shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Queen II

2011-04-02 | Queen
 今年、クイーンのバンド結成40周年を記念して巨匠ボブ・ラドウィックの手によるリマスターCDが順次リリースされるという話は何度かこのブログでもご紹介した。まず手始めに初期5タイトルがこの3月16日に発売されるということで、1月に先行発売された「グレイテスト・ヒッツ」の音の凄さに圧倒された私はもちろん全部買うつもりで手ぐすね引いて楽しみにしていたのだが、例の大地震で CD のことなど頭から完全にスッ飛んでしまい、気が付けば発売日をとうに過ぎていた。おぉコレはアカンわと思ってアマゾンを見ると何と “1~2か月以内に発送” という信じられない事態に...(゜o゜) 日本におけるクイーン人気の根強さを読み誤った私が甘かった。
 私が狙っていたのは通常盤ではなくボーナス・ディスク付きのリミティッド・エディションの方なのだが、これが何と1枚2,800円と言うニンピニン価格(>_<) しかしよくよく考えてみるとビートルズ・リマスターの時と同じで、別に解説も対訳も要らないのにわざわざバカ高い国内盤を買って大嫌いな JASRAC にお布施する義理はさらさら無い。色々調べてみると日本盤のみ SHM-CD という高音質仕様らしいのだが、これまで xrcd やら Gold CD やらで “究極の高音質” という謳い文句に騙されてきた身としてはどうしても眉に唾をつけて見てしまう。
 「グレイテスト・ヒッツ」のあの音の素晴らしさはリマスター効果のなせる業であって SHM 云々はあまり関係ないのではないかと考えた私は日英米のアマゾンで輸入盤をチェックしてみることにした。すると、4月の初めに5枚まとめてボックス・セットとしてリリースされることが判明、ビートルズの時と同じように整理してみるとかなり値段に開きがあることがわかった。
 ・日本盤バラで5枚:2,800×5=14,000円 アマゾンでは “在庫有り” に戻ってた
 ・日本のアマゾンでUK輸入盤 BOX SET:8,193円(送料無料) 4/12発売
 ・Amazon US でBOX SET: $74.03 (送料込みで約6,050円) 5/17発売
 ・Amazon UK でBOX SET:£57.69 (送料込みで約7,850円) 4/4発売
UK盤なら1枚当たり1,570~1,640円、US盤なら何と1,210円で日本盤の半額以下という超お買い得価格だ。SHM-CD がナンボのモンかは知らないが、これではどう考えても日本盤をバラで買うメリットなど無いに等しい。残る問題は UK にするか US にするかだが、US盤は届くのに5月末まで待たなくてはならないので、結局日本アマゾンの “輸入盤2枚買ったら10%オフ” キャンペーンを利用して(←確かビートルズの時は HMV の25%オフ・キャンペーンやった...)7,374円で UK盤ボックスを予約した。届くのが今からめっちゃ楽しみだ(^.^)
 クイーンの初期5枚のアルバムはどれも学生時代に聴きまくったのでそれぞれ思い入れもひとしおなのだが、ことジャケットに関して言えば「クイーンⅡ」がダントツにカッコイイ。初期5枚だけでなく全クイーン作品の中で見ても一番ではないか。このジャケット・イメージは映画「上海特急」のマレーネ・ディートリッヒのモノクロ写真にインスピレーションを得て作られたということで、「ボヘミアン・ラプソディ」のプロモ・ビデオで重要な役割を果たしていたし、「ワン・ヴィジョン」でも効果的に使われていた。ヴィジュアルにも拘るクイーンの面目躍如たる名ジャケットだと思う。
 このアルバムを初めて聴いたのは中学生の時だったが、最初はとっつきにくいというか正直言ってワケが分からなかった。シングル向きのキャッチーな曲が⑪「セヴン・シーズ・オブ・ライ」だけだったということもあり、その真価が分からずに「シアー・ハート・アタック」や「オペラ座の夜」ばかり聴いていた。曲単位ではなくアルバム1枚丸ごと聴いてナンボという作りになっているのでロックを聴き始めたばかりの私には敷居が高すぎたのだと思う。
 アルバム構成としてはアナログ LP のA面がブライアンの曲を中心とした “サイド・ホワイト” 、B面が全てフレディーの曲で統一された “サイド・ブラック” という風に片面ずつでコンセプトが明確に分けられているのが大きな特徴で、特に “サイド・ブラック” の完成度の高さは “クイーン版アビー・ロードのB面” という感じさえする。
 中でも圧倒的に凄いのが⑥「オウガ・バトル」で、その目まぐるしい曲展開はハードロックをベースにしながらもプログレッシヴな側面をも持ち合わせており、ヘヴィーなリフや万華鏡のようなコーラス・ワークの多用など、クイーンというバンドの魅力をこの1曲に凝縮したかのようなサウンド・プロダクションは何度聴いてもゾクゾクさせられる。アァァァァ~♪という絶叫に続くテープの逆再生から始まる冒頭部分もめっちゃスリリング。2分00秒から炸裂する有名な空耳 “横目がスケベくさい~♪” もお忘れなく(^o^)丿
 「ボヘミアン・ラプソディ」の伏線と言ってもいいようなファンタジックな⑦「フェアリー・フェラーズ・マスター・ストローク」から美しい⑧「ネヴァーモア」へと繋がるアビー・ロードな流れ、クイーン流プログレと言ってもいい複雑な曲構成にただただ唖然とするしかない⑨「マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン」の息をもつかせぬ展開、宴会の最後に出されるお茶漬けのようなサッパリ感が絶妙な⑩「ファニー・ハウ・ラヴ・イズ」でメドレーをシメるニクイ曲配置と、まさに片面で1つの組曲といった案配だ。B面ラストに置かれたキャッチーな⑪「セヴン・シーズ・オブ・ライ」はキラキラ輝くようなピアノのイントロと変幻自在に歌いまくるギターが最高で、私的にはEL&P「展覧会の絵」の「ナットロッカー」みたいなノリで難しいことを考えずにその流れるようなメロディーを楽しんでいる。
 “サイド・ホワイト” は “サイド・ブラック” に比べるとやや重いというか地味な感じの曲が多いので、初心者の頃の私のようにA面から聴き始めて挫折する人もいるかもしれない。そんな中で私が好きなのは②「ファーザー・トゥ・サン」で、ルネッサンス(←「プロローグ」や「燃ゆる灰」で有名なブリティッシュ・プログレ・バンドのことです、念のため)みたいな牧歌的な雰囲気から中間部で一気にゼッペリン風ハードロックへとなだれ込み、荘厳なエンディングを迎えるというドラマチックな展開がカッコイイ(^.^) もろブリティッシュ・トラッド・フォークな④「サム・デイ・ワン・デイ」におけるアコギとブライアンの浮遊感溢れるヴォーカルの組み合わせもエエ味を出していて結構気に入っている。
 ガンズのアクセル・ローズが “棺桶に入れる1枚” に選んだというこの「クイーンⅡ」は彼らが2作目にして早くもその唯一無比なオリジナリティを確立したアルバムであり、 “ブリティッシュ・ロック・バンド” 然としたクイーンが大好きな人間には堪えられない初期の大傑作だ。

Queen Seven Seas of Rhye


Queen- Ogre Battle


Queen - Father To Son

この記事についてブログを書く
« Greatest Hits II / Queen | トップ | Imagine / John Lennon »