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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Celebration Day DVD / Led Zeppelin (Pt. 1)

2013-01-01 | Led Zeppelin
 新年あけましておめでとうございます。このブログもとうとう5回目のお正月を迎えることになりました。今年も本能の趣くままに自分の好きな音楽を紹介していこうと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

 昨年の11月にレッド・ゼッペリン1夜限りの復活コンサートの模様を収録したDVD「セレブレイション・デイ」が届いて以来、私は “ゼップ漬け”の日々が続いており、このブログもすっかり “レッド・ゼッペリン祭り” 状態になってきた。ということで2013年の記念すべき1st エントリーはその「セレブレイション・デイ」で決まりだ。
 このライヴは2007年の12月10日にロンドンのO2アリーナにおいて、彼らの友人で恩人でもあるアトランティック・レコードの創設者アーメット・アーティガンの追悼チャリティー・コンサートとして行われたもので、1万8千枚のチケットのオンライン抽選に全世界から2千万人が応募し “音楽史上最も入手困難なチケット” というギネス認定記録を打ち立てたという歴史的イベントだ。
 さすがに仕事を放り出してイギリスまで見に行く根性も甲斐性もなかった私は、コンサートの後 YouTube でライヴ映像を検索しまくったのだが、アップされてるのはオーディエンスがケータイで撮影した手ブレのヒドい映像ばかりだったし、かといってやらずボッタクリ商法のブートに手を出す気も更々なかったので、ただひたすらオフィシャルDVDがリリースされるのを待ち続けていた。
 それから5年が経ち、まさか、ひょっとしてこのまま出ぇへんのやろか... と不安に思い始めた矢先の昨年9月、アマゾンのトップページでこの「祭典の日 ~奇跡のライヴ~」DVDの発売告知を見て狂喜し即予約、2CD+DVD+ボーナスDVDという4枚組デラックス・エディションを奮発した。 YouTube にアップされたオフィシャル版予告編の映像がこれまた痺れるくらいカッコ良く、5年間待った甲斐がありそうだという期待で胸を膨らませながら11月の発売日を指折り数えて待った。
Led Zeppelin - Celebration Day Trailer


 届いたDVDを観てまず思ったのは、このライヴはこれまで3回の中途半端な再結成とは違い、メンバー全員が真剣に “レッド・ゼッペリン” と向き合い、見事にあのゼッペリン・サウンドを、あの唯一無比なグルーヴを再現しているということ。ベテラン・バンドの再結成にありがちな “昔の名前で出ています” 的なチャラい演奏はとは異次元の緊張感漲る凄いパフォーマンスの連続にゾクゾクさせられる。ペイジの指の動きがどーのとか、プラントの声が厳しくてキー下げの曲が多いとか、そういった諸々のアホバカ批評を木っ端微塵に吹き飛ばすかのように巨大な音の塊を紡ぎ出す彼らの演奏はライヴが進行していくにつれてどんどんノッてくるのが感じられ、改めて “本気になったレッド・ゼッペリン” がどれほど凄いのかを再認識させられた。
 ライヴは①「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」で幕を開ける。スティックのカウントに続いて バンバン♪ バンバン♪ という例の重たいイントロがスタジアムに鳴り響き、それにシンクロするように眩いライトを点滅させるという実にカッコ良いステージ演出に、観ている私のテンションもいきなりレッドゾーンまでハネ上がる。もちろん場内は大歓声大興奮だ。
 メンバーの表情はかなり緊張気味で、まだ手探り状態という感じ。特にプラントはかなり抑え気味のスタートだが、ジェイソンはいきなり全開モードで父親譲りのパワフルなプレイでヘヴィーなビートを叩き出し、70年代同様にどっしりと安定感のあるビートを刻むジョーンジーと共にあの1st アルバムのグルーヴを再現している。ペイジのギターは実にソリッドで贅肉を削ぎ落としたような感じ。その尖った音はヘロヘロだった80年代のペイジとは明らかに別人だ。そう、ついに “レッド・ゼッペリンのジミー・ペイジ” が帰ってきたのである(^o^)丿
 それと、このライヴで感心したのは実に考え抜かれたセットリストだということ。全16曲が織りなす大きな流れが完璧で、この曲はここしかない!という位置に置かれているように思う。現役時代にライヴでほとんど演ってないこの①をオープニングに持って来たこと自体、意外と言えば意外なのだが、そんなところにも彼らの揺るぎない決意のようなものが感じ取れる。この①は何と言っても1st アルバムの1曲目... ゼップの歴史はまさにこの曲から始まったのだから。
Led Zeppelin - Good Times Bad Times [Celebration Day] HQ


 ①に続いて間髪を入れずに②「ランブル・オン」が始まる。2nd アルバムのB面に入っていた地味なアコースティック・ナンバーを2曲目に持って来るとはこれまた意表を突く選曲で、曲調が穏やかということもあるかもしれないが、どちらかというと安全運転といった感じの演奏だ。
 しかし代表曲の一つである③「ブラック・ドッグ」あたりからプラントもエンジンがかかってきたようで全盛期を想わせる動きを随所に見せてくれるし(←歌い終えた後の満足げな表情がタマラン!)、ペイジはペイジで “世界最高のロックバンドのリード・ギタリスト” としての自信と風格が全身から漲っており、まるで往年のゼップが完全復活したかのようなスリリングな演奏を聴かせてくれる。その原動力になっているのが父親の魂が乗り移ったかのようなジェイソンの爆裂ドラミングで、問答無用のチカラワザでバンドをグイグイ引っ張っていく。彼が父親のプレイを限りなく再現できたことによってバンドのバランスが戻ってきたようだ。ドラムスが若干早めに入るアレンジも斬新で、曲にパワー・ブーストをかけたかのような躍動感を生んでいる。ジェイソン、GJ!!! (つづく)
Led Zeppelin - Black Dog - Celebration Day [OFFICIAL]
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ケネディセンター名誉賞受賞 トリビュート・パフォーマンス ~めっちゃ感動的な「天国への階段」~

2012-12-30 | Led Zeppelin
 「祭典の日」をリリースしたばかりのレッド・ゼッペリンが先日、 “アメリカの文化向上に貢献した” としてケネディ・センター名誉賞を受賞した。イギリスならさしずめナイトの称号、日本なら文化勲章に相当するもので、2年前にはポール・マッカートニーも受賞した名誉ある賞である。12月2日にホワイトハウスで開催された祝賀セレモニーには3人揃ってタキシードに蝶ネクタイという姿で出席、彼らのファンでもあるオバマ大統領からその偉業を称えられた。 YouTube にその時の大統領のスピーチがアップされているのでちょっとご紹介;
 “彼らはロックンロールのライフスタイルを再定義しました。ビデオはありませんが、昔は行く先々でホテルの部屋をメチャクチャに破壊して騒ぎを起こしていたそうです。ですからホワイトハウスのこの部屋は今日の式典を行うのにピッタリでしょう。窓ガラスは厚さ3インチですし、シークレット・サービスも大勢いますからね。[ツェッペリンのメンバー達に向かって] そういうことだから君たち、大人しくしているように...(笑)。ここの絵は高いんだよ。ハハハハ...”
どーです、中々面白いでしょ? この人、ホンマにスピーチ上手いわ...
OBAMA POKES FUN AT ZEPPELIN'S PAST PARTYING LIFESTYLE


 これに先立って同センターで行われた授賞式ではアンとナンシーのウィルソン姉妹が「天国への階段」をトリビュート演奏、リード・ギターがシェイン・フォンテインでドラムスは何とあのジェイソン・ボーナムだ!!! 彼女らはレッド・ゼッペリンの大ファンで、これまで「階段」を始め「ロックンロール」や「移民の歌」などのゼップ・ナンバーをカヴァーしてきているのだが、本家ゼッペリンのメンバーを前にしての演奏は感無量だったに違いない。
KENNEDY CENTER HONORS HEART LED ZEPPELIN TOUGH STAIRWAY TASK, TONIGHT


 ステージはアン&ナンシー姉妹にオーケストラ、聖歌隊まで加わっての超豪華版。更に後半の大盛り上がりのパートでステージ後部からコーラス隊が現れて大合唱という演出が圧巻だ。終始にこやかな表情でステージを見つめていたジミーやジョーンジーもこれには大喜びで、プラントの目は潤んでいるようにも見える。
 とにかくプラントでなくてもコレを見て感涙しないゼップ・ファンはいないのではないか? 私なんかこの2日間でもう20回ぐらい見ているが(←アップされてわずか3日で何と150万回再生です!)、何度見ても感動でウルウルきてしまう(≧▽≦)  私の知る限り史上最高の「階段」カヴァーである。一年の最後にこんなエエもん見れてホンマに幸せだ。
Heart - Stairway to Heaven Led Zeppelin - Kennedy Center Honors


ということで今年のエントリーはこれにて終了。1年間お付き合いいただいた皆さん、どうもありがとうございました。良いお年をお迎えください(^.^)
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Reunion Collection DVD / Led Zeppelin (Pt. 2)

2012-12-28 | Led Zeppelin
(2) Atlantic Records 40th Anniversary [05/14/1988]
 ①Kashmir
 ②Heartbreaker
 ③Whole Lotta Love
 ④Misty Mountain Hop
 ⑤Stairway To Heaven
 ライヴ・エイドから3年後の1988年にアトランティック・レコードの40周年を祝うコンサートがニューヨークのマジソン・スクエア・ガーデンで開かれたのだが、一番の目玉は当然レッド・ゼッペリンの再々結成(?)だ。今回はボンゾの息子、ジェイソン・ボーナムがドラムスを担当、父親譲りのパワフルなプレイでジョーンジーと共に曲のグルーヴを根底から支えおり、ドラマーの人選ミスで不満の残る出来だったライヴ・エイドの時よりも遥かに “レッド・ゼッペリンを感じさせる” 演奏になっている。
 プラントも前回より調子が良さそうで、1曲目の「カシミール」で歌詞を忘れたのか歌ってるふりしてるけど声が聞こえない所があったり(←3分20秒あたり)4曲目の「ミスティ・マウンテン・ホップ」で歌の出だしを間違えたり(←1分13秒あたり)とか細かいミスはあるものの、その堂々たる歌いっぷりはスーパースターのオーラがみなぎっている。
 ペイジのギター・ワークは結構ヘロヘロで、そのたどたどしい指の動きはファンである自分が見てもちょっとビックリだったが、それでも腐っても鯛と言うべきか(←失礼!)、その音色・フレージングには聴き手を惹きつける独特な味わいがあり、音楽というのはテクニックだけで測れるものじゃないということを改めて実感させられた。更に私が弱いのはギブソンのダブルネックを弾くその姿で、仮に弾いているのが「禁じられた遊び」であっても(←弾くかそんなもん!)ファンとしてはフニャフニャと腰砕け状態になってしまう。
 日本ではまたまたフジテレビで放送されたのだが、さすがに苦情が殺到した前回のライヴ・エイド特番で懲りたのか、実際に現地で見てきた音楽評論家の福田一郎氏の解説で結構マトモな番組になっており、今回は落ち着いて見ることが出来た。ミーハー丸出しの長野智子アナも微笑ましかったな...(^.^)
Atlantic Records 40th Anniversary - Led Zeppelin - Kashmir

Led Zeppelin- Atlantic Anniversary 40th Heartbreaker / Whole Lotta Love 1988 HQ 3D

Led Zeppelin - Misty Mountain Hop (Live)

Led Zeppelin - Stairway To Heaven - Atlantic Records 1988


(3)Rock And Roll Hall Of Fame [01/12/1995]
 ①Bring It On Home
 ②Long Distance Call Blues
 ③Baby Please Don't Go
 ④When The Levee Breaks / For What It's Worth
 1995年にマンハッタンにある超高級ホテル、ウォルドルフ・アストリアで行われた “ロックの殿堂” 式典で彼らは3度目の再結成。「ブリング・イット・オン・ホーム」や「ホェン・ザ・レヴィー・ブレイクス」といった渋~いナンバーが選ばれているのだが、どちらも私の超愛聴曲なのでこの選曲はめちゃくちゃ嬉しい。ホスト役のスティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー(←こいつらのスピーチ、めっちゃオモロイわ...)や同じ年に殿堂入りしたニール・ヤングとの共演ということで、他流試合でみっともないところは見せられないと気合いが入ったのか、かなりカッチリとまとまった演奏になっている。
 中でもプラントは絶好調で、「ブリング・イット・オン・ホーム」ではスティーヴン・タイラーのお株を奪うかのようにクルクル回るパフォーマンスを披露(←1分10秒あたり)するなどもうノリノリである。又、ライヴ・エイドやアトランティック40thではほとんど目立ってなかったジョーンジーが結構映っているのにも注目だ。そういえば当時活動中だったペイジ&プラントのプロジェクトに声が掛からなかったことに対し、受賞スピーチでにこやかに “やっと電話番号を思い出してくれた友人たちに感謝したい。” とやんわり皮肉っていたのが笑えた。
カッコイイ煽りVTRとエアロの面白スピーチ

メンバーの受賞スピーチ

Led Zeppelin and Aerosmith - Bring It On Home - Rare Rock n Roll Hall Of Fame Performance - HD

Led Zeppelin perform Rock and Roll Hall of Fame inductions 1995

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Reunion Collection DVD / Led Zeppelin (Pt. 1)

2012-12-26 | Led Zeppelin
 今年も残すところあとわずか... 2012年を振り返ってみると相も変わらずCD、LP、DVDを買いまくった1年だったが、そんな中で私にとっての “今年のベスト・バイ” は文句なしにレッド・ゼッペリンの再結成ステージの模様を収録した「セレブレイション・デイ」である。ちょうど11月の3連休の頃に届いたのだが、それ以来DVDもCDもスーパーウルトラヘビーローテーション状態だ。
 レッド・ゼッペリンはジョン・ボーナムの死により1980年に解散し2007年にロンドンのO2アリーナで奇跡の復活を遂げるまで計3回再結成している。ということで「セレブレイション・デイ」に行く前に、まずは解散してからこの記念すべき “祭典の日” に至る3回のステージを簡単に振り返ってみたい。

(1)Live Aid [07/13/1985]
 ①Rock And Roll
 ②Whole Lotta Love
 ③Stairway To Heaven
 “80年代のウッドストック” と呼ばれた大イベントであるライヴ・エイドの見所の一つが5年ぶりに再結成したレッド・ゼッペリンのステージだった。YouTube のなかった当時はテレビで好きなバンドのライヴ映像を見れるだけでも大喜びで、ギブソンのダブルネック・ギターで「天国への階段」を奏でるペイジは何度見てもカッコエエなぁ...(^o^)丿と大コーフンしながらブラウン管にかじりついて見たのを今でもハッキリと覚えている。
 まぁ私にとっては同じステージにペイジとプラントが立っている... というだけで大感激だったのだが、フィル・コリンズとトニー・トンプソンのツイン・ドラムス勢はバカスカ叩きまくるだけで曲を全く理解しておらずゼッペリン独特のグルーヴが全く感じられなかったのが玉にキズで、特に「ホール・ロッタ・ラヴ」なんかペイジはかなり弾きづらそうに見えた。ペイジとプラントの息もイマイチ合っておらず、ライヴ・エイドへの参加が決まったのが本番1週間前ということもあって、リハーサル不足が響いたのだろう。
 実際、後になってプラントは “リハ不足で俺は声が出なかった。生涯最悪のパフォーマンスだった。” と嘆いていたし、ジョーンジーも “俺たちの曲を知らないドラマーと演ってしまった...” と後悔しており、彼らはこの再結成を完全な失敗と見なしていたようだ。「ライヴ・エイド」のオフィシャルDVDにゼッペリンのステージが収録されていないのはそのせいだろう。
 このライヴは日本ではフジテレビが中継したのだが、ゲストが入れ代わり立ち代わり登場してぺちゃくちゃ喋りまくるという深夜のヴァラエティー番組みたいなアホバカ演出(←進行役の南こうせつも鬱陶しかった...)のせいで肝心のステージがコマ切れ状態で放送されるわ、何の関係もないJ-ロック・アーティストのスタジオ・ライヴが挿入されるわで、テレビを見ながらめちゃくちゃ腹が立ったのを覚えている。同時通訳も素人同然で、フィル・コリンズによるメンバー紹介を “ロバート・パワーズとジョン・トンプソンです!” (←誰やそれ???)とはホンマに情けない。せめてメンバーの名前ぐらい知ってる奴雇えよ... と呆れたものだったし、ステージに出てきていきなり “ちょっと休憩したいと思います...” にもクソワロタ。本当は “モニターちゃんとセットアップする間ちょっと待っててね...” って言ってるのだが...(>_<) そういえばF1地上波放送も一時期ホンマに酷かったし、フジテレビのプロデューサーってアホばっかりなんか??? こういう世界的なイベントは小賢しい策を弄さずにコンテンツそのものをそのままストレートに放送してほしかった。 (つづく)
Led Zeppelin - Rock And Roll - Live Aid - 07/13/1985

Led Zeppelin - Whole Lotta Love - Live Aid 7/13/1985 (HQ Audio & Video)

Led Zeppelin Live Aid 1985 3 Stairway to Heaven Stereo
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Presence / Led Zeppelin

2011-02-12 | Led Zeppelin
 今日も “サムデイヴ来訪記パート2” である。即席 DJ をやりながら LP をかけまくっていた時、デイヴがゼッペリンの「アキレス・ラスト・スタンド」をリクエストしてくれた。私がアルバム「プレゼンス」を取り出してターンテーブルに乗せていると、 “コレ、ボクノ フェイヴァリット・ゼッペリン・ナンバー デス。アナタハ ドノキョクガ イチバン スキデスカ?” と聞いてきた。相手が音楽好きの場合、その人となりを知るには “好きな曲” “好きなアルバム” を尋ねるのが一番手っ取り早いし、何よりもロック・ファン同士のこういう会話ほど楽しいものはない。
 しかし、前回のビリー・ジョエルの「ピアノ・マン」もそうだったが、あるアーティストの全作品の中で “一番好きな曲” を選ぶというのは中々難しい。特にそれが全アルバムをオリジナル盤で揃えるぐらい大好きなバンドやシンガーだったりすると、その時の気分によってフェイヴァリットが変わるので急に聞かれると即答できないのだ。今回も一瞬フリーズしてしまったが(笑)、すぐに正気に返って “「コミュニケイション・ブレイクダウン」かなぁ...” という曖昧な返事しかできなかった。最近面白カヴァーやジブリにかまけていてゼッペリンを聴くのは久しぶりだったので、恥ずかしながら不意を突かれた格好だ(>_<)
 そんなこんなで「アキレス...」のイントロがフェード・イン、久々のロックンロール・ナイトで大コーフンの私がテンションの上昇に比例するようにアンプのヴォリュームをグングン上げていくと、それまで聴いたことが無いくらい凄まじい「アキレス...」の音像が目の前に屹立した。ペイジのソリッドで切っ先鋭いギターが縦横無尽に音空間を埋め尽くし、プラントのエモーショナルなハイトーン・ヴォイスが炸裂、まさに「ラスト・スタンド(最後の戦い)」の名に相応しいアグレッシヴな演奏だが、何よりも凄いのがボンゾのダイナミックで躍動感に溢れるドラミング!その血湧き肉躍る破天荒なエネルギーの奔流は凄まじく、アルテック・ヴァレンシアの38cmウーハーが生み出す重低音が爆裂、巨大な音の塊が津波のように押し寄せてきて、まるでラオウの天将奔烈、北斗剛掌波の直撃を食らったかのような(?)衝撃である。
 デイヴはと言えば目をつむって正座しながら自分の膝をガンガン叩くエア・ドラムで、完全に “ボンゾ憑依状態” である。私も真似してみたが、コレがもうめちゃくちゃ気持ちいい(笑) 何というか、ボンゾの身体感覚とこちらの身体感覚が共鳴現象を起こすような不思議な感じで、アドレナリンがドバーッと出まくりロックな衝動がマグマのようにこみ上げてくる。これからハードロックを聴く時はこのスタイルでいこう。デイヴ、エエこと教えてくれてホンマにありがとうね(^.^)
 とにかくこの①「アキレス・ラスト・スタンド」、バンドが一体となって生み出す高揚感は圧巻の一言で、10分を超える大曲ながらその長さを微塵も感じさせず、イントロからエンディングまで尋常ならざる高い緊張感を保ちながら一気呵成に聴かせてしまうスーパー・ウルトラ・キラー・チューンだ。
 この「プレゼンス」というアルバムは①のインパクトがあまりにも強すぎて他の曲が霞んでしまうようなところがあるが、じっくり聴けばどれもみなよく出来た佳曲揃いだ。しっかりとゼッペリン・サウンドの根底を支えるジョーンジーの闊達なベースが冴え渡る②「フォー・ユア・ライフ」、リズム隊のノリ一発で聴かせてしまう⑤「キャンディー・ストア・ロック」、ボンゾの名人芸ドラミングが味わえる⑥「ホッツ・オン・フォー・ノーウェア」、「シンス・アイヴ・ビーン・ラヴィン・ユー」を裏返しにしたような渋~いブルース⑦「ティー・フォー・ワン」と聴き所が満載だ。
 そんな中でも特に好きなのが③「ロイヤル・オーリンズ」(←邦題の “オルレアン” って一体何なん???)で、3分に満たない短い曲ながらペイジの絶妙なギター・カッティングとタイトなバンド・アンサンブルが印象的なゼッペリン流ファンク・ナンバーだ。これまでほとんど誰も褒めているのを聞いたことが無い不憫な曲だが私的にはこのアルバム中で①に次いで気に入っている。又、④「ノーバディーズ・フォールト・バット・マイン」の寄せては返す波のように緊張と弛緩を繰り返す変則的なリズムが生み出すへヴィーなグルーヴ感もたまらない。それにしても地響きを上げるようなボンゾ怒涛のドラミング、凄すぎ!!!
 昨日は大雪で外出する気になれなかったので一日中大音量でゼッペリンを聴いて過ごしたのだが、今の気分ではこのアルバムの「アキレス・ラスト・スタンド」がやはり一番だ。このゴリゴリにへヴィーでありながら疾走感に満ちたサウンド、そして圧倒的にポジティヴな音の存在感はまさに後期ゼッペリン・ミュージックの完成形と呼ぶに相応しい大傑作だと思う。デイヴ、また一緒にゼッペリン聴こうな(^o^)丿

Led Zeppelin - Achilles Last Stand (Live Knebworth 1979)


Led Zeppelin-Royal Orleans


Led Zeppelin-Nobody's Fault But Mine
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The Honeydrippers Volume One

2010-08-22 | Led Zeppelin
 “ザ・キング” エルヴィスをリスペクトしているロック・アーティストは数え上げればキリが無い。エルヴィスの跡を継いで60'sを支配したビートルズも大きな影響を受けており、ジョンの「スターティング・オーヴァー」や、ポールの「レディ・マドンナ」、「ザット・ウッド・ビー・サムシング」なんかはモロにプレスリー唱法炸裂だ。ジョンの “エルヴィス以前には何も無かった...” という言葉は有名だし、ポールは「CHOBA B CCCP」や「アンプラグド ~公式海賊盤~」といったロックンロール・カヴァー・アルバムでは必ずエルヴィス・ナンバーを複数入れるぐらいのマニアぶりだ。
 70'sロックの王者レッド・ゼッペリンのヴォーカリスト、ロバート・プラントも叉ガチガチのエルヴィス・フリークで、常日頃から “エルヴィスの曲は全曲歌える” と豪語しているというからその傾倒ぶりはハンパではない。彼はエルヴィスの死後2度もグレースランドを訪れているという筋金入りのエルヴィス・ファンで、1974年にロスでエルヴィス本人に会えた時には子供のように大はしゃぎだったというから微笑ましい。どんなスーパースターにも若い頃に憧れたアイドルはいるものだ。BBCの企画で故アイルトン・セナのマクラーレン MP4/4 をドライヴさせてもらって大コーフンしていたルイス・ハミルトンみたいなモンだろう(^o^)丿
 そういえば何年か前に「ローリング・ストーン」誌の “ミュージシャンが選んだ偉大なシンガー・トップ10” というランキングで3位に入ったエルヴィスにプラントが賞賛のコメントを寄せていたし、エルヴィスをおちょくったような格好でゼッペリン・ナンバーをレゲエ・カヴァーしていたドレッド・ゼッペリンにプラントが烈火の如く激怒した、なんてエピソードもあったなぁ。とにかく彼にとってのエルヴィスはそれほど偉大な存在なのだ。
 そんなプラントがゼッペリン解散後の1984年にジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、ナイル・ロジャースらと結成したプロジェクト、ハニードリッパーズが 50'sの R&B をカヴァーしたアルバムがこの「ヴォリューム・ワン」である。このプロジェクト結成のニュースを聞いたときはてっきりゼッペリン路線のハードロックを予想していたが、実際に聴いてみると良い意味で期待を裏切る素晴らしい内容で、私はプラントの音楽的な懐の深さに触れてますます彼が好きになった。
 全米3位まで上がる大ヒットになったファースト・シングル②「シー・オブ・ラヴ」が初めてラジオから流れてきた時は、金属的な(?)プラントの声がこんなムード満点の激甘バラッドにも合うと知って驚いたものだった。ストリングス・アレンジもツボを心得た素晴らしさで、フィル・フィリップスのオリジナルを超える素晴らしいカヴァーに仕上がっているように思う。この曲のビデオクリップでプラントの前でヴァイブを弾くふりしながら海パン一丁で突っ立ってるヒゲのオッサンが妙に気になるのは私だけ?
 名演揃いのこのアルバムの中でも断トツに気に入っているのがセカンド・シングルになった⑤「ロッキン・アット・ミッドナイト」だ。この曲は元々ロイ・ブラウンの1948年のヒット曲(タイトルは「グッド・ロッキン・トゥナイト」)で、ビートルズ・ファンにはジョンが「ゲット・バック・セッション」で、ポールが「公式海賊盤」で歌っていたことでもお馴染みのナンバーだが、プラントの歌いっぷりはエルヴィス・ヴァージョンに近い。サウンド面ではブラスを大胆にフィーチャーしたノリノリのジャンプ/ジャイヴ・ナンバーに仕上がっており、顎が落ちそうなシャッフル・ビートは快感の一言!!! 聴いてて思わず身体が揺れてしまうスーパー・ウルトラ・キラー・チューンだ。ビデオクリップに登場するプラントは完全にエルヴィス降臨状態(←脚の動きにご注目!)で、これがもうめちゃくちゃカッコイイ(≧▽≦)
 ①「アイ・ゲット・ア・スリル」はいかにもプラントらしいヴォーカルが堪能できるゴキゲンなナンバーで、ノスタルジックなドゥ・ワップ・コーラスやラフなロカビリー調ギターも実に良い味を出している。③「アイ・ゴット・ア・ウーマン」はレイ・チャールズがオリジナルだが、ここでは自らのアイドルであるエルヴィスのヴァージョンをお手本に嬉々として歌うプラントの歌声が楽しめる。ベン・E・キングで有名な④「ヤング・ボーイ・ブルース」は②と同じ激甘路線のノスタルジックなバラッドで、流麗なストリングスをバックに思い入れたっぷりに歌い上げるプラントに涙ちょちょぎれる。若き日のプラントはきっとオリジナルのレコードを擦り切れるほど聴き込んだんやろなぁ(^・^)
 アルバム・タイトルが「ヴォリューム・ワン」なのでいつ「ヴォリューム・ツー」が出るのかと楽しみにしながら25年以上が過ぎてしまったが、こんなアルバムなら何十年待ってでも聴きたい、そう言い切ってしまいたくなるぐらい素晴らしいこのアルバム、全5曲わずか18分強というミニ・アルバムながらロックのルーツ探訪にもピッタリの1枚だ。

Robert Plant & Jeff Beck-Rockin' At Midnight


Robert Plant & Jimmy Page-Sea Of Love


robert plant & the honey drippers - jailhouse rock


【おまけ】 F1ファンの方はどーぞ (^・^)↓
Lewis Hamilton drives Ayrton Senna's McLaren on BBC Top Gear
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Led Zeppelin Ⅰ

2009-12-22 | Led Zeppelin
 初めてパソコンを導入した2002年から数年が経ち、海外オークションのeBayでゲットしたLPも1,000枚を超えた。今では欲しい盤は大体手に入れてしまったし、異常なまでのオリジナル盤相場の高騰もあってeBay からしばらく遠のいてセミ・リタイア状態にあったのだが、昔取り損ねた盤は定期的にチェックしてあわよくば間隙をついてゲットしてやろうと狙っている。先月ついに入手した「クリムゾン・キングの宮殿」ピンク i レーベル盤もそんな1枚だが、実はもう1枚ひそかに狙っていた盤があった。それがこの「レッド・ゼッペリンⅠ」UKファースト・プレスの青ロゴ盤である。
 セカンド・プレス以降の盤と一目で違いが分かるジャケットを持ったファースト・プレス盤はプレミアがついてオークションでも特に値がつり上がる傾向がある。ビートルズ関係では「ホワイト・アルバム」のシリアル・ナンバーの桁数と値段は反比例するし、「アビー・ロード」の裏ジャケのアップルが左にズレているもの(通称 misaligned apple)や「レット・イット・ビー」の裏ジャケが赤リンゴのものは競争が激しい。そのうちズレたリンゴや赤いリンゴを見るだけで胸がときめく(笑)ようになってしまう。ゼッペリンのファースト・アルバムも同じで、ジャケット左上隅の “LED ZEPPELIN” の文字と右下隅の “ATLANTIC” のロゴの色がそれ以降の盤(オレンジ色)と一目で違いの分かるターコイズ・ブルーが特徴の英初版は一説によると2,000枚ぐらいしかプレスされなかった(ホンマかいな?)ということでメガレア度もハンパではなくビッドが殺到、結局そのブツは£870.00(日本円で約12万8千円!)で落札されたが、この不況時にジャケットのロゴの色が違うというだけでレコード1枚に13万円近い金なんて出せるかいな! ここはもう手持ちの青ロゴ紙ジャケCDで我慢するしかない(>_<)
 何だかジャケットの話ばかりになってしまったが、中身の方は言わずもがなの大傑作だ。①「グッド・タイムズ・バッド・タイムズ」は彼らのデビュー・シングルで、へヴィーでありながらキャッチーという難題を見事クリアした音作りが素晴らしい。2年前の再結成ステージ(←オフィシャルDVD出ぇへんかな...)でこの曲のイントロが始まった瞬間、背筋がゾクゾクするようなスリルを味わったのは私だけではないだろう。ブリティッシュ・トラッドの薫りが横溢する②「ベイブ・アイム・ゴナ・リーヴ・ユー」、コテコテのブルースにシビレる③「ユー・シュック・ミー」、へヴィーなブルースでありながら途中から一転アップテンポになり全開で飛ばす快感を味わえる④「デイズド・アンド・コンフューズド」、一瞬教会音楽と間違えるような荘厳なイントロがジョーンジー色濃厚な⑤「ユア・タイム・イズ・ゴナ・カム」、アコギとタブラを前面に押し出してブリティッシュ・トラッドとインド音楽の融合を図った⑥「ブラック・マウンテン・サイド」、荒削りながらもそのプリミティヴなパワーと圧倒的なスピード感はパンク・ロックも吹っ飛ぶカッコ良さの⑦「コミュニケイション・ブレイクダウン」、ただひたすらブルージーに迫る⑧「アイ・キャント・クイット・ユー・ベイビー」、うねるようなベース、安定感抜群のドラムス、激しいヴォーカル、そしてスリリングなギターという初期ゼッペリンの魅力をギュッと濃縮還元したようなソリッドな音作りが圧巻の⑨「ハウ・メニー・モア・タイムズ」と、ブルースをベースにしたハードロックの究極と言える演奏が楽しめる。
 このアルバムを初めて聴いてから30年以上経つが、今聴いてもめっちゃスリリングで、凡百のロック・バンドとは次元が違うカッコ良さだ。とてもじゃないが青ロゴのファースト・プレスLPは買えそうもないので、値段は約1/10で音的にはあまり変わらないオレンジ・ロゴのUKオリジナル・セカンド・プレスLP(←2回取り損ねて3度目の正直でゲット!!! 53ドルでした...)を聴きながら紙ジャケCDを眺めては青ロゴの放つオーラ(笑)を楽しんでいる。
Led Zeppelin - Good Times Bad Times (lyrics)

Led Zeppelin- Communication Breakdown

Led Zeppelin - How Many More Times (Studio Version - Best Quality)

Lez Zeppelin

2009-06-04 | Led Zeppelin
 レズ・ゼッペリンは読んで字のごとく、女性4人組でレッド・ゼッペリンのカヴァーをするという大胆不敵なバンドである。今の時代、 “女性がハードロックを演る” といってもランナウェイズで大騒ぎになった70年代じゃあるまいし、そのこと自体は別に珍しくも何ともないのだが、問題はカヴァーする対象である。よりにもよってハードロックの最高峰、あのレッド・ゼッペリンを、しかも “完コピ” で再現しようというのだから大胆不敵というか、恐れ入谷の鬼子母神だ。
 一般に、コピー・バンド というのは実に不憫な存在で、いくら完璧に本家を再現しようとも、上手いねぇ、そっくりやねぇ、と面白がられはするが、そこで終わってしまい、決してそれ以上の展開は望めない。「上手いコピー・バンドを聴くぐらいなら本家を聴く」、ハッキリ言ってしまえばその一言で終わりである。何かしらアレンジを工夫するとか、そのバンドのオリジナリティーを出すとかしないとすぐに飽きられてしまうのだ。しかし工夫しようにも、ゼッペリンの個性の塊のような演奏はそれ自体で既に完成されており、手を加える余地は残されていない。これで彼女達の目指した “ゼッペリンの完コピ” が如何に無謀な行為か分かってもらえたと思う。
 しかし “百聞は一聴にしかず” を信条とする私は、そんな彼女達のデビュー・アルバム「レズ・ゼッペリン」をネットで試聴してみて十分聴くに値すると思い、迷わず購入した。届いたCDは⑨「移民の歌」と⑩「ザ・レイン・ソング」のライブ・ヴァージョンがボートラとして加えられた日本盤。意味深な表ジャケもいいが、プラント同様の “へそ出し” スタイル(笑)で熱唱するヴォーカルのサラが写った裏ジャケが嬉しい。
 試聴時に一番気に入ったのが⑦「コミュニケイション・ブレイクダウン」... おぉ、何という疾走感!その圧倒的なエネルギーの奔流は下らない御託や先入観など木っ端微塵に吹き飛ばしてしまう勢いだ。特に1分22秒からの鬼気迫るギター・ソロにはペイジもニンマリするのではないか。プラントというよりはハートのアン・ウィルソンを彷彿とさせるヴォーカルもハイノートを炸裂させまくりで実にスリリングだ。そういえばプロデューサーは本家ゼッペリンのサウンド・エンジニアを務め、「キッス・アライブ」のプロデュースで名を上げたあのエディー・クレイマー... ナメてかかると大やけどをしそうなソリッドな音作りだ。
 ①「ホール・ロッタ・ラヴ」も大善戦だ。ドラムスはさすがにキビシイもんがあるが、ギターは原曲のイメージをかなり頑張って再現しているし、ベースもジョーンジーのラインをよ~く研究していて好感が持てる。ヴォーカルも気合入りまくりでゼッペリンとの比較を忘れて聴けば、これはこれで十分すぎるほど “熱い” ハードロックだ。 ②「オーシャン」でもロックに性別なんか関係ないことを満天下に示すようなテンションの高い演奏が展開されるし、⑧「カシミール」も①同様、原曲の雰囲気を上手く再現しており、彼女達のゼッペリンへのリスペクトがダイレクトに伝わってくるような真摯な演奏だと思う。
 ④「シンス・アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー」、やはりブルースになると若さが露呈してしまうのはしゃあないか。新人バンドにこの曲はちょっとハードルが高すぎたと思うが、どうしても演りたかったという心情は理解できる。⑤「ロックンロール」はスカスカのドラムス(別にボンゾと比べる気はさらさらないけど、もうちょっと何とかならんかったんか...)が難点だが、ヴォーカルの頑張りで救われた感がある。それにしてもこの曲、いつ聴いてもアドレナリンがドバーッと出るような爽快感溢れるロックの大スタンダードだ。何百回聴いても飽きひんね!
 イントロのギターに涙ちょちょぎれる③「オン・ザ・ロックス」とマンドリンを上手く使った⑥「ウインターサン」は共に彼女達のオリジナルで、ゼッペリンの雰囲気を上手く出したインストルメンタル・ナンバー。正直あまり期待していなかったのだがこれが結構な拾い物で、彼女達の才能と今後の可能性を感じさせる。次のアルバムはこの路線でゼッペリン風なオリジナルをもっともっと聴かせてくれい!
 プラントのグラミー5部門制覇で本家ゼッペリンのリユニオン・ツアーは夢と潰えた感があるが、あの音を聴きたいと願うファンは世界中にゴマンといる。そんなファンの渇きを癒してくれそうな可能性を秘めたレズ・ゼッペリンの今後に期待したい。

Lez Zeppelin - Black Dog

Raising Sand / Robert Plant & Alison Krauss

2009-03-21 | Led Zeppelin
 アメリカン・トップ40を欠かさず聴いていた80年代、毎年2~3月に発表されるアメリカン・ミュージック・アウォードやグラミー賞はいつも楽しみにしていた。正直言って誰が受賞するかは別にどーでもよかったのだが、色んなアーティストのパフォーマンスが見れたり、ウィットに富んだスピーチのコメントが楽しめたりで、マイケル・ジャクソンを始め、U2、メタリカといったビッグ・ネームたちの様々な名場面が今でも脳裏に焼きついている。とにかく凄い顔ぶれが一堂に会するこの全米音楽界の一大イベントは毎年ビデオに録画して何度も繰り返し見たものだった。しかし時代は流れ、メロディーの希薄なワケの分からん音楽が蔓延し始めた90年代、私はコンテンポラリーなヒット・チャートとは完全に絶縁し、メロディアスな60年代オールディーズやスインギーな50年代ジャズの世界へと入っていった。それ以降この十数年というもの、どんな曲が流行っているのかもどんなアーティストが活躍しているのかも全くといっていいほど知らなかったので、当然グラミー賞にもまったく関心がなくなっていた。
 しかしそんな私の目に飛び込んできたのが「ロバート・プラント&アリソン・クラウスがグラミー賞主要2部門(“レコード・オブ・ザ・イヤー”と“アルバム・オブ・ザ・イヤー”)を含む5部門受賞!」というネットのニュース速報だった。ブルーグラス界の歌姫、アリソン・クラウスは「ブルーグラス・ゴーズ・トゥ・タウン」というオムニバス盤に入っていたビートルズ・カヴァー「アイ・ウィル」の素晴らしさにKOされて以来の大ファンだし、ロバート・プラントは言わずと知れたレッド・ゼッペリンのヴォーカリストだった人である。一昨年の暮れだったか、この「レイジング・サンド」がリリースされた頃にたまたま見た⑤「ゴーン・ゴーン・ゴーン」のビデオ・クリップが結構面白く、何よりもエヴァリー・ブラザーズの隠れ名曲を斬新なサウンドで21世紀に蘇らせた抜群のリメイク・センスがめちゃくちゃ気に入ったので即USアマゾンでゲットしたのだ。
 ハードロックの象徴であるゼッペリンのヴォーカルとブルーグラス・ディーヴァとのデュエットというと一見摩訶不思議な組み合わせに思えるかもしれないが、ゼッペリンはサード・アルバムで顕著なように土の薫りのするトラッド/カントリーの要素を内包していたからハイトーンのシャウトなしのルーツ・ミュージックでも別に違和感はなかった。しかしそれよりも届いたCDを聴いて思ったのは、これは紛れもなく鬼才プロデューサー、Tボーン・バーネットのサウンドだということ。彼がセッティングした音世界の中でプラントやクラウスが気持ち良さそうに歌っているという感じなのだ。いきなりTボーン・バーネット色の濃い気だる~いサウンドが展開する①「リッチ・ウーマン」、くつろいだ雰囲気でカントリー・フレイバー溢れる②「キリング・ザ・ブルース」、アリソンにメリー・ホプキンが憑依したかのような③「シスター・ロゼッタ・ゴーズ・ビフォー・アス」、ペイジ&プラントのセルフ・カヴァー⑦「プリーズ・リード・ザ・レター」、プラントの枯れたヴォーカルが渋い⑨「フォーチュン・テラー」、皮鳴りの良いドラムのビートを基調にした軽快なサウンドがいかにもTBBしてる⑫「レット・ユア・ロス・ビー・ユア・レッスン」等、聴き所は多いが、やっぱり⑤がダントツに素晴らしいと思う。
 このTボーン・バーネットのギターのサウンドは麻薬のように病みつきになる。カントリー、ブルーグラス、フォーク、ブルース、ケイジャンといった様々な音楽を交雑し、そこにTボーン・バーネットが魔法をかけたようなリラクセイション溢れるそのサウンドにはゼッペリンのゼの字もないが、グラミー云々は抜きにして一度は聴いておきたい渋~いアルバムだ。

Gone Gone Gone (Done Moved On)



Buddha Lounge Renditions Of Led Zeppelin

2009-01-08 | Led Zeppelin
 ハードロックの王者レッド・ゼッペリンの楽曲をジャズ・アレンジで演奏するという、今まで誰も考えつかなかったような斬新な(おバカな?)コンセプトのCDをHMVの試聴サイトで見つけた。それがこの怪しげなジャケットの「ブッダ・ラウンジ・レッド・ゼッペリン」である。「ブッダ・ラウンジ」シリーズを初めて見たのは「ブッダ・ラウンジ・ビートルズ」というCDで、仏さん4体の顔面アップという不気味なジャケットに興味を引かれ、面白そうやなぁと思って試聴してみると、30秒の試聴時間すらキツイくらいの意味不明な音楽が聞こえてきた。それはもう、ビートルズ・カヴァーをすべて集めてやろうという意気込みだった私にカウンター・パンチを食わせるようなトホホなサウンドで、当然パス!こんなん誰が買うんやろ?と思ってたら何と第2・第3弾としてブッダ・ラウンジのメタリカ、AC/DCヴァージョンが出た。特にAC/DCのやつはジャケットの仏さんにAC/DCのトレードマークであるツノが生えており思わず大爆笑。奈良の「せんとくん」もビックリだ。そして第4弾がこのレッド・ゼッペリン・ヴァージョンというわけ。今度は仏さんの顔の周りを飛行船が飛んでいる(笑) もうええかげんにせぇよ、とも思ったが一応試聴することに... あれ?今までのアホバカ盤とは全然違う。それにラウンジっていうだけあってちょっとジャズっぽいやん?コレは買いや!ということで早速購入。演奏してるのは「ウエスト・52nd・ストリート・ブッダ・ラウンジ・アンサンブル」という正体不明のグループで、多分その名の通りニューヨークのラウンジ専門のバンドだろう。一番気に入ったのは②の「ブラック・ドッグ」で、軽快なブラッシュ(!)に乗って涼しげなヴァイブとギターがメロディーを奏でる、めっちゃクールな演奏だ!あのハードロックの名曲がこんな粋なラウンジ・ミュージックに変貌するとは... この1曲だけでもこの盤を買った価値がある。④の「ホール・ロッタ・ラヴ」は物憂げなウィスパー・ヴォイス入りで、ギター、オルガン、コンガetcを駆使して洒落た雰囲気を醸し出している。⑥の「ロックン・ロール」ではチャンプスの「テキーラ」かよ!とツッコミを入れたくなるようなラテンなリズムに大爆笑。逆に⑧の「移民の歌」や⑩の「天国への階段」はオルガンやギターでメロディーを弾くのがやっとで、これはどうあがいてもラウンジ・ミュージックにはならへんね。どっちも原曲の良さが全く活かされてないのが残念。まぁ、一種のキワモノ盤だが、個人的にはブラッシュでジャジーなゼッペリンが聴けただけで大満足だ。

ブッダ・ラウンジ・ゼッペリン

Stairways To Heaven / V.A.

2008-10-19 | Led Zeppelin
 私はカヴァー・ヴァージョンが大好きで、面白そうなカヴァーを集めるのがライフワークのひとつになっている。特にビートルズとレッド・ゼッペリンという2大バンドのカヴァーは見境なく買ってしまう習性がある。ある時、動物の鳴き声だけでビートルズナンバーをカヴァー(笑)した Beatle Barkers というレコードをネットで検索していて偶然 WFMU's BEWARE of the BLOG というとんでもないサイトを見つけた。何とゼッペリンの代表曲「天国への階段」のカヴァーを101ヴァージョンも集めてアップロードし、MP3で聴けるようになっているのだ。さすがの私もこれにはビックリした。いくら有名曲といってもジャズのスタンダードナンバーじゃあるまいし、まさか101ヴァージョンとは... 何たる執念!その101曲中22曲(約1/5!)を収録したのがこの Stairways To Heaven というCDなのだ。なんでも The Money Or The Gun というオーストラリアのトークショー番組の最後に毎回ゲストが「天国への階段」を自分流のスタイルでカヴァーするというコーナーがあって、その中から選びぬいた22組らしい。
 無機質なビートをバックに歌うマライアキャリーみたいな①、マンハッタントランスファーそっくりのコーラスがジャジーな③、大笑い必至の横山ホットブラザーズ風⑤、リッキーリージョーンズ風のアンニュイな⑧、ルーシーインザスカイウィズメリーホプキン(爆)な⑨、なりきりエルヴィスが笑える⑩、メタル・クリムゾンをバックに歌うクリッシー・ハインドみたいな⑫、カントリーウエスタンちっくな⑮、ファルコ風「ロック・ミー・ゼッペリン(笑)」なヒップホップの⑯、バングルズ風ガールズ・ロックが愉しい⑳など、知ってる音楽の幅が広ければ広いほど楽しめるしかけになっている。
 そんな中で一番気に入ったのが⑭の The Beatnix。「ワン、トゥー、スリー、フォー」の掛け声で始まり、「抱きしめたい」にそっくりなメロディー(もちろん手拍子入り)に「天国への階段」の歌詞が乗せられ(これが又ピッタリ合ってて笑える)、最後は「ツイストアンドシャウト」っぽく盛り上がって終わる。ビートルズのファンもゼッペリンのファンも、ぜひ一度聴いてみて、大笑いして下さいな。
Stairway To Heaven - The Beatnix

Physical Graffiti / Led Zeppelin

2008-10-18 | Led Zeppelin
 レッド・ゼッペリンの「Ⅰ」はバリバリのハードロック・アルバムで、69年当時の音楽シーンを考えればまさに画期的なサウンドだった。ダイアナロス&スプリームズがアフロヘアーで “Love Child~♪” なんて歌ってた時代に、いきなりの「コミュニケイション・ブレイクダウン」である。初めて耳にした人達は軽く3メートルはブッ飛んだに違いない。数ヶ月後に発表された「Ⅱ」も同じイケイケ路線の作品で、1st 同様強烈なエネルギーを発散する八方破れのスタイルだった。しかし彼らが “額面どおりのハードロック” を演奏したのはこのアルバムまでで、これ以降はハードロックを越えた “ゼッペリン・ミュージック” としか言いようのないワン・アンド・オンリーなスタイルを築き上げていく。
 71年発表の「Ⅲ」はそれまでのイケイケ路線とは大きく異なるアコースティックギター主体のサウンドで、ギンギンのハードロックを期待していたファンから総スカンを食ったと言われるアルバムだったが(←後追いの形で聴いた私も最初は???だった...)、今になって考えてみると後の彼らのスタイルに大きな影響を与えている。つまり、ジミーペイジのギター奏法の、フレーズ中心からリフ中心への変化である。「Ⅳ」で彼らは再びハードな音に戻るのだが、ペイジのギターは「Ⅰ」や「Ⅱ」のスタイルには戻らず、「Ⅲ」のスタイルを今度はエレキギターによって展開していくようになる。ひとつの同じリフを執拗に繰り返すことによってバンド全体の音が混沌とした大きな塊となり、聴く者の眼前に屹立するのだ。5thアルバムの「聖なる館」ではまだ様々な試行錯誤が見られたが、そういった紆余曲折を経た後で、まるでスッコーンと突き抜けたかのようにゼップのスタイルがほぼ完成したように思えるのが この6thアルバム「フィジカル・グラフィティ」である。
 私はビートルズの場合と同じくゼップのアルバムも悪戦苦闘しながらすべてUKオリジナル盤で手に入れてきたのだが、このアルバムに関しては最初何も分からずにレイター・プレスの再発盤を買ってしまい(←スワンソング・レーベルの見分け方ってどこにも載ってなかったもので...)、届いたアルバムに針を落としてみて“何か音が平板で迫力がイマイチやなぁ...” と思って eBay の過去のデータを詳しく調べ直した結果、自分の間違いに気付いた次第。見分け方のポイントは、レーベル面内周のやや右上部分にワーナー・コミュニケーションズの “Wロゴ” があるのが再発盤で、“Wロゴ” が無いのが正真正銘の1stプレス。再発盤のヘタレな音にどうしても満足できなかった私は結局もう一度eBayでこのアルバムを取り直したのだが、大袈裟ではなく音の鮮度・密度・エネルギー感すべてにおいて月とスッポンほどの違いがあった。落札価格は再発盤が£16で1stが£24だったが(←当時のレートで2,220円と3,340円...)、まぁこの程度の授業料ですんで良かったと思っている。
 このアルバムは2枚組の大作で、特にディスク1のこれでもかとばかりに聴き手を圧倒するソリッドなリフのアメアラレ攻撃は快感の一言に尽きる。シンプルかつダイナミックなサウンドに一発KOされた①「カスタード・パイ」、メロディアスなブルース・ロックがカッコイイ②「ザ・ローヴァー」、大きなうねりの中に立ち込める凄まじいまでの存在感に圧倒され11分という長さを全く感じさせない珠玉の名演③「イン・マイ・タイム・オブ・ダイング」、明るく親しみやすいメロディーとノリノリの演奏がゴキゲンな④「ハウズィズ・オブ・ザ・ホリー」、スティーヴィー・ワンダーの「迷信」を彷彿とさせるファンキーさが斬新な⑤「トランプルド・アンダー・フット」、砂漠をゆっくり旅しているかのような錯覚に陥るエスニックなアレンジとプリミティヴなパワーに満ち溢れたボンゾの骨太ドラムが印象的な超大作⑥「カシミール」... そのすべてが圧巻だ。
 ディスク2はもう “何でもアリ” の世界で、ハードロックというよりはむしろ世界中の様々な音楽の要素を貪欲に取り入れてゼッペリン・ミュージックの可能性の拡大に取り組んだ民俗ロックという感じ。そんな中で特に気に入っているのがアグレッシヴなリフがスリリングな⑥「ワントン・ソング」、軽快なブギウギ⑦「ブギー・ウィズ・ステュ」、後期ゼップを象徴するような骨太なサウンドがたまらない⑨「シック・アゲイン」で、そのどれもが№1ロックバンドとしての風格と余裕のようなものを強烈に感じさせるナンバーだ。
 レッド・ゼッペリンと有象無象のロックバンドとの一番の違いはその唯一無比なグルーヴにあり、それが最も顕著な形でレコード盤に刻まれているのがこの「フィジカル・グラフィティ」である。特に完璧な流れを誇るディスク1は非の打ち所のない完成度で、ゼッペリン・ミュージックの金字塔と呼べる素晴らしい1枚だと思う。彼らの全作品中で最もターンテーブルに乗った回数が多いのもこのアルバムだ。
Led Zeppelin - Custard Pie

Led Zeppelin - In My Time of Dying -1 - 1975 Earl's Court.avi

Led Zeppelin - Kashmir (Live Video)

Led Zeppelin - Sick Again