといえば「ジョン・レノン・コレクション」、「イマジン・サントラ」、「レノン・レジェンド」、「アコースティック」、「ワーキング・クラス・ヒーロー」etc、彼の死後に何種類も発売されているが、そのどれもが既存の音源の切り売り状態で、ただ収録曲が多いだけだったり初CD化のナンバーを含んでいたりというだけの何のコンセプトも感じられない “曲の寄せ集め” なのに対し、この「シェイヴド・フィッシュ」はキャピトル・レコードが作った原案をジョン自らがチェックして完成させたもので、選曲や曲順にもジョンの意思が明確に反映されている。それを象徴するのがアルバムのオープニングとエンディングに置かれた「ギヴ・ピース・ア・チャンス」で、そういう配置のせいかアルバム全体がコンセプト・アルバムのような性格を帯び、ベスト盤でありながら “もう1枚のオリジナル・アルバム” として一気呵成に聴けてしまうところもめっちゃ気に入っている。
 その①「ギヴ・ピース・ア・チャンス」だが、最初このアルバムを買った時(もちろん日本盤のアナログLP)は1分弱に短縮されたこの曲を聴いて “何でフル・ヴァージョン入ってないんやろ?” と不思議に思い、LP未収録曲とあってシングル盤を買いに走ったものだったが、腹八分目でフェイド・アウトして間髪をいれずに(←ココが肝心!)次曲「コールド・ターキー」のイントロのギターが唸りを上げるというこの演出がアルバム全体に絶妙な緊張感を与えていることが今の耳で聴くとよく分かる。さすがはジョン、天才の仕事だ(≧▽≦)
 ②「コールド・ターキー」は当時の邦題が「冷たい七面鳥」という竹を割ったような直訳というのも今となっては微笑ましいが、英語では麻薬の禁断症状を表すスラングで、毒を撒き散らすクラプトンのラウドなギターがめっちゃカッコイイ(^o^)丿 ジョンのヴォーカルも鬼気迫るモノがあり、さすがは経験者だけあって(笑)凄まじいまでの説得力だ。尚、ポールの「レット・ミー・ロール・イット」はこの曲のリフをアダプトした(←婉曲表現です...笑)もののように思えるのだが違うかな?
 ③「インスタント・カーマ」はジョンがフィル・スペクターとの共同作業で生み出した作品の中で④と共に “ウォール・オブ・サウンド” が最も効果的に用いられた曲だろう。スペクターの見事なサウンド処理によってジョンのヴォーカルは重々しく反響し、アラン・ホワイトの重厚なドラミングも圧巻、ビートルズ印のハンド・クラッピングも効果抜群で、とてもたったの1日で完成させた(朝思いついたメロディーに速攻で詞を付けて完成させ、その日の晩にレコーディングしたらしい...)とは思えないような名曲名演だ。
 ④「パワー・トゥ・ザ・ピープル」もスペクター効果が著しいナンバーで、総勢40名を超える大合唱に手拍子と足踏みが加わり、そこへトドメとばかりにスペクター渾身のエコー処理が炸裂するのだ。その迫力は大音量で聴くと凄まじいものがあり、過激な(しかし至極真っ当な)歌詞の持つメッセージ性を増幅させている。何年か前に TV の CM ソングとしてこの曲が流れてきた時はビックリしたなぁ...(゜o゜)
 ⑪「ハッピー・クリスマス」は私的にはビング・クロスビーの「ホワイト・クリスマス」、ナット・キング・コールの「ザ・クリスマス・ソング」と並ぶクリスマス3大名曲の一つで、ジョンの “ソゥ ジスイズ クリスマス~♪” の一声だけでもう雪が降ってくるような錯覚を覚えるぐらいジョンの表現力が冴えわたっている。天才ヴォーカリスト、ジョン・レノンの真骨頂といえる名唱だ。尚、このアルバムではエンディング部分に「ギヴ・ピース・ア・チャンス」のワン・トゥ・ワン・コンサートにおけるライブ・ヴァージョンが被せられており、リプリーズの役割も果たしている。
 このアルバムはジャケットも素晴らしく、12分割された表カヴァーは収録曲をイメージさせるイラスト(←コレ良く出来てます!)で構成されており、裏カヴァーにはアルバム・タイトルの “カツオ節” のパッケージ(←“正味二オンス詰” にはワロタ...)が描かれているのだ。又、表カヴァーやインナー・カヴァーに日の丸が描かれているのも日本人としては嬉しい。そういった一切合切を含め、ジョンの軌跡を辿るのに不可欠なアルバムとして愛蔵している1枚だ。

John Lennon - Power To The People
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Wlalls And Bridges / John Lennon

2009-12-07 | John Lennon
 ジョンは前作「マインド・ゲームズ」がリリースされた1973年秋以降しばらくヨーコとの別居生活に入るが、この “失われた週末” と呼ばれる時期にレコーディングされたのがソロ通算5作目にあたる「ウォールズ・アンド・ブリッジズ」だった。
 私が音楽を聴き始めたころ目にした音楽誌のこのアルバムに対するレビューは “今までのジョンの作品の内で間違いなく最高のプロジェクト” だとか、 “「イマジン」に充分に匹敵しうる最高のロックンロール・アルバム” だとか、どれも判で押したように大絶賛の嵐で、“ここからシングル・カットされた②がジョンにとってソロ初の全米№1に輝いた” こともあって “英米日ともに久々のマンモス・セラー(笑)を記録” とまぁこれ以上ないくらいの美辞麗句が並んでいた。今では音楽評論家の提灯記事など全く信用していないが、まだ素直だった当時はこれらのレビューを信じ、速攻でこのアルバムを買ってきて絶大なる期待感を持ってターンテーブルに乗せた。しかし、スピーカーから流れてきたのは私が期待したのとはかけ離れた音楽だった。 “えっ?コレが最高のロックンロールってか?” 正直、私は失望した。何度聴いてもこのアルバムのどこが良いのか分からなかった私はこの盤を一旦レコード棚の奥深くしまい込んだ。そして様々な種類の音楽を聴いて経験を積みながら時々取り出して聴いてみて昔よりは幾分その良さが分かるようになってきたが、やはり他のアルバムほどには馴染めない。私が特に苦手なのは①「ゲット・ダウン・オン・ラヴ」、③「オールド・ダート・ロード」、⑥「スケアード」といった曲たちで、いくらジョンの声で歌われてもメロディーが薄すぎて楽しめない。きっと私の感性がこのアルバムについていけてないのだろう(>_<)
 全米№1になった②「ホワットエヴァー・ゲッツ・ユー・スルー・ザ・ナイト」はエルトン・ジョンとのデュエット曲だが、私にはゴテゴテと装飾過多なアメリカン・ロックにしか聞こえない。そもそもこのエルトン・ジョンと言う人、「ユア・ソング」や「キャンドル・イン・ザ・ウインド」といったスロー・バラッドではいかにもイギリス的な抒情味溢れる素晴らしい曲作りをするのに対し、アップテンポなナンバーはアメリカ的な薬にも毒にもならないようなものが多くて好きになれないのだ。ジョンのこの曲もどちらかというとそんなエルトン色が強いように思うのだが、それでもジョンが単独で歌っているパートにだけは耳が吸いつく。 “腐っても鯛” じゃないが、これこそまさにジョン・レノンのヴォーカリストとしての底力だろう。
 ⑤「ブレス・ユー」はストーンズの「ミス・ユー」の元ネタになったっぽいサビのメロディーが哀愁を誘うが、エレピのサウンドが軽すぎるのが玉にキズ。しかし70年代半ばのアメリカン・アダルト・コンテンポラリー・サウンドが好きな人なら気に入りそうなサウンドだ。当時の恋人メイ・パンのことを歌った⑧「サプライズ・サプライズ」は曲そのものよりもエンディングで炸裂する「ドライヴ・マイ・カー」そのままのコーラスが嬉しい。⑫「ヤ・ヤ」は当時10歳だった息子ジュリアンとのお遊びセッションで、和やかな雰囲気が伝わってきて微笑ましいのだが、1分ぐらいでフェイド・アウトしてしまうのが残念だ。
 このアルバムで一番好きなのはシングル・カットされて全米9位まで上がった⑦「#9・ドリーム」だ。タイトル通り夢見心地といった感じのジョンのアンニュイな歌声が何とも心地良い浮遊感を感じさせるサウンド・プロダクションと絶妙にマッチした名曲名演だだと思う。 “ア~バワ カゥワ ポッセポセ~♪” という夢言葉みたいなフレーズはジョンお得意の造語で、この曲に更なる神秘性を与えているようだ。④「ホワット・ユー・ゴット」は何となくスティーヴィー・ワンダーの作風を連想させるファンキーなナンバーで、A面はこの曲があることによって救われているような気がする。
 ⑨「スティール・アンド・グラス」はビートルズ解散の一因となった悪徳マネージャー、アラン・クラインをあらかさまに攻撃した内容で、曲想からバックのストリングス・アレンジに至るまで、ポールを皮肉った「ハウ・ドゥー・ユー・スリープ」そっくりだ。そういえばこの頃ジョンはポールと仲直りし、過去を水に流して再会セッションまでしているが、そのこととこのクライン攻撃は無関係ではないだろう。⑩「ビーフ・ジャーキー」はジョンには珍しいインスト・ナンバーで、一説によるとブッカーT & ザ・MGs の「グリーン・オニオン」をイメージして書いたという。不思議なグルーヴを醸し出すこの曲に続くのが⑪「ノーバディ・ラヴズ・ユー」で、それまでの曲とはジョンのヴォーカルの質感がガラリと変わる。 “大人のヴォーカル” とでも言えばいいのか、適度に肩の力の抜けた、実に懐の深い歌い方だ。曲そのものもまるでスタンダード・ナンバーのような気品を備えており、「ジェラス・ガイ」を彷彿とさせる口笛によるエンディングもカッコイイ(^o^)丿 こーやって聴いてくると地味ではあるが中々味わい深いアルバムかもしれない。

John Lennon - # 9 Dream