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shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Led Zeppelin Medley / 大橋純子

2013-02-27 | Led Zeppelin
 去年の暮れにレッド・ゼッペリン祭りを始めてから早いものでもう2ヶ月が経つが、このように一つのアーティストを徹底特集していると自ずとYouTubeやグーグルで検索する回数が増え、思わぬ新発見をすることが少なくない。「カシミール」繋がりで出会ったエスカーラなんかその最たるものだったが、やはりロック以外のジャンルのアーティストによるカヴァーはどうしても盲点になりやすいし、その意外性という点からも驚きが大きい。
 つい先日のことになるが、王様の「深紫伝説 ~ディープ・パープル日本語直訳メドレー~」を聴いていて、ふと “そういえばゼップのメドレーって無いんかな?” という素朴な疑問が浮かんだ。少なくとも私の知る限りでは日本が世界に誇るゼップのコピバン、シナモンの2nd と 3rd ぐらいしか思い浮かばない。スターズ・オンやジャイヴ・バニーetcのメドレー物が大好きな私は他に何かあらへんのかなぁと思い “レッド・ツェッペリン・メドレー” で早速ググってみると、タワレコ・オンラインのページで “大橋純子/ジェイセレクション” というのを発見! 大橋純子って、70年代後半から80年代初めにかけて抜群の歌唱力で大向こうを唸らせ、「シルエット・ロマンス」や「たそがれマイ・ラブ」etcのヒットを飛ばした、あの大橋純子なのか??? 彼女がゼップを歌ってるとしたらコレはエライコッチャである。
シルエット ロマンス-大橋 純子

大橋純子--たそがれマイ・ラブ


 半信半疑でその「ゼップ・メドレー」が入っているという94年のアルバム「J'selection Vol. 1」をアマゾンで調べるてみると、確かに③「レッド・ツェッペリン・メドレー」というタイトルで「胸いっぱいの愛を」~「ブラック・ドッグ」~「ロックンロール」~「天国への階段」~「胸いっぱいの愛を」をメドレーでやっている。しかもそれ以外の収録曲もすべて洋楽のカヴァーで、ドゥービーズの①「チャイナ・グローヴ」、ポールの②「マイ・ラヴ」、パープルの④「ブラック・ナイト」、ストーンズの⑤「ホンキー・トンク・ウイミン」、クラプトンの⑥「ティアーズ・イン・ヘヴン」ときたもんだ。試聴できるサイトはなかったが、コレは聴かねば... と猛烈に好奇心をそそられた私は即買いを決めた。
 届いたCDはめっちゃ地味なジャケットで、ブックレットには “デビュー20周年を迎え、何かを始めたいと思った。ライフワークとして、ずっと続けられる何か。そこで J-セレクション という企画を思いついた。以前から興味はあったけれど、チャンスがなかったカバーのアルバムである。毎年1枚づつ、ひとつのジャンルにこだわったアルバムのシリーズ化... オリジナルのアルバムとは違って、大いに趣味の域を出したいと思っている。音楽に関しては、本当に気の多い別の私を楽しんでもらいたい。シリーズ1作目はスタートということもあって、私の音楽基盤でもあるロックに挑戦した。「こう見えて、実はアマチュア時代、ハードロックのリードヴォーカルだったの...」” という本人のコメントが載っている。へぇ~、大橋純子って元々ハードロックを歌ってたんか...
 アルバムは全6曲で34分と少し短いが、つまらんオリジナルを延々80分近く聞かされるよりはずっといい。一気通聴してみた第一印象は、とにかく歌が上手いなぁということ。伸びやかで艶があり、パワフルなその歌声は歌謡曲を歌おうがロックを歌おうが関係なしで、特にポールの②のようなスロー・バラッドでは余裕すら感じさせるその豊かな声量と確かな歌唱力で朗々と歌い上げており、まさに水を得た魚といった感じだし、同じスロー曲⑥では繊細な一面ものぞかせており、まさに向かうところ敵なしの無双状態だ。
マイ・ラブ


 お目当てのゼップ・メドレー③でも持ち前の伸びやかなハイトーン・ヴォイスでゼップの代表曲を次から次へと10分以上にわたって熱唱しており、続くパープル・カヴァー④と共に、力強くエネルギーに満ち溢れた歌声でハードロックの名曲を見事に歌いこなしているのだからコレはもう黙って聴くしかない。ただ、彼女の場合、クリアーに響き渡るタイプの歌声なので、ゴリゴリのロックを歌う時はもう少しザラついた感じの不良性が加われば鬼に金棒だろう。
 この「J'selection」は世間的にはあまり知られていないアルバムだと思うが(←それともただ単に私が知らなかっただけなのか???)、日本を代表する実力派シンガーが歌う洋楽カヴァー・アルバムとして十分傾聴に値する隠れ名盤だと思う。
レッド・ゼッペリン・メドレー

ブラックナイト

「ブラック・ドッグ」カヴァー特集

2013-02-23 | Led Zeppelin
 「天国への階段」、「カシミール」に続くゼップ・カヴァー特集第3弾は「ブラック・ドッグ」のカヴァーを集めてみました。

①王様
 「深紫伝説」を始め、「カブトムシ外伝」や「浜っ子伝説」、「転石伝説」といった直訳ロックで我々を大いに楽しませてくれる “古き良き洋楽ロックの伝道師”、王様のゼップ・カヴァー盤「鉛の飛行船伝説」に入っていたのがこの「黒い犬」だ。そのユニークな日本語直訳(←さすがは上智大出身だけあって技アリの見事な直訳になってる...)やコスプレ・ロッカーというスタイルのためについついキワモノ視されがちだが、そのユーモアのセンスに溢れた訳詞と確かなテクニックに裏打ちされた演奏は聴き応え十分で、私としては王様こそ “色物の仮面をかぶった真正ロック” だと断言したい。この「黒い犬」でもリフからソロに至るまでオリジナルの雰囲気が見事に再現されており、王様のゼップへの深い愛情が伝わってきて嬉しくなってしまう。敢えてbaby を “ネェちゃん” ではなく “赤ちゃん” とベタな直訳にするによってかなりエロい内容の歌詞を笑いのオブラートに包んで提示する手法も見事という他ない。真のロック好きを大爆笑の渦に叩き込む、遊び心に溢れた「黒犬」だ。
黒い犬


②New City Rockers
 このニュー・シティ・ロッカーズはいかにも80'sという感じのメロディアスなロックが身上のバンドで、ストーン・フューリーを想わせる親しみやすいサウンドがエエ感じなのだが、残念なことにヒット曲に恵まれずアルバム1枚を残したのみで消滅してしまった知る人ぞ知る存在だ。1987年の4月にリリースされたこのゼップ・カヴァー・シングルも全米チャートで最高80位までしか上がらずラジオ・エアプレイも少なかったようだが、私はたまたまトップ40か何かの “注目の新曲コーナー” でコレを聴いてすぐに気に入り、急いでタワレコへ走って首尾よく12インチ・シングルを手に入れることができた。80年代の煌びやかなヒット曲たちの中に埋もれてしまいがちなこういうマイナーなシングルとの出会いもリアルタイムでチャート番組を追っかけていたからこそ可能だったのだろう。ロバート・プラント信者のレニー・ウルフ(ストーン・フューリ→キングダム・カム)を彷彿とさせるハイトーン・ヴォイスで聴く、80年代ならではのダンサブルな “黒犬” だ。
Newcity Rockers Black Dog (Music Video)


③The Boys From County Nashville
 レッド・ゼッペリンほどの大物になるとブルーグラスからクラシックに至るまでハードロック以外のジャンルのアーティストによるトリビュート盤も色々出ているが、残念ながらゼップの知名度を利用して売ってやろうという魂胆が透けて見えるような、原曲への理解も愛情も感じられないナンジャラホイ盤も少なくない。そんな玉石混交のゼップ・トリビュート盤の中で “大当たり” だったのがこの「ザ・ケルティック・トリビュート・トゥ・レッド・ゼッペリン ~ロング・アゴー・アンド・ファー・アウェイ~」という CD で、ゼップのルーツの一つであるケルト音楽によるカヴァー集だけあって実に完成度の高いアルバムになっており、この「ブラック・ドッグ」も大胆にして絶妙なケルティック・アレンジによって換骨奪胎され、繊細でありながらほのぼのとしてどこか温か味を感じさせるヴァージョンに生まれ変わっている。ケルト音楽が印象的だったディズニー映画「メリダとおそろしの森」なんかにもぴったりハマりそうな、北欧民族音楽の薫りが色濃く立ち込める「黒犬」だ。
Boys From County Nashville - Black Dog


④West 52nd Street Buddha Lounge Ensemble
 ビートルズの場合と同様に、ゼップのジャズ・カヴァーにもロクなモノがない。モード・ジャズだか何だか知らないが、アレンジをこねくり回し過ぎて原曲の良さを殺してしまうケースがほとんどだ。そんな中で “コレは凄い!” と唸ってしまったのがこの「ブッダ・ラウンジ・レンディションズ・オブ・レッド・ゼッペリン」というCDに入っていた「ブラック・ドッグ」だ。瀟洒なブラッシュが刻む軽快なフォービートに乗って涼しげなヴァイブとギターが奏でるメロディーがめっちゃ耳に心地良くって、こんなにスイングする「ブラック・ドッグ」も大いにアリやなぁと思ってしまう。やっぱりジャズは分かりやすいのが一番!ということを再認識させてくれる粋でオシャレな「黒犬」だ。
ブッダ・ラウンジ・ツェッペリン


⑤Keith Emerson
 大物ミュージシャン達によるゼップ・カヴァーばかりを集めたコンピ盤「ジ・アルティメット・レッド・ゼッペリン・トリビュート ~レッド・ボックス~」という2枚組アルバムに収録されていたのが何とあのキース・エマーソンによる「ブラック・ドッグ」で、往年のELPサウンドを彷彿とさせるフレーズが至る所に出てくる面白いカヴァーになっている。特に最初の1分ほどのインスト・パートなんかキース節が全開で、シンセのメロディー・ラインを追っているだけで楽しい。首を絞められてのたうち回るアクセル・ローズみたいなマイケル・ホワイトの下衆なヴォーカルはキースの演奏と全然合っていないように思えるが、それもこれもひっくるめて摩訶不思議なサウンドが妙に耳に残るプログレ風「黒犬」だ。
Keith Emerson (ELP) - Black Dog ( Led Zeppelin Cover )


【おまけ】心の広~いゼップ・ファン限定で、バンバンバザールのウクレレ演奏による脱力系「黒犬」をどーぞ。
ブラックドッグ

Alive In Seattle DVD / Heart

2013-02-19 | Led Zeppelin
 今日はレッド・ゼッペリン・カヴァーの最高峰、ハートである。私と彼女達との出会いは中学3年の時にラジオでかかった「バラクーダ」だから、もうかれこれ35年以上の付き合いということになる。特に80年代中盤以降のハート黄金期にリリースされた「ハート」「バッド・アニマルズ」「ブリゲイド」の “産業ロック3部作”(笑)はホンマによく聴いたものだったが、90年代に入ってグランジ/オルタナ・ロックに汚染された洋楽と絶縁したせいもあって、それ以降はハートも含めたロック・ミュージック全般の動向に疎くなっていた。
 そんな私が再びハートの音楽と再会したのは5年ほど前のことで、ちょうどゼップのカヴァーを色々と探していてたまたま見つけたのがこの「ハート・アライヴ・イン・シアトル」という2002年のライヴ DVD だった。ハートのゼップ・カヴァーといえば「グレイテスト・ヒッツ」収録の「ロックンロール」しか知らなかったので、新たに2曲も聴ける(見れる!)とワクワクしながら YouTube でチェックしてみるとこれがもうめちゃくちゃ素晴らしい!!! やっぱりハートのゼップ・カヴァーは年季が違うわいと小躍りしながらこの DVD を購入した。
 このDVDにはオリジナルからカヴァーまで新旧取り混ぜて全19曲が収録されているが、まずは何と言っても⑱「ブラック・ドッグ」である。この曲はカヴァーが難しいゼップ・ナンバーの中では比較的被カヴァー率は高い方だと思うのだが、これほど真正面から正々堂々と取り組んで小細工なしにこの曲のグルーヴを見事に再現した例を私は他に知らない。衰えを知らないアンのパワフルなシャウトはさすがという他ないし、ナンシーを筆頭に水を得た魚のように嬉々としてこの曲をプレイするバンドの面々の演奏も非の打ちどころがないぐらい素晴らしい。まさにゼップ・カヴァーの王道を行くハートの面目躍如たるヴァージョンと言っていいと思う。
Heart - Black Dog (live in Seattle, 2002)


 もう1曲のゼップ・カヴァー⑩「バトル・オブ・エヴァーモア」も負けず劣らず素晴らしい。カヴァーの難易度、希少性から言って「ブラック・ドッグ」よりもむしろこちらの方が私的にはインパクトが強かったのだが、ウィルソン姉妹の絶妙なハーモニーとマンドリンの響きが原曲の持つ幻想的な雰囲気を巧く表現しているところが◎。「フォー・シンボルズ」のアルバムで「ロックンロール」と「天国への階段」に挟まれて一般的には地味な存在と言えるこの隠れ名曲に目を付け、それを完璧にステージで再現したウィルソン姉妹のテクニックとその筋金入りのゼップ・フリークぶりに脱帽だ。
Heart 04 Battle of Evermore


 ゼップ・カヴァー以外で気に入っているのは、初期を代表する疾走系ロックンロール・チューンの①「クレイジー・オン・ユー」だ。イントロでアコギを激しくかき鳴らしながら左ハイキック(笑)をブチかますナンシーがめっちゃワイルドでカッコイイ(≧▽≦) アンの巨体から発せられるハイトーン・ヴォイスも絶好調で、さすがは “女性版ロバート・プラント” の異名を取るだけのことはある。この曲はアコギを巧く使いながら激しくロックするという点でゼップの影響が色濃く反映された作風になっている。又、①と並ぶ初期の大名曲⑯「バラクーダ」もノリノリの演奏をバックにアンの突き抜けるようなハイトーンが楽しめて言うことなし(^o^)  とにかくこの2曲は “激しくてエモーショナルでメロディアスでグルーヴィー” という、70年代ハートの魅力を濃縮還元したようなカッコイイ演奏だ。
Heart - Crazy On You (Alive In Seattle)

Heart - Barracuda (live in Seattle, 2002)


 80年代のレパートリーの中ではアンプラグドな⑦「アローン」が感動的。これを聴けばアンが豊かな声量を活かしたパワー・シャウターであるだけでなく、バラッドでの表現力も超一流であることがよく分かるだろう。寄り添うようにハーモニーを付けるナンシーもめっちゃエエ感じだ(^o^)丿 
 21世紀に入ってからの彼女達はこれ以外にも「ライヴ」(←これはアンの調子がいまひとつな気がする...)、「ドリームボート・アニー・ライヴ」(←「ミスティー・マウンテン・ホップ」を演ってる!)、「ナイト・アット・スカイ・チャーチ」(←ゼップ・カヴァーは入ってないけどナンシーの美魔女っぷりが堪能できます... )と3枚のライヴDVDを出しているが、ゼップ云々を抜きにしても選曲のバランス、アンの歌唱、そしてバンド演奏のまとまりと、全ての面でこの「アライヴ・イン・シアトル」が断トツに素晴らしいと思う。
Heart - Alone (Alive in Seattle 2003)
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「カシミール」カヴァー特集

2013-02-15 | Led Zeppelin
 エスカーラ、ボンドと連続して「カシミール」を取り上げたので、今日はそれ以外の「カシミール」カヴァーを集めてみました。

①Lucia Micarelli
 ルシア・ミカレリというこの女性ヴァイオリニストの存在は「カシミール」のカヴァーを色々集めていた時に YouTube で見て初めて知った。何でもクラシック界期待の若手らしいが、ステージで「ボヘミアン・ラプソディー」やこの「カシミール」を演るなど、ジャンルの枠に縛られない新感覚派のアーティストのようだ。同じ「カシミール」では彼女がジェスロ・タルと共演したヴァージョンもアップされていてそれも悪くはないのだが、中途半端にイアン・アンダーソンのヘタレなフルート(笑)が絡むよりはソロでガンガン弾きまくっている演奏の方が遥かに好きだ。
 ここに貼り付けたのは2007年にジョッシュ・グローバンという歌手のコンサートに客演してソロ・パフォーマンスを披露した時の映像なのだが、前半のアヴァンギャルドなインプロヴィゼイション・パートから一転して「カシミール」のイントロが始まった瞬間(←2分45秒あたり)が鳥肌モノで、私のようなクラシックに何の興味も無いロック・ファンとしては干天の慈雨というか、ネコにカツオ節というか、まさにキタ━━━(゜∀゜)━━━!!! という感じ。何かに憑りつかれたかのように髪を振り乱しながら(←しかも裸足やん!)スリリングなプレイを聴かせる彼女は凡百のロック・ギタリスト達よりも遥かにカッコイイと思う。
 それにしても、エスカーラ、ボンド、そしてこのルシア・ミカレリと、クラシック界の美人アーティスト達を次々と魅了するこの「カシミール」という楽曲の底知れぬパワーを見るにつけ、改めてレッド・ゼッペリンというバンドの偉大さを痛感せずにはいられない。
Lucia Micarelli Aurora-Kashmir


②Lana Lane
 シンフォニック・ロックの女王、ラナ・レーンはカヴァーのセンスが抜群で、私なんかオリジナルよりもカヴァー曲目当てで彼女のCDを買ってしまう。特に「ヨーロピアン・ツアー2001・スーベニアCD」に入っていた「クリムゾン・キングの宮殿」と「バラード・コレクション」に入っていた「アクロス・ザ・ユニヴァース」なんかは大傑作だと思っているが、そんな彼女がハードロックの名曲ばかりをカヴァーしたアルバムが「カヴァーズ・コレクション」だ。この「カシミール」は彼女独特のエモーショナルな歌声で、曲を愛でるように丁寧に歌っているところが◎。このカシミールは心に沁みる(笑)。レインボーの「スターゲイザー」カヴァーと並ぶ、このアルバム中で最高のトラックだ。
Lana Lane - Kashmir


③Luxt
 このラクスト(って読むのかな?)というグループはゲイリー・ニューマン風の無機質な打ち込みビートとノイジーなシンセ・サウンドが特徴的なエレクトロニカ・インダストリアル・ロック・バンド。「レイジング・エデン」というアルバムに収録されたこの「カシミール」は、アンナ・クリスティンという紅一点女性ヴォーカリストの妖しげな歌声と原曲のミステリアスな雰囲気が絶妙に溶け合って、この手の音楽があまり得意ではない私でも十分楽しめる摩訶不思議なヴァージョンに仕上がっている。
Luxt - Kashmir


④Never The Bride
 この前ご紹介したネヴァー・ザ・ブライドが例のブリティッシュ・ロック・シンフォニー・コンサートの中で演っているのは「階段」ともう1曲... この「カシミール」だ。ゼップの楽曲中でも超大作と言える2曲を取り上げるあたりにジャニス、じゃなかったニッキ・ランボーンのヴォーカリストとしての絶対的な自信が窺える。特にこの「カシミール」における圧倒的なグルーヴ感の表出はもうお見事という他ない。
Never The Bride - Kashmir (British Rock Symphony)


⑤Page & Plant
 「カシミール」特集の最後を飾るのはペープラが1994年にリリースした「ノー・クォーター」に収録されていたセルフ・カヴァーだ。いわゆるひとつの “本人歌唱” ヴァージョンなのだが、同じヴォーカル&ギタリストで同じ曲を演っているのに、アレンジが違うとこうも曲の雰囲気が変わるものかと驚かされる。オリジナルの持っていた中近東風のエスニックな部分を徹底的に煮詰めて民俗音楽色の濃いサウンドに仕上げてあるのが面白い。ヘビ使いとベリー・ダンサー(笑)を連想してしまいそうなパートはさすがにやりすぎだと思うが、「ブラック・ドッグ」が憑依する後半部(10分を過ぎたあたり)のスリリングな展開はめっちゃカッコイイ(^o^)丿
Jimmy Page & Robert Plant - Kashmir (Live, The Awesome oriental version)
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Kashmir / Bond

2013-02-11 | Led Zeppelin
 今日は前回取り上げたエスカーラの “美形ストリング・カルテットでクラシック以外のジャンルの曲を演奏する” というコンセプトの元になったボンドでいってみよう。彼女達は2000年にデビューして、弦楽器(エスカーラと同じヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロという構成)とノリノリのダンス・ビートを融合させた斬新なスタイルで “クラシカル・クロスオーヴァー界のスパイス・ガールズ” とも呼ばれているグループだ。
 そんなボンドが2002年にリリースした2nd アルバム「シャイン」の中で一際異彩を放っていたのがゼップをカヴァーしたこの⑦「カシミール」だ。ボンドの音楽は基本的に煌びやかで軽快なものが多いのでこの重厚なサウンドには驚かされるが、エスカーラのヴァージョンに比べてオリジナルにより忠実なアレンジで、原曲の持つ独特なエキゾチシズムをストリングスで巧く表現している。エスカーラが「カシミール」を取り上げたのは当然このボンド・ヴァージョンを意識してのことだろうが(←メンバーがインタビューで “ボンドに強い影響を受けた” とリスペクトを口にしていた...)、同じストリング・カルテットでどこがどう違うのか聴き比べをして愉しむのも一興だ。
Bond - Kashmir (Led Zeppelin classical cover)


 このアルバム「シャイン」の1曲目に収録されているのは①「アレグレット」というナンバーなのだが、コレが何とエスカーラの代表曲「パラディオ」とタイトルは違えど全く同じ曲なんである。どちらもクレジット上はカール・ジェンキンスの作となっているので何らかの大人の事情があるのかもしれないが、先の「カシミール」のこともあってネット上ではコピーキャット論争が喧しいようだ。まぁ私としては目の保養にもなる美脚女性グループは多いに越したことはないので(笑)堅い事を言わずに両方愉しめばいいのに、と思ってしまう。
Bond - Allegretto


 上記の2曲以外ではデビュー・シングル「ヴィクトリー」の流れを汲む痛快な疾走系チューン③「フエゴ」が好き。この2曲はエスニックな薫りが立ち込める雰囲気が何となく似てるなぁと思ってクレジットを見るとどちらもクロアチアの作曲家トンチ・ハルジックの作品ということで大いに納得なのだが、やっぱりボンドにはこの手のエキゾチックでパッショネートなナンバーが一番良く似合う。ついでにこの路線で「踊る大捜査線」のテーマ曲とか演ってくれたらピッタリハマると思うのは私だけかな?
Bond - Fuego


 彼女達の楽曲には他にもクラシック調からユーロビート調まで様々なアレンジのものがあるがそういうのは正直言って願い下げなので、1枚のアルバム中で私が楽しめるのは残念ながら2~3曲しかなく、全4枚の中から好きな曲だけをCD-Rに編集して聴いている。折角なので「シャイン」以外のアルバムで気に入った曲もついでに取り上げよう。
 私がボンドの曲を聴いた時にすぐに頭に浮かぶのはルイス・クラーク指揮のロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラによる「フックト・オン・クラシックス」で、どちらもキャッチーなメロディーとノリの良い演奏のせいかクラシックが苦手な私でも何の違和感もなく楽しむことが出来る。最初にそれを感じたのが 1st アルバムの1曲目に入っていた「ヴィクトリー」で、アップテンポでありながらそこはかとなく哀愁を感じさせるメロディーの魅力をストリング・カルテットというフォーマットで実に巧く引き出しているなぁと感心させられた。
Bond - Victory


 3rd アルバム「クラシファイド」はプロデューサーが変わったせいか彼女達の持ち味である弦の音よりも打ち込み音が勝っていてボンドが演る必然性があまり感じられない単なるダンス・ミュージックへと堕しているトラックが多いのが悲しいが、そんな中で十分傾聴に値するのが「ヴィクトリー」「フエゴ」と同じトンチ・ハルジック作の「エクスプローシヴ」で、ボンドの魅力炸裂の哀愁舞い散るカッコ良いナンバーだと思う。PV では少しだけだが彼女達の美脚も拝めて言うことナシだ(^o^)丿
Bond - Explosive


 4thアルバム「プレイ」では何と言っても「パンプ・イット」が断トツに素晴らしい。最初に曲名を見た時はわからなかったが、曲を聴いてみてビックリ... これってディック・デイルの「ミザルー」ではないか! 映画「タクシー」や「パルプ・フィクション」で使われ、ピーター・アーツの入場曲としても知られるサーフ・ロックのスタンダード・ナンバーに目を付けた慧眼はさすがという他ないし、この曲の持つ中近東風な旋律をしっかりと消化してオリジナリティー溢れるボンド・ミュージックへと昇華させた彼女達の演奏力の高さも特筆モノだ。前作を聴いた時は正直言ってボンドもこれで終わりかと思ったが、この「パンプ・イット」で華麗に復活!!! アルバム単位では「シャイン」が一番だと思うが、曲単体では間違いなく「パンプ・イット」が彼女達の最高傑作だろう。エスカーラの時にも書いたように、この手のグループは選曲とアレンジが成否の決め手なのであり、そういう意味でも次作はプロデューサーをも含めた制作サイドの音楽センスが大いに問われるのではないかと思う。
BOND - Pump It

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Kashmir / Escala

2013-02-07 | Led Zeppelin
 2週間ほど前のことだったと思うか、YouTube でゼップの「カシミール」再生後に表示された関連動画の中に女性グループが写っている画像があって興味をそそられクリックしたところ、いきなり透明な電子弦楽器(ヴァイオリン×2、ヴィオラ、チェロ)を抱えた若いオネーチャン4人組が登場し、ボディコン&ミニスカで美脚も露わに「カシミール」を演奏し出したのだ。女性の弦楽カルテットでロック/ポップスをカヴァーするというコンセプトは目新しいものではないが、このエスカーラというグループの「カシミール」はクラシック臭さが希薄でアグレッシヴなところが斬新だったし、何よりもスラリと伸びた長い脚を武器に “魅せるステージ・パフォーマンス” で楽しませてくれるところが嬉しい。脚フェチの私は YouTube でこのグループの他の動画も見まくってめっちゃ気に入り、即CDをオーダーした。
 彼女達は元々2008年に Britain's Got Talent という人気オーディション番組(←イギリス版 “スター誕生” みたいなモンか...)に出場して脚光を浴びたグループで、予選ラウンドではカール・ジェンキンスの②「パラディオ」を演奏、ちょうど鹿賀丈史が主宰で出ていた「料理の鉄人」のオープニング・テーマを想わせる壮大にして勇壮なこの曲は決勝でも演奏しており、さながら彼女達のテーマ曲と言ってもいいぐらいの堂々としたパフォーマンス。オーディエンスもスタンディング・オベーションの嵐で、辛口審査員の面々からも incredible!!!, phenomenal!!!, amazingly talented!!!... と大絶賛されていた。
Escala - Britain's Got Talent ITV


 更に準決勝では何とポール&ウイングスの⑥「死ぬのは奴らだ」を披露、同じ女性ストリング・カルテットの先輩格であるボンドを意識したのか、あるいはイギリスということで自分達をボンド・ガールになぞらえての選曲なのかは知らないが、振り付けも実にカッコ良くキメたエンターテイニングなパフォーマンスで、これまたジャッジとオーディエンスの圧倒的な支持を得て決勝進出を決めたのだった。
Escala - Britain's Got Talent Season 2 - Semis


 決勝では惜しくも優勝を逃したものの(←ネタ切れなのか余程自信があったのか、予選と同じ曲を演ったがために衝撃度が薄れたのではないかと勝手に推測...)、彼女達はこれがきっかけで一気にブレイクし、トレヴァー・ホーンのプロデュースでデビュー・アルバムを制作。その中に入っていたのがこの③「カシミール」というわけで、何とあのスラッシュが参加してエスカーラとのコラボでゼップの名曲を新たな解釈で聞かせてくれるのだ。下に張り付けた動画は前年のファイナリストとして 2009年に同番組に凱旋ゲスト出演した時のもので、1年前にはまだ初々しい雰囲気を湛えていた4人がすっかり垢抜け、より洗練されたショーマンシップ溢れるパフォーマンスを披露している。4人そろった脚のアクションはもちろんのこと、身体全体のキレが実にシャープでカッコイイのだ(^o^)丿
Escala Performing Kashmir with Slash 2009


 このアルバムは11曲入りなのだが、やはりこの②③⑥が断トツに素晴らしく、他は私的にはイマイチ愉しめない(>_<)  クラシックの薫りが強いトラックはどうしても面白みに欠けるのだ。出来ることならT.レックスとかキング・クリムゾンとかクイーンとか、ロック色の濃い曲をどんどん取り上げて楽しませてほしいものだ。例えばこんな感じで↓
Lucia Micarelli Bohemian Rhapsody


 とにかくエスカーラのようなグループは一にも二にも選曲が勝負なので、彼女達が生き残れるかどうかは如何にしてこの弦楽カルテットという演奏フォーマットで映えるポピュラー・ソングを探してくるかにかかっているように思う。そういう意味でも私は彼女達の 2nd アルバムが今から楽しみでならない。
Get to Know Escala 10: Today
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「天国への階段」カヴァー特集⑦ ~王道カヴァー編~

2013-02-03 | Led Zeppelin
 「階段」特集最終回の今日は正統派ロッカーによる小細工なしの “王道カヴァー編” です。

①Never The Bride
 フル・オーケストラとゴスペル・コーラス隊をバックに、有名ヴォーカリスト達がビートルズ、ストーンズ、ザ・フー、そしてレッド・ゼッペリンといった数々のブリティッシュ・ロックの名曲を聴かせてくれるトリビュート・プロジェクト「ブリティッシュ・ロック・シンフォニー」ツアーのDVD は名曲名演の宝庫だが、その中でもインパクト絶大だったのがネヴァー・ザ・ブライドのニッキ・ランボーンという女性ヴォーカリストが歌う「階段」だ。まるでジャニス・ジョップリンが憑依したかのようなその歌声は聴く者の魂を激しく揺さぶる凄まじさで、4分を過ぎたあたりからの入魂のヴォーカルはまさに圧巻の一言に尽きる。ドラムスのザック・スターキーやサイド・ギターのサイモン・タウンゼンド(ザ・フーのピートの弟です!)など、バックを固めるミュージシャンの好演も楽しめて言うことナシの1枚だ。
Never The Bride - Stairway To Heaven (British Rock Symphony)


②Ann Wilson
 ゼップ・カヴァーの第一人者と言えばこれはもうアン&ナンシー姉妹率いるハートしかない。彼女らは70年代からライヴでゼップの曲を取り上げており、ヴォーカルのアンは “女性版プラント” と呼ばれてきたし、何よりもゼップの3人やオバマ大統領夫妻を前にして行われた例のケネディー・センターでの式典パフォーマンスでトリを任されたことがすべてを物語っているだろう。そんなハートの「階段」カヴァーはアルバム「リトル・クイーン」にボートラで収録されているライヴ・ヴァージョンが有名だが、アンがソロ名義で参加した1999年リリースのコンピ盤「ブリティッシュ・ロック・シンフォニー」(←上記プロジェクトのスタジオ録音版CDで、参加メンバーも違います...)収録のヴァージョンも甲乙付け難い素晴らしい出来なので今日はそちらをご紹介。ケネディー・センター・ライヴでプラントの涙腺を緩ませたアン・ウィルソン全身全霊のヴォーカルをご堪能ください。
Ann Wilson - Stairway to heaven


③Great White
 ゼップ・カヴァーにおいてハートと並んで双璧といえるバンドがこのグレイト・ホワイトだ。ブルース・ロックを基盤とする彼らは筋金入りのゼップ・ファンで、特にヴォーカルのジャック・ラッセル(←もちろん犬ぢゃありません...)はロバート・プラントそっくりの声・唱法で有名なのだが、そんな彼らが1998年にリリースした全編ゼップ・カヴァーという痛快無比なアルバム「グレイト・ゼッペリン」のラストを締めくくっていたのがこの「階段」だ。初めて聴いた時はあのキングダム・カム以来の衝撃(笑)で、その見事なまでのコピーぶりにまるで本物のゼップが蘇えったかのような錯覚を覚えたものだ。それにしてもホンマによぉ似とるなぁ...(^.^)
GREAT ZEPPELIN


④Far Corporation
 ファー・コーポレイションはボニーMのプロデューサー、フランク・ファリアンがTOTOのメンバーであるボビー・キンボール、デヴィッド・ペイチ、スティーヴ・ルカサーの3人にロビン・マッコリーやサイモン・フィリップスといった錚々たる顔ぶれを集めて作ったユニットで、アルバム「ディヴィジョン・ワン」からシングル・カットされたこの「階段」カヴァーが1985年10月にUKチャートの8位まで上がるスマッシュ・ヒットを記録。ゼップのカヴァー、しかもよりにもよってあの「階段」をカヴァーしてそれをシングルとして切ってくるという大胆不敵な発想にビックリ(゜o゜)  当時まだ心の狭いゼップ・ファンだった私は後半部のディスコチックなノリに “何じゃいコレは!” と歯牙にもかけなかったのだが、今の耳で聴いてみるとコレが結構面白い。前半部はまだオリジナルに忠実なアレンジながら、4分15秒を過ぎたあたりから一気に80'sモードに突入、TOTOの「アフリカ」へと傾きかけるも何とか土俵際で踏みとどまってゴスペル風コーラスとくんずほぐれつしているうちにルカサーの鬼気迫るギター・ソロが乱入してきて大いに盛り上がり、最後は大団円を迎えるという怒涛の展開が実に楽しい。しかし TOTO のサウンドってホンマに80年代そのものやねぇ...(^.^)
Far Corporation - Stairway To Heaven [1985] ReWorked


⑤Jimmy Page [Solo]
 長々と続けてきた「階段」祭りの最後はやや反則技ながら、“3大ギタリスト夢の競演” ということで話題になったアームズ・コンサートにジミー・ペイジが出演した時のインスト・ヴァージョンでシメたい。これは元スモール・フェイセズのロニー・レインの呼びかけで1983年9月にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われたチャリティー・コンサートの時の映像で、3人が競演した “超高速レイラ” と並ぶお気に入りのトラックがペイジのソロによるこのインスト版「階段」だ。ゼップ解散以降第一線から身を引いていたペイジはとても本調子とはいえない感じで、まるでオリの中のクマのように落ち着きなくフラフラと動き回っているが(←クスリかアルコールのせい???)、それでも聴かせてしまうあたりは超一流の貫禄というべきだろう。
Jimmy Page Solo - Stairway To Heaven (Royal Albert Hall, 9/20/1983)

 ただ、同年12月に行われたアメリカ公演では傍目にもラリッているのが明らかで(←カウ・パレスの方はまだマシだが、MSGの方はかなりキツい...)、音を外しまくるペイジを見かねたのか(?)クラプトンとベックがステージに登場、奇しくも三者の競演による豪華な「階段」が実現している。 “オマエ、ホンマに大丈夫か?” という感じでペイジを気遣う二人の表情にご注目ください。
Jeff Beck, Eric Clapton & Jimmy Page Solo - Stairway To Heaven (Cow Palace, 12/2/1983)

Jimmy Page-Stairway to Heaven-ARMS Concert (MSG, 12/8/1983)

「天国への階段」カヴァー特集⑥ ~拾遺編~

2013-01-30 | Led Zeppelin
 「階段」特集6回目の今日は “ディープな「階段」マニア(?)への道” というテーマで、これまでの選に漏れた、いわゆるひとつの拾遺編でいってみます。

①Richard Cheese
 リチャード・チーズはロック/ポップスの名曲をラウンジ調にアレンジし、フランク・シナトラやディーン・マーティンのようなクルーナー・スタイルでてカヴァーするアメリカのコメディアン。この「階段」カヴァーでも当意即妙なパフォーマンスを披露、スインギーなジャズ・アレンジ(←キーボードの兄ちゃん最高やね!!!)と変幻自在なヴォーカルで楽しませてくれる。肩透かしを喰らわすようなエンディングもふざけとるなぁ... 尚、この曲が収録されたアルバム「バック・イン・ブラック・タイ」はタイトルもジャケットも AC/DC のパロディーになっており、そのウィットに富んだユーモアのセンスにニヤリとさせられること間違いなし。他にもフロイドをパロッた「ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ムーン」とか、ガンズをパロッた「アペリティフ・フォー・デストラクション」とか、洋楽ファンなら一度は聴いてみたくなるようなタイトルのアルバムが目白押しで、しかももうすぐ出る新作アルバムがビートルズ・トリビュートの「レット・イット・ブリー」ときたもんだ。この人、ホンマにオモロイわ(^.^)
Stairway To Heaven


②Leif Norbergs Orkester
 レイフ・ノルベルグ・オルケステル(って読むのかな???)ってどこの誰だか全く知らないが、
綴りから判断するとスウェーデン系か? そんな未知のバンドの「階段」は、マイナー調のメロディーをシャッフル・リズムで奏でるピアノがめっちゃエエ感じで、スプートニクスとパープル・シャドウズを足して2で割ったような(←あくまでもイメージです、念のため...)昭和の薫りが演奏全体に濃厚に立ち込めているところがいい。この音源は CD化されてないようで、「ハイウェイ・トゥ・ヘルシングランド」(←AC/DCってホンマに愛されとるんやなぁ...)というmp3アルバムがダウンロード可能。ゼップの他にもAC/DCやパープル、キッス、サバスなんかをポップなアレンジでカヴァーしており、この手の面白カヴァーを好む人には掘り出し物のミュージシャンかもしれない。
Leif Norbergs Orkester - Stairway To Heaven


③Steve Morse
 スティーヴ・モーズは1994年に第8期(!)ディープ・パープルに加入したアメリカのギタリスト。彼はライヴでロック・クラシックスの有名フレーズをメドレー形式にアレンジして弾きまくるソロ・コーナーをやることが多いのだが、どうやらゼップの「階段」も彼の十八番らしく、YouTube にも色々アップされており、下に貼り付けた音源ではまず「ハートブレイカー」のリフから入って「階段」へと繋げ、大喝采を浴びている。それにしてもディープ・パープルのコンサートでゼップの曲が聴けるなんて、考えただけでもコーフンしてしまうわ(≧▽≦)
スティーヴ・モーズ


④G's Incorporated
 私は昔からラップってどうも苦手で、トーン・ロックの「ワイルド・シング」とランDMCの「ウォーク・ジス・ウェイ」以外は生理的に受けつけないのだが、この「階段」は例外的にOKだ。ラップ・パートが必要以上に強く自己主張せずにバックのサウンドに上手く溶け込み、原曲のメロディーを繰り返すシンセの神秘的な音色と絶妙に絡み合ってメロウな味わいのメイン・ヴォーカルを引き立てているところが◎。G's インコーポレイテッドなどというどっかの株式会社みたいな名前は初耳だったのでネットで調べてみるとドイツのラップ・ユニットだと判明、こーゆーのを G-ラップ(ギャングスタ・ラップ)というらしい。ひとつ勉強になりました(^o^)
G's Incorporated - Stairway To Heaven (1997)


⑤Pardon Me Boys
 パードゥン・ミー・ボーイズは例の「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」で「階段」をカヴァーしたジャズ・コーラス・ユニットで、ジャジーなアレンジと“B級マンハッタン・トランスファー” といった感じの洗練されたコーラス・ハーモニーで楽しませてくれる。グレン・ミラーの「イン・ザ・ムード」を間奏に織り込むあたりも中々芸が細かいですな。
Stairway To Heaven - Pardon Me Boys

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「天国への階段」カヴァー特集⑤ ~これは珍なり編~

2013-01-25 | Led Zeppelin
 今日はこんな「階段」もありまっせ... という感じでちょっと怪しいカヴァーを大特集。硬派なファンは “天下のレッド・ゼッペリンをナメとんのか!” と怒り出すかもしれないが、堅いことは言いっこなし。ということで今回は心の広~いゼップ・ファン限定の “これは珍なり編” です。

①Leningrad Cowboys
 フィンランドが誇るトサカ頭&とんがりブーツのロックバンド、レニングラード・カウボーイズが旧ソ連の軍楽隊(Red Army Chorus & Ensemble)と共演したライヴ・アルバム「トータル・バラライカ・ショウ」に入っていたのがこれ。見た目に反してアレンジは原曲にかなり忠実なのだが、ロシアの民族楽器バラライカで奏でられる「階段」の哀愁舞い散るメロディーやロシア軍コーラス隊の重厚なハーモニーが何とも言えない雰囲気を醸し出していて怪しさ満点... まさにあぁおそロシアである。下の映像はヘルシンキ元老院広場でのコンサートのものだが、チンドン屋も顔負けのド派手な衣装に身を包んだレニグラはもちろんのこと、クネクネと妖しげに踊るネェちゃん達といい、コテコテのロシア民謡色全開で迫るコーラス隊といい、炎を操る意味不明のジャグラー軍団(?)といい、どこをどう見ても怪しい新興宗教の儀式にしか見えへんわ... (>_<)
Leningrad Cowboys - Stairway To Heaven.mpg


②掟破り軍団, 見良津健雄 & おたっしゃCLUB
 これは “日本の70年代フォークと洋楽ロックの融合” という掟破りの変則マッシュアップ的カヴァー(?)を収録したパロディー盤「旅荘カリフォルニア」に収録されていたもので、以前に一度このブログで取り上げたことがあるが、めっちゃオモロイので再アップ。日本で平和に暮らしていた「神田川」を拉致してロンドンへ連れて行き、ハードロック養成ギプスを装着して髪もブロンドに染めて胸をはだけさせ、無理やり「天国への階段」を歌わせた... という感じのチカラワザが功を奏し、聴く者すべてを爆笑の渦に叩き込む。「階段」の例のイントロに続いて “あなたは もう わすれたかしら~♪” というフォーキーな歌が流れてきた時点でイスから転げ落ちること間違いなし(^.^)  「階段」メロディーを奏でるバックの演奏もコワいぐらいに「神田川」の歌詞とマッチしていて感心させられるが、何と言っても後半部の盛り上がりパートでたたみかけるように歌われる「神田川」には大爆笑! よぉこんなアホな企画を思いついたものだ(・o・) しかしダブルネックと南こうせつってどう考えても似合わんな...
おたっしゃ倶楽部 ステァウェイトゥ神田川


③DJ Earworm
 「階段」がらみのマッシュアップといえばやはりこちらが本命か。この「ステアウェイ・トゥ・ブートレッグ・ヘヴン」と題されたマッシュアップは主役であるドリー・パートンのヴァージョンにユーリズミックスの「ジス・シティー・ネヴァー・スリープス」が断片的に添い寝、ローリー・アンダーソンの「オー・スーパーマン」やアート・オブ・ノイズの「モーメンツ・イン・ラヴ」の無機質なサウンドをスパイスにしながら要所要所をビートルズの「ビコーズ」でまとめ上げ、このまま何事もなく終わるのかと油断していると突然パット・ベネターの「ラヴ・イズ・ア・バトルフィールド」が乱入してきて腰を抜かしそうになるという実に手の込んだ作品になっている。特にベネターの “ウィー・アー・ストロング!♪” という一喝が炸裂するパート(6分6秒と6分59秒)がこのマッシュアップ最大の聴き所で、ピリリと辛い山椒のように抜群の効果を上げている。全くバラバラの素材を組み合わせて一つの作品に仕上げるマッシュアップ職人 DJ Earworm の腕前は、さながら無国籍料理のアイアン・シェフだ。
NoRVid - Stairway through NoR (SecondLife, Machinima, MMORPG)


④西脇睦宏
 西脇睦宏という人はMusic Box、つまりオルゴール音楽の第一人者で様々なジャンルの名曲にオルゴール・アレンジを施してヒーリング・ミュージック化してしまう音の魔法使いみたいなアーティスト。ゼップの「階段」も原曲のメロディーの髄を見事に引き出されて美しいオルゴール・ミュージックに仕上げられており、疲れた時なんかに聴けば癒されること間違いなし。特に後半のペイジのギター・ソロのパートがオルゴールの音色で忠実に再現されているところが何気に凄い。小さな赤ちゃんのいるロック・ファンにオススメの逸品だ。
MutsuhiroNishiwaki


⑤Bass Zeppelin
 最後は珍盤中の珍盤、 “日本音圧協会認定”(笑)の世界BASS名鑑シリーズ(←他にパープルやクイーンのもあるらしい...)の一つ「Stairway To Bass Heaven ~天国への重低音~」である。この “ベース・ミュージック” というのはクラブ・ミュージックの1ジャンルのことで、スーパーウーハーを積んでブーミーな重低音をボンボン外へ響かせながら走っているアホな車を時々街中で見かけるが、要するにそういう類の垂れ流し音楽だ。私はブレイクビーツとかドラムンベースとか呼ばれるこの手の音楽は全く趣味じゃないので今まで眼中になかったが、豹柄Tバックに尻のアップという品性下劣なエロジャケと “重低音でゼッペリン” というシュールなコンセプトに興味を引かれ、ヤフオクで送料込みで170円という安さに釣られてサクッと落札。中身の方はジャケットのような奇天烈なインパクトはなく、気怠い女性ヴォーカルをフィーチャーした打ち込み主体の凡庸なカヴァーという感じだ。それにしてもゼップのトリビュート盤でこのジャケットはいくら何でもありえへんわ...(>_<)
Bass Zeppelin - Stairway to Heaven

「天国への階段」カヴァー特集④ ~他ジャンルのアーティストによる名カヴァー編~

2013-01-20 | Led Zeppelin
 レッド・ゼッペリンの楽曲は彼ら独特のグルーヴと一体化して初めて成立する類のものなので、他アーティストによるカヴァーというのは思いのほか少ないのだが、この「天国への階段」だけは別で、ロック以外のジャンルのアーティスト達も積極的にこの曲を取り上げている。ということで今日は、スパニッシュ・ギターからフォークロア、ブルーグラスにテクノ・ダンス・ポップ、そして最後はクラシックのオーケストラと、様々な解釈で楽しむ「階段」特集です。

①Rodrigo Y Gabriela
 私は以前から「天国への階段」の色んなカヴァーを集めているのだが、今回の特集をきっかけに改めて YouTube で徹底検索、新たに発見したものの中で一番の収穫といえるのがこのロドリーゴ・イ・ガブリエーラというギター・デュオ。二人はメキシコ出身で今はアイルランドを拠点に活動しており、元々スラッシュ・メタル・バンドをやっていたというだけあって、ラテン/フラメンコをベースにロック、ブルース、ジャズといった様々なジャンルのスタイルをミックスしたようなそのユニークな音楽性が、スパニッシュ・ギターといえばパコ・デ・ルシアぐらいしか知らなかった私の耳に衝撃的に響いたのだろう。とにかく2本のアコギだけでこれほどエネルギーに満ち溢れた情熱的なサウンドを生み出すとは只者ではない。「激情ギターラ」(←こっ恥ずかしいこの邦題、もうちょっと何とかならんかったんか...)というCDに付いていたDVDに収録されていた「階段」のライヴ・パフォーマンスもめっちゃカッコ良くて、特にボディーを叩きながらリズムを取るガブリエーラのプレイは何度見てもスリリング!!! テクニカルな速弾きを披露するロドリーゴも絶好調で、2分48秒からのジャガジャーン♪に始まる超絶技巧を駆使した後半部の盛り上がりは鳥肌モノだ。
Stairway to Heaven live (Rodrigo y Gabriela)


②Del Pueblo Del Barrio
 私は数年前の第一次「階段」マイ・ブームの時に100近いカヴァー・ヴァージョンを集めたが、その中で一番気に入ったのがこのデル・プエブロ・デル・バリオだった。「Escalera Al Infierno」というタイトルが付けられたこの曲、クレジットは “Page/Plant” ではなく “Agustin Bustos” となっているのだが、メロディーのモチーフになっているのはどこをどう聴いてもゼップの「階段」以外の何物でもない。因みに「Escalera Al Infierno」をネットの自動翻訳にかけるとスペイン語で「地獄への階段」という意味らしい。 なるほど、そーゆーことか...(^.^)  以前に一度このブログで取り上げた時にも書いたが、ジプシー・キングスを想わせるハイテンションでエモーショナルな歌と演奏が心の琴線をビンビン刺激する名カヴァーだ。
Del Pueblo...Del Barrio - Escalera al infierno (videoclip)


③Nashville Super Pickers
 レッド・ゼッペリンがアメリカで圧倒的な支持を受けている理由の一つに彼らの音楽性が内包しているカントリー・ミュージックの薫りが挙げられると思うのだが、そのせいかカントリー/ブルーグラス系アーティストによるゼップのカヴァー/トリビュートは結構多い。中でも私が気に入っているのがナッシュビルの凄腕セッション・ギタリスト達で結成されたナッシュビル・スーパー・ピッカーズというグループによる「ピッキン・オン・ゼッペリン ~ア・トリビュート~」というアルバムで、ギター、マンドリン、バンジョー、フィドル、ハーモニカetc といった楽器が一致団結して作り上げるブルーグラスなサウンドで聴くゼップというのも中々オツなモノだ。
Stairway To Heaven Instrumental Bluegrass Version- Led Zeppelin Cover


④EtCetera Theatre Company
 エトセトラ・シアター・カンパニーという謎のユニットによるこの「階段」は例の「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」からのもので、ゼップの名曲で踊ってしまおうという大胆不敵な発想が面白い。ファルコ(←元斗皇拳のファルコではありません...)の「ロック・ミー・アマデウス」にトーキング・ヘッズを少々振りかけてレンジでチンして一丁上がり、といった感じ(?)のキャッチーなテクノ・ダンス・ポップに仕上がっており、さながら「ロック・ミー・ゼッペリン」といった按配だ。
Stairway to Heaven EtCetera Theatre Company


⑤The London Symphony Orchestra
 私がクラシックを全く聴かないのは曲も演奏も退屈すぎて眠くなってしまうからだが、このロンドン・シンフォニー・オーケストラによる「階段」は結構好き(^.^)  クラシック界の巨匠カラヤンが “私がオーケストラで演奏するとしてもこれ以上のアレンジを必要としない名曲” と絶賛しただけあって、ここでも原曲に忠実な器楽アレンジが施されており、ドラマチックな盛り上がりを見せるスケールの大きい演奏はロック・ファンも一聴の価値アリだ。
The London Symphony Orchestra-"Stairway to Heaven"

「天国への階段」カヴァー特集③ ~意外なアーティストによるカヴァー編~

2013-01-16 | Led Zeppelin
 「天国への階段」特集第3弾は、 “エッ、こんな人も「階段」やってんの?” 的な、ちょっと意外なアーティストによるカヴァー編です。

①Pat Boone
 このパット・ブーンとはもちろん「砂に書いたラヴレター」の、あのパット・ブーンである。ハードロックとは最も縁遠い軟派ななイメージしかないこの人が何をトチ狂ったのか(←失礼!)60才を過ぎた老体でゼップをカヴァーしたというだけでもアリエナイザーなのだが、この曲が収められている1997年リリースのアルバム「イン・ア・メタル・ムード ~ノー・モア・ナイス・ガイ~」(邦題が「メタルバカ一代!」って... ナメとんのか!)では他にもパープル、メタリカ、ガンズ、オジー、AC/DC、ヴァン・ヘイレンなんかの曲もやっているのだがらコレはもう開いた口が塞がらない(゜o゜)  日本で例えるなら加山雄三が B'zの曲をシャープス&フラッツの伴奏で歌ってるような感じ(笑)なのだが、ハードロック/へヴィー・メタルの名曲の数々をゴージャスなビッグバンド・アレンジで歌う還暦ポップス・シンガーのチャレンジ精神(or 遊び心???)が生んだ抱腹絶倒の1枚と言えるだろう。それにしても少女マンガじゃあるまいし、ジャケットの眼光キラリにはクッソワロタ(^.^)
Pat Boone Stairway to heaven


②Dolly Parton
 私はドリー・パートンのかなりのファンで、CDも何枚か持っている。カントリー界の大物でありながら、ジャンルの枠にとらわれずにポップスの名曲を意欲的にカヴァーする姿勢が素晴らしい。彼女はこれまでもメリー・ホプキンやジャニス・ジョプリン、ボブ・ディランなどの曲をカヴァーして楽しませてくれたが、さすがにレッド・ゼッペリンの曲をやるとは思ってなかったので、2002年リリースの「ヘイローズ・アンド・ホーンズ」でこの「階段」を取り上げたのにはホンマにビックリ(・o・) バンジョーやヴァイオリンといったカントリー楽器を大量投下、原曲のメロディーを崩さずに、繊細さと力強さのバランスが絶妙な透明感溢れるヴォーカルによって曲を完全に自分の色に染め上げているところが凄い。カントリー/ブルーグラス、ポップス、ゴスペルと、幅広い音楽性に裏打ちされた珠玉の逸品だ。
Dolly Parton - Stairway to Heaven Live


③桑田佳祐
 音楽界がアンプラグド・ブームで盛り上がっていた1991年に桑田師匠は様々な洋楽ロックの名曲をアンプラグド・カヴァーする「アコースティック・レヴォリューション」というライヴを新宿のライヴハウス “日清パワーステーション” で行っており、ビートルズやディラン、クラプトンに混じってゼップのこの曲も取り上げている。とにかくどこを切っても桑田節が全開で、このカヴァー企画を単なる模倣に終わらせてなるものかという気概、そして原曲への愛とリスペクトが感じられるところがいい。このくずしの妙味にハマるとクワタ・ワールドから抜け出せなくなること間違いなしだ。
Stairway To Heaven


④本田美奈子
 何と、2005年に白血病で亡くなった本田美奈子が歌う「天国への階段」である。これは彼女の死後にリリースされた拾遺集「心を込めて」に収録されていたもので、元々は彼女が存命中の2003年に制作された彼女のソプラノ・アルバム「AVE MARIA」のセッション時にレコーディングされたというだけあってクラシック志向が強いアレンジになっているのだが、この曲が内包している “ちから” ではなく、メロディーの上澄みのキレイキレイな部分だけを模倣したクラシック臭さが鼻につくし、透き通るような彼女のソプラノ・ヴォイスも私にはちょっとキツい...(>_<)  やっぱり本田美奈子はお上品なソプラノよりも、腰を振り振り歌う「1986年のマリリン」の方がエエわ(^.^)
本田美奈子~天国への階段 Stairway to Heaven(カヴァー曲)


⑤Frank Zappa
 名前はよく聞くのに実際にアルバムを1枚も聴いたことがないアーティストが私には何人もいるが、フランク・ザッパもそんな一人。昔どっかで聞いた曲が気持ち悪いぐらいアヴァンギャルドな作風で、前衛嫌いの私はそれ以来ザッパを避けるようになった、というのが実情だ。しかし1988年のライヴを収録したアルバム「ザ・ベスト・バンド・ユー・ネヴァー・ハード・イン・ユア・ライフ」に入っているこの「階段」は、所々エキセントリックな音が飛び出すものの、想像していたよりも遥かにストレートな演奏で、これなら私でも大丈夫。ペイジのソロ後半をホーン・セクションで再現しているところなんか実にユニークだ。
Frank Zappa 1988 03 23 Stairway To Heaven
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「天国への階段」カヴァー特集② ~ケッサク・パロディー編~

2013-01-12 | Led Zeppelin
 「天国への階段」特集パート2は “もしも○○が「天国への階段」をカヴァーしたら...” というノリの “ケッサク・パロディー編” をお届けします。

①The Beatnix: もしもビートルズが「天国への階段」をマージー・ビートでカヴァーしたら...
 「抱きしめたい」そっくりなメロディーに「天国への階段」の歌詞を乗せ、途中「シー・ラヴズ・ユー」に寄り道しながらビートリィなコーラスと手拍子でコテコテの初期ビートルズ・サウンドに仕上げ、後半は「ツイスト・アンド・シャウト」大会へとなだれ込むという抱腹絶倒の展開が楽しいザ・ビートニクスはオーストラリアのビートルズ・トリビュート・バンド。下に貼り付けたのは前回紹介したテレビ番組「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」出演時の演奏で、4人の細かい動きまでよく研究してるなぁと感心してしまう。これでジョン役の人がもっと両足を踏ん張ってガニ股でギターを弾いてくれてたら完璧やったのにね...(^.^)
Stairway To Heaven - The Beatnix


②The Australian Doors Show: もしもドアーズが「天国への階段」をサイケにカヴァーしたら...
 これはちょっと凄いです... このオーストラリアン・ドアーズ・ショウはその幽玄な彷徨ヴォーカルといい、ヘヴィーなオルガンのサウンドといい、妖しげでサイケな雰囲気といい、本物が演ってるって言われたら信じてしまいそうなぐらいドアーズそっくり。彼らはオーストラリアが誇るドアーズ・トリビュート・バンドで、「天国への階段」を「ホェン・ザ・ミュージックス・オーバー」化したこの演奏は①同様「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」からの映像だが、ホンマにそこまでやるか...という感じのなりきりぶりはドアーズ・ファン必見だ。
Stairway to Heaven The Australian Doors


③Me First And The Gimme Gimme: もしもラモーンズが「天国への階段」をパンク・カヴァーしたら...
 ミー・ファースト・アンド・ザ・ギミ・ギミズはロックやポップスの名曲を片っ端から高速化していくパンク・カヴァー・バンドで、ラモーンズを想わせる高速ダウンストローク主体のラウドなギターが轟きわたる疾走系ロックンロールは痛快そのもの。エキセントリックなギター・ピック・スクラッチも効果抜群だ。欲を言えば後半のギターソロのパートもやって欲しかったが、演奏の短さもラモーンズの遺伝子を受け継いでいるということか。とにかくこのバンド、パンクルズあたりが好きな人なら絶対に気に入ると思う。
Me First And The Gimme Gimmes - Stairway To Heaven


④Neil Pepper: もしもエルヴィスが「天国への階段」を白のジャンプスーツでカヴァーしたら...
 エルヴィスのモノマネ芸人、ニール・ペッパーが「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」でエルヴィス版の「階段」に挑戦、薄っぺらいヴォーカルはエルヴィスとは比ぶべくもないが、「階段」を「ラスベガス万歳!」と組み合わせた斬新な発想と見事なアレンジ力には唸ってしまう。特に “Ooh it makes me wonder♪” のラインをサビの “Viva Las Vegas♪” のメロディーに乗せる所なんかもう最高だ。因みにエルヴィスの信奉者であるロバート・プラントもこれを大いに気に入っているらしい...(^.^)
Stairway to Heaven Elvis


⑤Rolf Harris: もしも横山ホットブラザーズが「天国への階段」を洋風音曲漫才でカヴァーしたら...
 コテコテ関西人の私としてはやはりこのロルフ・ハリスを取り上げないワケにはいかない。ノコギリこそ使っていないが、そのホワホワした浮遊感のあるサウンドはまさに横山ホットブラザーズ! 笑いのツボは万国共通なのか... まぁここはひとつ広~い心で愉快なゼッペリン・カヴァーを愉しみたい。でもこんなんばっかり聴いとったたらそれこそ “おまえはアホか~♪” って言われそうやけど...(笑)
Stairway to Heaven Rolf Harris

「天国への階段」カヴァー特集① ~異色の女性ヴォーカル編~

2013-01-09 | Led Zeppelin
 年末からお正月にかけて年をまたいで続けてきたレッド・ゼッペリン祭りは「祭典の日~奇跡のライヴ~」DVDの3連投稿でお開きにするつもりだったのだが、ケネディーセンター・トリビュートでのアン&ナンシー姉妹による「天国への階段」に大感動したせいもあって、もう少しゼップ・ネタでいってみようと思い、今度はゼップのカヴァーを特集してみることにした。トップバッターはもちろん「天国への階段」である。この曲は彼らの持ち歌の中でも被カヴァー率が断トツに高く、ピンからキリまで併せるとその数何と100以上というから凄まじい。ということで「天国への階段」特集パート1はお洒落系から疾走系まで色々取り揃えた “異色の女性ヴォーカル編” でいってみます。

①Bellanova
 ベラノーヴァはイタリアの女性シンガーで、お洒落なラウンジ~チルアウト系ヴォーカルが耳に心地良い。バックのアコギもめっちゃエエ味出してて言うことナシ。ジャケットはギターのフレットを天国への階段に見立てたものだ。それにしてもゼップの「階段」がこんな雰囲気抜群のライトなボッサになるとは...(・o・) この人は同じ路線でビートルズをカヴァーした「アンド・アイ・ラヴ・ヒム」も超オススメなのだが、どちらもCD化はされておらず12インチ・シングルも既に廃盤、今では mp3 ダウンロードのみで入手可能なようだ。
BelaNova- Stairway to Heaven


②Whipper Snappers
 オーストラリアのテレビ番組「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」の最後に毎回ゲストが「天国への階段」を自己流スタイルでカヴァーするコーナーがあり、ユニークなヴァージョンが数多く生まれたのだが、この②以降はすべて同番組の出演者。中で一番気に入っているのがこのホイッパーズ・スナッパーズで、フロントの女性二人が織りなすコーラス・ハーモニーがたまらなく気持ちイイ(^o^)丿 あのドラマチックな「階段」を換骨奪胎してバングルズを想わせる溌剌系ガールズロックに仕上げたアレンジ力に脱帽だ。
Stairway to Heaven The Whippersnappers


③Kate Ceberano & Ministry Of Fun
 メルボルン出身のケイト・セベラノはポップスからジャズまでこなすヴァーサタイルな女性シンガーで、この曲でもエニグマっぽいダンス・ビートと彼女の伸びやかで深みのある歌声が絶妙なマッチングをみせている。う~ん、めっちゃグルーヴィー(≧▽≦)  尚、彼女によるフリートウッド・マックの「ゴー・ユア・オウン・ウェイ」カヴァーも YouTube にアップされてるので気に入った方はどーぞ。
Stairway to Heaven Kate Ceberano and The Ministry of Fun


④Helen Jones
 「ザ・マネー・オア・ザ・ガン」に登場した女性シンガーのうち異色中の異色と言えるのがこのヘレン・ジョーンズ。これがあのヘヴィーロックの王者レッド・ゼッペリンの「階段」なのか、と思わせるようなレトロな雰囲気横溢のジャジーな女性ヴォーカルに仕上げている。ちょっと短すぎるのが玉にキズだが、その気怠いヴォーカルはムード満点だ。
helen jones- Stairway to Heaven Toots.mp4


⑤Toys Went Berserk
 トイズ・ウエント・ベルセルク(←ワケの分からんバンド名やな...)はシドニーを中心に活動していたガレージロック・バンドで、「レッド」期あたりのメタル・クリムゾンのへヴィネスと初期のU2の攻撃性を併せ持ったようなアグレッシヴな演奏をバックに不機嫌なクリッシー・ハインドみたいな(?)歌い方をする女性ヴォーカルという組み合わせが実にユニークで面白い。特に疾走感溢れる中間部なんかもう快感!の一言に尽きる痛快なカヴァーになっている。
Stairway to Heaven Toys Went Berserk

Celebration Day DVD / Led Zeppelin (Pt. 3)

2013-01-05 | Led Zeppelin
 ダブルネックといえば当然もう一曲... そう、⑫「ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム(永遠の詩)」である。ペイジはのっけからエンジン全開で軽快なリフをバリバリ弾いていく... いや、弾き倒すと言ってもいいかもしれない。プラントも「プッシュ!プッシュ!」連発でノリノリだ。ジェイソンのキレは抜群で父親を彷彿とさせる豪快なドラミング... 彼がジョーンジーと共に音楽の土台をしっかり支えることによって圧倒的な空間を作り出す “バンドの力” が戻ってきたのだろう。これが “ケミストリー” というやつかもしれない。とにかくこの曲では彼ら4人のバンドとしての一体感を思う存分味わうべしだ。演奏が終わった後、プラントが “ジェイソン・ボーナム、ドラムス!” と紹介するとジェイソンが腕に彫ったボンゾのシンボルマーク “3つの輪” のタトゥーを指差すシーン... これにはめっちゃ感動した。ホンマに “見事な腕” である。ボンゾもきっと彼のことを誇りに思っていることだろう。
Led Zeppelin - The Song Remains The Same - Celebration Day - Full Version


 ジョーンジーのキーボードで始まる⑬「ミスティ・マウンテン・ホップ」はライヴ・ヴァージョンを聴いて好きになった曲で、 “クライマックスへ向けてどんどん加速していく” 感じがたまらないドライヴ感溢れるナンバーだ。ジェイソンが叩き出す重厚なビートに乗ってプラントが水を得た魚のようにシャープな動きで溌剌としたヴォーカルを聴かせてくれるのが嬉しい。曲が終わった時にプラントはジェイソンに向かって “やるねぇ!” という仕草で彼のドラミングを称えている。又、バックの巨大スクリーンを彩るカラフルでサイケなグラフィックが曲想と見事にマッチしているのにもご注目。この曲に限ったことではないが、このコンサートのスクリーン担当者はホンマにエエ仕事してまんなぁ...(^.^)
Led Zeppelin - Misty Mountain Hop [Celebration Day] HD,HQ


 アンコール前の本編最後の曲はゼッペリン・グルーヴの極致、⑭「カシミール」だ。地響きを立てながら轟きわたるジェイソンのドラミングの一発一発の重さがビンビン伝わってきて圧倒されるし、ペイジはペイジで昔のようにステップを踏みながら中毒性の高いリフを刻み続ける。背筋がゾクゾクするようなこの感覚がたまらんのよね。シャンパンレッドのレスポールがカッコエエなぁ(^o^)丿 ゼップ・サウンドを陰で支える仕事人、ジョーンジーは黙々とキーボードに向かっているし、プラントはもう威風堂々といった感じで自信に満ち溢れており、そのシャウトはとても還暦前とは思えないほど伸びやかでパワフル。得意の “ママママママ...♪” も聴けて言うことナシだ。そんな4人の演奏が有機的に絡み合って唯一無比のグルーヴが生まれる様はまるで全盛期の彼らを観ているかのようで、“ここにレッド・ゼッペリン完全復活!” と大声で叫びたくなってくる。間違いなくこの曲が今回のライヴのベストトラックだろう。演奏を終えステージ前に並んで一礼するメンバーの表情も清々しい。
Led Zeppelin - Kashmir - Celebration Day


 アンコールの1曲目は⑮「ホール・ロッタ・ラヴ」だ。あの耳慣れたイントロ・リフが響き渡ると場内は凄い盛り上がりで、サビでは大合唱が沸き起こる。汗だくになりながらもクールにリフを弾き続けるペイジに痺れマス。間奏でレーザー光線が飛び交いプラントが “ママママママ...♪” の大盤振る舞いをする中、満を持して登場するのがペイジのテルミン(←アンテナに手を近づけたり遠ざけたりして音をグニョグニョにする電子楽器)だ。大きく腕を振りながらMr.マリックも顔負けのハンドパワー(?)で音を自在に操る姿がカッコイイ(^o^)丿  テルミン・ホワイ?などとダジャレを言っている場合ではない。この混沌とした幻想的なパートがあるからこそ後に続くギター・ソロが一層際立つのだ。後半部はもう鳥肌モノの凄まじさで、すべてを超越した音楽が持つダイナミズムに圧倒される。やっぱりレッド・ゼッペリンは凄いわ... (≧▽≦)
Led Zeppelin - Whole Lotta Love (Celebration Day) Clear Video


 ⑮を終えて4人は一旦引っ込むが、会場を埋め尽くした1万8千人のオーディエンスはライヴ・エイドでもアトランティック40th でも演った “あの曲” をまだ演ってないことをよ~く分かっていてアンコールを求める拍手が鳴りやまない。そして地鳴りのような大歓声の中、4人が再び登場し、待ちに待った “あの” ドラムのイントロが... 2度目のアンコール曲はもちろん⑯「ロックンロール」だ。ステージ中央に仁王立ちでポーズをキメるプラントのカッコ良さを何と表現しよう? ペイジはもうノリノリでインスピレーションの趣くままにグルーヴ感溢れるソロを弾きまくる。ジョーンジーも楽しくてたまらんという表情だ。そしてこの夢のような時が終わるのを惜しむかのようにプラントが “Lonely lonely lonely...♪” を何度も繰り返した後、3人がジェイソンのドラム・セットの前に集まり客席に背を向けて見守る中、この日のMVPジェイソン怒涛のドラム乱打でショーはフィナーレ。3人にとってジェイソンはきっと “可愛くてたまらない甥っ子” のような存在なのだろう。涙目で客席に向かって礼をするジェイソンを称える3人の姿にウルッときていると、背後のスクリーンいっぱいに誇らしげに「LED ZEPPELIN」の電光ロゴが... 何という感動的な演出だろう! 私なんか何度観てもここで感極まってしまうのだが、それはまるで “LED ZEPPELIN が帰ってきたぜ!” というメッセージのように思えた。
 英語の諺に “See Naples and die.”(ナポリを見てから死ね)というのがあるが、何十年も前に解散したバンドのマジックが再び生まれる瞬間を見事に捉えたこの “奇跡のライヴ” DVD はまさに “See ZEP and die!” と言いたくなるような、ロック史上、いや音楽史上屈指のライヴ・ドキュメントである。私は彼らと同じ時代に生きていることを、そしてこのような感動を味わえたことを神に感謝したい。
Led Zeppelin - Rock And Roll (Celebration Day) Clear Video
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Celebration Day DVD / Led Zeppelin (Pt. 2)

2013-01-03 | Led Zeppelin
 「ブラック・ドッグ」で全盛期の勘を取り戻した彼らの凄まじい演奏に早くも背筋がゾクゾクしてきた。ここでペイジがギターを持ち替えて始まったのが④「イン・マイ・タイム・オブ・ダイング」... アルバム「フィジカル・グラフティ」の中でも三指に入る愛聴曲だ。この曲はメンバー間の息が合っていないとグダグダになってしまう危険性をはらんでいる難曲だと思うのだが、そんな不安を吹き飛ばすかのように70年代中期のあの一分の隙もないバンド・アンサンブルが見事に再現されており、ゼッペリン独特の重たいうねりを伴うグルーヴが会場全体を包み込む。曲が進むにつれてどんどん盛り上がっていく様はまさに圧巻で、この高揚感は他のバンドではちょっと味わえない。ペイジの粘っこいボトルネック奏法がたまらんたまらん(≧▽≦)
Led Zeppelin - In My Time Of Dying (Live at London, 2007)


 “次は初めてライヴで演る曲です...” というプラントの言葉で始まったのが⑤「フォー・ユア・ライフ」だ。普通、この手の再結成コンサートでは出来るだけ無難なセットリストにするものだと思うが、この大胆不敵な選曲は “単なる懐メロ大会にはしないぞ!” という彼らの挑戦的な姿勢の表れだろう。この曲は名盤「プレゼンス」のA面で超大作「アキレス・ラスト・スタンド」の陰に隠れて目立たない不憫なナンバーなのだが、なかなかどうして、こーやって聴いてみると単調なリフの繰り返しが結構クセになるスルメ・チューンだ。鋭いリフを刻み続けるペイジのカッティングが実にカッコイイし、変則ビートでガンガンプッシュするジェイソンも素晴らしい。
Led Zeppelin - For Your Life (excerpt from Celebration Day DVD)


 この⑤から中盤にかけて中後期のヘヴィーな曲が並ぶ。 “1935年にロバート・ジョンソンは「テラプレイン・ブルース」を録音した。これはゼッペリン版「テラプレイン・ブルース」だ。” というプラントの紹介で始まった⑥「トランプルド・アンダー・フット」はジョーンジーの弾むようなクラヴィネットが印象的なファンキー・ロック。後半部でプラントの “プッシュ、プッシュ!” も聴けて大満足だ(^.^)  バックの巨大スクリーンの演出がめっちゃカラフルでお洒落なのも◎。
Led Zeppelin - Trampled Underfoot (excerpt from Celebration Day DVD)


 ヴォーカルとギターのユニゾンで始まる⑦「ノーバディーズ・フォルト・バット・マイン」も実に引き締まった演奏で、うねるようなグルーヴを生みながら “ストップ&ゴー” をシャープにキメる4人がたまらなくカッコイイ。プラントのブルースハープも実にエエ味を出しているし、フランジャーでグニョグニョに歪ませたペイジのリフ攻撃は聴く者を快感へと誘う。3人が客席を背にし、ジェイソンを囲むようにしてプレイするシーンやペイジとジョーンジーがジェイソンのドラム・セットの前でアイ・コンタクトを取りながらプレイするシーンが印象的だ。
Led Zeppelin - Nobody's Fault But Mine (O2 2007)


 ⑧「ノー・クォーター」ではジョーンジーのキーボードがワウを使ったペイジのゆったりしたリフやバックの巨大スクリーンの映像と混然一体となって幻想的な世界を作り出している。何だか海の底に際限なく引き込まれていくかのような錯覚を覚えるスケールの大きな演奏だ。それにしてもペイジはワウ好っきゃねぇ...(^.^)  ⑨「シンス・アイヴ・ビーン・ラヴィング・ユー」は何と言っても艶っぽいギターの音色が聴き所。チョーキングのお手本のようなペイジのエモーショナルなプレイに涙ちょちょぎれる。
 続いてプラントの “こういった大舞台で演奏する曲を選ぶ時、絶対に外せない曲がある...” という紹介で始まるのが⑩「デイズド・アンド・コンフューズド(幻惑されて)」。曲の前半でワウを駆使して幻想的な世界を表現していたペイジがおもむろにアンプに近寄りサッと弓を手にする... “お約束” ともいえるボウイング(弓弾き)パフォーマンスの始まりだ。オーバーアクションでアピールしながら弓弾きを披露するペイジに観客は大喜び(^o^)丿  ペイジを囲むピラミッド型のレーザー光線も実にカッコイイ演出だ。それにしてもこの21世紀に弓弾きプレイを見れるとは夢にも思わなんだ。弓弾きが終わってポンと無造作に弓を投げるところ(←6分57秒あたり)も超カッコイイ(≧▽≦)
 ここでジェイソンのシンバル一閃と同時にバンドは鎖を解き放たれた猟犬のように疾走を開始、一気に沸点に達する怒涛の展開に圧倒される。バンドが一体となって生み出す破天荒なエネルギーの奔流はまるでラオウの天将奔烈、北斗剛掌波のような凄まじさ... これこそまさにレッド・ゼッペリンだ!!! そしてギンギンに盛り上げておいて最後は又スローなテンポに戻るという、この静と動の見事なコントラストがたまらない。とにかくハードロックというカテゴリーに収まり切らないゼップの多様性をまざまざと見せつけられる凄い演奏だ。
Led Zeppelin - Dazed and Confused (Celebration Day)


 歓声が鳴りやまない中 ステージが暗転すると、ロックファンなら知らぬ者はいないあの厳かなイントロのアルペジオが鳴り響く... そう、構造美の極致といえるゼップ不朽の名曲⑪「天国への階段」だ。スポットライトがステージを照らすとそこにダブルネックを持ったペイジの姿が浮かび上がるというドラマチックな演出に思わず “キタ━━━(゜∀゜)━━━!!!” と快哉を叫びたくなる。ダブルネックがこれほど絵になる男は未来永劫現れないだろう。
 しかし好事魔多しというべきか、この曲でも客席を映すシーンが数多くあるのだが、観客の多くがケータイでステージを撮影しており、暗い客席にボンヤリ浮かぶ無数のケータイ画面の明かりに物凄い違和感を覚えるのだ。それはこのDVDを観始めた時からずっと感じていたことで、アンタ達そんなことしててホンマにコンサートを楽しめてるんか?って思ってしまう。まぁ私が大のケータイ嫌いのせいなのかもしれないが、ハッキリ言ってせっかくのムードがブチ壊し(>_<)  ココはやはり昔ながらのやり方でライターに火を灯してもらった方がずっと絵になると思う。
 話をゼップに戻そう。後半のギター・ソロは無駄を削ぎ落としたような感じでシンプルそのもの。背後の巨大スクリーンにダブルネックと共に左右対称に映し出されたペイジのカッコ良さは筆舌に尽くしがたい。とにかく歌い終えた後の “ヘイ、アーメット、やったぜ!” というプラントの言葉がすべてを物語る感動的な演奏で、歴史的名曲に酔いしれたオーディエンスの大歓声が鳴り止まない。メンバーが万感の思いを込めてアーメット・アーティガンに捧げた「ステアウェイ・トゥ・ヘヴン」... 恩人への追悼曲としてこれ以上相応しいものはないだろう。 (つづく)
Led Zeppelin Celebration Day -Stairway to Heaven
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