shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Queen + Adam Lambert 2020 来日公演のベスト・ブート決定戦【映像編】

2020-03-12 | Queen
 コロナがヤバい。私の住んでいる奈良にもクルーズ船やらライヴハウス(←高齢者ばっかりでビックリ...)やらのコロナ感染者がウヨウヨ出てきて怖くて街を歩けない。ネットを見てもテレビを見てもコロナ一色で、影響されやすい私は人を見かけたら “このおばはんライブハウス行っとらへんやろな?” とか “この兄ちゃんスポーツジム通ってそうやな...”とか “このおっさんフィリピンパブ好きそうやな...(笑)” とか、ついつい邪推してしまう。降ってわいたような円高は本来ならば大歓迎なのだが、海外から届くブツが万が一ウイルス汚染されてたらと思うと(←レコードを2週間隔離するわけにもいかんし...)オークションにも身が入らない。こんな時は手持ちの愛聴盤を聴いたりライヴDVDを観たりして免疫力を上げるのが一番だ。ということで前回に引き続いてのQueen 2020来日公演ベスト・ブート決定戦...今回はライヴ参加者には必携の「映像編」だ。

①Saitama Super Arena 2020 Day 2 The Video [LH:ギフト-R盤] 
 京セラ・ドームのライヴが行われた週末に手に入れたのがこれ。たまアリ・ライヴの終了直後にネット公開され、それから1日も経たないうちに削除されたものらしいのだが、“極上クオリティ&超絶景にしてフル・ショウの一気収録” というメーカー・インフォに偽りなしの凄い映像にビックリ。“花道のすぐ右側(ブライアン側)でかなり前方。思いっきり引くとステージの全景がかろうじて収まるくらいの距離感だが、そこから最新デジタル機材の性能を見せつけるようなズームが大量に映し出される。正面ステージでもアダムやブライアンが大写しだし、花道まで出てきた際にはバストアップが画面からハミ出す。前方席の影もほとんど入らず、巨大スクリーンの映像演出から各メンバーの表情アップまで自由自在。しかもそのアップで捉えたアダムの姿はプロショットのように画になるアングル” という説明がすべてを物語っているように、私の知る限りオーディエンス・ショットのブートレッグでもトップ・クラスに入るのではないかと思えるような逸品であり、大阪と埼玉の違いはあるものの、自分が数日前に体験した凄いライヴを自宅のテレビで超至近距離からじっくり観れて大コーフンしたものだ。尚、今ではこの映像に同レーベルのプレス盤の音声を被せたアップグレード盤「Saitama Super Arena 2020 Day 2 Ultimate Sound」(←コレもギフトでもらえた!)が出ているので、クイーン2020来日ブートレッグの映像部門ではそれが最強のアイテムと言っていいと思う。

②Osaka 2020 The Video [LH:ギフト-R盤] 
 ①を観て大阪公演の映像作品への期待がいやが上にも高まったところにギフト・リリースされたのがこれ。“おぉ、ついに出たか!” とワクワクしながらメーカーの説明を読むと “ただし、本作最大の難点はフル収録ではないこと。これは別に撮影漏れというわけではなく、ショウは開演から終演まですべて押さえられているものの、見どころシーンだけ掻い摘み、137分のショウを約1時間に圧縮編集している” と書いてある。えっ、1時間ダイジェスト??? それってもしかして自分がYouTubeから拾ってきてブログに貼り付けた「【4K】2020 1 28 QUEEN+Adam Lambert Live Digest Japan Osaka Dome」とちゃうんか?と嫌な予感で一気にテンションだだ下がり(>_<)  実際に届いたDVD-Rの映像を確認してみると、案の定YouTubeで何度も見たことのあるダイジェスト映像(←これもすぐに削除されたようだが...)でガッカリ。確かに4Kで画質は良いのだが、気持ちがノッてきたところでカットが入って興ざめのブツ切りダイジェスト映像なんて一度見ればそれで充分。私的には “無いよりかはマシ” レベルのアイテムだ。それにしても前回取り上げたXavel盤(←最初の2曲が欠けてるし、ほとんど後ろ姿ばかりで、全く論ずるに値しない)といい、このギフト盤といい、大阪公演の映像作品にはロクなんがないな...(*_*;
 
③Nagoya 2020 The Video [Uxbridge:-R盤] 
 たまアリ①と京セラ②は共にギフト扱いだったのに対し、ナゴドのDVD-RはUxbirdgeレーベルから2,500円の値付けでリリース、しかも2枚組ということで、“ニャゴヤは埼玉や大阪を凌ぐような凄い映像なんか...” と期待したのだが、残念ながら私的にはハズレ盤。ディスク1はメーカーの説明に“ほぼフルショウ全曲を目撃できる絶景ショット。「ほぼ」というところがポイントで、セット全曲なのは間違いないものの、ところどころダイジェストしながら見どころを濃縮している。「なんだダイジェストか」と思われるかも知れないが、それでも約1時間半もあり、ちょっとした映画レベルのボリューム。もちろん、カットされているのは間延びシーンがメインになるわけで、豪華絢爛のショウを濃縮体験できる” とあるのだが、よくよく考えてみると約137分のうち93分ということは大体68%という計算になるわけで、私の感覚から言うと7割弱を “ほぼフル” とは絶対に言わない。そもそもあの極上エンターテインメント・ショーの32%が間延びシーンだとでも言うのだろうか? ディスク2に至っては曲数は約半分でたったの50分しかないので私にとっては “よくできたYouTube映像の寄せ集め” という感じ。大阪②や素人でも編集できそうなこの③を観れば観るほど埼玉①の偉大さがよくわかるのだ。

【3.14追記】海外から届くレコードにコロナウイルスが付着していたケースについてネットで色々調べてみたが、信頼できるサイトによると “放射能汚染とは違い、製品にウイルスが付着していたとしても培養させる要素がなければ死滅する。仮に人の手から剥離したタンパク質やカビの胞子があれば一定期間は生存可能だが、それでも普通は24時間程度、最長のプラスチックの表面でも3日で死滅。” とのことなので一安心。まぁ海外だけでなく国内からの郵便物にも注意して、届いたらすぐに消毒用アルコールで拭けば問題なさそうだ。しかしホンマに住みにくい世の中になったのぅ...

Queen + Adam Lambert 2020 来日公演のベスト・ブート決定戦【大阪編】

2020-03-07 | Queen
 私は自分が観に行ったライヴのブートレッグは可能な限り手に入れることにしており、今回のクイーン京セラドームのライヴ盤も何枚か買ったので、今日はそれらの感想を書いてみたい。ゲットしたのはライトハウス系のが3枚とザヴェルのが1枚だ。

①Osaka Dome 2020 [Uxbridge:-R盤]
 今回の「ラプソディ・ツアー」関連ブートで最初に手に入れたのがこれ。 “結構芯のある音” というのが第1印象で、それもそのはず、録音ポジションが最前4列目というのだから何をかいわんや。音だけで言えば軽く80点はあげられそうなくらいのダイレクト・サウンドである。しかし好事魔多しとはよくぞ言ったもので、周りのオーディエンスの会話もしっかりと拾ってしまっており、プレス化が見送られたのは多分そのあたりが原因だろう。ただオーディエンス・ノイズと言っても、同シリーズの「Nagoya Dome 2020」に入っている“ホゥホゥ!” のようなアホ丸出しのウザい叫び声ではなく、コテコテの関西弁でベテラン女性ファンがキャアキャア騒いでる声がメインなので、スピーカーからの大音量で聴いていてもそれほど不快感はない。京セラ・ライヴの “生々しい記録” として、これはこれでアリだと思う。

②Kyocera Dome Osaka 2020 [LH:ギフト-R盤]
 京セラドーム公演の翌週に -R盤で緊急リリースされたギフト盤。この種のギフト盤というのは普通ライヴの内容を速報で伝えるのが第一の目的で音質は二の次というケースが多いのだが、これはそういった“とにかく聴けりゃそれで十分” というギフトとは激しく一線を画すクオリティーの高さにビックリ。何でコレをプレスせぇへんねやろ?と不思議に思えるくらいの高音質盤である。私は同時購入した①の後でこれを聴いたのだが、さすがにダイレクト感では①に及ばないものの音のバランスが絶妙で、臨場感やナチュラルな質感という点では①を軽く凌駕しており、1週間前に現場で自分が聴いた音に一番近いと感じたのが他でもないこの②だった。オーディエンス・ノイズも極小で、③がリリースされるまではこればかり聴いていたし、今でもヘビロテで愛聴している。それにしてもこんな名録音がタダでもらえるなんて、ホンマにエエんかいな...(^.^)

③Osaka 2020 [Wardour:プレス盤]
 京セラドームのライヴ盤で1枚選ぶなら迷わずコレ。-R盤の①もかなりオンな音だったが、これはそれをも凌ぐ生々しい音で、私的には95点はあげたい超高音質盤だ。めちゃくちゃダイレクトな音でありながらしっかりとライヴ空間の臨場感も感じられるという、①と②の美味しいとこ取りしたような音、といえば分かりやすいかも。それでいて不快なオーディエンス・ノイズがほぼ皆無というのが嬉しい。メーカーの解説文にあった “ホール録音と聞き間違えるサウンドをドームで成し遂げている” という表現は言い得て妙と大いに納得のスーパーウルトラ高音質だ。大阪だけに限らず、私が聴いた今回の日本公演すべての音源の中でも断トツの超優良オーディエンス録音盤と断定したい。スピーカーの大音量で聴いたらぶっ飛びまっせ(≧▽≦)

④The Rhapsody Tour 2020 – Kyocera Dome Osaka [Xavelのコピー -R盤]
 Xavel のIEMレコーディング と言えば Empress Valley と組んでリリースしたポールのボックス・セットのイメージが強いので、今回のリリース・インフォを見た時は胸が高鳴った。しかし映像とセットとはいえ6,000円という価格設定には腰が引けるし、その映像からして “最初の2曲分が欠落” しているとのことで買う気が一気に失せ、一旦はスルーしようと思ったのだが、ヤフオクのコピー業者がこれを2,000円で出品しているのをたまたま見つけ、“2,000円やったら IEM録音のCD-R商品として考えれば十分アリやな...” と考え直し落札。実際に聴いてみたが、イヤモニ臭が強すぎて各楽器のバランスがイマイチなのと、横の観客のおしゃべりを結構拾ってしまっているのがマイナス・ポイントで、“ポールのボックス・セットの出来には及ばない” というのが正直なところ。まぁ他のオーディエンス録音盤とはかなり違ったユニーク音に仕上がっているので、気分転換用に1枚ぐらいこういうのを持っていても悪くはないが、斜め後方から撮ったクソみたいな映像付きで6,000円も出す価値はないと思う。これはコピー盤で買って正解だった。

ここに挙げた以外にもシルフやフェニックスといったメーカーから京セラのライヴ盤が出ているようだが私は未聴。オーディエンス録音で②と③を超えることは多分ないだろうと思ったからだ。とにかくこの2枚があればそれで十分というのが私なりの結論だ。

【おまけ】VIPのオペラ・ボックス席からの映像。オープニング・セットの舞台裏ってこーなってたんか...
Queen and Adam Lambert, VIP OPERA BOXES VIEW, Innuendo/Now I'm Here, Melbourne 1, Feb 19

Fire Fight Australia / Queen + Adam Lambert

2020-03-01 | Queen
 感動のクイーン来日公演から1ヶ月が経ち、世間は新型コロナウイルスで大騒ぎしているが、今から考えると1・28京セラってギリギリセーフという感じ。あと1ヶ月ズレてたら来日中止の可能性もあったかもと思うとホンマにラッキーだったとしか言いようがない。1月末っていうとちょうどウイルスのニュースが世間を騒がせ始めた頃で、マスク嫌いの私ですら “京セラドーム大丈夫かいな?” と不安になって、ドームに向かう電車の中ではマスクをして俯いていた。まぁ途中からウイルスどころではなくなって、マスクを脱ぎ捨てて充電に奔走するハメになったのだが...(笑) 冗談はさておき、クイーンのメンバーはもちろん、ツアースタッフも全員無事に日本を脱出してくれたようなのでとりあえず一安心。ただ、アホバカ日本政府のグダグダ政策のせいで今や我が国は感染列島と化し、年内のポール来日は絶望的になってしまったが...(*_*)
 話しをクイーンに戻そう。彼らのラプソディ・ツアーは日本の後、オセアニア・レグに突入してニュージーランド→オーストラリアと廻るとのことだったので、2月に入ってからも暇を見ては公式ツイッターやらYouTubeやらで彼らの動向をチェックしていたのだが、まず2/10のNZダニーデン公演でゼップの「Whole Lotta Love」をカヴァーしたとの情報をつかみ、YouTubeにアップされた映像を見てぶっ飛んだ。アダム・ランバートの何とまぁ凄まじいハイトーン・ヴォイス... (≧▽≦)  フレディの音域をカヴァーするだけでも人間離れしているというのに、全盛期プラント級のシャウトまでも楽々こなしてしまうとは...(゜o゜)  ゼップ・フリークのロジャーの眼が真剣そのものだし、ブライアンも嬉々としてギターを弾きまくっている。次の来日では是非とも彼らのゼップ・カヴァーを生で観てみたいものだ。
Whole Lotta Love - Queen & Adam Lambert - Dunedin, NZ - 10.02.20


 そして2/16にはシドニーで開催されたオーストラリア森林火災復興のためのチャリティ・コンサート「Fire Fight Australia」に出演し、今や伝説と化した35年前のLive Aidのセトリを現メンバーで再現したとのこと。これはえらいこっちゃ... 絶対に観てみたいなぁ... と思ってYouTubeで検索したところ、“UMGさんの著作権コンテンツが含まれているのでブロック” されているとのことでガックリ(>_<)  聞くところによると前日までは問題なく見れたそうなのでまさにタッチの差で見逃してしまったのだが、何とラッキーなことにネット上の優良動画を飯の種にしているLHさん(笑)がそのライヴをギフト・アイテムとしてDVD-R化してくれたのだ。当然ながら私は速攻でそのDVD-Rを手に入れた。
 届いた映像は私の期待通りの素晴らしい内容で、現ラプソディ・ツアーのステージを30分弱に濃縮したようなパフォーマンスの連続はまさに圧巻の一言! もちろん映画「ボヘミアン・ラプソディ」のようなモノマネではなく、シドニーのANZスタジアムに集まった75,000人のオーディエンスの前で35年前と同じセトリをアダムがしっかりと独自色を打ち出しながら再現しているところが凄い。ブライアンやロジャーもキレッキレのパフォーマンスで “現在進行形のクイーン” を満天下に知らしめる素晴らしいプレイを聞かせてくれる。尚、フレディの“エーオゥ!” は“All Right!”で終わるライヴエイド・ヴァージョンではなく、ラプソディ・ツアーでお馴染みの“Fuck You!” で終わるイエロー・ジャケット・ヴァージョンだ。
Queen + Adam Lambert - Fire Fight Australia Live Aid Full Performance

クイーンの京セラドーム公演に行ってきた③

2020-02-07 | Queen
 若い宇宙飛行士が宇宙に1年行って戻ってくると地球では100年の時が経っており自分の家族に会えないという悲しい物語を歌った名曲「'39」(←いわゆるひとつの “イギリス版浦島太郎” だが、相対性理論と宇宙空間における時間のズレに精通したブライアンならではの発想が秀逸!)に続いては、これまた初期の名曲「Doing All Right」だ。映画「Bohemian Rhapsody」ではブライアン&ロジャーのフレディとの出会いを描いた印象的な場面で使われていたが、ステージに貫禄たっぷりの(笑)ロジャーが出てきてブライアンのギターをバックに歌い上げるところなんか結構グッとくるモンがあったし、そこにアダムが加わってハモるシーンは大袈裟ではなくめっちゃ感動的だった。
 “みんな楽しんでるかい? 次はクレイジーに行こうぜ!” とゴキゲンなアダムのMCで始まったのは言わずと知れた「Crazy Little Thing Called Love」だ。アコースティック・セットで感動に浸っていたドームのオーディエンスに再び火が付く。4万人のハンド・クラッピングが耳に心地良い。それより何より、私はフレディ色の強いこの曲を自分のカラーに染め上げて歌いこなすアダムに感心してしまった。この人やっぱり凄いわ! ブライアンとロジャーが “神から授かった真の才能の持ち主” と絶賛するだけのことはありますな。
2020.01.28 Queen The Rhapsody Tour in Osaka `Doing All Right〜Crazy Little Thing Called Love’


 「Crazy Little Thing Called Love」に続いてはこれまた大ヒット曲の「Under Pressure」だ。ロジャー渾身のドラム・ソロから一転してあの聴き慣れたリフへとなだれ込む瞬間のゾクゾク感を何と表現しよう? 私もQ友さんたちも大喜びで大合唱だ。いやぁ、ホンマに楽しいわ(^o^)丿
 「Dragon Attack」はシングル曲ではないが、アルバム中の全曲がヒット・ポテンシャルを秘めた大傑作「The Game」の中でも結構目立っていただけあって、大ヒット曲満載の今回のステージでも違和感なくセトリの中に溶け込んでいる。そしてキタ━━━(゜∀゜)━━━!!!   フレディのソックリさん出演でインパクト絶大だった例のカップヌードルCMでお馴染みの「I Was Born To Love You」だ。今回の「The Rhapsody Tour」で、この日本だけ特別にセット・インしたのが日本語詞の「Teo Toriatte」とこの曲なのだが、ドームの盛り上がりが凄まじい。やっぱりみんなこの曲好きなんやね(^.^)
Queen + Adam Lambert “Drum Solo / Under Pressure” January 28th Osaka Kyocera Dome

Queen + Adam Lambert “Band intro/ Dragon Attack” January 28th Osaka Kyocera Dome

QUEEN + ADAM LAMBERT THE RHAPSODY TOUR 2020 'I was born to love you' Osaka japan


 これでもかと言わんばかりの大ヒット曲アメアラレ攻撃はまだまだ続く。アダムの歌を聞きながらもフレディの女装した姿が脳裏に浮かんでしまう(笑)「I Want To Break Free」、目も眩まんばかりのカラフルなレーザー光線が乱舞するライティングに圧倒される「Who Wants To Live Forever」、ブライアンが小惑星(?)に乗って宙を舞いながらスペイシーな音色でオーディエンスを魅了する「Guitar Solo」(←「遠き山に日は落ちて」がジワジワきます...)、これぞクイーン流ハードロックの真骨頂!と言うべき「Tie Your Mother Down」と、観る者を飽きさせない究極のエンターテインメントが展開されていく。
Q+AL - Guitar Solo in Osaka 2020/1/28

Q+AL - Tie Your Mother Down in Osaka 2020/1/28


 今回のライヴで私が特に楽しみにしていたことが3つある。「Teo Toriatte」の大合唱、「We Will Rock You」の足踏み手拍子“ドンドンパッ”、そして「Radio Ga Ga」のサビの手拍子と腕を上げて伸ばす例のポーズだ。元々はプロモ・ビデオからきているのだが、私的には何と言っても「Live Aid」で7万人もの大観衆がこの曲に合わせて手拍子する姿が脳裏に焼き付いており、自分もやってみたくてたまらなかったのだ。実はライヴの前日の晩もプロモ・ビデオを見てベストな腕の角度とかを練習していたので(笑)、この日ついに本懐を遂げることが出来て大満足だ。
Q+AL - Radio Ga Ga in Osaka 2020/1/28


 「Radio Ga Ga」の興奮も冷めやらぬ中、場内が暗転し、「Bohemian Rhapsody」のイントロのコーラスがドームに響き渡り、ショウはいよいよクライマックスへ。アダムの歌声が実に力強い。そしてそれに続くギター・ソロ・パートでブライアンが登場するのだが、何と狐のお面をして演奏しているではないか! ホンマにこの人は何をやっても絵になるなぁ... (≧▽≦) オペラティック・パート(←例の“ガリレオ~♪” のとこ)では巨大スクリーンにプロモ・ビデオの4人の姿が映し出されるお約束の演出もたまらんたまらん(^o^)丿 エンディングの“Anyway the wind blows...♪” で全身の力が抜け、シートに腰を落とす私。燃え尽きて白い灰に... なっている場合ではない。まだアンコールが残っているのだ。
Bohemian Rhapsody- Queen+Adam Lambert Rhapsody tour live in Osaka


 アンコールではいきなり巨大スクリーンに黄色いジャケットのフレディが登場。例の “レロレロ” コール&レスポンスでオーディエンスを盛り上げる。この演出、たまらんなぁ... (≧▽≦) フレディが消えると同時に「We Will Rock You」のリフがドームに響き渡る。スクリーンには何と「世界に捧ぐ」ジャケの巨大ロボが登場、右手がビヨーンと伸びてくるのにビックリだ。クイーン & 4万人のフットスタンピング・ハンドクラッピング・リズムセクションがドームを揺るがす。お約束の “ドンドンパッ” がめちゃくちゃ楽しい。そしていよいよラスト曲「We Are The Champions」へとなだれ込む。ポールのライヴで言うと「アビーロード・メドレー」的な位置付けのこの曲、“もうこれで夢のような時間も終わりやねんなぁ...”という寂しさと “ホンマにもう最高やったわ...” という満足感が入り混じった複雑な心境で私はこの曲を大合唱した。
 今回のクイーンのコンサートは入場までのドタバタを考えるとまさに “地獄から天国”という、一生忘れられないライヴになったが、とにかく楽しくて楽しくて、長いことクイーン・ファンやってきてホンマに良かったなぁ... と改めて実感した。コンサート終了後もQ友さんたちと大いに盛り上がり、結局終電にギリギリ間に合う時間までライヴの感動を分かち合っていた。次の来日公演も絶対に行くで!!!
We wii rock you & We are the champions- Queen+Adam Lambert Rhapsody tour Live in Osaka Dome

クイーンの京セラドーム公演に行ってきた②

2020-02-02 | Queen
 ライヴのオープニングは「Now I'm Here」だ。この曲は「Sheer Heart Attack」収録のスタジオ・ヴァージョンよりも例のチャリティ・コンサートのライヴ盤「Concert For The People Of Kampuchea」の1曲目に収録されたライヴ・ヴァージョンの方が圧倒的に好きで、私の中ではあのハマースミス・オデオンのライヴをきっかけにクイーンは “お気に入りバンドの一つ” から “ビートルズに次ぐ特別なバンド” へと昇格したのだが、そういう意味でも私にとって思い入れの強いナンバーなのだ。だからオープニングでこの曲のエッジの効いたリフがドームに響き渡った瞬間はもう鳥肌モノで、大好きなブライアンのギターが生で聴ける快感に酔いしれた。
QUEEN + ADAM LAMBERT THE RHAPSODY TOUR 2020 Opening 'Now I'm here' Osaka japan


 「Now I'm Here」に続いて「Seven Seas Of Rhye」「Keep Yourself Alive」「Hammer To Fall」とアッパーなキラー・チューンのつるべ打ち(≧▽≦) これでコーフンしなければロック・ファンではない。今回のツアーのセットリストはクイーンの膨大な数のヒット曲の中から厳選したベスト・オブ・ザ・ベスト的な選曲になっているが、各曲の配置が実に見事で、それぞれの曲が “もうこれしかない!” と言える順に演奏されていく。特に “ライヴで映える曲” の典型と言ってもいい「Hammer To Fall」は私のスーパーウルトラ愛聴曲で、“ブライアンのギターを腹一杯聴いた(^o^)丿” という満足感で私的には前半のハイライトの一つになった。今までレコードやCDで何千回何万回聴いたかわからないレッド・スペシャルの音だが、生で聴く音色は異次元の素晴らしさだった!!!
QUEEN+Adam Lambert "Seven Seas of Rhye~Keep Yourself Alive~Hammer To Fall" Osaka, Japan (20200128)


 ヴォーカルのアダム・ランバートに関してはYouTubeでちらっと見たぐらいで予備知識があまり無かったので正直どうなるものかと思っていたし、フレディの跡を継げるのは故ジョージ・マイケルぐらいしかいないだろうとこれまでずーっと思っていたのだが、いざ実際に生で見てみると、さすがにブライアンとロジャーのお眼鏡にかなっただけあって歌のうまさは一級品だし、フレディのカラーに染まることなくしっかりと自分の個性を出しながらクイーンの楽曲を歌いこなしている点が何よりも素晴らしい。ステージでの動きも実に堂々としててカッコ良く、“新しいクイーン” のヴォーカリストとして申し分のないパフォーマンスだ。アダム、過小評価しててごめんなm(__)m  これからずっと応援するでぇ(^o^)丿
 ブライアンとロジャーを紹介した後で、アダムが “みんなちょっと聞いてくれ。僕はフレディ・マーキュリーが大好きなんだ。みんなもそうだろ? 今夜、一緒にフレディとクイーンを祝おうじゃないか!” とオーディエンスを煽り、“一緒に歌おう!” と言って歌い始めたのがこれまた我が愛聴曲の「Don't Stop Me Now」。こりゃータマランわ(^.^)
Q+AL - Speech & Don't Stop Me Now in Osaka 2020/1/28


 アダムがバイクにまたがりながら歌う「Bicycle Race」では前の席の若い女の子が“バーイシクゥ、バーイシクゥ♪” の部分だけ大声で叫ぶのが微笑ましかったが、まさに老若男女に愛されるクイーンの面目躍如といったところ。続く「Another One Bites The Dust」では京セラドーム全体が巨大なダンス・フロアと化したかのようにオーディエンスが曲に合わせて踊りまくっている。いやぁ~、ホンマに楽しいわ(^.^)
QUEEN + Adam Lambert "Bicycle Race ~ Another One Bites The Dust" at Kyocera Dome, Japan (20200128)


 中盤のハイライトは何と言ってもアコースティック・セットだ。“オオサカ、ダイスキ! イッショニ ウタッテ クダサイ...” というブライアンのMCに続いて彼が歌い始めた「Teo Toriatte」は日本のクイーン・ファンにとって特別な1曲。今回のコンサートの楽しみの一つがこの曲の大合唱だったので(←ちょうどポールのコンサートの「Hey Jude」みたいなモンか...)、4万人のクイーン・ファンと共にこの曲を歌うことができて感無量だ。
Queen "Teo Torriatte" in Osaka, January 28th 2020


“オオキニ!”というブライアンの大阪弁MCに続いて彼が歌い始めたのが「Love Of My Life」。うわぁ、これはタマランなぁ... と思いながらみんなで合唱していたら曲の後半部で何と巨大スクリーンにフレディの姿が...!!! 何というニクイ演出(≧▽≦) これを見て涙しないクイーン・ファンはいないだろう。まさにフレディの魂が京セラドームに降臨した瞬間で、私もここで涙腺が決壊してしまった(T_T)
Q+AL - Love of My Life in Osaka 2020/1/28


 クイーンのアコースティック・セットと言えば「'39」も鉄板中の鉄板だ。実は私が初めて買ったクイーンのシングル盤が「My Best Friend」で、そのB面にひっそりと(?)収められていたのがクイーンの№1隠れ名曲と私が信じて疑わないこの「'39」だったのだ。だからフレディの追悼コンサートでジョージ・マイケルがこの “知る人ぞ知る” 名曲を取り上げ、これ以上ないと思えるくらい見事に歌い上げてくれた時は言葉に出来ないくらい感動したし、この日京セラドームでブライアンが歌うのを生で聴くことが出来てめちゃくちゃ嬉しかった。(つづく)
Q+AL - '39 in Osaka 2020/1/28

クイーンの京セラドーム公演に行ってきた①

2020-01-30 | Queen
  一昨日の火曜日、クイーンの京セラドーム公演に行ってきた。今回は初めての “同行募集” によるチケット購入のため、万全を期して京セラドームに向かったつもりだったが、あろうことかそんな肝心な時にケータイの充電池不良によるトラブルが発生し、チケットを持っている相手さんと連絡が取れなくなったのだ(>_<) ケータイごときに金を使うのが嫌で未だに10年前のガラケーを使っている報いなのかもしれないが、よりにもよってライヴの待ち合わせ時に壊れるとは...(*_*)
 時間は刻々と過ぎ、待ち合わせ時間を1時間過ぎても会うことが出来ず、一時は絶望しかけたのだが、とっさの思いつきでサービスカウンターに泣きつき、4Fのイオンモバイルのお店で充電させてもらって何とか相手のOさんと連絡がつき、開演30分前の6時半にようやく入場できたのだった。それにしてもあの時のドコモの若い店員さん、クイーンのスウェット着た50過ぎのオッサン(←つまり私)に “お願いです、充電させて下さい!!!” と切羽詰った表情で詰め寄られてめっちゃビビっとったなぁ...(笑) 次からはスイカのヘルメットかぶっていこ...
がんばれ!牛乳当番 小島ばにら


 とまぁこのように大事な大事なライヴの前にやらかしてしまった私だったが、他のチケ流メンバーさんたちがみんなめっちゃ親切で、憔悴しきっていた私を温かく迎え励まして下さった。聞くところによるとクイーン・ファンの仲間意識というのは相当強いらしく、クイーン好きと分かった瞬間から友人と認められるとのこと。これをその筋では “Q友” と言うらしい(笑) 私はやっと会えた安堵感とQ友たち(←全員妙齢のご婦人です)の優しさ、そして何よりもこれから生でクイーンが観れる喜びで、入場時にはすっかり元気になっていた(←単純!)。
 さて、いよいよ第4ゲートから入場だ。“クイーン公演の入場時は身分証明の提示を求められる”という前評判とは裏腹に、“カメラとかレコーダー類は持っていませんか?” “はい持ってません” “どーぞ” という簡単なやり取りだけでカバンの中を見せることもなく入場。ただ、金属探知機で全身をサーッとスキャンされたのにはビックリした。ワシらはテロリストちゃうぞ(笑) 私達の席は3塁側のS席で、アリーナ席とかなり近い目の高さながら傾斜がついているので視界良好だし、サイドと正面のちょうど中間あたりの位置なのでステージが非常に見やすい。これってめちゃくちゃエエ席やん! Oさんホンマにありがとうヽ(^o^)丿
          

 ルンルン気分で周りを見渡すと、女性の数が圧倒的に多い。それも50代以上と思しき女性が多い(←そう言えばドーム前のイオンでも京セラドームでも女性用トイレに気の遠くなるような長蛇の列が出来ており、みなさん目が血走っておられた...)のだ。世界的にブレイクする前からクイーンを追っかけ支え続けてきた筋金入りのファンたちなのだろう。因みに我がQ友Oさんも初来日公演を観に行ったというガチのファンで、フェイヴァリット・アルバムに「クイーンⅡ」を選ぶという猛者である。
 そんなこんなで開演時間の7時を10分ほど過ぎると場内の照明が暗くなり「Innuendo」のテーマをバックにステージ上の黄金に輝くクイーン・ロゴがせり上がっていく。そしてドームにあの聞き慣れた「Now I'm Here」のリフが響き渡り、ステージ上に設置されたまっ赤な幕がゆっくりと開き、ギターを持ったカーリーヘアのシルエットが浮かび上がると(←何このクソカッコ良い演出!!!)場内のヴォルテージは一気に最高潮へ! さぁ、ロックンロール・パーティーの始まりだ。 (つづく)
          

【おまけ】早速京セラドーム公演のダイジェスト映像がYouTubeにアップされました。皆さん仕事が早い!
【4K】2020 1 28 QUEEN+Adam Lambert Live Digest Japan Osaka Dome

1・28 Queen 京セラドーム公演に参戦決定\(^o^)/

2019-12-24 | Queen
 私は骨の髄までガチガチのビートルマニアだが、ビートルズを別格中の別格とすればその次に好きなアーティストはレッド・ゼッペリンとクイーンだ。ボンゾやフレディが鬼籍に入ってしまった今となっては残念ながらどちらのバンドもオリジナル・メンバーでの再結成は望めないが、クイーンの方はブライアンとロジャーがヴォーカリストにアダム・ランバートをフィーチャーして今でも積極的にライヴ活動を行っている。
 現在彼らは映画「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットの勢いにあやかって「ラプソディ・ツアー」と銘打った大規模な世界ツアーを敢行中。彼らと結びつきの強い日本にも来年1月にやってきて、さいたまスーパーアリーナ2回、京セラドーム1回、ナゴヤドーム1回と計4回コンサートを行うという告知がGWの頃にあったのだが、その時はニンバス盤やら何やらで自己破産状態(笑)だったこともあって、“ブライアンとロジャーもエエ歳やし、今のうちに見に行っときたいけど、まぁ今回はしゃあないか...” と一旦は諦めていた。
 それから半年たってようやく破産状態から抜け出し、ちょうど冬のボーナスが出た日にネットでレコード検索をしていてふとクイーンの来日公演のことを思い出し、“ちょっとお金はできたけど、いくら何でももうチケットは残ってへんやろなぁ...” と思いながら去年ポールの両国チケットでお世話になった「チケット流通センター」のHPでクイーンの京セラドーム公演を検索してみたところ、10万円、7万円、5万円という(←冗談抜きでホンマにがっちり買いまショウ状態www)信じられないような価格高騰の中、1枚だけS席40,000円というのを発見。“おぉ、まだ間に合うやんけ!” と一縷の望みを抱いて説明を読むと、聞き慣れない“同行募集”という言葉が躍っている。
 何のことやらサッパリわけが分からなかったのでググってみると、どうやら開演の1時間ほど前に会場の近くでセラーと合流してから一緒に入場するというシステムらしい。おそらく最近法改正が行われたダフ屋対策の転売禁止法のせいだろう。アホな政治家どもがオリンピックなんか誘致するからホンマにエエ迷惑やわ... ポールの時は楽チンやったのに何か面倒くさいのぉ... と思いながらも、クイーンを生で見れるラスト・チャンスかもと思うとそんなことは気にしていられない。同行でも同伴でも行ったるわいということでチケット購入を即決。セラーの方とは連絡ボードでやり取りをしながら1月28日を心待ちにしているところだ。これでまたひとつ楽しみが増えた(^.^)
 いよいよ来週に迫った2020年だが、新しい年をクイーンのライヴで迎え、願わくば真打ちポールが2年ぶりの来日を果たして新国立競技場(武道館→両国とくれば次はもうココしかないっしょ...)で野外ライヴをやってくれたりしたら最高やろうなぁ... 「Live And let Die」の打ち上げ花火を屋根のない会場で見てみたいなぁ... などと妄想を膨らませている今日この頃だ。来年も行く道行くで!!!

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観にいってきた

2018-11-18 | Queen
 ポールが日本を離れて10日が経ち、予想できたこととはいえ、ポール・ロスがハンパない。両国~名古屋に遠征した夢のような1週間があまりにも楽し過ぎた反動か、何かこう心にポッカリ穴が開いたような感じなのだ。ポール・ロスを少しは癒してくれるであろう来日公演ブートはまだ予約段階だし、名古屋から帰った日に届いた「ホワイト・アルバム」は中身が濃すぎて(←内容も音もホンマに凄いですわ...)まだまだブログに書けるほど聴き込めていない。
 そういうワケで、大袈裟ではなく“燃え尽きた... 真っ白な灰に... ”と、まるであしたのジョーのラストシーンみたいな心境で毎日を過ごしていたのだが、3日ほど前にテレビで偶然クイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディ」のCMを見て、“へぇ~クイーンの映画か... それにしても役者さんめっちゃ似とるやん...” と興味を引かれ、ポール・ロスで落ち込んだ気分の転換に、久々に(←「エイト・デイズ・ア・ウィーク」以来2年ぶり...)映画館に観に行くことにした
映画『ボヘミアン・ラプソディ』最新予告編が世界同時解禁!


 私にとってのクイーンは、ビートルズを別格とすれば、レッド・ゼッペリンと並ぶフェイヴァリット・グループで、オフィシャル以外のいわゆるブートレッグだけでCD棚が1段全部埋まってしまうのもこれら3大バンドだけである。しかもビートルズとゼップが後追い体験だったのに対し、クイーンに関してはシングルの「ボヘミアン・ラプソディ」からほぼリアルタイムでバンドの歩みを見ることが出来て本当にラッキーだったと思っている。そんなクイーンの映画が、今回は「エイト...」の時と違ってシネマサンシャイン大和郡山という近くの映画館でやっているというのだからこれを見逃す手はない。
 ネットで予約しようと劇場HPを見ると IMAX という、聞いたことないけど何か凄そうなテクノロジーで観れるとのことなので期待が膨らむ。「エイト...」の時にも思ったが、音楽映画は大画面大音響で見るに限るのだ。しかもラッキーなことに今回は誕生月割引で400円引き、更に誕生日に行ったのでタダでポップコーンとソフトドリンクのセットが貰えてめっちゃ得した気分だ。
 ブライアン・メイのギターが奏でる20世紀フォックスのテーマ曲で幕を開けるこの映画は期待を裏切らない素晴らしい出来で、2時間25分という長時間にもかかわらず、画面に惹きつけられっぱなしだった。中でも一番印象的だったのはメンバー4人が本物にソックリなことで(←特にブライアン・メイはコワイくらいに似てた...)、容姿だけでなく喋り方や仕草のひとつひとつまに至るまで、生き写しと言ってもいいくらいソックリなのだ。役者さんの役作りの努力を考えると、それだけでもお金を払って観る価値があるなぁと思った。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』メイキング映像「フレディになるまで」

映画『ボヘミアン・ラプソディ』メイキング映像「クイーンになるまで」”本物”ブライアン・メイ、ロジャー・テイラーらも絶賛!


 話の展開としては、主人公であるフレディの心の葛藤(←特に性的マイノリティであることや移民であることの負い目や父親との確執など...)や、富や名声をもってしても逃れることができない彼の孤独感が色濃く描かれており、フレディ・マーキュリーという稀代のスーパースターの人間臭い一面にスポットを当てながら、それら全ての要素が収斂して感動的なラストのライヴ・エイドのシーンへと繋がっていくというもの。極論かもしれないが、ラスト20分のためにこの映画があると言っても過言ではない。
 厳密に言うと75年のUSツアーの場面で「ファット・ボトムド・ガールズ」(1978)が使われていたりとか、南米コンサート(1981)の観客のノリの凄さにインスパイアされて「ウィー・ウィル・ロック・ユー」(1977)が生まれたとか、ライヴ・エイド(1985)の前にフレディがメンバーにエイズのことを打ち明けた(←実際は1987~1988年頃?)とか、色々と時系列的に辻褄が合わないところもあるにはあるが、そういう重箱の隅をつつくような見方をするのは野暮というもの。この映画をドキュメンタリー作品としてではなくエンターテインメント作品として考えれば全く問題ない。特に「ウィ・ウィル・ロック・ユー」の誕生シーンは必見だ。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』本編映像「ウィ・ウィル・ロック・ユー」はこうして誕生した!


 それと、ラスト20分間のライヴ・エイドのシーンも鳥肌モノ。リアルタイムでテレビにかじりついて見たのを今でもよーく覚えているし(←演奏途中でCMを入れたり、見たくもない邦楽アーティストの演奏を入れたりするフジテレビの糞演出に殺意をおぼえた...)、その後ビデオやDVDで何十回何百回と見ているが、メンバーになりきった役者さんの動きが一挙手一投足まで当時のステージそのまんまでビックリ。しかもピアノの上に置かれたペプシとかステージ脇の裏方さんのいる位置とかまでそっくりそのまま再現されており、細部まで徹底的に拘るこの映画の作り込みの凄さに唸ってしまった。
Live Aid | Bohemian Rhapsody (2018) - scene comparisons


 私にとってのビートルズの一番の魅力は、幅広い音楽性を武器にキャッチー&メロディアスにロックする、という一見簡単そうでいて実はとても難しいことをさらりとやってのけるところにあるのだが、その点においてビートルズに一番近い位置にいるのがクイーンだ。そんなクイーンの音楽の魅力が一杯に詰まったこの映画、いずれDVD化されるのは間違いないが、今のうちに大画面&大音響で観ておかないと絶対に後悔すると思う。今度の3連休にもう1回見に行こうかな...(^.^)

Sheer Heart Attack / Queen

2011-04-19 | Queen
 悪夢のような4月もアッと言う間に半分が過ぎた。クソしょーもない会議やら何やらで目が回る様な忙しさの中、クイーンのCD BOX が届くのを心の支えに何とか堪え忍んできたのだが、発売日を過ぎても何の音沙汰もなく不審に思っていたところ、先日アマゾンからメールが届いた。「ご注文いただいた以下の商品の入荷遅延により、お届け予定日を変更させていただきました。」やと? 指折り数えて楽しみにしていた “お届け予定日” が4/13~15から5/1~5/8へと、約3週間も先延ばしにされてしまったのだ。しかも追い打ちをかけるように「商品は引き続き入荷できるよう手配しますが、万が一仕入先から入荷の見込みがないことが判明した場合、またはご注文数が入荷数を上回った場合、やむを得ずご注文をキャンセルさせていただくこともありますので、ご了承ください。」って... 一体何のための予約やねん!!! どっかのおせち通販やあるまいし...(>_<) UKアマゾンではちゃんと売っとるで!
 いきなり冒頭から怒りの展開になってしまったが、気を取り直して今日は大大大好きな「シアー・ハート・アタック」でいこう。私は洋楽を聴き始めてすぐにクイーンにハマり、「オペラ座の夜」を皮切りに彼らの初期5枚のアルバムを買ってきて「ミュージック・ライフ」誌を肴に聴きまくったものだが、そんな中でも最もターンテーブルに乗る回数が多かったのが何を隠そうこのアルバムだった。生硬な「クイーンⅠ」、緊張感漲る「クイーンII」、そして一糸乱れぬ完璧さを誇る「オペラ座の夜」に比べ、まるで「ホワイト・アルバム」のようにヴァラエティに富んだ作品が並んでいて肩肘張らずに聴けるところが嬉しかったし、アルバム全体を通してブライアンのハードなギターやクイーン印の美しいコーラス・ハーモニーが満喫できる “メロディアスなブリティッシュ・ハードロック路線” の曲が多いのが何よりも私の嗜好にピッタリ合っていた。
 個々の曲について言うと、A面の1曲目(←どーしてもLP世代なモンで...)に置かれた①「ブライトン・ロック」がめちゃくちゃカッコイイ(^o^)丿 声色を使い分けて一人二役を楽々とこなしてしまうフレディーのヴォーカル(←裏声から地声への変わり目が好き!)も凄いが、何と言ってもブライアンの変幻自在のギター・ソロが圧巻の一言!イントロで遊園地風のSEに被さるようにブライアンのギターがギャッギャッギャッギャッ♪と滑り込んでくるところなんかもうゾクゾクするし、お約束のギター・オーケストレイション(一人二重奏)はもちろんのこと、津軽三味線風のプレイからバリバリのハードロック・フレーズまで、愛用のギター “レッド・スペシャル” の魅力が全開だ。これだけ長いソロを縦横無尽に弾きまくりながら全く飽きさせないギタリストが他に何人いるだろうか? まさにブライアン・メイの天才ここに極まれり、と言いたくなるような1曲だ。
 このアルバムの中でダントツに有名というか、「ボヘミ」や「伝チャン」と並ぶクイーンの代表曲と言っても過言ではないのが②「キラー・クイーン」だ。ブリティッシュな薫り横溢の、まさにクイーンにしか作れないようなポップ・ナンバーで、イントロの指パッチンも、軽快に弾むようなピアノも、歌心溢れるブライアンのギターも(←あの独特のアタック音はピックではなくコインを使って弾いているせいらしい...)、クイーンならではのゴージャスなコーラス・ハーモニーのこれでもか攻撃も、“キラー クイィィーン 頑張~れ タブチ~♪” のラインが脳内リフレイン確実なサビのメロディーも、そのすべてが完璧に統合され、クイーンと言うバンドの魅力を3分という長さにグッと凝縮したかのような屈指のキラー・チューン(←別にシャレちゃいますよ...)に仕上がっている。
 あまり有名ではないけれどクイーンらしさが思う存分に楽しめるという、いわゆるひとつの “隠れ名曲” が④「フリック・オブ・ザ・リスト」だ。ややヘヴィーな感じで始まり何度か転調を繰り返しながらテンポ・アップしていくドラマチックな構成が印象的な曲で、何と言っても万華鏡の如きコーラス・ハーモニーのフル・コースが味わえるところが最高だ。ここで声を大にして言いたい... このコーラスを聴かずして何のクイーン・ファンか! この美麗コーラスの魅力にハマるともう立派なクイーン中毒者の完成だ...(^.^)
 ⑥「ナウ・アイム・ヒア」はストーンズを想わせるストレートなロックンロール(←ギターのリフなんか結構キース・リチャーズっぽいように思う...)で、ロックなクイーンが大好きな私のようなファンにとってはたまらない1曲だ。尚、この曲はこのままでもカッコ良いロック・チューンなのだが、ライヴでは更にテンポを上げてノリノリの疾走系ロックンロールに仕上げており、私としてはそっちの方が更に好き。デフ・レパード feat.ブライアン・メイによるカヴァー・ヴァージョンも超オススメですぜ。
 B面はド派手なA面に比べるとやや地味な印象を受けるが、よくよく聴くと味わい深い佳曲が多い。そんな中で私が大好きなのが⑧「ストーン・コールド・クレイジー」で、そのアグレッシヴなリフ攻撃に思わず “Hell yeah!!!” と叫びたくなる(←分かる人には分かるネタ...)衝動に駆られてしまう。メタリカによるカヴァー・ヴァージョンも必聴だ。
 このへヴィーな⑧に続くのが、1分余りの短い曲ながら心を洗われるようなしっとりとしたメロディーが心に沁みてきて敬虔な気持ちにさせられる⑨「ディア・フレンズ」で、こんなヤクザな私でも思わずひざまずいて頭を垂れたくなるような名曲だ。更にジョン・ディーコン作の軽快な⑩「ミスファイア」(←ジョンのアコギとブライアンのレッド・スペシャルの音色の絡みが絶妙!)、古き良き時代を忍ばせるボードヴィル調の⑪「ブリング・バック・ザット・リロイ・ブラウン」(←ブライアンのウクレレバンジョーがめっちゃエエ味出してます...それとウォルター・ペイジみたいなジョンのウッド・ベース・プレイは貴重やね)と、彼らの懐の深さ、音楽性の幅広さを示す曲がズラリと並んでいる。
 クイーンが最もクイーンらしかった時期に作られたこの「シアー・ハート・アタック」は何でもアリのおもちゃ箱をひっくり返したような楽しさ溢れる快作であり、私がクイーンに生涯の音楽を感じた決定的な1枚なのだ。

Queen - Brighton rock


Queen - Flick Of The Wrist (Single Version)


Queen - Bring Back That Leroy Brown


Queen - Now I'm Here


Queen - Killer Queen
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Queen II

2011-04-02 | Queen
 今年、クイーンのバンド結成40周年を記念して巨匠ボブ・ラドウィックの手によるリマスターCDが順次リリースされるという話は何度かこのブログでもご紹介した。まず手始めに初期5タイトルがこの3月16日に発売されるということで、1月に先行発売された「グレイテスト・ヒッツ」の音の凄さに圧倒された私はもちろん全部買うつもりで手ぐすね引いて楽しみにしていたのだが、例の大地震で CD のことなど頭から完全にスッ飛んでしまい、気が付けば発売日をとうに過ぎていた。おぉコレはアカンわと思ってアマゾンを見ると何と “1~2か月以内に発送” という信じられない事態に...(゜o゜) 日本におけるクイーン人気の根強さを読み誤った私が甘かった。
 私が狙っていたのは通常盤ではなくボーナス・ディスク付きのリミティッド・エディションの方なのだが、これが何と1枚2,800円と言うニンピニン価格(>_<) しかしよくよく考えてみるとビートルズ・リマスターの時と同じで、別に解説も対訳も要らないのにわざわざバカ高い国内盤を買って大嫌いな JASRAC にお布施する義理はさらさら無い。色々調べてみると日本盤のみ SHM-CD という高音質仕様らしいのだが、これまで xrcd やら Gold CD やらで “究極の高音質” という謳い文句に騙されてきた身としてはどうしても眉に唾をつけて見てしまう。
 「グレイテスト・ヒッツ」のあの音の素晴らしさはリマスター効果のなせる業であって SHM 云々はあまり関係ないのではないかと考えた私は日英米のアマゾンで輸入盤をチェックしてみることにした。すると、4月の初めに5枚まとめてボックス・セットとしてリリースされることが判明、ビートルズの時と同じように整理してみるとかなり値段に開きがあることがわかった。
 ・日本盤バラで5枚:2,800×5=14,000円 アマゾンでは “在庫有り” に戻ってた
 ・日本のアマゾンでUK輸入盤 BOX SET:8,193円(送料無料) 4/12発売
 ・Amazon US でBOX SET: $74.03 (送料込みで約6,050円) 5/17発売
 ・Amazon UK でBOX SET:£57.69 (送料込みで約7,850円) 4/4発売
UK盤なら1枚当たり1,570~1,640円、US盤なら何と1,210円で日本盤の半額以下という超お買い得価格だ。SHM-CD がナンボのモンかは知らないが、これではどう考えても日本盤をバラで買うメリットなど無いに等しい。残る問題は UK にするか US にするかだが、US盤は届くのに5月末まで待たなくてはならないので、結局日本アマゾンの “輸入盤2枚買ったら10%オフ” キャンペーンを利用して(←確かビートルズの時は HMV の25%オフ・キャンペーンやった...)7,374円で UK盤ボックスを予約した。届くのが今からめっちゃ楽しみだ(^.^)
 クイーンの初期5枚のアルバムはどれも学生時代に聴きまくったのでそれぞれ思い入れもひとしおなのだが、ことジャケットに関して言えば「クイーンⅡ」がダントツにカッコイイ。初期5枚だけでなく全クイーン作品の中で見ても一番ではないか。このジャケット・イメージは映画「上海特急」のマレーネ・ディートリッヒのモノクロ写真にインスピレーションを得て作られたということで、「ボヘミアン・ラプソディ」のプロモ・ビデオで重要な役割を果たしていたし、「ワン・ヴィジョン」でも効果的に使われていた。ヴィジュアルにも拘るクイーンの面目躍如たる名ジャケットだと思う。
 このアルバムを初めて聴いたのは中学生の時だったが、最初はとっつきにくいというか正直言ってワケが分からなかった。シングル向きのキャッチーな曲が⑪「セヴン・シーズ・オブ・ライ」だけだったということもあり、その真価が分からずに「シアー・ハート・アタック」や「オペラ座の夜」ばかり聴いていた。曲単位ではなくアルバム1枚丸ごと聴いてナンボという作りになっているのでロックを聴き始めたばかりの私には敷居が高すぎたのだと思う。
 アルバム構成としてはアナログ LP のA面がブライアンの曲を中心とした “サイド・ホワイト” 、B面が全てフレディーの曲で統一された “サイド・ブラック” という風に片面ずつでコンセプトが明確に分けられているのが大きな特徴で、特に “サイド・ブラック” の完成度の高さは “クイーン版アビー・ロードのB面” という感じさえする。
 中でも圧倒的に凄いのが⑥「オウガ・バトル」で、その目まぐるしい曲展開はハードロックをベースにしながらもプログレッシヴな側面をも持ち合わせており、ヘヴィーなリフや万華鏡のようなコーラス・ワークの多用など、クイーンというバンドの魅力をこの1曲に凝縮したかのようなサウンド・プロダクションは何度聴いてもゾクゾクさせられる。アァァァァ~♪という絶叫に続くテープの逆再生から始まる冒頭部分もめっちゃスリリング。2分00秒から炸裂する有名な空耳 “横目がスケベくさい~♪” もお忘れなく(^o^)丿
 「ボヘミアン・ラプソディ」の伏線と言ってもいいようなファンタジックな⑦「フェアリー・フェラーズ・マスター・ストローク」から美しい⑧「ネヴァーモア」へと繋がるアビー・ロードな流れ、クイーン流プログレと言ってもいい複雑な曲構成にただただ唖然とするしかない⑨「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」の息をもつかせぬ展開、宴会の最後に出されるお茶漬けのようなサッパリ感が絶妙な⑩「ファニー・ハウ・ラヴ・イズ」でメドレーをシメるニクイ曲配置と、まさに片面で1つの組曲といった案配だ。B面ラストに置かれたキャッチーな⑪「セヴン・シーズ・オブ・ライ」はキラキラ輝くようなピアノのイントロと変幻自在に歌いまくるギターが最高で、私的にはEL&P「展覧会の絵」の「ナットロッカー」みたいなノリで難しいことを考えずにその流れるようなメロディーを楽しんでいる。
 “サイド・ホワイト” は “サイド・ブラック” に比べるとやや重いというか地味な感じの曲が多いので、初心者の頃の私のようにA面から聴き始めて挫折する人もいるかもしれない。そんな中で私が好きなのは②「ファーザー・トゥ・サン」で、ルネッサンス(←「プロローグ」や「燃ゆる灰」で有名なブリティッシュ・プログレ・バンドのことです、念のため)みたいな牧歌的な雰囲気から中間部で一気にゼッペリン風ハードロックへとなだれ込み、荘厳なエンディングを迎えるというドラマチックな展開がカッコイイ(^.^) もろブリティッシュ・トラッド・フォークな④「サム・デイ・ワン・デイ」におけるアコギとブライアンの浮遊感溢れるヴォーカルの組み合わせもエエ味を出していて結構気に入っている。
 ガンズのアクセル・ローズが “棺桶に入れる1枚” に選んだというこの「クイーンⅡ」は彼らが2作目にして早くもその唯一無比なオリジナリティを確立したアルバムであり、 “ブリティッシュ・ロック・バンド” 然としたクイーンが大好きな人間には堪えられない初期の大傑作だ。

Queen Seven Seas of Rhye


Queen- Ogre Battle


Queen - Father To Son

Greatest Hits II / Queen

2011-03-29 | Queen
 私はクイーンの大ファンだが、全時代をまんべんなく聴いてきたかというとそうではなく、ライヴはともかくアルバムに関しては断然70年代支持派である。「ザ・ワークス」以降のクイーンは確かに良い曲や演奏もあるにはあるのだが、1枚のアルバムとして聴いてみると、収録曲のクオリティー、演奏のテンションの高さ、4人の個性が高い次元でぶつかり合うことによって生まれる風雲急を告げるような切迫感といった様々な面で「ザ・ゲーム」までの彼らの諸作品には及ばないと思う。しかし70年代のスリリングな展開とは又違った魅力、バンドとしての円熟を示すような佳曲が多いのも事実。そんな80年代クイーンの名曲をつまみ食いしたいという私のような我儘なファンにとって、安心ラクチン格安パックツアーのようなお買い得アルバムがこの「グレイテスト・ヒッツII」なんである。
 このアルバムはイギリス国内であの「スリラー」をも凌駕して歴代売り上げ№1を誇る「グレイテスト・ヒッツ」の続編で、「ホット・スペース」から「イニュエンドゥ」までの代表曲をほぼ網羅したベスト盤。私は個々のオリジナル・アルバムがあるから別にエエわいと思って持っていなかったのだが、今年の1月にリマスターされて再発されたのを機に、アルバムとは微妙に違うシングル・ヴァージョンやリマスター効果に魅かれて買ってみた。後期の名曲群が18曲も入って2,200円という安さも嬉しい。
 アマゾンから届いたこのCDを聴いた私はまずその音の素晴らしさにビックリ(゜o゜) 手持ちの古いCDのショボイ音とは比べ物にならないくらい音圧がアップしており、音像もめっちゃクリアで、特にフレディーのヴォーカルの生々しさの前には言葉を失う。そして今回のリマスターで一番インパクトが強かったのがジョンのベースで、それまではノッペリと他の音に埋もれがちだったのがクッキリと眼前に屹立しキレ味も格段に向上、ソリッドでキリリと締まった音でまるでゴムまりのように(←ヘタな例えですんません...)ブンブン弾むのだ(^o^)丿 乱暴な言い方をすればこのブンブン・ベースだけでもこの CD を買う価値があると思う。
 収録曲は全18曲で、日本盤のみカップヌードルCM曲⑱「アイ・ワズ・ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」がボートラとして入っており、コレがお買い得なのか蛇足なのかはファンの間で意見が分かれるところだろう。私は別にどっちでもいいが、収録時間ギリギリまで無理して曲を詰め込んだ関係で短く編集されているので、この曲が目当ての人はご注意を。
 「ホット・スペース」から唯一選ばれた②「アンダー・プレッシャー」はアメリカでは不思議なことに最高位が29位と不発だったがイギリスでは見事「ボヘミアン・ラプソディ」以来6年ぶりの全英1位に輝いた大名曲。何度も聴いていると “アイス・アイス・ベイビー~♪” なリズムを刻むベースラインが脳内リフレインを起こして病み付きになるスルメ・チューンだ。前回取り上げた愛聴盤「ザ・ワークス」から選ばれたのは③「レディオ・ガ・ガ」、⑤「アイ・ウォント・トゥ・ブレイク・フリー」、⑦「イッツ・ア・ハード・ライフ」、⑭「ハマー・トゥ・フォール」の4曲で、すべてシングル・ヴァージョンで収録というのがファンとしては嬉しい。
 86年の「ア・カインド・オブ・マジック」からは同タイトル曲①、⑨「フー・ウォンツ・トゥ・リヴ・フォーエヴァー」、⑮「フレンズ・ウィル・ビー・フレンズ」、⑰「ワン・ヴィジョン」の4曲が選ばれており、この中では AC/DC みたいなリフがカッコ良いタテノリ・ロックな⑰が一番好き。エンディングを “Just gimme gimme gimme fried chicken!” でシメるユーモアのセンスも最高だ(^.^) 美メロとタイトなリズムが見事に溶け合い、今回のリマスターで更なるパワー・アップを果たした①も昔ながらのクイーンらしさを80年代風に表現したという点で気に入っているナンバーだ。
 89年の「ザ・ミラクル」からは④「アイ・ウォント・イット・オール」、⑧「ブレイクスルー」、⑪「ザ・ミラクル」、⑬「ジ・インヴィジブル・マン」の4曲で、何と言ってもリマスタ効果抜群な⑬が必聴だ。このダイナミックなサウンドはぜひ大音量で音の洪水の中に身を委ねるようにして聴きたい。この曲はクイーンとしては異色のリズミカルなナンバーだが、プロモ・ビデオもめちゃくちゃ面白いし(←グラサン・フレディーのコミカルな動きとと増殖するブライアンが最高!クイーンのPVでは一番好きかも...)フレディーがメンバーの名前を叫んでからソロに入るという構成も楽しくて私は大好きだ。プロモ・ビデオといえば⑧も列車の上で演奏する4人の姿が疾走感溢れる曲調とバッチリ合っていて、特に最後の壁をブチ破るシーンなんか何度見てもスカッとする痛快なナンバーだ。
 実質的なラスト・アルバムとなった91年の「イニュエンドゥ」から選ばれたのは同タイトル曲⑥、⑩「ヘッドロング」、⑫「アイム・ゴーイング・スライトリー・マッド」、⑯「ザ・ショウ・マスト・ゴー・オン」の4曲で、私が大好きなのは疾走感溢れるロックンロール⑩だが、リマスター効果絶大だったのは⑥で、スティーヴ・ハウのフラメンコ・パートから一気呵成にクライマックスへとなだれ込む怒涛の展開はもう鳥肌モノだ。死を目前にしたフレディーのスワン・ソング⑯はファンとしては涙なしには聴けない。
 こーやって聴いてくるとやっぱりクイーンは別格やなぁ...と改めて痛感させられる。そんな彼らの遺した音源をブラッシュ・アップしてドドーンとリリースする今回のリマスター・シリーズ、ビートルズの時と同じく旧 CD や UK オリジナル LP との聴き比べなど、楽しみは無限に広がりそうだ。

Queen - 'Under Pressure'


Queen - One Vision


Queen - A Kind Of Magic


Queen - 'The Invisible Man'


Queen - Breakthru


Queen - Headlong


Queen - Innuendo
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The Works / Queen

2011-03-24 | Queen
 地震でちょっと間が空いてしまったが、気を取り直して今日からクイーン特集再開だ。前回ブライアンのソロを取り上げた時にも書いたが、私は「ホット・スペース」以降のクイーンのアルバムにはどうしても物足りなさを感じてしまう。これは良い悪いではなくあくまでも個人的な好みの問題で、 “流麗なギター・オーケストレイションと分厚いコーラスで完全武装しながらメロディアスかつハードにロックする” という、私が一番好なクイーン・サウンドがほとんど聴けないからだ。だから「ア・カインド・オブ・マジック」も「ザ・ミラクル」も「イニュエンドゥ」も決して嫌いではないのだが、「ザ・ゲーム」までのアルバムのようには楽しめなかった。しかしそんな “80年代クイーン” のアルバムの中で例外的に “愛聴盤の殿堂” 入りしたのが1984年にリリースされたこの「ザ・ワークス」である。
 ロジャー作のリード・シングル①「レディオ・ガ・ガ」を初めて聴いた時、シンセ臭いサウンド・プロダクションはあまり好きになれなかったが、ブラック・ミュージックに擦り寄った前作「ホット・スペース」から明らかに軌道修正されたポップでキャッチーな曲想には大喜びしたものだった。当時はちょうどMTV全盛の時代だったが、私にとっては American Top 40 を初めとするラジオのチャート番組がメインでMTVはあくまでもその補足的な存在だったので、 “古き良きラジオ賛歌” 的な歌詞も大いに気に入っていた。しかし私がこの曲の真価を知ったのはライヴ・エイドを見た時で、スタジオ・ヴァージョンよりも遙かにロックなノリが増していてめちゃくちゃカッコ良かったし、スタジアムを埋め尽くした大観衆が拳を突き上げて手拍子する例のパフォーマンスも圧巻だった。やっぱりこの曲はライヴ・ヴァージョンに限ります(^.^)
 ジョン作の 2nd シングル⑥「アイ・ウォント・トゥ・ブレイク・フリー」は曲だけ聴くと中々の名曲なのだが、この曲に関してはどうしても例のプロモ・ビデオを抜きに語ることは出来ない。アレを初めて見た時はブライアンのウサちゃんスリッパとかロジャーの可愛いすぎる女子高生姿とか大笑いしたが、さすがにフレディーの女装だけはインパクトが強烈すぎて頭がクラクラした。今でも曲を聴いているだけで彼のウインクや全身牛柄タイツ姿が浮かんできてしまう(笑) まぁ何やかんや言うてもツッコミどころ満載の面白ビデオ・クリップなんですけどね。
 しかしそんなシングル2曲を差し置いて私が圧倒的に好きなのがブライアン作の⑧「ハマー・トゥ・フォール」だ。コレ、ハッキリ言ってクイーン曲の中で「'39」「セイヴ・ミー」と並ぶ最愛聴曲で、彼らとしてはホンマに久々の痛快無比なロックンロール。思わず一緒に歌いたくなるようなウキウキワクワク・メロディー、聴く者をロックな衝動に駆り立てるエッジの効いたラウドなギター・サウンド、アドレナリンがドバーッと出まくるロジャーの爆裂ドラミング、そして “世界にひとつ” な流麗コーラス・ワーク(←特に You don't waste no time at all~♪ のとこなんかもうゾクゾクするわ!!!)と、私がクイーンに求める要素を全て兼ね備えたスーパーウルトラ大名演だ。フレディーも超ノリノリでシャウトしまくり、 “こんなクイーンを待っていた!!!” と叫びたくなるようなカッコ良さ!今回の地震で落ち込んでいた私の気持ちを “いつまでも凹んでられるか、クソッタレ!俺にはロックンロールがあるんじゃい!!!!!” と奮い立たせてくれたのが何を隠そうこの曲なのだ(^o^)丿
 このアルバムには大コケした前作「ホット・スペース」の失地を回復するために今一度原点回帰を図ったかのような雰囲気が濃厚に立ちこめており、良く言えばクイーンらしい、意地悪く言えば過去のヒット曲の焼き直しみたいなナンバーも見受けられるが、昔のクイーンを愛するファンとしてはそれがどーしたソー・ホワット? セルフ・コピーだろうが何だろうがあの音が聴けるだけで満足なんである。そういう意味で、「プレイ・ザ・ゲーム」に「ボヘミアン・ラプソディ」のピアノのフレーズをふりかけてレンジでチンした様な③「イッツ・ア・ハード・ライフ」も、「クレイジー・リトル・シング・コールド・ラヴ」路線のロカビリー復活が嬉しい④「マン・オン・ザ・プラウル」もめっちゃ好きだ。
 又、前作の鬱憤を晴らすかのようにブライアンのギターが唸りを上げるハードロック②「テア・イット・アップ」や美メロ連発の切れ味鋭い疾走系ポップンロール⑦「キープ・パッシング・ザ・オープン・ウインドウズ」など、どことなく大傑作「ザ・ゲーム」の小型版みたいな印象を受けるのは気のせいか?シンプルなアコギが切なさを際立たせる名バラッド⑨「イズ・ジス・ザ・ワールド・ウィー・クリエイテッド」でアルバムを締めくくるというのも70年代の彼らのスタイルそのものだ。
 このアルバムは70年代の諸作品のようにスリルとコーフンをもたらしてくれるような内容ではないが、クイーンが一番クイーンらしかった “あの時代の音” を80年代の空気の中で可能な限り再現したという意味で、昔ながらのクイーン・ファンにとってはひとしきり愛着の湧く特別な1枚なのだ。

Queen - Hammer To Fall


Live Aid 1985 Queen-Radio Ga Ga


Queen - i want to break free (high definition) + Download link

Keep Yourself Alive / Queen

2011-03-12 | Queen
 東北から関東にかけて大地震と大津波でエライことになっている。逃げ惑う人々、流されていく家や車、闇夜を照らすように炎上する街と、まるで地獄絵図そのものだ。私の住んでいる奈良では特に大したことは無かったが、被害に会われた方々のことを考えると心が痛む。このブログを読んで下さっている方々の中にも東北や関東の方がいらっしゃったと思うが、みなさんご無事だろうか?まだまだ余震も続いているようなのでくれぐれもお気を付け下さい。
 ということで今日はしがない音楽ブログらしく、被災された方々に捧げる曲をと思い、クイーンの「キープ・ユアセルフ・アライヴ」を選んでみた。この曲は彼らの記念すべきデビュー曲で、シンセサイザーもダンス・ミュージックも知ったこっちゃないと言わんばかりの勢いで突っ走る痛快無比なロックンロール。このイントロを聴いて何も感じなければロック・ファンではない、と言い切ってしまいたくなるようなバリバリのキラー・チューンだ。フレディーの速射砲のようなヴォーカル、ロジャーの爆裂ドラミング、ロック魂全開で疾走するブライアンの “ザ・ワン・アンド・オンリーな” ギターと、まさに私が一番好きな“ロックなクイーン”の原点と言える1曲で、その歌詞も凹んだ時なんかに聴くと非常に元気づけてくれる類のポジティヴなものだ。

 ♪Keep yourself alive, keep yourself alive まず生き続けていくことさ
  Take you all your time and money     ありとあらゆる手を尽くせば
  Honey, you'll survive             何とか生き延びれるはずさ

東北や関東のみなさん、ネットなんか見てる場合やないとは思いますが、この曲を聴いて元気を出して下さいね。

Queen - 'Keep Yourself Alive'


Queen - Keep Yourself Alive (Long Lost Retake)
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Star Fleet Project / Brian May & Friends

2011-03-10 | Queen
 1980年の大傑作アルバム「ザ・ゲーム」で全米を制覇したクイーンは80年代に入ってからも絶好調で、「フラッシュ・ゴードン」のサントラ盤、デヴィッド・ボウイとの共演シングル「アンダー・プレッシャー」、そして名曲名演の “これでもか攻撃” に圧倒される究極のベスト盤「グレイテスト・ヒッツ」と、70年代に活躍した他のバンドが沈黙したり解散したりする中、彼らだけは怒涛の快進撃を続けていた。実際、1973年のデビュー以降、彼らには駄演凡作の類が1枚もなく、すべてが名演傑作のオンパレードで、レッド・ゼッペリン亡き後、アルバムを出すごとに見事な裏切りでもって未知の感動を与えてくれそうなブリティッシュ・ロック・バンドはクイーンだけだった。
 しかし遂にと言うべきか、来るべき時が来たと言うべきか、そんなクイーンもやってはいけないミスを犯してしまった。「アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダスト」の全米№1ゲットで血迷ったのか、よりにもよってブラック・ミュージックに手を染めたのだ。それが1982年リリースの「ホット・スペース」で、ラジオからシングル「ボディ・ランゲージ」が流れてきた時はあまりのショックに言葉を失ったほどだ。アルバムの購買意欲も起きず、結局FMエア・チェックだけで済ませたのは彼らの全アルバム中コレが初めてだった。
 私が「ホット・スペース」に失望したのはブラック・ミュージック云々以前の問題として、これまでのアルバムには必ず入っていた “古典的ブリティッシュ・ハード・ロック” タイプの演奏が1曲も無かったからだ。クイーンはあくまでもロック・バンドであって、ただ単にヒット曲をタレ流すポップ・グループではない。常にハイ・テンションとハイ・クオリティを維持し、ブリティッシュ・ロックの王道を行ってほしいという思いがあったのだが、私が愛したクイーンは以前ご紹介した空耳のように “あ~あぁ 終わっちゃった...♪” という感じで、まさに忸怩たる思いだった。果たせるかな、このアルバム以降の80年代クイーンのアルバムではブライアンのギター・パートが激減し、その結果として70年代のような血湧き肉躍るようなロック曲がぱったりと姿を消してしまった。
 1983年の終わり頃、そんな私のモヤモヤを吹き飛ばすような1枚のミニ・アルバムがリリースされた。それはブライアン・メイのソロ・プロジェクトで、サンダーバードとガンダムを足して2で割ったような(?)イギリスの子供向けTV番組「スター・フリート」の主題歌をカヴァーしているのだが、何とあのエディー・ヴァン・ヘイレンが参加しているというからコレはもうえらいこっちゃである。何を隠そう私にとっての “3大ギタリスト” はブライアン・メイ、エディ・ヴァン・ヘイレン、そしてスティーヴィー・レイ・ヴォーンの3人なのだが、その内の2人が共演しているのだ。これでコーフンしない方がおかしい。
 裏ジャケに載っているブライアン自身の解説によると、このプロジェクトは元々、ブライアンが息子のお気に入りTV番組のテーマ曲をロック・ヴァージョンでやってみようという軽~いノリでスタートしたもので、彼が一度共演してみたいと思っていたミュージシャン達に声をかけて実現したという。そのA①「スター・フリート」はウキウキワクワクするような曲想と爽快感溢れるブライアンの脱力ヴォーカルがバッチリ合っていて実に楽しい1曲なのだが、聴き物はやはりブライアンとエディーのギターだろう。この二人、何が凄いといって彼らにしか出せないユニークな音色で変幻自在なフレーズを次から次へと繰り出してくるところが他のギタリスト達と決定的に違う。私はほとんど盲目的と言ってもいいぐらい二人の大ファンなので、仮に弾いているのが「禁じられた遊び」でも(笑)フニャフニャと腰砕け状態になってしまう。そんな二人の共演ということで壮絶なギター・バトルをイメージしてしまうが、 “ブライアン・メイ & フレンズ” というだけあって、バトルと言うよりも和気あいあいとした雰囲気が伝わってくる楽しげなセッションといった感じだ。それにしても子供向けTV番組のテーマ曲をここまでカッコ良いロック・ナンバーにしてしまうのだからホンマに大したものだ。
 A②「レット・ミー・アウト」はブライアン作のブルージーなナンバーで、前半の歌の部分はどこにでも転がっていそうな単調なテーマ・メロディーの繰り返しなのだが、2分47秒からのギター・ソロ・パートに突入すると名手二人の個人芸が炸裂、演奏が俄然熱を帯びてきてブルージーなギター・インプロヴィゼイションの応酬に耳が吸い付く。クイーンやヴァン・ヘイレンが日頃演っている音楽はブルースではないが、さすがはロック界を代表する天才ギタリスト二人、ロックのルーツ・ミュージックとしてのブルースへの造詣も深そうだ。
 B面すべてを占める13分近い大作「ブルース・ブレイカー」は “Dedicated to E.C.” と書かれているようにエリック・クラプトンに捧げられた大ブルース大会で、バンドを離れて好き勝手にやれるソロ・アルバムだからこそ出来た趣味的なセッションの極めつけといった感じの曲。60年代末期から70年代初頭あたりの雰囲気濃厚な泥臭いブルースで、二人とも “ブルースの化身” と化して思う存分弾きまくっている。決して一般受けするような演奏ではないが、二人のファンなら聴いておいて損はないと思う。私がブルージーなギターを腹一杯き聴きたいと思った時にターンテーブルに乗せるのは大抵スティーヴィー・レイ・ヴォーンかこのアルバムのどちらかだ。
 ブライアン・メイ初のソロ・プロジェクトということで “春のクイーン祭り” のスピンオフ的なニュアンスで取り上げたこのアルバムは、その安っぽいジャケットとは裏腹にバリバリのロック・ギターやコテコテのブルース・ギターが満載のマニアックな1枚なのだ。

Brian May - Star Fleet [Star Fleet Project 1983]


Brian May & Eddie Van Halen - Blues Breaker (parte 1)[Star Fleet Project 1983]


Brian May & Eddie Van Halen - Blues Breaker (parte 2)[Star Fleet Project 1983]
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The Game / Queen

2011-03-05 | Queen
 70年代半ばにして白黒2枚のアルバムでオペラ・ロックを極め、それ以降はアメリカン・マーケットを意識した何でもアリのポップなアルバムを連発して楽しませてくれたクイーンは、ベスト・アルバム的な意味合いも兼ねた怒涛のライヴ盤「ライヴ・キラーズ」で70年代を締めくくった。特に前作「ジャズ」が非常にヴァラエティに富んだ内容だったので “次のアルバムはどんな感じやろ?” と期待に胸を膨らませながら毎週ラジオで英米のヒット・チャート番組をチェックしていたところ、1979年も押し詰まったある日のこと、いきなり全英チャートにドカン!と飛び込んできたのが彼らのニュー・シングル⑤「クレイジー・リトル・シング・コールド・ラヴ」だった。
 いきなり軽快なアコギのイントロからプレスリー風のロカビリーが炸裂!もうノリノリである。それまでのクイーンからは考えられないような贅肉を削ぎ落としたシンプル&ストレートなサウンドがめちゃくちゃカッコイイのだ(^o^)丿 男の色気すら感じさせるフレディーの円熟ヴォーカル、音楽の根底をしっかり支えながら要所要所をビシッとキメるジョンのベース、バンドをグイグイとドライヴさせるロジャーのタイトなドラミング、相変わらず歌心全開で絶妙なソロを取るブライアンのギターと、バンドが第2黄金期のピークを迎えつつあったことを如実に示す快演だ。一度聴いたら忘れられないようなキャッチーなメロディー展開や爽快感溢れるコーラス・ハーモニーは初期ビートルズを彷彿とさせるものがあり、音楽活動を再開しようとしていたジョン・レノンがこの曲を聴いて大いに刺激を受けたというのも頷けるスーパー・ウルトラ・キラー・チューンだ。
 このリード・シングルに顕著なように、彼らが大作主義が主流だった70年代に別れを告げ、来るべき80年代を先取りしたかのような “シングル志向の” シンプルでキャッチーなサウンドで勝負に出たのが翌1980年にリリースされたアルバム「ザ・ゲーム」だった。シングル「クレイジー・リトル・シング・コールド・ラヴ」を聞いた時もブッ飛んだが、このアルバムも実に衝撃的な内容で、いきなりシンセが飛び交うわ、ベースはブンブン唸るわでビックリ(゜o゜) しかしアルバム1枚聴き終えて感じたのは、ここに屹立しているのは紛れもないクイーンの音楽であり、キャッチーであることが決してロックの正当性を破壊するものではないことを如実に示す非常にクオリティーの高いアルバムだということ。どこを切っても捨て曲ナシの大傑作で、私的にはこんな“アルバム1枚丸ごとメロディーの塊” みたいな盤はポールの「ラム」以来だった。
 このアルバムは①「プレイ・ザ・ゲーム」で幕を開ける。彼らの初期のアルバムにあった “No Synthesisers!” というクレジットは前々作「世界に捧ぐ」から無くなってはいたものの、その後の「フラッシュ・ゴードン」への流れを想わせるスペイシーなシンセのイントロに驚かされる。そもそも私は基本的にシンセが大嫌いで80年代中盤以降のフォリナーやヴァン・ヘイレンみたいな使い方には虫唾が走るのだが、さすがはクイーン、シンセに頼るのではなくあくまでも曲を巧く引き立てるサウンド・スパイス的な使い方をしている。曲自体はクイーンの王道とも言うべきドラマチックな展開のメロディアスなバラッドで、特にフレディーの優しく包み込むような歌声とブライアンの哀愁舞い散るギター・ソロに涙ちょちょぎれる。サビのコーラスもたまらんなぁ... (≧▽≦)
 これに続くのがベースが大活躍する②「ドラゴン・アタック」と③「アナザー・ワン・バイツ・ザ・ダスト」だ。②はブライアンのプッツンした様な(?)ギターが聴き物で、リズム隊も生き生きとビートを刻む。③はフレディーと親交のあったマイケル・ジャクソンからシングルにするべきだとアドバイスされたというブラック・フィーリング溢れるダンス・ナンバーで、ここでもベースが唸りまくるのだが、私としてはファンク路線のクイーンというのはあんまり好みではない。こんなこと、別に彼らがやらんでもエエのにと思ってしまうのだ。ただ、ブライアンの光速カッティングはめちゃくちゃカッコイイけど。
 ジョンが書いた④「ニード・ユア・ラヴィング・トゥナイト」は軽快なポップンロールで、思わず一緒に歌いたくなるキャッチーなメロディーはクイーンの隠れ名曲トップ3に入れたいくらいの出来の良さ。ブライアンのソロもサビのコーラスもウキウキワクワク感をかき立てる楽しいもので、転がり落ちるようなエンディングから次の⑤への流れもめっちゃ好きだ。
 B面1曲目の⑥「ロック・イット」はフレディーがスローに迫る前半部と一転してロジャーがハスキーなヴォーカルでハードに疾走する後半部の対比の妙がお見事!この手の曲調はロジャーに限ると思うし “We want some prime jive♪” の後追いコーラスも実にエエ味出している。⑦「ドント・トライ・スイサイド」は次作「ホット・スペース」の布石になってそうなダンサブルなナンバーだが、ここではまだ抑制が効いている。それにしても邦題の「自殺志願」は何とかならんかったんか...(>_<)
 ⑧「セイル・アウェイ・スウィート・シスター」はブライアンの切ない歌声が胸に沁みる名バラッド。クイーンお得意の美しいコーラスにブライアンのまろやかな音色のギターと、ファンとしてはたまらん展開の1曲だ。⑨「カミング・スーン」はロジャーが書いたノリの良いロックンロールで、やや単調だが “カミン ス~ン♪” の心地良いフレーズが耳に残るナンバーだ。
 アルバムのラスト曲⑩「セイヴ・ミー」は何を隠そう私がクイーンで一番好きな曲。オマエが好きな “ロックなクイーン” とちゃうやんけ!と言われそうだが、私にとってこの曲はロックとかポップとかを超越した次元にある神曲で、特にこの切ない歌詞が心にグッとくるのだ。サウンド面でもブライアンのギターは “もうこれしかない!” という感じの音色・フレーズのアメアラレ攻撃だし、力強く歌い上げるフレディーのヴォーカルは圧倒的な説得力で迫ってくるという実にドラマチックな展開で、クイーンというバンドが貫いてきた美学のようなものをギュッと凝縮したかのような屈指の名曲名演だと思う。
 とにかくこの「ザ・ゲーム」は全曲シングル・カットできそうなぐらいヒット・ポテンシャルの高い楽曲が揃っており、1枚のアルバムからシングルを何枚も切ってアルバム・セールスを伸ばしていくという80年代ロックの方向性を決定づけた大名盤。クイーンの全てのアルバム中で「シアー・ハート・アタック」と並んで最も愛聴している1枚だ。

Queen - 'Crazy Little Thing Called Love'


Queen - Save Me at The Hammersmith 1979 (Improved Quality)


Queen - Play The Game [ High Definition ]


Queen - Need Your Loving Tonight


Queen - Sail away sweet sister pic